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モノ造りの誇り

 先週は品質道場にて「統計的品質管理」を中国人、日本人に教えていた。
品質道場の門下生の中に、非常に熱心な日本人駐在員Oさんがいる。Oさんはギターを生産する協力工場の指導で中国に来ておられる。彼は元々フォークギターを演奏することが趣味で、この職業に就いたそうだ。

品質道場の後の懇親会では、持参のギターで弾き語りをしてくれた。日本食レストランで突然開催された一人ライブに、ウェイトレスや厨房のスタッフまでが集まり彼の演奏に耳を傾けた。

Oさんは、指導先の生産委託工場でもしばしば作業員に演奏を聞かせ、一緒に歌を歌っているという。一緒に歌を歌うことにより一体感が生まれる。しかしその効果はそれだけにとどまらない。
自分たちが生産している楽器が、どのように使われ、どのように人々の心を豊かにしているのか実感することが出来る。

それは、自分が生産している製品に愛着を持ち、誇りを持つことになる。
そしてそれが作業員自身の職人としての誇りとなる。

ギターというのは、工業製品というよりは工芸製品といった方がよいだろう。
この種のモノ造りは、作業員の質が直接製品の品質につながる。
製品に愛着、誇りを持った作業員が造り出した製品には魂がこもる。
彼の活動は、製品の良品不良品といった品質を超えた「質の向上」に大いに貢献しているだろう。

こういう指導は、技術的指導を超えた、職業人としてのココロの指導だ。
Oさんがこのような指導が出来るのは、製品に対する愛着・愛情と、それを生産する作業員に対する愛着・愛情があるからだ。

量産工業製品も同様だ。
先週指導した自動車部品工場のリーダは、自分の仕事が車社会の繁栄に貢献しているのが誇りだと話してくれた。
中国の生産現場でまだ足りていないのは、作業員一人ひとりがこのような誇りを持って仕事をすることだと感じている。

あなたの工場が生産する製品は、どのように人々を豊かにしているだろうか?
どんな製品でもそれが必要とされている以上、必ず誇りを持てる製品のはずだ。
そしてあなたの工場の作業員はその誇りを、自分自身の誇りとして感じているだろうか?


このコラムは、2010年12月27日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第185号に掲載した記事です。

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