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四川省大地震

 日本でも報道されているが,5月12日14時28分に発生した四川省汶川のマグニチュード7.8の大地震は救助活動が進むにつれ死者の数が増加している.ほぼ3万人の死者が出ているようだ.山間部などまだ救助が進んでいない被害地での状況が判明してくると更にたくさんの方が犠牲になっている事がわかってくるだろう.

連日TVで報道されている被災地の救助活動を見ていると,大変悲惨なモノであり,心が痛む.

中国指導部の対応は大変すばやかった.
温家宝首相は12日夕方には現地に入って陣頭指揮をしていた.被害に遭った人たちの間に入って,語りかけ勇気付けている.多分家族を全て失ってしまい泣きじゃくっている女の子の手をとり,「泣かないで.君の生活は中国政府が保証するから」と慰めているのが印象的であった.

それにも増して感動的なのは,被災者を助けようとする動きが中国全土に瞬く間に広がったことだ.

12日当日は成都の市民が夜遅くまで献血の列を作っていた.
被災地の近所の住民は炊き出しをして被災者に食事を運んでいる.
企業からの義捐金だけではなく,個人で100元札を何枚も献金しているのがTVで報道されていた.街中の市民も募金箱に長蛇の列を作って募金をしている.

今まで中国人は個人主義的な人が多く,他人のことよりも自分の利益を優先する人が多いと感じていた.今回の地震で中国人も条件さえそろえば我々日本人と同じように他人を思いやり,他人に尽くす事が出来る心を持っていると再認識できた.


このコラムは、2008年5月19日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第34号に掲載した記事に加筆しました。

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モチベーション

 先週末は東莞和僑会の定例会「方針管理・目標管理勉強会」で東莞市黄江鎮の工場に出かけた。2018年の勉強会最終回は来年の経営計画の発表を行った。

午後は一般の参加者も交え会場となった工場を見学した。数ヶ月おきに工場を訪問しているが、そのたびに新たな発見をする素晴らしい工場だ。

今回の訪問では涙が出るほど感動した。

この工場では「気づき提案」制度があり、全従業員から「ここが不便だから直して欲しい」という気づきを上げることができる。提案された案件は、改善チームが必ず検討し、提案を採用するか見送るかを判断し提案者にフィードバックする。多くは作業手順書の誤記の指摘とか、通路の区画線が消えている、などの簡単なものだそうだが、中には予算をつけて本格的な改善活動とする例もあるという。

この制度に昨年は約24万件の提案があったそうだ。従業員500名ほどなので、年間一人平均480件ほどの気づき提案をしていることになる。驚くことに最も多く提案した人は21,000件の提案をしているという。
毎日100件ほど提案していることになる。
最多提案者には報奨金も出るそうだが、大した額ではない。毎日100件も提案を続けるモチベーションはどこになるのか興味を持った。同じ興味を持った人の質問に対し、直接作業員たちと仕事をしている監督職は自分たちのリーダのために気づき提案をたくさん出してくれるのだ、と答えた。

チームリーダーは、業績でチームが評価される。最も生産性の高いチームは3,000元の賞金が出るという。他にも気づき提案の件数も評価の対象となる。チームリーダのため、チームのためという利他の精神を発揮できる従業員が多くいるということだ。以前メルマガに書いたマズローの第六段階「自己超越欲求」だ。

マズロー第六段階欲求

もちろん提案しても何も変わらない様では提案制度そのものが機能しなくなる。
気づき提案全てに対し、改善チームの検討とそのフィードバックがあるというのも、提案件数をあげるモチベーションになっていると思う。しかしこれはネガティブな要因の排除に過ぎない。「チームリーダを喜ばせたい」というポジティブなモチベーションがあるのが大きいはずだ。

ポジティブなモチベーションが発揮されるのは、チームリーダとメンバー間の信頼関係に基づいた、貢献と感謝の相互依存があるからだ。


このコラムは、2018年12月28日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第764号に掲載した記事に加筆しました。

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