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空自の復唱「気づかず」 重複の可能性も 那覇管制官

 沖縄県の那覇空港で航空自衛隊のヘリコプターと民間機2機が絡んだ離着陸トラブルで、離陸許可が指示されたと誤認したヘリが指示を復唱したが、管制官が「気づかなかった」と話していることが分かった。直後にヘリは離陸して民間機の離陸を妨げており、国の運輸安全委員会は交信状況を調べる。

 国土交通省によると、トラブルは3日午後1時23分ごろ、滑走路脇にいた航空自衛隊那覇基地のCH47が管制官の許可なく離陸し、滑走路上空を横切ったため、離陸滑走中だった全日空機が急ブレーキをかけて離陸を中止。さらに着陸態勢に入っていた日本トランスオーシャン航空(JTA)機に管制官が着陸やり直しを指示したが、全日空機の後方に着陸した。

 管制官は全日空機を指名して離陸許可を出し、ヘリにはその直前に待機指示を出していたが、ヘリは「全日空機に出された離陸許可を自分に出されたものだと思った」と説明していた。

 国交省関係者によると、管制塔には9人の管制官がおり、3機との交信は同じ1人が担当。管制官は、全日空機への離陸許可に対する同機からの復唱は確認したが、ヘリからの復唱は「確認していない」と説明している。一方、防衛省関係者によると、ヘリの操縦士は自機の識別番号とともに「了解。すぐに離陸する」と英語で返答。管制官から訂正を求める返答はなかったため離陸したという。

 離着陸する航空機は同じ周波数の無線で管制官と交信している。安全委は、全日空機の復唱とヘリからの復唱が重なった可能性や、全日空機との交信に集中してヘリの復唱を確認できなかった可能性などがあるとみて、交信記録を調べる。交信記録を聞いた関係者は「復唱が重なったようにも聞こえる」という。

 また、JTA機に対して管制官が着陸やり直しを指示したとき、同機はすでに滑走路の進入端から内側に入っていた可能性があることが分かった。管制官は全日空機から離陸中断の連絡を受け、直ちにJTA機に指示を出したという。JTA機のパイロットは「管制官から着陸やり直しの指示があったのは滑走路に接地した後だった」と説明している。

(朝日新聞電子版より)

 重大事故に直結する「ヒヤリハット」だ。
人為ミスによる事故と考えていたが、記事を読むと構造的な問題が有りそうな気がする。

無線通信によるコミュニケーションは、復唱が必須だが、複数の通話が同じ周波数チャネルで使用していれば、指示や復唱が干渉して伝わらない事が有る、と言うのは前提条件として考えなければならないだろう。
例えば管制官からの指示に対し、機長からの復唱と管制官からの指示取り消しが同時になると、双方の通話は聞こえない。
復唱に対し管制側からの応答が有って初めて指示が有効になる様なプロトコルが必要なのではないだろうか。

時系列を考えてみると、ANA機が離陸したのを確認する前にJTA機に着陸許可が出ている様に見える。離陸機の助走時間、着陸機の下降時間を節約せねばならない程離着陸頻度が高いのかも知れないが、安全に優先すべき効率は無い。

離着陸機の数だけを考えれば、香港空港の方が遥かに多いだろう。しかし沖縄空港は、国防の要的位置にある。自衛隊機と民間機が共用する空港であれば、有事のイレギュラーなオペレーションも有るはずだ。今回のヒヤリハットを十分に検証し、潜在要因を洗い出しておかねばならないだろう。


このコラムは、2015年6月8日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第427号に掲載した記事です。

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