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自動運転、異業種とタッグ 車大手グーグル参入に危機感

 クルマに革命をもたらすといわれる自動運転の分野で、世界の自動車大手が競うように異業種との提携を加速させている。背景には、「頭脳」に当たる制御ソフトで米グーグルに主導権を握られれば、車体を提供するだけの「下請け」になりかねない、との危機感がある。

(朝日新聞デジタルより)

 記事は米国ラスベガスで開催中の家電見本市(CES)の現地レポートだ。トヨタが、CESに自動運転のデモで出展している。家電もITも車もどんどん境界が曖昧になり、業界が融合し始めているようだ。

記事の中に自動運転関連で自動車メーカが異業種と提携した例が出ていた。

  • BMW:百度と提携。
  • アウディ、BMW、ダイムラー:ディジタル地図会社を買収。
    これらの買収、提携は地図データの入手を目的としているのだろう。
  • トヨタ:ITベンチャーに出資。
  • GM:配車サービスドフト会社に出資。
    自動運転アルゴリズムの開発を目的に出資。
  • 日産:NASAと共同研究。
    詳細は記事になかったが、衛星写真を解析して自動運転ルートの探索を開発するつもりだろうか?

航空宇宙産業と自動車業界、ベンチャー企業のAI技術と自動車業界などの異なる分野の協業により新しい価値の創造が生まれる。

これは自動車業界に限った事ではない。
コンビニ大手はPOSデータと言うビッグデータを持っている。これを解析し広告業界に販売する事も可能だろう。例えば屋外の電光掲示板に、今コンビニで売れている商品の広告をリアルタイムで流す。多分普通の広告の何倍もの宣伝効果があるはずだ。広告主の商品が売れる。しかもその店舗が、自社のコンビニであれば広告費をいただいて自社の売り上げ増になる。

部品の生産や加工の請負をしている企業は、単独では下請けの域を脱する事が難しいかも知れない。
絶対緩まないナットを生産し、点検・まし締めのコストダウンを提供する。
片手で簡単に回せるナットで金型交換の段取り時間短縮を提供する。
このようなアイディアで、顧客に新しい価値を提供する事が出来るのは限られた企業だけだろうか?

斬新なアイディアが思い浮かばなくても、異業種との協業により新たな価値が生まれるかもしれない。往々にして自業種では当たり前の事が、他業種では新しいアイディアで有ったりする。又は業界が変われば、同じアイディアでも提供する価値が変わる事もあり得る。
例えば、航空会社は旅客機により「移動」と言う価値を提供する。
同じ旅客機でも、旅行会社は旅により「体験」と言う価値を提供する。
同じ旅行でも、研修会社は研修旅行により「学び」と言う価値を提供する。

異業種との交流で新しい価値を生む。
買収や出資は難しくても、志と夢が共有できれば協業は出来るはずだ。
志や夢が有る方は、是非自社技術やアイディアの棚卸しをしていただきたい。準備ができていなければ、チャンスが来た時に乗り遅れてしまう。

今年のテーマ「交流」は、生産現場や経営管理のベストプラクティスばかりではなく、このような新規ビジネスの創造も含んでいる。一人で考えても実現不可能な事を、交流の力で実現可能にしたいと考えている。


このコラムは、2016年1月11日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第458号に掲載した記事を修正・加筆したものです。

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