上手くできた事は忘れる


 「30年前に上手く行った事を今やってみても上手くは行かない。」
臨済宗妙心寺退蔵院副住職・松山大耕禅師の言葉だ。

成功体験は、成功する要因があって得られる。要因の内には成功した時代背景、社会背景、タイミングなど制御できない要因が含まれている。したがって成功事例をそのままやってみても上手くいかない事が多い。

会社の役員などをみていれば良くわかる。昔の成功体験により高い地位を得ている。30年前に上手く行った事業が、今うまくいくはずはない。顧客の嗜好も社会そのものも変わってしまっている。
例えばコンパクトカメラの商品企画で、会社に大きな利益をもたらした重役がいまだに商品企画に関わっている様では、その会社の繁栄は怪しい。コンパクトカメラの役割がスマホに奪われて久しい。過去の成功体験が邪魔をして、今売れる商品を見極める目が曇る。

しかしダメな事をやれば必ず失敗する。たまたま何事もなくても、いつかは失敗することになる。
従って上手くできた事は忘れてしまう。失敗した事はしっかり覚えておく。

精神衛生上あまり好ましくはないかもしれない。
人は上手くできた事はいつまでも覚えておきたいだろうし、失敗した事は他人に知られるのも嫌だ。早く忘れてしまいたいものだ。

上手く行った事は、皆で賞賛して忘れてしまう。
失敗した事は、失敗したことで進歩できたと皆で感謝し時々に思い出す。時々にとは月に一回とか二回という意味ではない。折に触れてという意味だ。そんな組織文化を持てば、失敗から学ぶ事ができる組織になる。


このコラムは、2019年1月16日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第772号に掲載した記事です。

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