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続・F1プロジェクト

先週のメルマガに対して読者様からご感想をいただきました。ありがとうございます。

中国の人に対して、自分が伝えたいことを100%伝える為にはどうすれば良いか、私も日々苦悩しております。

F1プロジェクトのお話しは、言葉の壁、考え方の違いがある中国の人に対して、どうやって分かりやすく物事を伝えるか、また、理解してもらうかの実例として、非常に参考になりました。
この様な説明手段は、その人の経験とセンスがかなり重要で、同じ内容を伝える場合でも、その手段は人によって全然違ったものになりますね。また、資料の準備には努力を惜しまないということも、非常に重要ですね。

以前「チームワーク」を中国人のリーダに教えようとして野球を例にとって話を始めました。しかし誰も野球を見た事がない(汗)
こういう失敗もありますが、相手の目線で説明する事が大切だと思っています。

今週のセミナーで原田則夫さんの「人心管理経営」を紹介しますが、原田氏は説明のしかたがうまいです。「可視化管理」を、管理する側の論理ではなく、現場の従業員の立場で説明します。私も原田氏からたくさん勉強させていただきました。


このコラムは、2008年6月2日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第36号に掲載した記事を修正・加筆しました。

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アメーバ経営

 偉大な日本人経営者の名前を挙げるとすると、松下幸之助、盛田昭夫,本田宗一郎、稲盛和夫の4人だろう。起業した会社を日本を代表する大企業に育てている。多くの日本人経営者は、自分の「生業」ともいうべき事業の経営で成功しておられる。しかし経営四天王の内最も若い稲盛氏は,セラミック、光学機器,通信事業、航空運輸と全く違う業態の経営を成功させている。

いってみれば、事業技術ばかりではなく経営技術に長けた経営者と言えば良いだろう。日本人にも,企業再生、拡大を請け負う経営のプロがいらっしゃるが、殆どの方が外資系企業出身者だ。

米国では経営のプロが,ソーダ水の次はコンピュータを作る、そんな経営者が普通に活躍している。

稲盛氏は、本業からは離れなかったかも知れないが、どのような業態、業種の経営も対応出来る経営のプロといってよかろう。その秘訣はどこにあるのか、考えてみた。

三田工業や日本航空の再建時に、稲盛氏は「フィロソフィ」と「アメーバ経営」を持って来たと言っている。アメーバ経営とは会社を小さな単位(アメーバ)に分け,アメーバ単位で経営責任を持たせる経営手法だ。日本航空では、路線単位で採算を管理し、不採算路線は廃止または他社との共同運行に切り替える、などの改革を行い一気に業績回復している。

アメーバ経営は、従業員全体の主体性を高める効果がある。パイロット,客席乗務員から整備工まで全ての従業員が,経営者の一員として働くのだ、これで組織が活性化しないはずはない。全従業員が主体性を持ち、活性化すれば業績は改善する。

しかし一方で、アメーバ経営を実現困難とする要因もある。
その一つは、経営に関して素人の従業員に経営を任せること。
もう一つは、アメーバの部分最適になりがちな事。

アメーバ経営のうわべだけを真似しても、上記の様な問題点が浮上し上手く行かないだろう。トヨタのかんばん方式だけを真似しても、かえって生産効率が下がるのと同様だ。

稲盛式アメーバ経営が上手く行く理由を考えてみた。

アメーバ経営のKPIを正確さよりは、公明・公正・公平に基軸をおいて、簡単化する。
そして短期間でKPIのレビューをし,速くPDCAを回す。期単位、月単位のレビューでは、KPIへの影響因子が複雑になる。そのような状況下で正確な経営判断を下すのは、経験のある経営者でも困難だろう。短期間でPDCAを回せば、施策と結果の因果関係が単純になり、経営判断がより簡単になるだろう。

「フィロソフィ」を全従業員に徹底浸透させる事により、部分最適ではなく、全体最適にベクトルを合わせる。

以上の二点を基本として、施作を展開しているのだろうと推測している。


このコラムは、2017年1月9日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第510号に掲載した記事です。

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