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中国的モノ造り

 中国で購入したプロジェクタスクリーンは,黒い外枠部分がフェードアウトするように塗られていた.
照明器具を生産している中国工場は,同じ製品でも,班が変わると組み立ての順序が変わる.同じ班でも作業者ごとに内部の配線経路が変わる,と言うモノ造りをしていた.

私の感覚から行くと,工業製品たる物同じように出来ていなければならない.農業産物・水産物の加工食品のように,材料その物が均一でない場合は別だが,全てが基準(図面,作業指示書)通りに出来ているべきだと思っている.

例えば,上述の照明器具内部の配線がどこを通っていようが,外からは見えない.機能上も問題はない.設計図面には何も指定はないだろう.
しかし同じにしておかなければ,作業性が変わってしまう.決められた時間内に,決められた水準で生産するためには,設計指定がなくても製造図面で決めておかねばならない.

もちろん工芸製品のように,一つ一つが違っていることに価値がある物もある.そういう価値を評価してもらえる製品であれば,コストを掛けてでもその価値を高めればよい.

中国の工場で,驚くことに,作業指示書はおろか,図面なしでモノ造りをしているのを散見する.図面はあっても,最終的には生産現場で,現物ですり合せの生産をせざるを得ず,結果的に図面どおりの物が出来上がらない.
例えば部品Aと部品Bを組み立てる作業で,部品Aの精度が悪く,そのままでは部品Bが組み付かない.通常ならば,部品Aを不良品とするが,部品Bを細工して部品Aに組みつけてしまう.

こうしておけば,歩留まりは上がるが,ムダな作業をたくさん投入することになる.更に悪いことに,こういう状況では部品Aの悪さ加減を身をもって知る事にならないので,いつまで経っても部品Aの改善は進まない.


このコラムは、2012年12月31日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第290号に掲載した記事に加筆しました。

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