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データセンター電源障害の原因は製造時の組み立てミス

 さくらインターネットは6日、同社の西新宿データセンターにおいて2008年12月に発生した電源障害の原因と再発防止策について発表した。

 この障害は12月19日12時35分ごろに発生。電源設備からの発煙により一部電源の供給が停止し、収容しているインターネットサービスに影響が出た。SNS「GREE」やブログサービス「SeeSaaブログ」なども利用できない状態になり、同日19時30分に復旧した。

 さくらインターネットによると、消防庁の現場検証やメーカーによる解体調査、成分分析調査、再現試験などの結果、製造時において発生した組み立てミスにより電源設備が局部的に過熱したことが原因との結論を得たとしている。

(INTERNET Watchより)

 この記事だけを見ると、何が不良だったか分からないがさくらインターネットのホームページによると、電源の中に使われている変圧器の巻き線が設計どおりに作られていなかったため内部で発熱し発煙に至った、とある。
変圧器の巻き線の位置がずれていたために変換効率が落ち、ロスしたエネルギーが熱となって変圧器の内部温度を上昇させたものと思われる。

サーバは24時間365日連続で稼動しなければならない。電源の故障は即機能停止につながる。従って電源の信頼性設計は非常に重要になる。そのため高信頼性のサーバは電源が冗長化してあったりする。すなわち電源を複数台用意しておいて1台が壊れても他の電源でバックアップする様になっている。

更に電源の故障は容易に発煙・発火につながる。安全性設計も重要だ。

電源にとって変圧器は安全性・性能に大きな影響を持つキーコンポーネントだ。変圧器内部の巻き線位置がずれれば、効率や電磁波ノイズに影響を与える。製品の製造工程では検査しにくい項目だ。

今回の事故は製造での組み立てミスということになっているが、設計的な配慮が足りていないといわざるを得ない。このような重要部品を作業者の注意力だけに頼って生産するというのはムリがある。巻き位置を固定するには位置出し様にダミーのテープを貼っておけば良いだけだ。

ダミーテープのコストをケチっても、このような不良が発生すれば節約したコストの100倍は損失が発生するだろう。またこの先回収修理などをすれば節約コストの1000倍の損失が発生する。


このコラムは、2009年3月9日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第88号に掲載した記事に加筆したものです。

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