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頭の体操

 中国に帰還後、現在広州のホテルで2週間+1日のコロナ隔離生活中である。三食打包弁当が配給される。ありがたいことだ(チャント料金は取られているが・笑)打包弁当には、箸のセットがついてくる。割り箸、小さなプラスチックレンゲ、爪楊枝、紙ナプキンが入っている。

今の隔離ホテルに移動してからわずか3日間9回の給食で2度箸セットの不良を発見した。
1回目:すでに割れた割り箸(片側だけ)が入っていた。
2回目:爪楊枝の一部が箸セットの袋の封止部分に入っていた。

作業現場を見ていないが、相当改善のやりがいがある現場のようだ。
退屈しのぎに、どんな事故が起きてどう改善すべきか頭の体操をしてみた。現場も見ずに何を考えても無駄かもしれないが原因探求、対策検討の道筋の参考になればと思う。

1回目の不良品:
片側だけの割り箸の元々つながっている部分の破断面を観察すると、引きちぎられた痕跡がある。ということは、割り箸の加工時に発生した問題ではなく、何らかの問題により割ってしまった箸が袋詰め工程に混入した。と考えるのが妥当だろう。
自然に割れるものではない。故意に割ったと推測した。割り箸の受入検査(自社加工ならば初物検査)で割れる事を確認した箸が最終工程に回ってしまった、と推測した。
流出原因は、袋詰め作業員、最終検査員が気が付かなかった。または気が付いたが、もう一本割れた箸の片われがあるかもしれない、という想像力が足りなかったのかもしれない。
この推理に従うと、工程内で行う破壊試験サンプルの扱い(確実な廃棄と確認)のルールを明確にし、徹底するべきだ。

2回目の不良品:
現物を見ると、爪楊枝(透明袋入り)の一部が箸セットの封止部分に融着されており、先端部分のみが袋に残っている。観察により推測される原因は、融着作業が水平の場合、爪楊枝が袋下部まで落ちていない状態で融着してしまった。
融着作業が垂直の場合、爪楊枝は下まで落ちるかもしれないが、袋(爪楊枝と外装袋)が帯電していれば袋の途中で静電気吸着するかもしれない。
融着作業者の自主検査で気がついて欲しいが、原因除去の対策を打つべきと思う。
対策は、融着作業を垂直にしアイオナイザーで除電する。さらに確実にするため、袋詰め手順を決める。爪楊枝を先に入れ紙ナプキン、割り箸、レンゲで爪楊枝を下に押しやるように挿入すれば良さそうだ。

このコラムはあくまで頭の体操です。本来の原因追求、対策立案は5ゲン主義でやるべきです。


このコラムは、2021年1月20日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1087号に掲載した記事です。

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