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仕事の報酬は仕事

 98号のニュースから:「受かって何になるん?」 大阪検定、逆風でオマケまでに読者様からメッセージをいただいた。

☆S様のメッセージ
(前半省略)
そんな中で今日のメルマガのまとめ文には、いささかの違和感を感じました。
違和感というより、消化不良といったほうが正しいかもしれません。

 「仕事の報酬は仕事」であり、それによって得られる能力向上が「長期的な実利」であることをしっかり教えてやる事が正しい対応だと考えている。

これは、中国人に限ったことではありませんね。
日本人の最近の若年層の考え方も似たようなものです。
企業規模が大きくなるにつれて、個々の社員は狭い領域の仕事だけが己の職務すなわち、給与の対象と考えている。
 能力評価を上げて上級職を目指し、結果的に給与水準を上げる。そんな考え方よりも、先月の残業代のほうが重要だと…。

『自己の能力向上が長期的な利益』と教えるには、対象とする部下の今現在の能力が実はたいしたことは無いレベルなのだ。とある種の評価否定から入らなければなりません。
 この点が、中国人にはもっとも難しい点ですね。中華思想というべきか、ほんのちょっとの能力を、ことさら誇大に自己主張する。
その背景には、大陸性の民族としての習性もあるのでしょうが、この部分の指導方法こそが、最大の課題なのではないかと、日々感じています。

【林のコメント】
S様がご指摘の通り、日本の若者も「仕事の報酬は仕事だ」ということを学ぶべきだと感じる。特に昨今のフリーターという働き方が生活の糧を得るためだけに働く、という貧しさを感じる。
7日間のうち5日間を働かなければならないとすると、週末に「自分」を取り戻すよりは仕事を通して「自分らしさ」を実現したほうが幸せなはずだ。

「自己の能力向上が長期的な利益」であることを教えるのに部下に否定的評価をする必要はないと考えている。「現在の実力がたいしたことない」という評価は原点が現在にある。それよりは評価の原点を将来の夢(目標)に置く。その目標と現在の差を埋める行動を取るようにする。

やることは同じかもしれないが、原点が現在にあるのか、将来のありたい自分にあるのかに大きな違いがある。

現在の能力を否定された形でのスタートはココロがネガティブになる。
将来の夢を原点として物事を考えればココロはポジティブになる。
ポジティブなココロがポジティブな行動を生む。

自己の能力を最大限に誇張表現する、と言うのは中国人にしてみれば生活がかかっているので当然の行動原理だと思う。

しかし一緒に仕事を開始しすれば誇張表現はなくなる。
こちらからお前はダメだと否定するより、自分からその差に気がつき学ぼうと思ってもらったほうが効果は高い。

一緒に仕事をしてなおかつ誇大表現が止まらない人は、
 自分の能力を適正評価できない
 世の中で通用する能力レベルが理解できない
という欠陥がある可能性がある。
こういう人にはいくら教えてもムダだ。むしろ教える側のモチベーションが下がると言う弊害がある。


このコラムは、2009年5月25日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第99号に掲載した記事に加筆しました。

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