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品質保証の仕事

 中華系の工場の経営者と話をしていてあきれる事がある.
彼らは品質保証とは検査装置を買ってきて検査をすることだと考えている.もちろんちゃんとした考えをお持ちの経営者もいるのだが,中にはこんな考え方をしている人が本当にいるのだ.

こういう考えの下では品質保証部は検査をすること,不良が出た場合の客先対応が仕事となる.

工程内検査員を品質保証部の職員にしている.品質保証部の職員が異常に多い工場がある.こういう工場の経営者は,品質保証部の職員比率が高い,品質保証は製造部と独立した権限を持たせている,などと間違った自慢をしたりする.

製造部は不良でもなんでもただモノを作れば良い.それを品質保証するのが品質保証部の仕事である.という考え方である.

こういう工場で働いている従業員は品質保証部は「尻拭い」の仕事だと理解してる.
昔指導をしていた工場でもこういう風潮が蔓延しており,まずこの考え方を改めさせるところから指導が始まった.
生産技術にしろ,製造にしろこういう発言をする人間を叱りつけ,徹底的に品質保証のあり方を説明した.

すなわち,品質保証は会社のすべての部署の成果の「積」である.
「和」ではなく「積」であるといっているのは,どこかひとつの部署がゼロであれば,全体がゼロになってしまうという意味である.

したがって各部署が自部署の仕事の品質を保証する責任がある.

では品質保証部の仕事は何か?
「各部署が品質を保証できている事を確かにすること」が品質保証部の仕事である.
すなわち各部署が品質保証が出来るように仕組み・仕掛けを作る,品質保証が出来ている事を確認する仕事である.

これは決して「尻拭い」の仕事ではない.「尻拭い」をしなくても良くする仕事である.

品質保証部のリーダが「ウチの製造部は品質意識が低くて」と嘆いているのを良く耳にする.製造部が品質意識を高め品質保証が確実になるようにすることは,品質保証部の仕事である.
したがってこの嘆きは,自分の仕事がちゃんと出来ていませんと言っているのと同じだ.

品質保証部の職員は場合によっては製造部の管理者に生産を停止させる権限を持っていなければならない.中国式の縦割り型タコツボ組織は往々にしてこの権限発動を妨げる.

品質保証部の職員が生産現場のリーダに生産停止をするように言っても,上長の指示ではないのでいうことは聞かない.
品質保証部の上司に報告し製造部の上司から指示をしても,部署間の縄張り意識があり言う事を聞かない.
工場長まで上げて初めて生産停止が出来る.
この間に不良品を作り続けるわけである.

組織の責任と権限を明確にしておかないとこういうばかげた事態が日常的に発生することになる.
権限・責任とともに「品質意識」も高める必要がある。

こちらもご参考に「品質意識」


このコラムは、2008年9月8日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第50号に掲載した記事です。

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