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新世界秩序

 近代の世界秩序は軍事力で保たれてきたと言えるだろう。第二次世界大戦後、ソ連、東欧対自由主義諸国の冷戦状況に対処するためNATOが結成される。ソ連崩壊後東西冷戦は終結したように見えたが、イスラム武装勢力対米国・NATOの対立となる。クリミア・ウクライナへのロシア武力侵攻により新たな米露対立が発生する。

現代は中国の経済発展により、経済は米中の二極対立となった。対立・秩序の基軸が軍事力から経済力に転換した。

そして今年になって新コロナウィルスの爆発的感染が世界に広がった。中国は情報の隠蔽、改ざんにより世界から信頼を失う。米国は大統領の無能が露呈し信頼を失ってしまった。

世界は軍事力、経済力の均衡で秩序が維持されてきた。
現在この時点で世界の秩序を維持するものは軍事力でも経済力でもない。世界の秩序を維持するのは『道徳』であると言いたい。道徳とは正直、誠実に他人を思いやる力だ。「3.11」で賞賛された日本人の道徳力を今こそ発揮する時だ。老子、孔子という道徳の始祖を持つ隣国も我々に追随するはずだ。


このコラムは、2020年4月15日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第967号に掲載した記事です。

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日本人の誇り

 最近の報道で日本人精神の歪みを強く感じる。

幼い我が子を虐待し死なせてしまう。
学校でのいじめを苦に自殺する子供がいる。
列車車内で無差別に殺人をする。
看護師が患者の点滴に界面活性剤を混入させる。
日本は安全だという神話は夢物語に変わってしまった。

先週オウム真理教幹部の死刑執行が報道されたが、二十数年前から日本人の変容が始まっていたのかもしれない。

私たち日本人は
エレベータの中でタバコを吸う。
散歩中の愛犬の落し物を放置する。
列車から降りる人をかき分けて乗車する。
横断歩道を渡っている人にクラクションを鳴らす。
駐車場の入り口に車を駐車する。
このような人たちを嗤える立場ではなくなってしまった。

台湾出身の評論家・黄文雄氏はこれを「武士道」の喪失だと言っている。
「台湾人の美徳とされる「日本精神」が、日本人から失われ始めている」

日本の武士道は台湾ばかりではなく、世界中から一目置かれていると言ってもいいだろう。第二次世界大戦の敵国であった米国までが日本の武士道を畏れ、敬意を持っているという。

武士道を一言で言うことはできないだろう。あえて武士道の精神を短く言うならば、論語から引いて「仁義礼智信忠孝悌」と言えるだろう。

仁:儒教の最高位の徳。論語の中で子路は「剛毅木訥仁に近し」と言っている。
義:社会的かつ人道的な正義。
礼:礼儀・作法。
智:物事の本質をわきまえること。
信:人を欺かないこと。
忠:誠実であること。
孝:父母を尊敬し大切にすること。
悌:年上の者を尊敬して従うこと。

中国から伝わった儒教精神が、江戸期に庶民にまで広がり武士道は形成された。
「日本では宗教を教育していないのにどうして道徳教育を授けることが出来るのか」という西欧人の質問に対し、新渡戸稲造は「日本には武士道がある」と答えている。

しかし日本の社会は、道徳より野心を優先する社会になってしまったようだ。
しかもその野心が個人的なものになっている。

なぜそうなってしまったのか?私の仮説はこうだ。
日本のコミュニティは「村社会」だ。村社会であるから「仁義礼智信忠孝悌」を守っていなければ、存在を許されない。隣近所から「どう見られるか」が優先事項となる。道徳を守っていなければ生きてはゆけない。

核家族化が進み、近所づきあいもなくなり「村社会」は崩壊し、個の集まりになる。周りには「武士道」を語る大人がいないまま子供が成長する。その結果、人の命に対する尊厳という最もプリミティブな道徳観念が育たなかった。

つまり「村社会」が道徳教育機関であったが、村社会の崩壊とともに道徳教育を担う者がいなくなってしまった。

文科省は「特別の教科 道徳」というものを設け、修正を試みている。しかし道徳は知識ではなく実践だ。教室での教育だけで解決するとは思えない。社会全体で取り組まねばダメだろう。

企業、地域などあらゆる社会単位で「道徳」を取り戻す試みをすべきだ。
武士道を核心とした企業文化を作れば、強い企業になることができると思うがいかがだろうか?


このコラムは、2018年7月11日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第691号に掲載した記事に加筆しました。

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