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工場診断

 先週は、深センまで無料工場診断に出かけた。自動車関連の中国民営企業だ。到着早々立派なオフィスビル、吹き抜けのエントランスに圧倒された。通された会議室、総経理室も大変立派だった。

相当実力のある企業の様であり、大いに期待した。

総経理、副総経理をはじめとした経営幹部の方々と若干の打ち合わせ後、現場を見せていただいた。

外観は大変すばらしかったが、生産現場は普通の民営企業だった。実力のある企業だという期待は、改善の余地がたくさんある企業だという期待に変わった(笑)

受注生産の割には、膨大な材料在庫がある。たまたま生産の谷間だったようで、前工程の部品加工職場では作業員が手持ち無沙汰にしていた。
最終組み立て工程では、大勢の作業員がよってたかって作業しているため、ムダが散見された。

このような生産をしていても、きっと利益が出ているのだろう。もっと業績を上げるチャンスはいくらでもありそうだ。時間的に詳細な分析は出来なかったが、部品在庫は半分以下、生産効率は30%アップを狙える。

この会社は精益生産(リーン・プロダクション)を導入するために、既にプロジェクトチームを組織していた。
しかし私からのアドバイスは、まず5Sで基礎造りをすることだ。その上で、最終組み立て工程の生産効率を向上する。後行程から改善するのは前行程の生産性だけを上げてしまうと、中間在庫がどんどん増えることになるからだ。

経営幹部の方々は、5Sが出来ていないのにリーン・プロダクションを導入しても砂上に建てた楼閣だと言う説明をすぐに理解してくれた。

彼らは他にもコンサル会社を呼んでいたようで、作業服を着たコンサルが来たのは我々だけだったそうだ(笑)


このコラムは、2012年5月21日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第258号に掲載した記事を加筆改題したものです。

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