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スマイル

 先日は大変気持ちの良い工場を訪問させていただいた。

日系中国工場では就業員が、上司やお客様に挨拶をきちんとするところが多い。しかしこの工場では同じように挨拶をされても、なんだかとても気持ちが
良いのだ。挨拶をされるたびにこちらも思わず微笑が出る。

何が違うのだろうかと考えながら工場を案内していただいていた。ふと見やった工場の壁にその答えがあった。

壁には5Sの標語「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「素養(中国語で躾のこと)」の他に「安全」「微笑」「節約」の3つの標語が掲げられていた。

この「微笑(スマイル)」こそがその答えだった。挨拶をしてくる作業員やスタッフたちは女性も男性も皆微笑みながら挨拶をしているのだ。

笑みをたたえながら挨拶をされれば、こちらも思わず微笑みたくなる。
朝顔を合わせたら微笑みながら「おはようございます」と言う。
仕事がつらくても微笑みながら「お疲れ様」と言う。
上司に叱られても微笑みながら「ありがとうございます」と言う。

スマイルの効果は大きい。
スマイルはココロをポジティブにする。
ポジティブなココロは行動をポジティブにする。
ポジティブな行動はポジティブな成果となりスマイルにつながる。

そしてスマイルは周りに伝染して職場全体が明るくなる。

サービス業ではスマイルが直接顧客満足につながる。工場でもスマイルは従業員満足につながり、規律と生産性・品質の向上に役立つだろう。

以前、私はある工場でこんな指導をしたことがある。
クリーンルーム内で作業者の防塵着の着方に乱れが散見された。不良の原因となっている埃は着衣から出る繊維質のものが大半を占めている。彼らには朝礼のときに2名ずつ向かい合い、お互いに微笑みながら着衣の乱れを直しあうように指導した。

母親が子供のボタンをかけるように、妻が夫のネクタイを直すように、笑みをたたえて着衣の乱れを直してやれば、上司から叱られるより何倍も効果があるだろう。

このような活動の成果は、すぐには見えないかもしれない。しかし確実に良い企業風土を作り上げる。


このコラムは、2009年12月28日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第132号に掲載した記事に一部加筆修正しました。

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【中国生産現場から品質改善・経営革新】

 臨済宗円覚寺・横田南嶺管長のお話をうかがう機会があった。もちろん直接お目にかかってお話を伺ったわけではない。ありがたい事に、世界中のどこにいても、日本の高僧のお話を聞く事が出来る。IT技術により、私たちは計り知れない自由を手に入れている。

もちろん横田老師や私が若い頃は、そのような自由はなかった。(驚く事に横田老師は私より相当お若い様だ)横田老師は、若い頃に影響を受けた書籍の著者や、尊敬する方に直接手紙を書き会いに行っている。直接会って話を聞く。ネット上にある情報から得られる知識の数十倍、数百倍の価値があるはずだ。

既に若くはない私も、見習わなければならない。

横田老師のお話で特に印象に残ったのは「戒」に関するお話だ。「戒律」「十戒」などの「戒」だ。「受戒」「戒名」は、私の様な葬式の時だけ仏教徒になる様な不信心な者でも知っている。

「戒」とはやってはいけない戒律と言うイメージが有った。
しかし横田老師によると、「戒」とは良き習慣、良き習慣に導くと言う意味だ。

つまり「殺すべからず」と言う戒律は、やってはいけない事として、殺人罪と言う罰則とセットで、守らされている。
「戒」を良き習慣と理解すれば、「殺すべからず」と言う戒律は「命を愛する」と言う良き習慣となる。

良き習慣が、正しい智慧を生む。正しい智慧に基づく行いが慈悲である。
お釈迦様は、良き習慣を身につける事により幸せになる方法を説かれたのだ。

ここまで聞いて、すとんと腑に落ちた。
これは5Sの「躾」そのものだ。私には仏教を説き、布教する力はないが、5Sを通して、「戒」を説く事は出来る。

5Sとは、働く人々を幸せにするモノでなくてはならない。その結果企業の利益が上がる。これが5Sの根本原理・原則でなければならない。

「いろはにほへと―鎌倉円覚寺 横田南嶺管長 ある日の法話より」


このコラムは、2016年7月4日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第483号に掲載した記事です。

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