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逆境はチャンス

 定例で開催しているセミナーにご参加いただく方が、1月、2月と徐々に少なくなってきている。3月は今まで2年間の最少人数になりそうだ。

1月、2月のときはちょうど春節休暇の前後となり、皆さん休暇の前後だったり休暇中で参加できなかったのだろうと考えていた。3月はそういう理由はないはずだ。
やはり不景気の影響が出ているのだろうか?そんな思いがよぎった。

しかし「逆境はチャンス」景気という自らコントロールできない要因に原因を求めるのではなく、コントロール可能な要因に注力しよう、といつも言っていた自分がここで弱気になってはいけないと、気がついた。

休暇スケジュール、景気などの外的要因に原因を求めても始まらない。

お客様に新たな気付きと、「よし、やってみよう」という行動に移す勇気を提供するという使命に徹しようと思う。


このコラムは、2009年3月6日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第87号に掲載した記事です。

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【中国生産現場から品質改善・経営革新】

トヨタ「カイゼン」1銭単位 車1兆円改革の現場

トヨタ「カイゼン」1銭単位 車1兆円改革の現場

 国内自動車メーカーの業績が回復している。理由は円高修正だけではない。
貢献度が大きいのは“お家芸”でもある原価低減だ。自動車7社の2013年3月期の原価低減額は総額で約9500億円、営業増益額の65%を占めた。円高や石油危機など逆風に直面するたびにコスト競争力を磨き、復活を遂げてきた日本車メーカー。「カイゼン」の現場を追った。

 トヨタ自動車が昨年末、宮城県で稼働させたエンジン工場は一風変わっている。目を引くのはラインの「小ささ」だ。通常の生産ラインに比べ設置面積はわずか半分。業界ではエンジン生産の採算の目安は月1万8千基とされるが、同工場は1台の設備が複数作業をこなすことで約9千基でも成り立つ。トヨタは業界の常識を覆した。

 トヨタが前期に実施した原価低減は約4500億円。自動車7社の総額のほぼ半分を占める。「カイゼンはトヨタの魂」と言い切る豊田章男社長は、小規模・効率志向を世界各地の工場に広げる考えだ。

■ライン長さ可変

 昨年夏以降、稼働を始めたブラジルやインドネシアの車両工場では「アコーディオン・ライン」が活躍する。楽器のアコーディオンのように需要に応じてラインの長さを変えられるため、常に高い稼働率を維持できる。

 姿勢転換の契機は08年秋のリーマン・ショックだ。それ以前はまず大きな工場を構え徐々に稼働率を上げるやり方だった。だが需要が縮小に転じると固定費が重くのしかかる。09年3月期に4600億円もの営業赤字を出した原因となった。緊急事態を受けて生産担当の新美篤志副社長が全社に発した指令が「小さく生んで賢く育てよ」。その結果生まれたのが宮城県やブラジルなど
一連の新工場となる。

 デンソーやアイシン精機など数万社に及ぶ取引先も1円あるいは1銭単位で一斉にコストを削った。ときにはトヨタの担当者が入り込んで徹底指導した取り組みは「部品メーカーのコスト構造を変える一種の産業革命」(トヨタ幹部)だったという。

 グループ総出の努力で積み上げたコスト削減は今期見通しを含め5年間で約1兆5千億円。トヨタの国内生産はピーク時の07年(422万台)の8割程度だが、前期には5期ぶりに単独営業損益が黒字となった。

日経新聞電子版より

 まとめて沢山造れば、効率が良くなってコストダウン出来る。
こう言う発想の改善が通用したのは、消費が右肩上がりである事が保証された時代だけだ。同一規格製品を量産すれば、次々と売れた時代はもう終わった。今同一規格製品を量産すれば、同時に貧乏も量産することになる。

必要なモノを、必要なだけ、必要な時に造れる。
生産効率よりは経営効率、稼働率よりは可動率が求められている。

以前指導していた工場では、450本単位で電源ケーブルを生産していた。
この工場に、1本ずつ加工する生産方法を指導した。その結果、より利益率が高い産業機器用のケーブルを受注することができる様になり、新しい利益の柱を作る事が出来た。

電子部品工場では、ベルトコンベアで生産していたラインを分解再構築し、1/2のスペースで作れる様になった。その結果多くの品種を同時に生産できる事となり、今まで断っていた少量の受注も生産出来る様になった。

機構部品の工場では、工程ごとに作業エリアを分けていた。この工場では、生産の流れが見える様に一気通貫の生産ラインとした。その結果15日かかっていた生産リードタイムが、変更した初日から1.5日となった。

こう言う改善が、生産効率よりは経営効率、稼働率よりは可動率の改善だ。
今の時代、製造業に求められているのは、同じ物を大量に造る事ではなく、必要な物を、必要なだけ、必要な時に、フレキシブルに作る事だ。


このコラムは、2013年6月17日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第314号に掲載した記事です。

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変化と変革

 「変化」と「変革」は似ているようだが明確な差がある。
辞書を調べてみると、

  • 「変化」:ある状態や性質などが他の状態や性質に変わること。
  • 「変革」:変えて新しいものにすること。変わって新しいものになること。

とある。

変化は、ポジティブな変化もあり、ネガティブな変化もある。改善も劣化も変化だ。しかし変革はポジティブに変わることだ。

変化も変革も「変わる」ことは同じだが、変化は受動的、変革は能動的と定義できそうだ。

そして変化は受動的であるため、変化に対応するリーダが必要となる。
一方変革は能動的であるため、変革を起こすリーダが必要になる。

【変化リーダの資質】短期・中期のリーダシップ
 迅速な判断力・決断力
 メンバーの統率力

 変化(事故、火災、景気後退)は迅速に対応しなければならない。軍隊式のリーダシップで一気に解決しなければならない。

【変革リーダの資質】中期・長期のリーダシップ
 理念・ビジョンの策定と浸透
 メンバーの育成力

 変革(組織変革、新規市場進出)には一気呵成よりは周到な進捗が必要だ。
理念・ビジョンがぶれないようにし、メンバーの意欲と能力を高めて戦略的に取り組む。

向き不向きはあるだろうが、局面に合わせて変化リーダ、変革リーダを担える人財を育成できれば鬼に金棒だ。


このコラムは、2020年11月2日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1053号に掲載した記事です。

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品質基準

 ずいぶん昔のことだが、納入品に不良が1台あったので、仕入れ先に返却し不良原因の解析を求めたことがある。仕入れ先の営業担当者から「納入仕様書にはAQL0.1%で検査すると明記してある。今回発生した不良は0.1%未満なので不良解析・報告の義務はない」と言われて驚いたことがある。説明するのが面倒だったので「そちらの品質部長さんにAQLの意味を教えてもらえ」と言っておいた(笑)

AQLとは抜き取り検査の基準であり、言葉どおりの「許容品質基準」ではない。
製品の品質基準にはいろいろな段階がある。

品質目標:設計部門の目標品質
品質標準:製造部門の目標品質
検査基準:検査部門の判定基準
保証品質:顧客に保障する品質

顧客に保証する品質基準は検査基準より緩い。使用中の劣化も見込むためだ。
検査部門の検査基準は製造部門の検査基準と同じか若干緩い。
AQL検査の場合は、製造部門が全数検査であることに対し抜き取り検査であり、が緩い。
製造部門の品質基準は、部品ばらつき作業ばらつきを考慮するので、設計部門の目標品質より緩い。
設計部門の品質目標は、製品の要求に基づき最も厳しい。部品のばらつき、製造上のばらつきがあるので設計時の品質目標は最も厳しい。


このコラムは、2020年11月27日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1064号に掲載した記事です。

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PCの品質劣化

ある書籍を読んでいて驚いた。
「工場で正常に生産され検査も合格したのに、市場で不良が発生する。これは出荷後に劣化するのが原因である」当然こういう事例はある。しかし著者はその事例としてパソコンを挙げている。彼の主張は以下の通りだ。

「購入して二年ほどでスイッチを入れてから立ち上がるまでの時間や画面の切り替え時間が目に見えて遅くなる。わずか二年で製品が劣化してしまうのは工業製品のトップグループに入る」

これはパソコンが劣化したのではなく、アプリケーションソフトの機能が進化したためメモリを大量に必要とし、しばしばメモリ領域のスワップが発生するためだろう。これを製品の劣化と言われてはパソコンメーカは立つ瀬がない。

著書の本質はそこではないし、OA機器メーカの開発設計者としての経歴があり、現在も後進の指導をされている方だ。著者を非難するつもりは全くない。

パソコンという商品は単体では何も役には立たない。アプリケーションソフトがあって初めて機能する。そういう意味では二年間で劣化したのではなく、たった二年で進化したと考えるべきだろう。

例はまずかったが、著者の指摘は正しい。
昔から出荷後の環境ストレスで色々な故障が発生している。
出荷時に良品だった製品が環境ストレスで故障する事例は多い。

信頼性問題

または出荷時に機能検査ができない製品もある。タカタのエアーバックも出荷検査で機能検査はできないし、爆発することもない。

環境ストレスによる劣化は製造や検査で解決できない。設計時に環境ストレス耐性を上げておかなばならない。そのためには多くの環境ストレス事故事例とその原因を知らなければならない。


このコラムは、2020年7月27日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1011号に掲載した記事です。

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笹子トンネル事故から6年

 中央高速笹子トンネルの天井板崩落事故が発生したのは2012年12月2日。先週日曜日には現地で遺族らが慰霊式典を開催した。

6年経った今もまだ事故原因が明確になっていないようだ。

事故を契機にNHKの取材斑が5年間かけて、日本全国のトンネルや橋梁などの安全性を取材している。

笹子事故5年 インフラは安全になったのか?

しかしこの記事は「老朽化」がキーワードとなっている。
重大災害につながりかねない交通インフラの老朽化を取材し明らかにする事に異議はないが、笹子トンネル事故は「老朽化」が原因ではないはずだ。当時の記事からは、不適切な施工が原因と思われる。

ボルト、引き抜ける状態 笹子トンネル、6割が強度不足

笹子トンネル天井崩落事故

当時の調査では、引き抜かれたボルトには先端の一部にしか接着剤が付着していなかったものが多数あった事がわかっている。老朽化により接着剤の強度が劣化することはあるかもしれない。しかし硬化した接着剤の量が、経年変化で少なくなるとは思えない。

NHKの取材そのものは意味があるにせよ、記事タイトルに「笹子トンネル」を入れることにある種の「作為」を感じるのは私だけだろうか?どこかに真実を隠蔽する力が働いていると言う疑惑を感じざるを得ない。


このコラムは、2018年12月5日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第754号に掲載した記事です。

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リアサス連結プレート誤装着

 ホンダは4月8日、『CBR1000RR-R』のリアサスペンションについて、不適切に組付けたものがあるとして、リコール(回収・無償修理)を国土交通省へ届け出た。対象となるのは2020年3月31日~7月23日に製造された439台。

今回、リヤクッションアームとスイングアームを連結するクッションコネクティングプレートの表裏を逆向きに組付けたものがあることが判明。そのため、凹凸路面等を繰り返し走行するとプレートが折損し、最悪の場合、走行安定性が損なわれるおそれがある。

改善措置として、全車両、クッションコネクティングプレートの組付け状態を点検し、該当するものはクッションコネクティングプレートとダストシールを新品と交換する。

不具合は2件発生、事故は起きていない。市場からの情報によりリコールを届け出た。
                        

carview.yahoo.co.jp/news/より)

 リヤクッションアームとスイングアームを連結するプレートの裏表を逆に取り付けてしまったという不良だ。
不具合を二件発見している、と記事にある。このような作業ミスの対象範囲を約4ヶ月、439台とどうやって特定したのだろうか?同じ作業員がプレートの組み付け作業した製品を全て回収対象としたのだろうか?
それにしても、回収対象範囲を特定するのは相当困難だっただろう。

この手の作業ミスによる不具合は、何度も発生する。裏表を勘違いしていたらその作業者が作業した分は全て対象となる。しかし「うっかり」間違えたのならば問題のない製品まで回収し確認をしなければならなくなる。非常に厄介な問題だ。従ってこの手の不良を「作業ミス」と考えるべきでない。

設計ミスと言ってしまうと設計者に気の毒かもしれないが、設計配慮が足りていなかったと考えるべきだ。今回の事例を設計FMEAの潜在故障モードに追加し、「裏表のない設計」「裏表逆には取り付かない設計」となるようにしなければならない。

「失敗から学ぶ」という事は知識を増やすことではなく、失敗が二度と発生しないように標準を作る(または変える)ということだ。

回収対象製品を知らないので「プレートを逆に付けるとプレートが破損する」という故障モードのメカニズムが理解できない。しかし裏表が逆だと取り付かない構造にする事は可能だろう。


このコラムは、2021年4月14日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1123号に掲載した記事です。(タイトルを変更しました)

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エビノマスク

 神奈川県海老名市が、地元企業から寄贈された新型コロナウイルス対策のマスクを市内全世帯に送ったところ、市のツイッターなどに「国のマスクより早く届いた。ありがとう」といったメッセージが相次いだ。

 市民からの反響に内野優市長は「アベノマスクよりを喜んでウチノマスクを喜んでもらえましたかね」とユーモアを交えて反応。市危機管理課は「マスクに限らず、素早い対応に努めたい」としている。

 マスクは、コンピューター周辺機器の製造などを手掛ける「オウルテック」が贈った30万枚。東海林春男社長(58)が5月11日に市役所を訪れ、「マスクで不安を取り除いて早く日常に戻ってほしい」と託し、内野市長は「1世帯に3枚ずつ、すぐに配り始める」とその場で約束した。

 全文

(読売新聞より)

 いまだに迷走しているアベノマスクに対し海老名市で配布したウチノマスクが優れているという論調だ。しかし1.25億人、5,800万世帯の国民に配布するアベノマスクと3万世帯に配布するウチノマスクを直接比較するのは公平ではないだろう。しかもウチノマスクと称しているが、民間人の東海林春男氏が寄付したマスクだ。市長が自慢することではないだろう。

アベノマスクは品質問題、検品問題、どこかの組織の資金中抜き疑惑、など迷走が止まらない。官僚が考えそうな「ご機嫌取り」の愚策としか思えない。
シャープ、パナソニック、大王製紙、アイリスオオヤマなどがマスクの生産に参入している。こういう篤志企業のマスク生産を支援する方がよほど有効に金を使えると考えるがいかがだろう。

アベノマスクに費やした450億円は、日本経済に循環せず訳のわからない砂地に染み込んで消えた。


このコラムは、2020年6月10日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第991号(に掲載した記事です。

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成功はゴミ箱の中に

 マクドナルドを世界的なチェーン店にしたレイ・クロックの自伝「成功はゴミ箱の中に」を読んだ。

レイ・クロックはファストフード店にミルクシェーキを作る機械を売る仕事をしていた。マクドナルド兄弟が経営するハンバーガ店に魅力を感じ商権を買い取り今のマクドナルドに成長させた。成功者のイメージを持っていたが、書籍から浮かぶ彼の人生はあまり幸福だったとは言えないようだ。

彼の言葉「競争相手の全てを知りたければゴミ箱の中身を調べればいい。知りたいことは全て転がっている」が紹介されていた。さすがに競争相手のゴミ箱を覗いて回ることはできないだろう。しかし社内のゴミ箱を見ることは可能だ。職場ごとにゴミ箱に捨ててあるモノを見れば、職場の問題点が見えてくるはずだ。

私は仕事柄、顧客の工場でゴミ箱を覗いてみることがある。

「整理とは」

ゴミ箱にあるべきモノ、あるべきでないモノを見れば、その職場の実力が判る。
そしてそこから課題も見えてくる。

例えば、ゴミ箱の中に仕損の材料がたくさんあれば、その作業に改善が必要なことが判る。逆にその職場で使わない材料が見つかれば、何らかの問題が発生していることが判る。不良や事故が発生する前に原因を調べ、対策することができる。

毎日作業をしている人にとって当たり前で、無駄に気付いてないこともある。例えばゴミ箱の中に調整作業で発生する材料ロスが多くあれば、調整作業の改善が必要なことが判る。材料のロスだけでなく、時間のロスもゴミ箱の中で可視化される。


このコラムは、2020年11月20日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1061号に掲載した記事です。

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スランプ

 森村誠一が小説作家のスランプについて書いているのを読んだ。
作家にはスランプがつきものだという。どの作家もスランプに陥る。しかしスランプを抜け出る方法は作家によって違う。森村は以下のように分類している。
小説作家のスランプ脱出方法
・死
・スターの座にこだわらない
・路線変更

「死」は最悪の選択だが、小説作家には人気のある方法のようだ。
太宰治:玉川上水で入水心中。
芥川龍之介:田端の自宅で服毒自殺。
三島由紀夫:陸上自衛隊東部方面総監部の総監室で割腹自殺。
川端康成:逗子の別荘でガス自殺。

「スターの座にこだわらない」は売れっ子の先生から、新人の作家と同じ扱いに落ちることだ。出版社や編集者の扱いが変わる。自殺に至らずとも相当辛い思いをするだろう。売れっ子時代に尊大になっていたような人物には人間的な成長機会と言えるかもしれない。

スランプ脱出方法として「死」はいうまでもなく「スターの座にこだわらない」の二つはネガティブな解決方法だ。結果としてスランプに屈服したことになる。

「路線変更」はスランプに屈服することなくスランプから脱出する方法だ。

例えば北方謙三は学生時代に書いた純文学作品が認められ、作家デビューした。
しかしその後作品を書き続けるが書籍が出版され注目を集めることはなかった。「弔鐘はるかなり」で路線変更。ハードボイルド作家として生まれ変わった。さらに「武王の門」で歴史小説に路線変更している。

ハードボイルドへの路線変更は編集者の「暗い話を書いている場合じゃない」というアドバイスがきっかけだったそうだ。
あっという間に売れっ子作家となった。

第二の歴史小説への路線変更は北方謙三自身から生まれた。
北方はこう言っている。「探偵が公衆電話を探すシーンは、すぐに陳腐になる。歴史物は初めから古いので時代に影響を受けない作品になる。」
賞味期限の短い作品を書き続けスランプに陥ったのだろう。時に淘汰されない作品を書きたいという作家の崇高な志による路線変更だと思う。

さて我々も大きなスランプに直面している。作家のスランプは自身の内的要因が大きいが、新型コロナウィルスという外的要因のスランプだ。新型コロナウィルスに屈服するスランプ回避ではなく、スランプ脱出する方法を考えねばならない。

新コロナウィルス感染で大変な思いをされていると思います。
少しではありますが、出口の光明が見えてきたように思います。
このピンチをチャンスに変えようではありませんか。


このコラムは、2020年4月13日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第966号に掲載した記事です。

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