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指示と復唱

 春節休暇が開け、新型コロナウィルス感染拡大中の中国に戻った。
しかし外出もままならぬ状況にあり、一時日本に撤退している。2月以降毎日部屋にこもり読書生活を送っている(苦笑)

「機長からアナウンス第2便」内田幹樹著

内田幹樹氏はJALのパイロットをしておられた。海外出張が多かった頃、前作の「機長からアナウンス」を読んだ。続編は前作より興味深かった。
本書中に、2004年から2005年前半JALグループは重大インシデントが続いた、という記述があり、航空・鉄道事故調査委員会の重大インシデント報告書を調べてみた。

参照報告書:
「航空重大インシデント調査報告書 AI2005-1」
 平成17年 1 月28日発行

ボーイング・737-400型JAL機が、平成16年4月9日大阪国際空港ー熊本空港便が使用滑走路とは逆方位の滑走路07へ進入を行い、最終進入経路に入る直前に熊本飛行場管制所からの通報により、進入滑走路の誤りに気付き、進入を中止するという事故だ。一歩間間違えば滑走路25番で離陸滑走を開始していた自衛隊機と正面衝突事故となる重大インシデントだ。

滑走路25番と滑走路07番は別の滑走路の様に見えるが、一本の滑走路だ。滑走路の後にくる番号は方角を表す。滑走路25番は北から250°滑走路07番は北から70°の方向を向いていることを示している。つまり風向きによって25番、07番を使い分ける。滑走路が平行に複数ある場合はLCR(左、中、右)の記号を併用する。

管制塔はまず25番滑走路から自衛隊機を離陸させ、その後に25番滑走路にJAL機を着陸させようとしていた。しかしJAL機の操縦席では、出発時の予定通り07番滑走路に着陸と思い込んでおり重大インシデントにつながった。

思い込みによる人為ミスの典型例といっても良いだろう。
管制塔からの指示に対してコックピットからの応答は「ラジャー」だけだった。聞き取れなかった、着陸に備えて指示聞き取りが散漫になっていた、などの理由があったのだろう。しかし指示の復唱があれば、もしくは管制塔から復唱要求があれば、インシデントは防げたはずだ。

指差し確認、指示復唱は仕事の基本だ。「重要なことは復唱せよ」ではダメだ。
指差し確認、指示復唱が習慣になるまで徹底しなければならない。
会議の決定事項は、ホワイトボードのコピーを配布すればよかろう。しかし口頭指示をやめて、全て文書指示にするのは現実的ではない。


このコラムは、2020年3月11日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第952号に掲載した記事です。

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