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インプットとアウトプット

 中国の工場を見ていると,経営幹部がインプットとアウトプットしか見ていない様に思える局面にしばしば出会う.

経営的にはアウトプット(売上)からインプット(投入コスト)を差し引いたものが利益になるわけだから,経営幹部としてインプットとアウトプットを見ていることは間違いではない.

インプットから予定通りのアウトプットが出ていないので是正したい.
インプットを減らしアウトプットを増やしたい.
というのが日々のオペレーションであろう.

しかしこれらの課題は,インプットとアウトプットを見ていても解決方法は見つからない.それらを結ぶプロセスをしっかり見据えなければならない.

インプットとアウトプットを管理するのではなく.
インプットとアウトプットでプロセスを管理すべきだ.
「を」と「で」の違いは大きい.

先日ある工場で,完成品をコンベアに流して梱包を開け再梱包をしているのを見た.現場のリーダに聞くと倉庫にあった製品を出荷するために再点検をしているという.
機能検査をするわけでもなく,外観検査をするわけでもない.ただ梱包箱から出して「点検」をしてまた再梱包をしているだけだ.

このプロセスを見れば,無駄な作業をしているのは一目瞭然だ.しかし経営幹部は入りと出しか見ていないのでこの無駄に気がついていない.

この工場はまとめて作れば効率が良いという考えから抜けられないでいる.何度経営者を説得してもだめだ.それには理由がある.本社指示通りに生産していれば,出荷しなくても生産した分だけ工場にお金が入ってくるようになっているのだ.

そのためこの工場の倉庫は三階までびっしりと製品が並んでいる.
新たに出荷するために生産した物(これも一気に大量に作ってしまう)は置く場所がなく生産現場のそこかしこにおいてある.

明らかに作りすぎの無駄である.

工場が潤っていても本社が在庫の金利負担や,売れなくなった製品の廃却負担が増せば共倒れになることは目に見えている.「部分最適」しか見えていない工場経営者に理解してもらうのは困難だ.


このコラムは、2009年8月31日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第114号に掲載した記事に加筆したものです。

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