経営」カテゴリーアーカイブ

心を鍛える

 
『ラグビー日本を変えた「心の鍛え方」荒木香織著

友人(著者の同級生)の紹介でこの本を読んだ。

運動選手のメンタルを鍛える仕事をしておられる。ラグビーの五郎丸選手がゴールキックをする前に必ずするポーズを五郎丸選手と一緒に作り上げた人だ。あの祈りにも似たポーズを「プレ・パフォーマンス・ルーティン(PPF)」という。

五郎丸選手のポーズから、失敗しないように神様に祈っているように見える。
しかしあれは「祈り」ではなく、ゴールキックを成功させるための意識の集中・動作のシミュレーションだそうだ。

同様にイチロー選手も、バッターボックスで行うルーティンがある。同じ効果を狙ったものだと思うがイチロー選手の場合、朝起きた時からPPFが始まる。食事、トレーニングのやり方など生活全てがPPF化されている。

体と精神はつながっており、精神を安定させることにより体のパフォーマンスがあがるのだろう。

私はスポーツ選手ではないが職業人としてパフォーマンスを発揮できる状態をキープしなければならない。最低限、健康状態を保っていなければならない。その上で高いモチベーションをキープしなければならない。

ではどうすればモチベーションを上げられるか?
人は、自分でコントロールできることが多いほどモチベーションは高まる。
誰かに言われてやるのではなく、主体性を持って取り組む方が成果が出る。
受け身から脱出することでマインドセットが変わる。

自分自身だけではなく、部下も同様にマインドセットを変えたい。
主体性を持たせるためには、作業を任せるのではなく、仕事を任せることだと思う。


このコラムは、2020年12月18日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1073号に掲載した記事です。

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小林製薬:その後

 ジェネリック薬製薬・小林化工が、水虫薬生産時に睡眠導入剤を使用した事件が昨年発生した。
この事故に関して考えたことを、以前メルマガに書いた。
水虫薬に睡眠剤誤混入

サワイグループホールディングスが小林化工の工場、従業員を買収するというニュースが出ていた。

「睡眠剤混入の小林化工、サワイに後発薬全工場を譲渡」

 サワイグループホールディングス(GHD)は3日、品質不正問題が発覚した小林化工(福井県あわら市)から後発薬の全工場と関連する部門の人員を譲り受けると発表した。物流や研究開発の拠点も譲り受ける。

以下略

全文

この様な人為ミスを防ぐにはどの様なアプローチを取ったら良いか、という観点で対策を考えてみた。

しかし対策を実施するよりも、企業の存続が危うくなってしまった様だ。
万全の対策を実施しても、経営が成り立たなかったら意味がない。

製薬作業を間違えてしまった従業員はどうされたのだろう?
会社には居づらくなってしまっただろう。
経営者は身売りをして仕事を失ってしまっただろう(企業の売却により金銭を得たかもしれないが、薬害を受けた方や亡くなってしまった方への賠償が有るのではなかろうが?)

法令に従わない作業をした(作業指示した)責任は当然重い。

わたしたち過去の事件から「法令遵守」とお題目を唱えるだけでは足りない。
職場環境、作業方法を整備し、作業そのものが法令違反が起き得ないようにしなければならない。


このコラムは、2021年12月8日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1225号に掲載した記事です。

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納品書を義務付けず 千葉県、公金不正操作可能に

 総額30億円の千葉県の不正経理のうち、使途不明金が1億1100万円にも上ったのは、県が物品納入の際に業者からの納品書の受領・保管を各部署に義務づけていなかったためだったことが県関係者の話などで分かった。
納品書の受領・保管の義務がなければ受領を証明する書類を職員が勝手に作成することが可能で、裏金化した「プール金」は私的に流用することが容易になっていた。

 県によると、納品書の受領・保管の義務がないため、実際に納品されていないのに書類上は納入したことにして代金を支払い、業者の口座に現金をプールするような不正経理が可能になる。県の追跡調査では、納品書がなく、物品も確認できなかったため、使途不明金としたのは総額1億1168万円に上った。

 詐欺容疑で逮捕された職員も、こうして業者にプールされた資金の中から料亭の飲食代金などを支払っていた。

 朝日新聞が47都道府県を調べたところ、納品書の受領・保管の義務化を完全に実施していないのは、千葉も含め、宮城、秋田、山形、富山、石川、三重、滋賀、兵庫、岡山、広島、愛媛、大分、鹿児島、沖縄の15県。特に千葉や石川などの数県はすべての物品に対して納品書を義務づけていない。

 納品書の受領・保管を義務づけている都道府県のほとんどは、納品書と物品を複数の職員が確認・検印しなければ、支出できない仕組み。兵庫県や広島県は高額物品だけしか納品書を求めていないが、購入窓口を用度の担当課だけとしているため、一般部局では業者と接触できないようにしている。

 千葉県管財課は「今後は納品書を徴収した上で、発注者以外の人物が納品を確認するようにしたい。速やかに規定を整備したい」としている。

(asahi.comより)

 県民から預かったお金で組織を運営し、そ、こから給料をもらっている人間として1円たりとも使途不明金があってはならないはずだ。
もちろん不正をした職員に責任があるが、不正が可能になる業務方式を放置した組織の責任は大きい。
職員全員が自らの職業の意義を正しく理解し仕事に取り組まなければならない。「慣行」に流され不正を不正と思わない組織文化が蔓延していたのであろう。

森田知事は「職員としての誇りはどうなったんだ」と声を荒らげたそうだが、正しい組織文化を構築するのは組織トップの責任のはずだ。

ちなみに滝沢村役場は経営理念を内外に告知し、職員の行動規範として経営の姿勢を明確にしている。

TVドラマで見た熱血正義漢・森田健作の活躍を期待したい。

中国での会社運営も同様である。
まずは仕事の目的・目標を明確にし、従業員が行動規範に従って誇りを持って仕事ができる企業文化を構築することが重要だ。

その上で会社の制度・仕事の手順で不正ができないようにしておく必要がある。先週号で紹介したように、中国ではどんな些細なことでも利権として活用する「能力」を持っている従業員に仕事をしてもらっている。

従業員が目先の利益にとらわれ不正をしてしまわないように仕組みを作る。
たとえば購買部が発注伝票を発行した場合、業者からの納品は、納品課、受け入れ検査課を経て材料倉庫に入庫して始めて検収があがるようにしてあるはずだ。たくさんの人の目に触れるようにしておくことで個人の不正を防ぐ。

購入単価を納入業者や全従業員に公開しておくのも同じ理由だ。

経営者は従業員を信頼するのが基本だ。
そして信頼を裏切るような行為ができない仕組みを構築しておくことが必要だ。


このコラムは、2009年9月14日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第116号に掲載した記事です。

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小さな利権

 多くの中国人は自分の職務上の権限を利用して自分自身・親族・友人の便宜を図るのは当たり前のことだと考えているように思える。

贈収賄は罪になるが、ちょっとした便宜を図るくらいは罪の意識はない。
公務員の人気が高いのは、安定した職業であるということのほかにこのような便宜を図る力をもてるからだろう。
親族に公務員がいれば、営業許可の申請はいとも簡単に取れると聞く。

このような大きな便宜ばかりではない。
たとえば銀行の保安係が知人だと、長い列の横から窓口に通してもらえる。列に正直に並んでいる人は文句も言えない。「没方法」と諦めるしかない。

工場でも同じように小さな利権がまかり通っている。
たとえば総務の女の子が出張者やお客さんのお昼の弁当の注文を聞いて回る。お昼に日本食レストランから弁当が届く。
現地食になれない出張者にはありがたいサービスだが、実はこれも一食につきバックマージンが日本食レストランから戻ってくる仕組みになっている。

この程度だと、目を瞑ってもどうということはないかもしれない。

しかしコンテナを一本手配するとバックマージンが入ってくる。
生産の補助材料を親戚が経営しているペーパー商社経由で発注する。
作業員の採用面接に10元ずつ手数料を徴収していたという例まである。

これらを放置すると、本来会社の利益となるものが一個人の財布に入ってしまうことになる。中国での商習慣だからとうやむやにしておいてはだめだ。

会社の上から下まで、こういう利権に一切関与しない、させないという企業風土を築く必要がある。

中には日本人経営者・経営幹部までが中国式に染まってしまっているところがあると聞く。自分の親しい知り合いが経営しているレストランで業者との会食をするというのまであるそうだ。

まずは経営者・経営幹部から襟を正すしかない。
これから月餅の季節になる。もらった月餅はすべてみんなが見えるところにプールして、中秋の食事会で全員に配布するくらいのことから始めてはどうだろうか。

PS.メルマガ配信当時(2009年)の話です。念のため。


このコラムは、2009年8月31日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第114号に掲載した記事です。

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黒、黄色…不況で色ダルマの注文増 福島

 福島県白河地方に春の訪れを告げる恒例の「白河だるま市」が開かれる2月11日を前に、伝統のだるま作りが本格化している。「百年に一度」と言われる不況の中、地元の老舗(しにせ)だるま店では赤いだるまに加えて、金運を呼ぶ黄色や商売繁盛の黒色の「色だるま」の注文が増えている。縁起物のだるまだからこそ、その時々の世相を反映しているようだ。

(asashi.comより)

不況といえども売れるモノはある。
さすがに大きなダルマは売れていないようだが、この老舗ダルマ店では受注が増えている。

受注を増やすのは営業の仕事だが、この不景気の中「営業スマイル」だけでは、竹槍で戦うのも同然だ。

工場もどうすればお客様に喜んでいただけるのか真剣に考えるべきだ。
製造リードタイムを半分にして、納期を半分にする。
工程内不良を徹底的に減らし、お客様での不良をゼロにする。
お客様での使い勝手を上げるために、製品の付加価値を上げる、梱包方法を改善する、輸送方法を改善する。

考えられる課題はいくらもありそうだ。
不景気だからこそこういう課題を解決し「カスタマー・デライト」を目指そう。
魅力的品質が提供できれば、営業を重火器で武装できる。


このコラムは、2009年2月2日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第81号に掲載した記事です。

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未来をイメージする

 未来をイメージして今の仕事の方向性を決める。
こんなことを言うと反論の声が聞こえてきそうだ。

「去年の今頃、この不景気を予測できただろうか?今の時代は予測不可能の時代だ。予測不可能ならば、その場その場で 臨機応変に対応する力をつけるのが先決だ。」

もっともな意見だが、10年後どうありたいかというイメージなしで事業が経営できるだろうか?

日本が戦後すばらしい発展を遂げたのは、欧米の先進企業があったからだ。
彼らを手本としていれば、そのまま未来をイメージすることになった。
ありたい姿が実在するのだからこんなに簡単なことはない。

しかし今はトップを走らなければならない状況となっている。
未来は自分の中にしかないのだ。

10年後は今より更に予測不可能な時代になっているはずだ。
顧客の要求は更にワガママになっており、マーケットの変化も読めなくなっている。そういう時代に対応できる経営者を育てているだろうか。

10年前の延長で今を経営できていれば、同じモノを大量に作ればよい業務遂行型のマネージャがいれば十分だろう。

今必要なのは業務革新型のマネージャだろう。
今の業務をうまくこなすマネージャではなく、今の業務を破壊し業務を革新できるマネージャだ。

ほんの少し前、EMSが脚光を浴びていた。しかしEMS生産・OEM生産では利益を生み出す付加価値の創造が難しい。委託元からのコストダウン要求に辟易しながらビジネスをしても楽しくはない。

10年後とは言わずも5年後の自分達のありたい姿を具体的なイメージとして描き、そのために必要な人財と技術の仕込みを今していなければならない。それが経営者の仕事だと思う。


このコラムは、2009年3月9日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第88号に掲載した記事です。

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顧客の要求に寄り添う

 中国で仕事を始めてもうじき丸17年になる。多くの製造現場でお手伝いしてきた。「バネからバスまで」いろいろな業種の生産現場の改善をしてきた。語呂が良いので「バネからバスまで」と言う様になって気がついたが、バネ、バスを製造している工場の指導が意外と多かった。

ところで多種多様な製造現場を指導しているが、基本は一つしかないと考えている。

当然だが、バネやネジを作っている工場と、バスを作っている工場では作業の内容・方法は全く違う。方や小さな製品を大量に生産、他方は仕様の違う製品を一台づつ生産する。

生産方式、生産物量が全く違っても、彼らの目指すべきころは顧客の要求を満たすことだ。顧客の生産を支える、顧客の顧客の安全・安心・便利を支える。顧客の要求を満たすから、利益がある。生産物は顧客の要求を具体化したモノと考えることができるだろう。

逆に利益を上げることを最優先にした仕事は、顧客から見放されることになる。


このコラムは、2021年11月15日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1215号に掲載した記事です。

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人は本質的に怠惰か?

米国イリノイ州で発生した竜巻がアマゾンの倉庫を直撃し、従業員6人が死亡したというニュースが出ていた。

 「竜巻直撃のアマゾン倉庫、「命より生産性優先」と遺族が批判」

この記事では従業員はトイレに避難していたという。物流倉庫なので柱を使わない壁構造になっていたのだろう。トイレのエリアは壁で囲まれているので、天井崩落のリスクが小さと判断するのは合理的だ。しかしトイレに避難した従業員から死者が出ている。よぼど激しい竜巻だったと思われる。

しかし別の記事を読むと異なる疑惑が出てくる(疑惑というのは大袈裟かも知れないが)

「竜巻で物流倉庫の従業員少なくとも6人が死亡… 米アマゾン従業員、携帯電話の持ち込み禁止ルールを改めて批判」

1本目の記事と矛盾する(1本目の記事には、心配した母親がAmazonに勤務する息子に電話をかけている)が、Amazonでは、作業員は職場に携帯電話を持ち込んではいけないルールとなっているようだ。

20年ほど前、まだ中国の工場が人海戦術生産だった頃、携帯電話を持っている作業員はいなかった。
10年前、生産ラインで班長を探していると作業員が携帯で班長を呼び出してくれた。時代の変化を感じたものだ。その後作業員に携帯電話の職場持ち込みを制限した工場が多くあった。

Amaonほどの企業がいまだに職場への携帯電話の持ち込みを禁じているとは、驚きだ。なぜその様なルールを作っているか↓
「米アマゾンが倉庫従業員の行動を追跡するのは「人は本質的に怠惰」だから」

「人は本質的に怠惰である」というのは多分正しいだろう。だから改善をし、楽に仕事をする工夫が生まれる。「禁止」は最も安直であり、逆効果を生む管理方法だ。この様な管理方法では、職場の信頼関係、協力関係は生まれないだろう。

管理者が従業員を信じて用いれば、従業員は管理者を信じて頼る。
私はこれを「信用と信頼の法則」と言っている。


このコラムは、2021年12月22日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1231号に掲載した記事です。

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品質より優先するモノ

 品質より優先すべきモノは何か?と言う問いがあったとすると、あなたはどう答えるだろうか?

多分このメールマガジンの読者様は「安全」と答えるだろう。
どういう答えが正解だと言う事は無いかもしれない。しかし日本人の経営者の内大部分は、品質より優先すべきモノがあるとすれば、それは安全だと答えるのではないだろうか。

製品を購入してくださったお客様の安全、自社従業員の安全を無視して企業が成り立つはずは無い。私も、優先順位は安全、品質、効率の順番だと考えている。

しかし今まで付合って来た中華系の経営者と話をしていると、微妙に違う事がある。日系企業に勤務し、そこから独立した中華系経営者ならば「品質第一」「顧客第一」と答えるかもしれない。

ある台湾人経営者は、顧客の信頼がまず大事だと言う。
自社の中国工場に生産能力に余裕があるのに、すぐそばに新工場を建設した。しかもすごく立派な外観の工場を建ててしまった。
新規受注の当てがあるの?と聞くと「当ては無いが、工場が立派でなければ顧客が信用してくれない」と言う。

高品質や納期遵守で実績を築けば顧客から信頼を得られる、と私は考えていた。しかし台湾人経営者の言う様に、受注しなければ実績は築けない。「見かけ」が第一なのかもしれない。

先日会った香港人経営者は、生産能力が第一だと言う。
顧客が必要とする物量を生産できなければ、受注はできない。品質は後から改善すれば良い、と考えているようだ。

それぞれに道理はあるのだろうが、私から見れば原因と結果が入れ替わっている様に見える。

本当に優秀なバイヤーは工場建屋の見かけではなく、生産現場の実質を重視する。もちろん財務体質が弱く、供給ができなくなるようでは困る。大量受注があれば、材料を発注しなければならない。資金を回収できるのは材料調達、加工が終わってからだ。しかし財務体質を確認するのに、工場の外観を見る者はいないだろう。

顧客が要求する物を作れる、と言うのは最低条件だ。生産量に関しては、稼働率に余裕さえあれば、何とかなるはずだ。稼働率がいっぱいでも、スペースがあれば短期間で生産能力が上がる。
しかし品質レベルをあげるのは、短期間では難しい。

以前3ヶ月で直行率98.4%の工程を、99.5%に改善した事がある。実質改善活動は生産をしながらの3週間だけだ。しかし事前に改善リーダーや班長、組長の指導ができていたから短期間で改善できた。

別の事例では、顧客クレームを1/2にした事があるが、この時は毎朝工程内不良の原因確認と、再発防止の徹底を行って半年かかった。

品質改善には一定の時間が必要だ。設備を増やせば明日から生産量が増える、と言う訳には行かない。
生産量の向上に注力し,ある程度の品質不良を放置すると,じわじわと体力を失う事になる。癌と同じだ、痛みを感じないうちに癌が進行し、気がついたら余命0ヶ月と言う事になる。

例えば、顧客で不良が発生しても、代替え品を納めていれば大きなクレームにならない。顧客が中国企業の場合こういう事例は多い。
しかし不良対応で選別のために検査人員を顧客に派遣する。
不良代替え品の生産のために小口ロットの生産をしなければならない。
これらの損失も考えれば、工程内不良の損失の10倍はコストがかかっていると考えた方が良いだろう。
しかも、不良発生により顧客の信頼は徐々に失われて行く。あるとき突然営業が呼ばれ、転注が伝えられる事になる。

従って「品質第一」は揺らぐ事があってはならない。
安全は,品質を保証する前提なので、最優先となる。


このコラムは、2015年10月26日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第447号に掲載した記事です。

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干されて味が出る

 「干されて味が出る」どこで見かけたか忘れてしまったが(ひょっとすると落語の演目かも)なかなか味のある言葉だ(笑)
仕事や仲間から干されると、腐ってしまう。当然モチベーションは下がるし、下手をすれば鬱状態になる。

この言葉はこんな具合に使う。
「椎茸も干物も干されて味が出る。干されている間に味が出る」

干し椎茸も干物も腐りにくい。
人も干されて腐ることはない。干されている間に自己鍛錬をして味を出したいものだ。


このコラムは、2022年2月4日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1250号に掲載した記事です。

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