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蚤の跳躍

 先週は、深セン和僑会で居酒屋「てっぺん」の経営者・大嶋啓介さんの講演があった。

元気が出る居酒屋「てっぺん」そしてその元気のもと朝礼で有名な大嶋さんの講演を聞き、ご一緒に食事をさせていただいた。
中国にいて、こんな機会が得られるなんて、夢のようだ。感謝!

大嶋さんから聞いた話を、皆さんとシェアしたい。

蚤というのは、1mの跳躍力がある。
しかし蚤を高さ30cmの箱に閉じ込めておくと、箱のふたをはずしても30cmしか跳躍できなくなってしまっていると言う。

インド象が、小さな杭に繋がれただけで逃げてゆかないのと同じだ。
象の力を持ってすれば、杭など簡単に引き抜けるのだが、力が弱い小象の時からずっと杭に繋がれ逃げられないと思い込んでいるだけなのだ。

蚤も象も、自分の中に自ら限界を設け、それに縛られてしまっているのだ。

この寓話は人間にも当てはまる。
成功した人と、成功できない人の違いは唯一つ、「成功すると信じる」ことだけだ。成功すると信じているから最後までやりとおす。実はこの世に成功しない人などいないのだ。ただ成功を諦めた人がいるだけ。

中国人の若者を指導していて「没方法」とか「没弁法」という言葉を良く聞く。彼らもまた30cmしか跳べなくなった蚤だ。

「没方法」と言う前に方法を考えろと言いたい。
当然彼らは、考えたけど駄目だった、やって見たけど駄目だった、と言う。
100個の違う方法を考え、100回試してみただろうか?

実は、すべての方法を試すと言うのは不可能なのだ。すべての方法を試す前に、うまく行ってしまうからだ。

では跳べなくなった蚤を、再び1m跳べるようにするのはどうすればよいか?

難しいことではない、簡単なのだ。
1m跳べる蚤を連れてきて一緒においておけば、再び1m跳べる様になる。

「没方法」青年も同じだ。
貴方が諦めない姿勢を見せてやれば、きっと彼も跳べる様になる。


このコラムは、2010年11月1日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第177号に掲載した記事です。

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ホスピタリティ

 上海万博を見学した。前回万博を見学したのは1970年の大阪万博だったので、40年ぶりだ。元々人ごみと、並んで待つのが嫌いなので、めったにこういう機会はない。

今回は、上海和僑会に参加したので、その翌日和僑会参加のメンバーと一緒に上海万博会場まで出かけた。

日本館を見学したが、パビリオンの外で1時間待ち、パビリオンの中に入って更に1時間かかった。元々きちんと列を作って、おとなしく並ぶ習慣が無い中国人に混ざって2時間並んでいるのは、一種の精神鍛錬となった。

スキあらば、前に出ようと体を密着してくる。人の耳元で大声でしゃべる。パビリオンの中では、携帯は使わないように、写真撮影はしないようにと何度も注意しているのに、堂々と悪気も無く使っている。
携帯の使用を注意する職員に、お前だって使っているではないかと、職員のハンディートーキーを指差して食って掛かっている輩までいる。
そういう空気はすぐに伝染する。そんな、目が三角になっている人ばかりが並んでいるのだ。楽しいはずが無い。

こういう空間で列を作って待っているのは苦行に他ならない。

しかしタイランドのパビリオンでは、様子が違っていた。
列をコントロールしている職員が、見学客に向かって拡声器で話しかけているのだ。
「タイには行ったことがありますか?」
「タイ語ではニイハオはサワッディーと言います」
などなど、話しかける。
よく聞き取れなかったが、面白いことも言っている様で、日本館に並んでいる見学客と違い笑顔があふれていた。

今まで日本人のもてなしのココロが世界一すばらしいと思っていたが、すっかりタイ人を見直した。

パビリオンを見学してくれる人に対するもてなしは、列に並んでいる時から始まっているはずだ。いくらすばらしい展示をしていても、展示を見る前に気分を害していれば、その効果は半減する。

サービス業に従事しておられる方は、当然こういうことをしっかり考えておられると思う。ではモノ造りでも同様に、こうした「もてなし」を顧客に提供できないだろうか?
考えてみる価値がある。


このコラムは、2010年5月10日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第152号に掲載した記事に加筆しました。

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サッポロが宇宙ビール5カ月「滞在」した大麦の子孫を使用

 サッポロビールは3日、国際宇宙ステーションに5カ月保管されていた大麦の子孫を使ったビール「スペースバーレイ」を販売すると発表した。
小瓶(330ミリリットル)6本入りを1セットとし、価格は1万円。250セット限定でインターネットで申し込みの受け付けを始めた。

 同社は昨年にも同様のビールを生産し、抽選で60人に無料で提供した。一般に販売するのは今回が初めて。売上金は岡山大学を通じ、子どもの科学教育のために活用するという。

 サッポロはロシア科学アカデミー、岡山大学と共同で、宇宙環境が大麦に与える影響を調べてきた。「タンパク質の性質などから通常の大麦とまったく変わりがないことが確認できた」(岡山大学)ため、商品化に踏み切った。
受付は12月24日正午まで。

(NIKKEI.NETより)

 6本で1万円もするビールにどう価値を求めるか。
たった250セットしかないという希少価値と、宇宙帰りの大麦という浪漫が1万円に見合うと感じるかどうかであろう。

コスト的な観点から考えれば250万円の売り上げでは、大麦を宇宙に5ヶ月保管した上で栽培し、ビールにすることは不可能だろう。サッポロビールはビジネスとして「スペースバーレイ」を販売したわけではないはずだ。

しかしこの事例は顧客が価値を感じる部分、希少価値、浪漫に徹底的にコストをかける。という戦略を示唆している。

顧客価値に対し積極的にコストをかけ、その「物語性」をアピールする。
これによりとんでもない販売価格を実現できるのだ。

例えば今私がキーボードをたたいているMacBook Pro。
このノートPCの筐体はアルミを削りだして作ったものだ。普通のノートPCはプラスチック成型の筐体であり、明らかにコストがかかっている。
しかしキーボードのタッチ感覚、そのデザインなど所有者の価値認識を的確に捉えており、同等機能PCの2倍の定価で販売されている。それに加え「アップル社」という物語性がその価値を支えている。

こういう戦略は顧客から受け取った図面どおりの生産をしていては絶対に出てこない。どのようにしたら顧客に価値を与えられるかを考え抜く必要がある。顧客すらまだ気がついていない価値をこちらから提供できれば、顧客-業者という関係から、一気に顧客に不可欠なパートナーとなることができる。

ところで6本1万円のビール、私は買うことはないだろう。
いくらビール好きとはいえ、「スペースバーレイ」に物語性を感じられない。
ビールと宇宙がつながっていないのだ。

しかも宇宙帰りの大麦が「タンパク質の性質などから通常の大麦とまったく変わりがないことが確認できた」というのでは最悪だ。これではずっと地球で育った大麦のビールと同じ味しかしない。


このコラムは、2009年12月7日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第129号に掲載した記事に加筆しました。

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エレベーターに一時閉じ込め 中津駅、昨秋から6回目

 16日午後0時5分ごろ、大分県中津市のJR中津駅で、3階のホームと2階を結ぶ斜行型エレベーターが途中で止まり、60代の女性客が閉じ込められるトラブルがあった。女性は約30分後に救出され、けがはなかった。
JR九州大分支社が同日発表した。昨年9月の設置後、過去5回、乗客が閉じ込められるなどの故障があったという。

 同支社によると、故障したエレベーターは長さ約20メートルの斜行型(定員9人)で、階段横に設置している。女性1人が3階から乗り、数メートル下ったところで停止。エレベーターの異常を知らせるブザーなどで駅員が駆けつけ、約30分後に業者がドアを開けた。駅員らが階段から、
ガラス張りの同機の横で中の女性を励ましたという。

 過去5回の故障では、計6人の乗客が3~12分間閉じ込められた。
11月末の定期点検で異常はなかったが、12月12日にも同様の閉じ込め故障があり、部品を交換したばかりだったという。中津駅は今回の原因が判明するまで同機の使用を中止する。

(asahi.comより)

 私は中国のアパートで2度エレベータに閉じ込められたことがある。
しかしこのニュースは中国ではなく日本だ。15ヶ月の間に6度も同じような事故があるというのは、根本的な問題が未解決のままだということだろう。しかも定期点検後2週間で事故が発生している。点検方法にも問題があると考えた方がよさそうだ。

事故が発生した時は当然事故に対する処置は行われる。そして問題点の修復も行われたであろう。しかし再発防止が行われなかったのではなかろうか。

これは工場で生産した製品がお客様で不具合を起こしたときと同じだ。
以下の不具合に対する処置が必要だ。

  • 現品処置
     不具合発生現品に対して問題を収束させる。
  • 不具合の修復
     不良品を修理または交換し修復する。場合によっては問題が拡大しない様に同一ロット品に対し処置を行う。
  • 再発防止
     不具合の発生原因を突き止め、不具合が再発しないように対策を実施する。
  • 水平展開
     他機種でも同じ問題が発生する可能性があるか調査し、未然防止対策を実施する。

これらの一連の処置が終わって初めて不具合対応が収束する。

JRはこれらの処置をエレベータメーカに対してきちんと要求しなければならない。ただエレベータの保守要員が来てエレベータの中から人を救助しただけでは、上記の現品処置が行われただけだ。


このコラムは、2009年12月21日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第131号に掲載した記事に加筆しました。

当時エレベータに閉じ込められたのは2回だけでしたが、その後何度も閉じ込められ閉じ込められた回数をカウントするのをやめました(笑)

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水虫薬に睡眠剤誤混入

水虫薬の誤混入、健康被害113件に 交通事故も14件」

 福井県あわら市の製薬会社「小林化工」が製造した爪水虫などの皮膚病治療薬に睡眠導入剤の成分が混入していた問題で、健康被害を訴える人が、新たに29人増えて計113人(8日時点)となった。北海道から熊本県まで約20都道府県に及ぶという。福井県と同社が取材に明らかにした。同社によると、運転中に意識が薄れるなど服用の影響とみられる交通事故が14件あったという。

全文

(朝日新聞より)

 誤混入というより、間違った薬剤で水虫薬を生産したようだ。
本来主成分の「イトラコナゾール」を入れるところを睡眠導入剤を投入し錠剤を生産した。

睡眠導入剤を投入してしまった原因を、「作業員が勘違いで量ってはいけないものを量り、袋に入れた」と作業員の人為ミスと説明している。

しかし人為ミスを原因とすると「作業員に注意した」「作業員に再指導した」「ミスした作業員を解雇した」などという効果の期待できない再発防止対策しか出てこないだろう。

「なぜミスをしたか」を分析しなければならない。

  • 薬剤の瓶に名前ラベルがなかった。
  • 薬剤の瓶の名前ラベルが消えかかっており読みづらかった。
  • 配合指示書が間違っていた。
  • 配合指示書が読づらく読み間違えた。
  • イトラコナゾールと睡眠導入剤の保管棚が同じで取り間違えた。
  • 睡眠導入剤がイトラコナゾールの代用として使えると思った。
  • イトラコナゾールと睡眠導入剤がそばに置いてあり、間違って取った。
  • イトラコナゾールを正しく準備したが、別の調剤中の睡眠導入剤を配合した。
  • などなど

これはありえないだろうと思える原因もたくさん挙げる。
それぞれの原因を消滅される対策をする。

今回の原因ではないと思われる原因にも対策をする。
今回の問題は、運転中に眠くなったり、意識を失えば直ちに人身事故となる。過剰な対策と思えても実施すべきだ。

皆さんの仕事でも人為ミスで大きな事故が発生することもありうるだろう。事故が起きる前に対策を実施すれば問題は発生しない。
小林化工は取り返しの効かない問題を発生させてしまった。せめて我々はこの事故に学び未然防止をしたいものだ。

原稿を書き上げた後に、本件により死亡事故が発生したという報道があった。

『水虫薬の製造で「名ばかりチェック」 社長らの一問一答』

この記事により以下が明らかとなった。

  • 投入すべき薬剤と間違えて投入した薬剤は、形状の異なる容器に入っていた。
  • 薬剤の名称・ロット番号は容器に表示されていた。
  • ダブルチェックは名ばかりで機能していなかった。

社長が発言した「厳密なるチェックができなかった」の意味を問われ、社長は「最終試験」について述べている。記事からは読み取れないが、薬が完成後その成分分析をしなかったようだ。

医薬品業界の常識はわからないが、完成品の出荷検査はやらないのだろうか?

ダブルチェック記録、作業記録だけを品質管理の記録として品質保証するのは無理だろう。今回の事故は、製品ロットごとに成分分析を実施し出荷の可否を判定していれば防げたはずだ。


このコラムは、2020年12月16日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1072号に掲載した記事です。

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改善力

 現在QCC道場で指導しているチームの中に、香港企業の中国工場のチームがある。彼らは、取引先の日系企業に誘われて参加した。QCC活動に取り組むのは初めてである。というより社内で改善活動をしたことがあるのだろうか?というレベルだ(苦笑)

しかし最後まで一生懸命ついてきてくれている。
彼らを指導していて「改善活動はかくあるべき」という初歩の認識を思い出すことができた。

まずは正しく原因を特定する。
原因とは不良の原因だったり、生産性を阻害している原因だが「真の原因」でなければならない。例えば「検査粗忽」(中国語で検査ミスのこと)が原因とすると「検査員の指導」とか「検査手順書の作成」などという効果が実感できない対策しか出てこない。本当の原因は検査員のミスではなく、工程内で不良を作り込んでしまったことである。検査ミスは不良流出の原因でしかない。
本当の原因に対策をしなければ改善はできない。

別のチームは表現力を上げる必要がある。(こちらのチームメンバーは比較的年齢が高い)彼らは素晴らしい改善に取り組んでいる。0.1%程度の不良を撲滅し全数検査を止める改善だ。言葉で説明を受けても全く理解できなかった(笑)動画で表現をしたらすごい加工をしているのだと理解できた。動画も表現力アップの手段だ。

彼らの発表資料を見ると、ExelやPowerPointの使い方で損をしている。
ダラダラと文字だけで表現を試みたり、図表の作成が手慣れていない。
プレゼンだけうまくても、改善はできない。でもプレゼンの技術が良ければ、全数検査を要求している顧客を納得させることもできるだろう。


このコラムは、2021年7月9日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1160号に掲載した記事に加筆しました。

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メルセデスベンツリコール

 メルセデス・ベンツ日本は7月8日、『Aクラス』など18車種について、ステアリングシャフトに不具合があるとして、国土交通省にリコール(回収・無償修理)を届け出た。

(中略)

対象車両は、ステアリングシャフトにおいて製造機器の使用が不適切なため、ユニバーサルジョイントのベアリングを圧入する穴径が大きいものがある。そのため、使用過程で操舵時に遊びが発生して異音が発生し、最悪の場合、ユニバーサルジョイントが脱落することで操舵不能になるおそれがある。

改善措置として、全車両、ステアリングシャフトのシリアル番号を点検し、交換が必要なものは良品に交換する。
不具合および事故は起きていない。ドイツ本社からの情報によりリコールを届け出た。

(全文)

(Responseより)

 記事には「ステアリングシャフトにおいて製造機器の使用が不適切なため」とあるが、単純にステアリングシャフトに穴を開ける際に間違ったドリルの刃を使用したのではなかろうか?単純なヒューマンエラーのように思える。

ドイツという国の印象から考えると、ありえない不良のように思える(笑)

多分そんな単純なヒューマンエラーではないのだろう。
例えば、作業開始時に初物検査で穴径を測定した。ドリルの刃が破損したので交換。このとき径の違うドリルの刃を選んでしまった。またはドリルのキレが悪くなったので、刃を研いだ。その時にそばにあった径の大きなドリルの刃と取り違えた。

「初物検査」は始業時にやる検査ではない。変化点における検査だ。
当然上記のような状況も変化点だ。この変化点でも「初物検査」を行うべきだ。


このコラムは、2021年7月14日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1162号に掲載した記事です。

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原因に対策

 「フランクル回想録・20世紀を生きて」という書籍に、田舎に引っ越した男が早朝の鶏の鳴き声で睡眠不足となる。男は鶏の餌に睡眠薬を混ぜて問題解決した。というエピソードが出ているらしい。

鶏の鳴き声がうるさくて睡眠不足(早朝に起きてしまう)問題の原因である鶏の鳴き声を除去する(時間をずらす)という意味では、秀逸な問題解決方法と言えるかもしれない。しかしこの対策の実施が許されるかどうかは微妙だ。

問題の原因をもっと広角でとらえる必要がある。原因には「田舎に引っ越した」も入るはずだ。これは自責なので対策は可能だろう。

また睡眠不足の原因は起床時刻だけではないはずだ。就寝時刻を早くすれば早朝に起床しても睡眠不足にはならない。鶏の鳴き声の時間をずらすのは問題かもしれないが、自分の睡眠時間帯をずらすのは何ら問題はない。

鶏の鳴き声が大きいのが睡眠不足の原因と定義すれば、防音が対策となる。防音装置が高額ならば耳栓でも良かろう(笑)

今回ご紹介した書籍「フランクル回想録・20世紀を生きて」は2011年11月の出版ですが、もう絶版になっているようです。著者は精神療法の創始者だそうです。しかし9年足らずで絶版になってしまうとは…


このコラムは、2020年10月14日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1045号に掲載した記事です。

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顧客感動

先週は「顧客満足、顧客不満の解消」について考えてみた。今回はそれらを超越した「顧客感動」について考えたい。

ずいぶん前のことだがTVコマーシャルで「デライト」という言葉を知った。
たばこ会社のコマーシャルで、タバコを吸おうとした紳士がそばに子供がいるのに気がつきそっとタバコをしまう。という映像に「デライト」という言葉がかぶさってくる、というコマーシャルだったと記憶している。

顧客満足(Customer satisfy)と顧客感動(Customer delight)の違いとは
「顧客満足」は顧客の要求を100%満たしている状態。
「顧客感動」は顧客の要求を超えた品質(機能、性能、質感など)
と定義すればわかりやすいだろうか。

以前指導していた電動バスの製造企業は售后服務(アフターサービス)という部門があり、顧客クレーム対応をしていた。バスのモータが故障したということで、即顧客訪問。迅速な対応は良いが、車内に持ち帰った情報は、不良と言われたモータの外観写真のみ。

これでは技術も品証も何も動けない。

售后服務としては、不良現品を持ち帰る手筈を整え早急に不良解析を行い、不良原因を突き止め、顧客に対して他のバスへの波及の可能性を含めて報告しなければならない。これができてプラスマイナスゼロの成果だ。

ここで「顧客感動」レベルの対応はなんだろうか?
顧客の立場に立って考えれば、答えは明確だ。
顧客がバスの故障で困るのは「運行ダイヤの維持をどうやって実現するか」ということだろう。これを素早く解決すればプラスマイナスゼロからプラス側に振れるだろう。

実は全く故障しないバスを提供しても、顧客はその凄さに気がつかない可能性がある。稀に故障するがその対応が素晴らしい。というのが理想状態なのかもしれない(笑)


このコラムは、2021年8月23日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1179号に掲載した記事です。

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スイッチ接点不良

 タイホンダおよびホンダは7月8日、『レブル250』など8車種について、ヘッドライトが点かなくなるおそれがあるとして、リコール(回収・無償修理)を国土交通省へ届け出た。
対象となるのは(中略)8車種で、2014年3月19日~2021年4月28日に製造された4万3387台。
対象車両はハイビーム/ロービーム切換えスイッチの接点構造が不適切なため、はんだフラックスが接点表面に残留するものがある。そのため、そのまま使用を続けると、切換えスイッチが接触不良となり、最悪の場合、ヘッドライトが点かなくなるおそれがある。

改善措置として、全車両、対策品の切換えスイッチを組付けたウィンカスイッチアッセンブリと交換する。

不具合は104件発生、事故は起きていない。市場からの情報によりリコールを届け出た。

Responseより)

 「ハイビーム/ロービームの接点構造が不適切」としか表記されていないので何が問題なのか判断できない。普通に考えるとスイッチの端子はスイッチ筐体の外側にあり、筐体内側のスイッチ接点にフラックスが侵入するような構造になっていないはずだ。

半田付けによりフラックスがスイッチ内部の接点まで侵入するのであれば、部品選定時の評価不足と言わざるを得ない。

前職時代に新規部品登録委員会の主査をしていた。機構部品は分解して内部観察、スイッチ、コネクタ類は硫化水素による腐食試験を実施していた。ただ分解するだけでは何も判断できないかもしれないが、継続することによりどういう構造でフラックスの侵入を防いでいるのかわかるはずだ。

またこのような事故が、経験値を積み上げる。流石にどこのメーカのどの型番のスイッチかを公表はしないだろう。しかしその気になれば道はある(笑)

以前回収対象になっていたPC電源をジャンク屋を回って探した事がある。
手に入れたPC電源を分解し、中を調べてみたが原因は分からなかった。しかしこの話を他社の品質担当者にしたら、それはこういう不良なのだよ、とそっと教えてくれた。熱意があれば道は開けるものだ(笑)


このコラムは、2021年7月21日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1165号に掲載した記事です。

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