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チームビルディング

 お客様の現場で改善活動などの指導をする時に、チームを作って指導する様にしている。さすがに一人一人の人選は無理だが、部門ごとにチームを作る、部門混成でチームを作る、など場合に応じてお願いしている。

社内で何らかのプロジェクトを起こす時に、どのようにチームの人選をしておられるだろう?

  • 能力、職責など適任と思われる者を選ぶ
  • 問題意識を持っている者を選ぶ
  • やる気がありそうな者を選ぶ
  • 成長を期待して選ぶ

問題意識を持っている者を見分けるのは簡単だ。当該の問題に不満を持つ者を選べばよい。例えば食堂の食事に不満を持っている者を食堂改善プロジェクトのリーダとする。
やる気があるかないかは「公募方式」でメンバーを集めればよかろう。

募集にはコツがある。
探検家・アーネスト・シャクルトンが新聞に掲載した南極探検隊員募集広告が参考になるかもしれない。

求む隊員。
 至難の旅。
 わずかな報酬。
 極寒。
 暗黒の日々。
 絶えざる危険。
 生還の保障はない。
 成功の暁には名誉と賞賛を得る。

過酷な条件で生命の危機すらある。しかし得られる報酬は名誉と賞賛のみ。
こんな広告に人が集まるのだろうか?と思うが、広告を見て5000人の人が応募している。多分思いつきで応募した人は限りなく少ないだろう。生きて帰れる保証のない冒険なのだ。

当然社内プロジェクトには冒険家の心をくすぐる要素はあるはずもない。金銭的な報酬は単純労働者には有効でも、プロジェクトメンバーには効果はないだろう。

自己成長、社内の居場所(上司・仲間からの承認)、メンバーとの連帯感などが、冒険家に与えられる名誉と賞賛と同等の報酬ではないだろうか?


このコラムは、2019年7月15日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第849号に掲載した記事です。

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【中国生産現場から品質改善・経営革新】

改善提案

私の友人富田氏は、東莞に工場を立ち上げ10年間で顧客数を50倍近くにし、武漢にも分工場を作った素晴らしい経営者だ。

5Sや生産現場の改善ばかりではなく、中国人幹部が経営に参画し経営計画を作れるように従業員の育成に力を入れておられた。

彼の工場では改善提案制度は3年やってやめたそうだ。
改善提案制度を継続しても、なかなか提案内容のレベルが上がらない。提案件数にノルマをかけたりするとゴミの様な提案ばかりが出てくる。そんな悩みを持っている方も多いと思う。

富田氏は改善提案制度をすっぱりやめ、小集団改善活動に切り替えた。

一つは上司から課題を与えられ、即改善に取り組む活動。もう一つはQCC活動。
改善提案制度は、自主的に考え提案することに慣れていない従業員が多い時には有効だ。しかし従業員の実力が上がってくるとマンネリ化してしまう。そう言う時期にチーム改善活動を導入し、従業員の更なるレベルアップを計るとよいだろう。

私はチーム改善活動をする際に以下の様な手順を踏んでいる。

まず上司を入れて職場の問題や課題を挙げてもらう。初めてこういう活動をする中国企業では、メンバーが大興奮して、後から後から問題点、課題が出てくる(笑)ある中国企業製造部の各職場で、自部門が考える問題点、課題、他部門から見た問題点、課題を各職場ごとに話し合ったら、1時間足らずで47個の課題が出た。47個の課題を改善すれば、とてつもない効果を得ることができる。

これらの問題点、課題を一つずつ検討して以下の3つに分ける。
(1)即改善する。
(2)QCCとして活動する。
(3)何もしない。

この3つに入らないテーマは、もう少し現状を調査することになる。
(1)に分類されたテーマは、担当チームを作り改善活動をする。QCC手法に乗っ取り活動することは要求しない。週次もしくは月次の部門報告会で活動の進捗、成果を確認し必要があれば指導する。

(2)はどう改善したら良いか検討が必要なテーマであり、QCC手法で活動する。これはQCC活動支援の月次会議で活動の進捗確認、支援アドバイスをする。

このような活動とすることにより、直接業績に貢献できる課題に取り組む事ができる。この際気をつけたいのは、どちらのチーム改善活動も、テーマが上司から与えられたモノではなく、自主的に選んだモノであるとチームのメンバーが認識する様にすることだ。上司から無理矢理やらされていると感じれば、メンバーの自主性や成長実感が損なわれる。勘違いでも良い(笑)自主的に活動していると実感できれば、積極的に活動に取り組み、成果、成長実感も高くなる。ここは上司のリーダシップが問われる所だ。

こちらもご参考に「QCC道場」


このコラムは、2016年2月1日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第461号に掲載した記事に加筆修正したものです。

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