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勝てる戦略

谷、準決勝で敗れる 五輪3連覇ならず

 柔道女子48キロ級準決勝で、谷亮子(右)はドゥミトル(ルーマニア)に敗れる

北京五輪は2日目の9日、五輪3連覇を目指していた柔道女子48キロ級の谷亮子(トヨタ自動車)が準決勝で敗れ、3位決定戦に回った。

(asahi.comより)

  ジムで運動をしながら実況中継を見ていたが、明らかに格下の選手に負けてしまった。大変残念な結果になった。

ドゥミトル選手は「負けない作戦」で戦っていたように見える。自ら組まない。
相手に組ませない。こういう試合を見ているとフラストレーションがたまる。

一方われわれの戦いの場である世界の工場中国の戦況はどうだろうか。
「最低賃金の上昇」「新労働契約法の施行」「原材料高」「元高」不利な状況がそろっている。今までどおりの戦略で戦っていては必ず負ける。

雇用コストの上昇を上回る生産改善を狙う。
原材料・元高に負けない付加価値を生み出す。

「勝てる戦略」を持つ必要がある。


このコラムは、2008年8月11日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第第第46号に掲載した記事です。

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ものづくり川柳

 生産管理システムを販売している会社が、モノ造りに関する川柳を毎年募集している。昨年優秀賞を受賞した一句に

「ドラマ見た 次の日みんな 阿部寛」

という川柳があった。
池井戸潤の「下町ロケット」のTVドラマを言っているのだろう。

【大田区の零細企業・佃製作所の下町ロケットシリーズ】
「下町ロケット」帝国重工のロケットエンジンに搭載されるバルブの開発
「下町ロケット・ガウディ計画」人工心臓弁の開発
「下町ロケット・ゴースト」自動変速装置の開発
「下町ロケット・ヤタガラス」農業用トラクターの変速機開発

下町零細下請け企業の開発をテーマに池井戸潤が書いた小説だ。
零細企業でありながら、その技術力によって大企業のエゴや悪事をはねのける。そんなストーリィに、読者(視聴者)は佃製作所の社長・佃航平(阿部寛)に感情移入するのだろう。

設計技術が優れている。製造技術が優れている。市場規模が小さい。
この三つが重なったエリアで、零細企業は戦いを挑む。

零細企業と言えど、範囲を限定すれば設計技術・製造技術で他社に負けない分野があるはずだ。そして市場規模が小さければ、大企業は参入してこない。

逆説的な言い方になるが「弱者の強み」が「佃品質」「佃プライド」なのだと思う。

余談だが「下町ロケット」シリーズは朗読サービス(Audible)で聞いた。
朗読サービスのメリットは、移動時間にも読書(聴書?)ができることだ。


このコラムは、2019年5月27日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第828号に掲載した記事に加筆しました。

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劣勢ノキア「足場は炎」 打倒アップル、グーグルと火花

劣勢ノキア「足場は炎」 打倒アップル、グーグルと火花

 ますますパソコンに近づくスマートフォン(多機能携帯電話)で米アップルの成功に続くのは、人気の基本ソフトを持つ若い米グーグルか、古兵のノキア(フィンランド)・米マイクロソフト連合か。バルセロナで開催中の世界最大の携帯電話見本市で火花が飛んだ。

(asashi.comより)

 この記事の中で,グーグルの幹部がツイッターで「七面鳥が2羽集まってもワシにはなれない」と発言していることを伝えていた.当然ワシ(イーグル)は,グーグルの事を指している.

グーグル幹部の発言は,グーグル自身は携帯電話を発売したものの,早々に撤退していると言う事実を無視したものだ.

グーグルも1羽で戦っている訳ではない.その点をとりあえず横に置くことにする.
もちろんグーグル対ノキア・MS連合を考えた時,ノキア・MS連合が弱者と言う訳ではないだろう.むしろ後発のグーグルの方が弱者と言ってよい.再びこの点も横に置いて,文字通りワシ対七面鳥の戦いと言う比喩で弱者の戦略を考えてみたい.

さすがに,七面鳥がワシに空中戦で勝利することは,物理的に不可能だ.
ではワシ対ハヤブサの戦いであったらどうだろうか.
2羽のハヤブサは,子供を生んで戦力とすることができる.ハヤブサは一度に3~4個産卵をする.
1羽のワシに対し,5羽のハヤブサファミリィが戦いに挑んだら,ハヤブサ軍が勝利するだろう.

志を同じくする中小企業連合が,大企業に勝利する機会はいくらでもある.

では飛べない七面鳥には勝機がないのだろうか?
七面鳥は一度に8~15個産卵する.10羽の七面鳥ファミリィがワシに地上戦を挑んだら,七面鳥に勝機があるだろう.

つまり,ワシが不得意な土俵で戦うと言うことだ.

しかしワシが「飛ばない」と言うルールを守って,地上で戦うことを期待することはできない.「フェアプレイ」と言うルールはこの戦いには存在しない.
フェアプライのないルールに従って戦えば,必ず七面鳥は負ける.ワシが飛べないルールで戦わねば,七面鳥は勝てない。

中小企業が大企業に勝つには,大企業が勝てないルールを見つける,または大企業が勝てないルールを作り出すことが必要だ.
この「ルール」は,「マーケット」「商品」と言う言葉に置き換えることができる.


このコラムは、2011年2月21日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第193号に掲載した記事を修正・加筆しました。

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孫子の兵法

 「百戦百勝は善の善なるものに非ざるなり。戦わずして人の兵を屈するが善の善なるものなり」有名な孫子の兵法の一節だ。戦に百戦百勝するのが最善ではない、戦う前に勝敗を決するのが最善の戦略だ、という意味だ。

「失敗から学ぶ」というコラムで、人様の失敗を題材として未然防止対策を毎週検討している私としては、無視できない言葉だ。争いを好まない性格なので兵法とは距離を置いていたが、ちょっと勉強してみようと書籍を開いてみた。

超訳 孫子の兵法 「最後に勝つ人」の絶対ルール

なんだか安直なタイトルだが(笑)漢文読み下しの本を訳が分からず読んで眠くなるよりは良さそうだ。

「五事を整え、七計によって自他の実力を比較することで、実情をつかむ」
五事とは、道・天・地・将・法のことだ。
ちなみにソフトバンク孫正義の「孫の二乗の法則」 は、この五文字に更に20文字を足して5×5=25(5の二乗)文字で成功哲学を語っている。

「孫の二乗の法則 孫正義の成功哲学」

その五事の意味は
道:道徳、道理
天:天命、タイミング
地:地の利
将:リーダー
法:制度

これらの五つが整っていなければ戦いに勝つことはできない。

七計とは
主:主君が道に適っているか
将:将が優れているか
天地:タイミング、地の利があるか
法:組織の制度が整っているか
兵衆:兵卒の力量
士卒:将校の統率力
賞罰:将校、兵卒の働きが適正に評価できているか

これらの七つの観点で敵方と比較し勝算の有り無しを判断する。

勝算がなければ戦わない。五事を徹底的に磨き相手方の戦意を喪失させる。こういう戦い方ができれば、無駄な消耗戦や負け戦に巻き込まれることはない。

書籍にはこんな例が出ていた。
英文科を卒業した若者が、翻訳や通訳の会社に就職すると、同じような経歴の人が大勢いて頭角を表すことができない。しかし興味を持っている服飾業界に就職すると、英語能力が武器となり同期との差別化ができる。
漢文読み下しの書籍にはこういう事例はないだろう(笑)

中国には2500年も前からこういうことを考える人がいた、ということだ。
縁があり中国で仕事をさせていただいている我々も、こういう教えを吸収したいものだ。


このコラムは、2017年8月18日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第551号に掲載した記事に加筆しました。

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産業構造の転換期

 日経新聞で二つのニュースが目を引いた。
一つは、三菱重工のMRJ公開。二つ目は、Jディスプレイの深谷工場閉鎖だ。

日本の産業は、大手メーカで成り立っている訳ではなく、全体の95%を占める中堅中小企業も重要な役割を果たしている。

中堅中小企業を含む「日本丸」が産業界の変遷を乗り越えて航海を続けている。つまり、繊維、家庭電気製品、情報応用製品、自動車、航空機と時代と共に、産業を牽引する業界が変遷して来た。

二つのニュースがこの変遷を象徴している様に感じた。
この変遷に淘汰されるもの、生き残るもの、様々なドラマが続いている。

我が世を謳歌した繊維業界は、大部分を開発途上国に生産を奪われている。日本の独壇場だったメモリーも液晶も、台湾、韓国に取って代わられた。うかうかしていると、自動車産業も中国にテイクオーバーされるかもしれない。

しかし繊維メーカは、素材メーカとして建築材料や航空機材料を供給している。メモリーで負けても、その半導体微細加工技術は液晶パネルに活かされ、次にまたその技術が活かされる製品が出て来るだろう。

中堅中小企業も、家電、事務機器、自動車と、顧客を変えつつ生き残って来た。自動車分野、航空機分野の下請けに参入する中堅中小企業が増えて来るだろう。

しかし良く考えると、変遷の影で、がら空きとなった業界が有るはずだ。例えばカラー液晶パネルの大型化に伴い、モノクロの小型液晶パネルの生産を継続する企業はほとんど無くなった。しかし一眼レフカメラのファインダー標示など、まだ小型液晶パネルが必要な製品は残っている。

市場規模は小さくても、競合がいない。
ひょっとすると、大変旨味のある仕事なのかもしれない。

時代が変化しているときはチャンスだと良く言う。変化に乗ることができれば、チャンスが広がる。しかしあえて変化に取り残された部分に注目すると、違うチャンスが見えるかもしれない。


このコラムは、2014年10月20日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第394号に掲載した記事に加筆しました。

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