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新常用漢字

新常用漢字、12年度から指導=中学で読み、高校で書き―文科省

 文化審議会が常用漢字表に追加を答申した196字について、文部科学省の専門家会議は29日、2012年度から中学で読み、高校で書きの指導を始めることを決めた。196字が追加された漢字表は11月にも告示される
見通しで、同省は学習指導要領の一部改定作業に入る。

 同省によると、小学校では当面、196字の指導はしない。読みは中学の各学年に割り振り、高校では主な漢字を書けるように指導する。

 文化審議会は6月、文科相への答申で196字のうち「鬱(うつ)」など画数の多い字を念頭に「すべてを手書きする必要はない」としていた。

 専門家会議はこれを受け、書きの指導を必要としない字を明示することも検討したが、すべての高校に一律の基準を示すのは適当でないとして見送った。

 高校、大学入試では、新常用漢字を中学、高校の1年生時から学んだ生徒が受験する15年度試験から出題できることにした。また、大学入試で手書きが難しい漢字を書かせる問題が出されることがないよう、配慮を求めた。 

 

(asahi.comより)

 日本の常用漢字が1945文字から2136文字に改定したのを受け、文部科学省が指導方針を出した。

調査によると、10代の若者は「俺(おれ)」や「鬱(うつ)」の追加で話題の文字を7割以上の人が知らない。常用漢字表の存在を知らない者が6割もあるという。

文部科学省の指導方針は、えらく甘いように思えるがいかだろうか。
手書きでかけなくても読めればOKという方針は、PCの普及により文書作成をPCに頼っていることを背景としているのであろう。

しかし子供たちが、漢字を覚える負担から開放される時間で、何を習得すべきか、明確にしておく必要がある。「ゆとり教育」の時のように、その背景にある意図が明確に現場に伝わっていなければ、施策は有効に機能しない。

私なりに「ゆとり教育」まで遡って考えて見た。記憶偏重だった教育による画一な人材よりは、豊かな感性、思考能力を持った人材を多く育てたい、という意向だと理解している。

日本の戦後教育は、画一的でそこそこ優秀な人材が製造現場で「和」を持って仕事をするのに、有効だったのだろう。しかし時代は変わり規格量産品の生産では、国の経済を支え、国民の生活を豊かにすることができなくなった。
多様性、変化の時代には、一人ひとりがより創造的な仕事が出来なければならない。
そんな時代的要請が「ゆとり教育」の背景にあると理解している。

しかし「ゆとり教育」は、学力の低下しか生まなかったのではないだろうか。その反省の一部として今回の196文字の追加があるのかもしれない。

ところで、中国を考えてみると、漢字は8000文字あるといわれ、4、5000位の漢字を覚えていないと生活にも支障をきたすだろう。ひらがな・カタカナがある日本と違い、小学一年生でもいきなり教科書は漢字だけだ。

50文字を覚えれば、教科書を読める日本の小学生一年生と比較すれば大いなるハンディだ。まずは漢字を覚えてしまわなければ、次がない。

「おねえさんは、りんごをひとつもっていました。おとうとは、りんごふたつもっています。ぜんぶでいくつあるでしょう」という足し算の問題は、中国の教科書では「姐姐有一個苹果。弟弟有二個苹果。一共多少?」となる。
漢字が読めなければ算数も勉強できない。

そのため中国の教育は、記憶能力に大きく偏っているように思う。
中国人の若者を見ていて感心するのは、その記憶力の良さだ。
11桁の電話番号も難なく暗記している。日本人の様に3桁とか4桁に区切って覚えるようなこともしない。

しかし残念ながら、全体的に物事を把握したり、論理的に分析、説明する力は見劣りがする。創造的な文章を作るよりは、記憶の中から成語を選び出す方が得意だ。もちろん13億人もいるので、優れた人もいるが、平均的に考えると記憶力偏重といえるだろう。

だから駄目なんだ、と嘆いている場合ではない。
足りないところは、鍛えればよいだけだ。


このコラムは、2010年10月11日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第174号に掲載した記事です。

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工場移転

 フォックスコンの龍華工場が、内陸部に移転した。
20万人いるといわれた、フォックスコンタウンが一気に移転したわけだ。工場敷地内には、従業員の宿舎、銀行、レストランなどがあり、工場間を移動するための電気自動車が巡回している、という規模だ。
まさに一つの町が全部内陸部に移転してしまったということだ。

深セン地区の、賃金上昇が原因で労務費の安い内陸部に移転したわけだが、その賃金上昇を加速させたのがフォックスコン自身だったのが皮肉だ。つまり連続自殺騒ぎを、金の力で抑えようと賃金を倍にすると発表し、そのまま内陸部にトンズラした形になっている。

一頃ベトナムへの移転が騒がれた。当時ベトナムまで視察に行った知人が何人かあり、現地の様子を聞かせてもらった。また内陸部に移転を考えている工場もかなりあっただろう。

移転の資金がないのでここで頑張る、と自嘲気味に決意された経営者様のお話も伺った。

内陸部、ベトナム、ミャンマー、果てはアフリカに安価な労務費を求めて移転しても、労務費の上昇は時間の問題だ。つまり問題の先送りでしかない。

徹底的にムダをそぎ落とし、5年後でも戦える生産能力をつける。移転する費用で、LCA(ローコストオートメーション)に投資する。少数精鋭で、高品質、高付加価値、高フレキシビリティのモノ造りを実現することが、今手をつけなければならないことだ。


このコラムは、2010年10月11日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第174号に掲載した記事です。

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充関門海峡利用し潮流発電機 北九州市が開発へ

 関門海峡の潮の流れを利用した発電機の開発に、北九州市が乗り出す。25日に発表した2011年度一般会計当初予算案に、潮流発電機の試作機1基の製作費1千万円を計上した。市によると、国内では潮流発電の実用例は
ない。東日本大震災や原発事故を受けて「脱原発」の声が高まるなか、新たな自然エネルギーの開発として注目されそうだ。

 市によると、関門海峡の潮の流れは最速の地点で秒速4メートル以上で、潮の向きは1日に4回変わる。潮流発電はこれを利用して海底に置いた水車を回し、電気を起こす仕組みだ。二酸化炭素(CO2)の排出はない。

 市が昨年度、関門海峡での潮流発電の可能性を調査したところ、航路や漁場などを避けて長さ10キロ超の海峡に、高さ1メートルの水車32万7千基を設置すれば、理論上は年間5万5千メガワット時の発電ができるという
試算結果が出た。同市若松区の約半分に当たる一般家庭1万6千世帯分の年間消費電力をまかなえる計算だ。このため「潜在的なエネルギーが眠っている」と判断し、地元の九州工業大学や企業と連携して試作機の製作に乗り出すことにした。

(asahi.conより)

 こういう取り組みが、チリも積もれば「脱原発」が実現するのかもしれないが、気の遠くなるような話だ。
たまたまなのか、故意なのか潮流発電の能力を、年間の発電量で表示してある。年間5万5千メガワット時というと、ものすごい発電量のように感じる。

原子力発電による総供給能力は4950万kWである。つまり4万9500メガワットだ。ここに数字のごまかしがある。潮流発電は年間発電量で表示してあり、原子力発電は発電能力だ。
従って同じ単位で比較すると、
年間発電量は
潮力発電:55000メガワット時
原子力発電:433.6百万メガワット時となる。

同規模の潮力発電所が7900箇所ほどなければ、原発一機分の代替えにはならない。

電力会社が、まとめて発電した方が効率が良いように見えるが「脱原発」を決意すると、各自治体、各個人がリサイクル可能なエネルギーで「電力自己調達」の努力を払わなければならないのかもしれない。

ところで私は、学生時代に波による発電実験に駆り出された事がある。
街の発明家(土建業の若旦那)の思いつきで、冬の内灘でいかだに乗せた波発電機を50mほど沖に引っ張って行き、発電が出来た証拠にパトライトを点灯させると言うデモンストレーションをした。

電子工学部の頭脳を期待されたのではなく、ウェットスーツを着て冬の日本海をいかだを引っ張って沖まで泳ぐという力仕事を期待された(笑)

ならば水泳部の学生を連れてくれば良かったのだが、貧乏学生だった私は何かと若旦那に恩義があり、冬の海を泳ぐ羽目となった。

溺れかけて必死だったのだが、肝心の地方新聞の記者が来ておらず、私たちのデモンストレーションは徒労に終わってしまった。


このコラムは、2011年5月30日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第207号に掲載した記事です。

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不具合事例から未然防止

 「不具合事例から未然防止」が、私の長年のテーマだ。
開発のエンジニアだった頃からだから、既に20年余りこのテーマを考えている。
このメルマガの「ニュースから」「失敗から学ぶ」のコラムも、他社事例から未然防止を考えるきっかけになればと思い書いている。

30代だった頃は、ひたすら不具合事例を暗黙智として、溜め込んでいた。
役職が付き、部下を預かるようになってから、暗黙智を形式智にに置き換え、いかにして部下に伝えるかを考えるようになった。

当時はチェックシートを作り、類似の問題がないことを確認するようにしていたが、形だけの形式智であり、自分自身の暗黙智の領域を出ていなかったように思う。

その後品質保証部を担当することとなり、「不具合事例から未然防止」はテーマと言うより、課題として取り組むことになる。
事例を理解し、応用できるように「不具合事例集」を作った。つまり具体的に不具合事例、原因、対策を記録し、そこから導かれる「教訓」を抽象化して抽出するようにした。

例えば、外部から購入しているOEM製品のネジの頭がポロリと取れてしまう不具合が発見されると、発生の経緯、不具合のメカニズム、不具合の発生原因、対策を統一フォーマットに書く。
そして其々を一度抽象化し後に、キーワードとして検索できるようにする。

「ネジ頭ポロリ」に関して言えば、不具合現象は、ネジをメッキした時に残留した水素による、水素脆性破壊現象。原因はメッキ後のアニール工程を飛ばしてしまったことだ。

この事例に「水素脆性破壊」「熱処理」「工程飛ばし」などのインデックスを付けておく。
このデータベースを、新規の不具合に出遭った時や、新製品のレビューの時などに活用する。

以前紹介した「失敗百選 41の原因から未来の失敗を予測する」の中尾教授が提唱しているように、失敗を上位概念に上げて失敗ライブラリーを作る。失敗ライブラリーの事例を下位概念に下ろし、現実問題への応用をする。
と言う考え方と同じだ。

中尾教授は「つまり」が上位概念への上昇であり、「例えば」が下位概念への下降であると喩えている。

しかし、当時作った不具合事例集は余り活用されることはなかった。

原因のひとつは、検索のコンピュータ支援が不十分だったことと考えている。
当時データは、紙に印刷しファイルキャビネットにしまってあった。
これでは検索は困難だ。

これはIT技術の進歩により解決可能だ。
個人のPCにあった事例集原稿を、サーバにおき、検索可能にしておく。
ありがたい事に、殆ど無料でこういうシステムを作り上げることが出来る。

もうひとつの理由は、キーワードに対する事例が不足していたことだろう。
「水素脆性破壊」などと言うキーワードで検索しても、「ネジ頭ポロリ」しか出てこない。と言うより「水素脆性破壊」で検索することが二度となかった。

周辺装置と言う広い分野で収集した、わずかなデータではこうなってしまうだろう。「失敗百選」のようなパブリックデータベースも活用すれば、改善できそうだ。

しかし分野を絞れば、かなり役に立つ。
設計不良も、工程不良も抽象化すれば、殆どが「再発問題」であり、原因はそれほど多岐にわたるモノではない。

むしろ問題なのは、事例集を活用する側の問題だ。
いくら立派なナレッジデータベースがあっても、それが活用されなければ意味がない。未然防止と言う立場から考えれば、設計レビュー、新製品試作レビューで、活用されるのが良いだろう。

前職時代には、レビューは開催者からの一方的な「儀式」だったが、事例集によるレビューを持ち込み、うるさい品証オヤジとして恐れられていた(笑)

最近は、このナレッジをFMEA(故障モード影響解析)に入れ込んでしまうのが良いと考えている。

【参考文献】
「失敗百選 41の原因から未来の失敗を予測する」中尾 政之
これだけの事例を収集整理された中尾教授の業績に感服する。

「失敗の予防学 人は、なぜ“同じ間違い”を繰り返すのか」中尾 政之
磁性体のバラツキ不良を調べて、磁性体薄膜形成のコストダウン。
こういう事例を読むのが楽しみだ。残念ながら販売終了。古本のみ。

「失敗に学ぶものづくり」畑村 洋太郎
この本も既に販売終了。
私はアマゾンの古本を注文した。

「失敗学のすすめ」畑村 洋太郎
「失敗学」を世に送り出した本。14万部売れ、畑村氏を「失敗学の教祖」とした。畑村氏は中尾教授の元上司。
この本も販売終了。しかし文庫版が出ている。

整理・整頓

 最近5Sに関する研修の引き合いを受けることが多くなって来た。
世の中の5Sに対する認識が変わって来たというわけではないが、中国で発行している日本語雑誌「EMIDAS」「華南マンスリー」で5Sに関するコラムを書き始めたためだと思う。

整理・整頓のことを「2S」ということが良くある。
普通に言えば「片付け」だ。

最近「人生がときめく方付けの魔法」という本を読んだ。

腰帯でにっこり笑っている著者の近藤真理恵さんは、子供の頃から、主婦向け雑誌の「片付け特集」が大好きだったそうだ。今は「片付けコンサル」というちょっと変わった肩書きで仕事をされている。

主婦向けの雑誌と言えど馬鹿には出来ない。5Sを指導する者にとって、参考になることもある。そんな訳でこの本を手にとって見たが、普通の片付け本とは一線を画す内容となっている。

「大切なのは過去の思い出ではありません。その過去の経験を経て存在している今の私たち自身が一番大切だということを、ひとつの物と向き合うことを通じて、片付けは私たちに教えてくれます」

「空間は過去の自分ではなく、未来の自分のために使うべきだと、私は信じています」

という哲学的考察の上で、整理の意義をといています。

また整頓の方法論も、以下のように示唆します。

「散らかるのは「元に戻せない」から。使う時の手間よりしまう時の手間を省くことを考える」

「散らかった状態が、人の心を蝕む理由は、あるのかないのか分からないのに探さなくてはならず、しかも探しても探しても出てこないことにあるのです」

ただ片付けの方法論を語るのではなく、哲学的な考察を持って片付けの真髄に迫っている。

5S実践のバイブルと言ってしまうとちょっと大げさだが、整理・整頓の意義を見失っている人に5S指導をする際に参考になる内容だ。

無論個人生活の片付けに関しては、間違いなくバイブルと言って良い内容だ。著者が提唱するのは、片付けの結果得られる「好きなものだけに囲まれて生活する幸せ」だ。

この幸せな状態とは、工場やオフィスではどう言う状態なのか、その答えを見つけるのが今の私の課題だ。

「人生がときめく方付けの魔法」
書店で探す時は、生活実用書に分類されているので、いつもと違う書棚を探していただきた(笑)


このコラムは、2011年6月6日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第208号に掲載した記事です。

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経営戦略

 日本のモノ造り産業について考えてみた。
敗戦後壊滅的なダメージを得た日本のモノ造り産業が急速に発展した要因は優秀な人財が生産現場で必死に働いたからだと思う。何もかもを失った国民は、「豊かな生活を手に入れる」と言う渇望に突き動かされ、「会社人間」となり昼を夜に次いで働いた。

明治維新後「欧米列強に追いつけ追い越せ」と言う命題が国民を動かした様に戦後も「復興」と言う命題を国民が共有していた。当時は既に「手本」があり、それを真似すれば良かった。需要が供給を上回り、作れば売れる状態だった。

「安かろう悪かろう」と先進国から蔑まれた品質も、デミング博士の指導で飛躍的に改善。モノ造り日本、品質の日本と言う称号を得るまでになった。
米国から「不当競争」とされ、不公正な関税をかけられる。世界中から日本人は働き過ぎだと非難され、国は祭日をむやみに増やした。豊かになった国民は「ゆとり」に向かう事で、「渇望」は消滅。日本の復興を支えた「企業戦士」達は若者世代から「社畜」と蔑まれ、政府は労働時間の短縮に加速をかけている。

「追いつけ追い越せ」と一生懸命働いていたが、いつの間にか先頭を走っており、真似をする手本が無くなっていた。独自のモノを開発する気運が高まる。そしてPCに代表される同一規格大量生産品では台湾、中国に負ける。
独自の価値を提供するAppleに代表される企業には全くかなわない。日本の独自規格製品群はいつの間にか「パラカゴス製品」となる。

こういう状況を経営戦略の「失敗」と定義するのは行き過ぎかもしれない。
しかし我々の働き方を改革しなければ、このままではじり貧になるのは見えている。「働き方改革」は労働時間の短縮ではない。新たな創造するために働き方を改革すする、と言う事だと考えている。

命令服従型の組織で忍耐力を持って働く時代ではない。
説得納得型の組織で問題解決能力を発揮して来た時代もそろそろ終わりだろう。
新たな価値を創造する課題発見能力を磨く時代だと思っている。
横並び主義の日本の社会では、他人と違う考えを持っている人財をつぶす傾向がある。我々「昭和世代」が頼りなげに感じている「ゆとり世代」の多様な考えを活かす、そんな組織を作らねばならないだろう。

エイベックスが考える“ポジティブ”な働き方改革–未来を語る人事制度」と言う記事を読んでそんな事を考えた。


このコラムは、2017年12月20日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第604号に掲載した記事です。

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目標は宣言しない

 以前メールマガジンのコラム「リーダーシップの形」でデレク・シヴァーズをご紹介した。

「リーダーシップの形」

本日のタイトルは、デレク・シヴァーズのTEDスピーチ「Keep your goals to yourself」からきている。

Keep your goals to yourself

夢を実現したければ、夢を公言すると実現する可能性が高まる、というのが世の成功哲学と思っていたが、シヴァーズ氏によると逆だそうだ。

目標を人に宣言することで、「代償行為」が発生しすでに夢が実現したと錯覚してしまうそうだ。そのため夢実現のための努力に対するモチベーションが上がらず、結局夢の実現から遠ざかる、ということだ。

社会心理学者はこれを実験で確かめている。
163人の被験者に、個人目標を紙に書いてもらう。被験者を2グループに分け第一グループは、自分の目標を皆に宣言する。第二グループは目標を誰にもいわない。その後目標実現のために45分間作業をしてもらった。
第一グループは平均33分で作業をやめてしまった。
第二グループは全員45分間作業をした。

それぞれに目標達成の手応えを尋ねると、
第一グループはゴールにずいぶん近づいたという。
第二グループは目標の実現はまだ遠いという。

ここまでの実験で、どちらが目標に近づいているのかは明らかだと思う。

日本には昔「不言実行」という言葉があった。しかし最近では「有言実行」という新造語の方が幅を利かせているようだ。

あなたがどちらの考えに付くかは、ご自由だと思う。
最後に論語の一節をご紹介する。

「子曰く:君子言に訥(とつ)にして、行に敏(びん)ならんと欲す」

参照:「言に訥、行に敏


このコラムは、2018年9月7日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第716号に掲載した記事です。

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変化と変革

 「変化」と「変革」は似ているようだが明確な差がある。
辞書を調べてみると、
「変化」:ある状態や性質などが他の状態や性質に変わること。
「変革」:変えて新しいものにすること。変わって新しいものになること。
とある。

変化は、ポジティブな変化もあり、ネガティブな変化もある。改善も劣化も変化だ。しかし変革はポジティブに変わることだ。

変化も変革も「変わる」ことは同じだが、変化は受動的、変革は能動的と定義できそうだ。

そして変化は受動的であるため、変化に対応するリーダが必要となる。
一方変革は能動的であるため、変革を起こすリーダが必要になる。

【変化リーダの資質】短期・中期のリーダシップ
 迅速な判断力・決断力
 メンバーの統率力
 変化(事故、火災、景気後退)は迅速に対応しなければならない。軍隊式のリーダシップで一気に解決しなければならない。

【変革リーダの資質】中期・長期のリーダシップ
 理念・ビジョンの策定と浸透
 メンバーの育成力
 変革(組織変革、新規市場進出)には一気呵成よりは周到な進捗が必要だ。
理念・ビジョンがぶれないようにし、メンバーの意欲と能力を高めて戦略的に取り組む。

向き不向きはあるだろうが、局面に合わせて変化リーダ、変革リーダを担える人財を育成できれば鬼に金棒だ。


このコラムは、2020年11月2日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1053号に掲載した記事です。

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人の心にビジョンを描く

 自分自身の心にビジョンがフルカラーで、かつ日付入りで描かれている人は、そのビジョンが実現する可能性が高いと言われている。「フルカラー」というのは私の比喩だが、ビジョンが明快・詳細になっているという意味だ。

私の個人的な見解では、ビジョンを他人の心に描く事が出来る人はビジョンの実現可能性は、更に上がる。

考えて見れば、当たり前だろう。自分のビジョンを投資家の心に描く事が出来れば、資金調達の心配は無くなる。自分のビジョンを従業員の心に描く事が出来れば、従業員はビジョン実現のために一生懸命働いてくれる。

実は私の心にビジョンを描いた中国人経営者がいる。
自動車部品の工場を経営している中国人だ。彼はやたら「PK」という言葉を使う。「PK」とはペナルティキックの略称で、一騎打ちという意味だろう。「ビル・ゲイツとPK」などとしばしば発言するので、ただの大ボラ吹きだと思っていた(笑)彼のビジョンは、自分の会社をフォーブス500企業にする事だ。

私が指導していた当時、彼の工場は従業員100名弱の町工場だった。彼はビジョンを実現するために、先ずは従業員の給与を倍増させた。保安係、清掃係も例外なく上げた。

このあたりから、この男はただのホラ吹きではないと思い始めた(笑)

彼が同業の経営者の心にビジョンを描けば、合併により企業規模が一気に2倍になる事もあり得る。成功者は必ずしも一人で成功する訳ではない。同じ志の者が協力する事で成功への道は近くなるはずだ。

彼は私の心にはビジョンを描いたが、従業員の心には描ききれなかった様だ。
私にはドミノが一つずつ倒れていく予感がある。しかし従業員にはホラ話にしか聞こえなかった様だ。

経営者には、従業員の心を動かす表現力も必要なのだろう。


このコラムは、2017年5月1日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第526号に掲載した記事です。

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目標達成

 日系企業は4月が年度始まりの所が多く、そろそろ来年度の事業計画や目標の設定をしておられる事だろう。
中国で仕事をされている方は、春節が区切りなので既に目標設定は大詰め段階だろう。

新年になって個人の目標設定をされた方もあろう。朝日新聞電子版にこんなコラムがあった。

「今年こそ目標達成! 脱・三日坊主のコツ」
 新年の目標は立てましたか? 毎年最初はやる気マンマン! でも、気がつけば三日坊主……。そんなあなた(とわたしたち)のために、目標達成のコツを取材しました。

目標を達成するためには、まず正しく目標を設定しなければならない。コラムにも書いてあるが、「痩せる」「英語を頑張る」は目標ではなく、願望だ。目標であるためには以下の条件が必要となる。

  1. 具体的である事:Specific
    何をどうするのかが明確である。
    「痩せる」「英語を頑張る」では何をどうするかが明確ではない。
  2. 測定可能である事:Measurable
    結果を測定出来る。
    現状と目標が測定出来る必要がある。「痩せる」ならば体重や体脂肪率で測定可能だ。
  3. 達成可能である事:Achievable
    努力すれば達成可能である。
    簡単に達成出来てしまうモノを、わざわざ目標にする事はない。努力をすれば達成出来る事を目標とする。どう考えても達成不可能な非現実的目標を設定しても達成のためのモチベーションが上がらない。非現実的な目標を持つ事が、自分は駄目な人間である事を確認する行為になってしまっては逆効果だ。
  4. 重要である事:Relevant
    意義がある。
    無意味な事をやり続ける事は不可能だ。その目標を達成することによりどの様な意義があるのか、分からなければ目標達成のモチベーションは上がらない。
  5. 期限が具体的である事:Time-bound
    いつまでに達成するかが明確。
    期限が決まっている事も、モチベーションを上げる要因となる。何時でも良いと言う仕事は永遠に達成出来ない。期限が入っていなければ、ビジョンとか目標とは言えない。期限が入っていなくても良いのは目的だ。これは生涯をかけ達成する己のありようだからだ。

これらの条件の頭文字をとると「SMART」となる。
目標を設定したら、スマートかどうかまず確認しよう。

目標が正しく設定出来たら、達成する方法を考えなければならない。

  • 具体的な行動計画に変える
    「痩せる」では何をすれば良いのか不明確だ。痩せるために食事を制限する、運動をする、などの行動に変換しなければならない。

    工程内不良を年内に○○ppmにする、と言う目標だけでは何をしたら良いか分からない。これを仕様決定段階、設計段階、試作段階、量産段階などに分解し、それぞれの段階でどのような行動をすべきかにブレークダウンする(長期の改善)
    同時に現状の把握により、不良現象の改善活動を計画する(短期の改善)

  • 小さな目標を作る
    例えば、痩せるために「走る」と言う行動を繰り返す事にする。しかし1回走っても、目標は達成出来ない。長い期間継続する事が必要だ。○○kg痩せると言う目標の下に、一週間で○○km走ると言う目標を置く。
    小さな目標を置くことにより、達成感が得られる。達成感は継続の燃料だ。

    工程内不良の具体的な効果は、改善対策ごとに測定が可能であり、小さな目標が設定可能だ。

    工程内不良削減の長期的対策として設計品質の向上は必ず効果はある。しかしすぐに工程内不良率削減の効果は見えない。設計審査の指摘改善件数。量産試作時の指摘改善件数などを小さな目標として設定する。

  • 定期的にチェックフィードバックをするチェックをすることにより、走った結果が目標に対してどのような成果となったかを確認する。目標達成計画に対して差異があれば、行動計画の変更を検討する。
    目標達成に長期間かかる場合は、モチベーション維持のために定期的チェックは必須だ。

「禁煙する」と言う目標は、定期的に測定出来る効果がない。だから三日坊主になり易いと言えるのかもしれない。実は私は、禁煙の天才だ。もう何度も禁煙をしている(笑)

私が何度も禁煙できる秘訣は、

  • 記録する
    今日は煙草を吸わなかったと手帳に丸印を書く。丸印がたまる事が、成果の一種となり、継続モチベーションを維持出来る。スマホなどいつも身に付けている電子デバイスのライフログアプリを利用すれば手軽だ。
  • 自分を許す
    これが何度も禁煙を成功させている秘訣だ(笑)
    以前は一度禁煙を破ると、リバウンドして喫煙量が増えると言う結果となっていた。一本煙草を吸ってしまっても、手帳に×を書くだけで、翌日は何事もなかったかの様に禁煙を継続することにした。

上記コラムにも書いてあったが、三日坊主も100回繰り返せば300日やったことになる。三日しか出来なかったとネガティブに考えれば、そこで継続終了だ。三日間だけでも健康に良いことができたと考えれば、また継続を開始出来る。


このコラムは、2014年1月13日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第344号に掲載した記事です。

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