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タイミングイズマネー

 通常は、タイムイズマネー(時は金なり)という。
製造業の立場から言えば、従来の半分の時間で生産できるようになれば、売り上げは倍になる。しかしこの方程式は成り立つだろうか?

市場の需要が大きく、生産能力が足りていなければ、上記の方程式は成立するだろう。しかし自社に需要>供給という関係が成り立つ製品があるだろうか?
市場での評判がすこぶる良く、しかも他社には生産できない製品。このような理想的な製品があれば、経営は左うちわになる。

しかしそんな幸運な企業はそうはないだろう。
需要がない製品を一生懸命生産する企業はない。しかし需要があっても他社も生産することが出来る製品であれば、価格競争により利益は少なくなる。
「忙しくても利益は上がらない」「作れば作るほど貧乏になる」という不幸な状態となる。

こういう状況で生き残るためには、顧客のメリットとなる「強み」が必要となる。このような強みがあれば、顧客にとってオンリーワンの企業となるはずだ。

先日、お手伝いしている工場の幹部からご相談を受けた。顧客から在庫を持つよう要求を受けているという。日本向けに40ftコンテナで出荷する製品を工場側で在庫を持てと言われたそうだ。倉庫代は当然上乗せしていただけない。
発注者・供給者のパワーバランスを背景にした不公平な申し入れだ。(私は工場サイドの人間なので、こう感じてしまう)

しかし「倉庫を借りれば賃料が必要になる」という常識にチャレンジすれば顧客にとってオンリーワンの工場になる。

生産リードタイムを短くできれば、顧客からの出荷指示で生産を開始。通関手続きが終わり通関検査が始まるまでに出荷することができれば、倉庫は必要なくなる。
製品仕様が工程の後ろの方で決定される同類の製品であれば、共通中間在庫を持つことにより、見かけ上のリードタイムを短縮できるだろう。

残念ながらご相談を受けた工場の製品は、一番最初の工程で製品仕様が決定してしまう。中間在庫方式では対処できない。しかしここで諦めてはいけない。知恵を絞ってリードタイム短縮にチャレンジしたい。
これからの時代は「タイムイズマネー」を越えて「タイミングイズマネー」になるだろう。


このコラムは、2020年1月20日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第930号に掲載した記事です。

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