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魂のこもった仕事

 NHKテレビ「仕事学のすすめ」の録画を,まとめ見した.

その中に建設機械のコマツ社長・坂根正弘氏が紹介されていた.
坂根氏が社長に就任した時に,社内はこんな状況だったそうだ.
販売した建設機械に対する顧客満足度を,毎月社長に報告していた.そのデータは,サービス部門が顧客に電話を掛け聞き取り調査をしてまとめる.

例えば,自社が販売した建設機械が48時間以上故障で稼動できなかった,など稼働状況も把握していた.しかしこのデータは,経営会議に上げられるだけで,担当営業所,設計部門,製造部門には上がらない.

経営会議で必要だから,データを集め,綺麗なグラフにする.これは「仕事」ではなく「作業」だ.魂を込めて仕事をするということは,その仕事の意味を理解するところから始めなければならない.

データを集める目的は,顧客満足状況を把握し,顧客満足を高めることのはずだ.経営会議にデータを提供することは,手段であって目的ではない.このデータを顧客満足を高めるために,製品設計の改善,生産品質の改善などに役立てなければならない.

日々のルーチンワークに陥り,仕事を作業としてしまうと,仕事には魂がこもらない.
コマツといえば,TQM先進企業だ.そのコマツでさえこういう事態に陥っていたのだ.

毎日の生産記録を班長日報で報告させているが,その記録は誰も見ていない.
品質管理部が毎月工程内不良率をまとめて,QA会議で報告するが,製造部門はそれを把握していない.
顧客クレーム内容は,製造部門にはフィードバックしているが,設計部門にフードバックしていない.

経営会議,QA会議などでのデータを見ると,きちんと運営できているように見えるが,内実は上記のような事態に陥っているのを見ることがある.

一度ご自信の会社で点検してはいかがだろう.

参考書籍
建設機械のコマツ会長・坂根正弘氏のダントツ経営(NHKテレビテキスト)
『ダントツ経営―コマツが目指す「日本国籍グローバル企業」』小松正弘著


このコラムは、2011年10月3日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第225号に掲載した記事に修正・加筆しました。

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