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工程飛ばしの予防

 今週のメルマガ・第61号「中国華南地区の景気」で,人手による持ち回りバッチ処理の「工程順間違い」「工程飛ばし」を予防する方法を募集した.

例えば
ある製品はA工程→B工程→C工程の順に生産するが,
別の製品はA工程→D工程→C工程の順に生産する.

このような場合にどうすれば間違いなく工程順が守られ,工程を飛ばすことなく生産できるだろうか?

今回の制約は,

  • 工場の中は機械化が進んでおらずバッチ単位で人間が持ち回り生産する.
  • 設備は簡単には移動できない.

という条件にしよう.

意外にもこのような作業でミスをするのはベテランの方が多かったりする.作業に慣れてしまい,注意力が散漫になる事があるのだろう.新人の方がミスをしまいと工程ごとに確かめながら作業をするものだ.

※以下私のアイディア

  • まず各設備がどの工程かを一目で分かるようにしておく.
    天井から「A工程」「B工程」と書いた大きな看板をぶら下げておけばいいだろう.
  • 次にロットごとに生産流動カードを用意する.
    このカードには,その製品を生産する工程順,作業条件などを記入しておく.
    作業が終わるごとに作業者の確認のサインを入れる.
    更に設備の横にはんこをぶら下げておき,これもカードに押す.
    言ってみればスタンプラリーのようにするわけだ.
    生産流動カードがラリーの道順を示す地図であり,チェックポイント(工程)ごとにスタンプを集めるような形で作業をする.
  • またこの生産カードは製品ごとの標準作業手順(SOP)の役割を果たす.同時に生産記録にもなる.

このような形式の生産をしている現場では,設備ごとに操作方法を指示する文書(MOI)はきちんと完備しているが,製品がどのように流動していくかを作業手順書の形で準備しているところは少ない.
工程ごとに作業手順書を掲示すると,機種の数だけ手順書を掲示しなければならず,多くの手順書の中から該当する物を探さなければならなくなる.

殆どの現場ではQCフローチャートでこれを代用していると思うが,作業員はQCフローチャートを見ながら作業はしない.従ってこのような生産流動カードが作業手順書の役割を果たすことになる.

SOP:Standard Operation Procedure
MOI:Manufacuturing Operation Instruction

いただいたご意見をご紹介しよう.

※S様のアイディア

メッキ工程を色分けし、作業手順書で色を指定する。
ポカよけは、どうすればよいのか?
この部分は、作業者のスキルにならないように、チェックシートを記載させる。
・・・とか

色分けによる識別の徹底を考えられたアイディアだと思う.
色だけでは表現できない場合もあるので,番号を併用すると良いだろう.
例えば前処理槽は黄色,処理の内容ごとに1,2,…と番号をつける
メッキ処理層は,赤1,赤2,…という具合だ.


※O様のアイディア

門外漢ですが考えました。バッチを入れて運ぶケースと対応した設備双方に、共通した色を着けてわかり易くサイン化する方法です。それぞれの色が対応していなければそのバッチは工程間違いというわけです。
また人の目は自然と色を追っていくので工程飛ばしも発生しにくくなるのではないかと思います。ただ製品の種類が多くなっていくと当然設備に付いたサインの色数も多くなるわけですが。。。
どうでしょうか?それではまた。いつも楽しみにしています。

こちらも色による識別のアイディア.
トレーと設備の色を合わせるというのは分かりやすい.
難点は,機種が増えてしまうと,使える色が足りなくなってしまうことだろうか.



今回は出題の仕方が悪かったようだ.
例としてあげたのが3工程しかないため,一つの製品を完成させるときに10工程以上もあるような場合の考慮が抜けてしまったように思う.


このコラムは、2008年11月14日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第62号に掲載した記事に加筆修正しました。

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