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三年学びて谷に至らず

yuē:“sānniánxuézhì(1)。”

《论语》泰伯第八-12

(1)谷:俸禄

素読文:

いわく、三年さんねんまなびてこくいたらざるは、やすからざるなり。

解釈:

三年学問をしても、俸禄を得ようとしない者は得難い人物だ。

漆彫開は仕官を勧められて断ったことを、孔子は評価している。《論語》公冶长第五-6
孔子自身が長い間どこの諸侯にも仕えず、弟子の指導をしている。これらの章ではそうした孔子の姿勢が表れているのだろうか。

君子の道

zēngyǒumèngjìng(1)wèn(2)zhīzēngyányuē:“niǎozhījiāngmíngāirénzhījiāngyánshànjūnsuǒguìdàozhěsāndòngróngmào(3)yuǎnbàomàn(4)zhèngyán(5)jìnxìnchū(6)yuǎnbèi(7)biāndòuzhīshì(8)yǒu(9)cún。”

《论语》泰伯第八-4

(1)孟敬子:魯の国の大夫、仲孫氏で名は捷しょう、武伯の子。
(2)问:探望。見舞いに行く。
(3)动容貌:心の中の感情を容貌に表す。
(4)暴慢:粗暴、ほしいままに振る舞う。
(5)正颜色:顔つきを厳粛にする。
(6)出辞气:言葉遣い。
(7)鄙倍:粗野で理に背く。
(8)笾豆之事:笾豆は祭祀に使う道具。祭祀に関わること。
(9)有司:祭祀に関わる官吏。

素読文:
そうやまいり。孟敬もうけいこれう。そういていわく:“とりまさなんとするや、の鳴くやかなし。ひとまさなんとするや、うやし。くんみちたっとところものさんあり。容貌ようぼううごかしては、ここ暴慢ぼうまんとおざかる。がんしょくただしては、ここしんちかづく。辞気じきいだしては、ここばいとおざかる。籩豆へんとうことは、すなわゆうそんす。”

解釈:
曾子が病床にあった時、孟敬子が見舞いに行った。
曾子曰わく:“鳥は死ぬ前に哀しげに鳴き、人は死ぬ前に善言を言う。君子が尊ぶべきことが三つある。心中を容貌にあらわし、粗暴にならないこと。顔つきを正して信に近づくこと。言葉遣いを正して粗野で理にかなわぬことを言わないこと。祭祀に関わることは官吏が執り行うので君子が口を出すことではない。”

親に篤く、故旧を忘れず

yuē:“gōngérláoshènér(1)yǒngérluànzhí(2)érjiǎo(3)jūn(4)qīnmínxīngrénjiù(5)míntōu(6)。”

《论语》泰伯篇第八-2

(1)葸:恐れる。
(2)直:正直、率直。
(3)绞:他人に対して厳しい。
(4)笃:人情が厚い。
(5)故旧:古くからの友人。
(6)偷:人情が薄い。

素読文:
子曰わく:“きょうにしてれいければすなわろうす。しんにして礼なければ則ちおそる。ゆうにして礼なければ則ちみだる。ちょくにして礼なければ則ちせまし。くんしんあつければ、則ちたみじんおこる。きゅうわすれざれば、則ち民うすからず。”

解釈:
子曰く:“丁寧であっても礼にかなっていなければ気苦労になる。慎重であっても礼にかなっていなければ臆病になる。勇敢であっても礼にかなっていなければ乱となる。正直であっても礼にかなっていなければ苛酷となる。
君子が親族への情が篤ければ、民に仁の心が興る。古き者を忘れなければ、民の人情は薄くはならない。

勇を好みて貧を疾む

yuē:“hàoyǒngpínluànrénérrénzhīshènluàn。”

《论语》泰伯第八-10

素読文:
わく、ゆうこのみてひんにくむはらんす。ひとにしてじんなる、これにくむこと已甚はなはだしきはらんす。

解釈:
勇を好んで貧を憎む者は世の秩序を乱す。不仁を甚だしく憎む者も世の秩序を乱すことがある。

孔子は『勇而无礼则乱』《论语 泰伯第八-2》とも言っています。『勇』は使い方を間違うと世の秩序を乱す。仁なき者を極端に糾弾する風潮も世の秩序を乱す。ということでしょうか。

『貧』をなくそうと勇を持って世の中を変えた。しかし貧富の差はむしろ拡大してしまった。
孔子は2500年後が見えていたのでしょうか。

任重くして道遠し

zēng(1)yuē:“shìhóng(2)rènzhòngérdàoyuǎnrénwéirènzhòngérhòuyuǎn。”

《论语》泰伯第八-7

(1)曾子:孔子の弟子。姓はそう、名はしんあざな子輿しよ。顔回・曾子・子思・孟子を合わせて「四聖」と呼ぶ
(2)弘毅:度量が大きく、意志の強いこと。

素読文:
そうわく:“もっこうならざるべからず。にん重くして道遠し。仁もっおのにんす。またおもからずや。死してのちむ。またとおからずや。

解釈:
「士」(志高く生きようという者)であるからには、器が大きくつよくなければならない。任務は重くその道は遠い。仁を持って己の任務とすることは、なんと重いことだ。死ぬまでのその任務は続く、なんと遠い道のりだ。

孔子は「仁は遠からず」とも言っています。しかし仁を発揮して生きることは、重いく遠い道だ。と理解しました。

余談ですが、我が恩師のお名前は「弘毅」です。論語を読んでいて、懐かしい恩師のお名前に出会い、改めて恩師の薫陶に感謝の念を抱いております。