生産改善」カテゴリーアーカイブ

課題発見力を鍛える

 課題を与えられて改善活動をする。
例えば流れ作業の生産ラインの□□工程がボトルネックとなっているので□□工程を改善する、という課題を与えられて改善活動をする。
それに対して課題を見つけて改善活動をするのは、〇〇生産ラインのボトルネックがどこにあるかを探すところから始まる。この場合は、流れ作業生産ラインの改善は、工程編成効率を上げるという鉄則があるので、課題発見は公式化されており誰がやっても同様にできる。

しかし一般的にいうと課題を発見することの方が課題を解決するより難しい。

ではどうすれば部下の課題発見力を上げられるか考えてみた。
こういう能力は「暗黙知」に分類される。したがって「形式知」として言葉で表現するのは難しい。しかし人に伝え課題発見力を高めるためにはまず形式知に置き換える必要がある。
例えば問題発見能力には「関心を持つ」「基準を持つ」その上で「思い込みを排除する」のように言葉に置き換える。しかし残念ながらこのままでは問題発見能力は高まらない。この形式知を部下に「体験」させることによって部下の「暗黙知」に変換する必要がある。

この過程はスポーツに置き換えれば容易に理解できるだろう。
野球のバッティングならば「ボールの芯をとらえる」という形式知を、何度も素振りをすることにより暗黙知化する。


このコラムは、2020年8月10日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1017号に掲載した記事です。

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人間と設備の調和

 「人偏の付いた自働化」の定義は、不良が発生したら直ちに停止する、と言うことだ。その昔、豊田佐吉が、糸が切れたり、なくなったときに直ちに停止する自動織機を発明した。これが「人偏の付いた自働機」の始まりと言われている。

この発明以前の自動織機は、常に作業員が生産機械を監視していなければならなかった。さもなくば、糸が切れたまま自動織機は不良の布を生産し続けてしまう。

「作業員が機械を監視する」と書いたが、見方によっては、わがままな機械に作業員が奉仕しているようにも見える。機械の都合で働く作業者は、機械の「奴隷」と同じだ

糸が切れたら自動的につなぐ、糸がなくなったら新しいボビンを自動的に装填する。こんな自動機が出来たら、作業員の負担は減るだろう。しかし「人偏の付いた自働化」は、人と機械の作業分担に調和を持たせることに焦点を当てる。

「人偏の付いた自働化」とは、調和を基にした作業員の奴隷解放運動だ。

設備は予め仕様で決められた以上の生産はできない。しかし人は、工夫次第で自ら能力の向上が出来る。設備産業と言えど、人が主、設備が従でなければならない。

設備を最速で動かすことばかりに、着目し、作業員を多く投入する。
設備のスピードに合わせるために、事前に準備作業をまとめてやっておく。

このような生産方式は、冷静に考えればムダだ。

1時間に100個生産可能な設備の前工程が80個/時間/人の能力しかない場合、もう一人前工程に投入する。これでは、50個/時間/人の生産効率しかない。
設備のスピードを80個/時間に落とせば、80個/時間/人の生産効率になる。
更に、前工程の作業改善をして100個/時間/人だけ造れるようにするの改善だ。

事前準備をまとめ作業すると、その間設備は空運転となる。空運転となれば、後工程は全て手待ち状態になってしまう。

こう書くと誰でもが当たり前だと納得するだろう。
しかし目の前の設備を止めてはいけないと、必死に作業している作業員や班長には見えないことがある。

指導者は理解できていても、現場ではこのようなムダに気が付いていないことがしばしばある。
指導者は、班長・作業員に人間と設備の調和を納得させ、人を減らす、設備のスピードを落とす勇気を与えなければいけない。


このコラムは、2011年12月5日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第234号に掲載した記事です。

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ダメな理由・良い理由

 イギリスの高等教育専門誌による2020年の「THE世界大学ランキング」によるとトップ10の大学は
1位:オックスフォード大学(英)
2位:カリフォルニア工科大学(米)
3位:ケンブリッジ大学(英)
4位:スタンフォード大学(米)
5位:マサチューセッツ大学(米)
6位:プリンストン大学(米)
7位:ハーバード大学(米)
8位:イェール大学(米)
9位:シカゴ大学(米)
10位:インペリアル・カレッジ・ロンドン(英)

トップテンは米・英の大学で占められている。

トップ200は東京大学:36位、京都大学:65位の2校のみ。
中国(7校)、韓国(6校)、香港(5校)にも差をつけられている。

日本の大学は少子化で経営が苦しいだろう。海外から留学生を呼ぼうにもこのランキングでは、優秀な学生は日本を目指さない。

なぜ日本の大学は世界的に評価が低いのか?
これがわかれば、日本の大学教育のレベルを上げることができるだろう。
では「なぜ日本の大学は世界的に評価が低いのか?」という命題に答えを見いだせるか?
「英語で授業が行われない」という理由がトップに来そうだが、これを改善するだけで解決するとも思えない。

「なぜ日本の大学は世界的に評価が低いのか?」という命題が間違っていると思える。評価が低い大学を幾つ調べてもダメな理由はわかっても何をすれば良いかわからない。

「なぜ米・英の大学の評価が高いのか?」という問いならば、参考にできる改善点が見つかるだろう。上位10校を調べるだけで参考になる点を何点も洗い出せるはずだ。

工場の生産性改善や品質改善も同様だ。
ダメな作業を観察して改善できるようになるには、相当経験が必要だ。
しかしうまくいっている作業を観察し、ダメな作業を比較すれば比較的簡単に改善できる。


このコラムは、2020年8月21日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1022号に掲載した記事です。

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見せかけの改善

 改善活動・QCC活動などを指導していると「見せかけの改善」を見かける事がある。見せかけの改善とは、確かに改善にはなっているが利益には貢献しない改善をいう。

例えば、作業改善や不良改善を実施し年間〇〇万元の効果が出たと試算しても、生産が打ち切りになってしまった。

この様な「見せかけの改善」が発生するのは、改善計画に問題があるからだ。
経営に貢献しない改善活動は「お遊び」だ。改善活動のテーマを選択する時に経営に貢献するかどうかをきちんと見極めなければならない。

利益貢献は無くとも、その他で経営に貢献するのであれば意義はある。
例えば、活動を通して現場メンバーの改善能力向上を狙っているのであれば「お遊び」とは言い過ぎだろう。

生産能力以上に受注があり、会社の収益にも貢献する製品の生産性改善は至急取り組むべき改善活動になる。
しかしこの様な改善活動であっても、ボトルネック工程以外の生産性改善は「見せかけの改善」だ。ボトルネック工程以外の生産性を改善しても、製品の生産性は変わらない。むしろ中間在庫が増えて悪影響を及ぼす。

こちらの「見せかけの改善」は改善すべき製品の選択は間違っていないが、改善すべき工程が間違っている。改善活動を開始する時に、正しく工程分析をしなければならない。


このコラムは、2019年4月5日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第806号に掲載した記事です。

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亢竜の悔い

 「亢竜(こうりょう)の悔い」とは、天に昇りつめた竜は後は下がるだけなので悔いを感じる、という意味だ。栄える者は必ず衰える、盛者必衰の理だ。

では悔いを持たぬ様に天に昇りつめる努力を放棄すれば良いのだろうか?
あるがままの今を受け入れる。そんな禅的な世界観を持てば悔いはないだろう。
しかし現代の企業経営とは相容れないモノがある。年度目標を毎年達成し続ける。毎年増収・増益を継続する。変化する経営環境の中で、達成し続けるのは困難だ。達成出来る目標にすり替えれば、悔いの代わりに後ろめたさを感じるだろう。

目標だけを追求する限りこのようなジレンマを感じるだろう。
目標の手前にあるべき目的を明確にすることが解決策だと思っている。目的とは何か。自社の存在意義と言い換えると分かりやすいかも知れない。

例えば企業経営の目的が「従業員の物心両面の幸せを追求する」であるとする。
この場合「給与」「福利厚生」「労働時間」などに具体的な目標が発生するかも知れない。しかしこの目標を達成しても、「従業員の物心両面の幸せを追求する」という目的は存在可能だ。こう考えれば、亢竜の悔いはない。

違う例を考えよう。
改善活動は不具合が存在する事により成り立つ、というパラドックスを内在している。つまり改善活動を継続すれば亢竜の悔いが発生することになる。不具合がないのだから、皆で楽しく暮らせば良いではないか、このような考えが、盛者必衰の理を招く(笑)

QCC活動でも、あらかた問題点を解決してしまうと、亢竜の悔いが発生する。
それでも活動を継続しようとすると、どんどんつまらないテーマを考え、活動が形骸化する。QCC推進事務局から年間活動件数のノルマなどが課せられると、この傾向は加速する。

QCC活動の本来の目的「メンバーの成長を通して業績に貢献する」にフォーカスすれば、問題点の解決だけでは無くなる。新しい業務への挑戦、飛躍的な品質レベルの達成など、ありたい姿の実現がテーマになりうる。企業が成長する限りテーマは無くならない。従来の問題解決型の活動とは違い、ありたい姿を実現すると言う課題達成型の
活動となる。

また市場や顧客の要求が変化すれば、製品・サービスも変化せねばならない。
何を、どのように変化するかが活動のテーマとなる。

改善活動には「亢竜の悔い」はない。


このコラムは、2017年3月13日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第519号に掲載した記事です。

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現場見物

 三現主義は問題解決の基本だ。現場で現物を観察し現実を確認することで問題解決をする、この三つの「現」、現場・現物・現実を三現主義という。

会議室に篭って議論しても問題は解決しない。問題は現場で発生している。
現場で現物を観察するのが鉄則だ。しかしこの「現場現物」が「現場見学」になっている事例をしばしば見る。現場で現物をぼんやり「見物」しても現実は確認できない。

ただ現場に行くだけでは「見物」になる。現場・現物で現実を確認するには、仮説を持つ必要がある。仮説を立証するために現場で現物を観察する。

但し仮説はフレキシブルでなければならない。仮説を信じ込んで現場・現物を観察すればバイアスがかかり正しく現実を確認できなくなる。

以前指導した工場では、ベルトコンベアを使った流れ作業をしていた。特定の作業工程がボトルネックとなっており、生産目標が達成できない。現場の班長はボトルネック工程を2人作業として改善しようとした。定石の対策に見えるが、現場見物による安直な解決策にしかなっていない。なぜその作業がボトルネックになっているか現場現物で観察し仮説を立て、現実を確認しなければ有効な対策にはならない。


このコラムは、2020年8月17日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1020号に掲載した記事です。

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現場改善プラス・アルファ

 私の主な仕事は、表向きは製造現場における品質改善、生産改善だ。
しかし本当の仕事はここではない。

最近は頻繁に行くことができなくなってしまったが、多い月は3件ほど「工場無料診断」で工場を訪問してをしていた。その現場で具体的に改善ポイントを教えてしまう。

半日ほどの訪問で教えられる事は少ないが、「目から鱗でした」と感謝される事が多い。

「ただでそこまで教えちゃうの?」と同行者があきれる事もあった(笑)

例えば、4人でベルトコンベアに並んで組み立て作業をしている現場では、無料診断で訪問した時に3人で生産出来る様にした。現場を案内していた経営者はいきなり25%生産効率が上がりビックリしていた(笑)

しかし私の本当の仕事は、ここではない。現場のリーダが継続的に改善出来る様にする事が、私の本当の仕事だ。顧客の現場で、私自身が改善の成果を出す事は簡単だ。しかしこれでは、契約が終わった後は改善が継続しない。むしろ私が行った改善の成果すら薄れて行くことになる。

人を育て、人のノウハウが組織に残る様にする。これが私の役割だ。

従って、無料工場診断でホンキで改善してしまっても、私の役割を果たす水準までは到達出来ない。それなりの時間が必要となる。

例えば上記の4人作業を3人に改善した現場では、訪問後コンサル契約をいただいた。その後の指導で現場リーダ自身が3人作業を更に2人に減らした。当初と比較すれば2倍の生産性になった。

半年ほど指導した別の工場は、契約期間が終わった後に、生産効率が3.5倍になりました、と報告をよこした。

人を育てるだけではまだ不十分だ。人のノウハウが蓄積される仕組み,人が育つ仕組みを構築する事が必要となる。これが人を育て、組織を育てる事だと考えている。


このコラムは、2013年8月12日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第322号に掲載した記事です。

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カイゼン活動

5月22日のasani.comニュースによるとトヨタ自動車が、カイゼン活動に残業代を払うことになった。以下はニュースの抜粋。

トヨタ、「カイゼン」に残業代 業務と認定、来月から

 トヨタ自動車は21日、生産現場の従業員が勤務時間外にグループで取り組む「カイゼン」活動について、残業代を全額支払うことを決めた。月2時間までとする残業代の上限を撤廃する。「自主的な活動」としてきたカイゼン活動を「業務」と認定する。
労働組合も了承しており、6月1日から実施する。

 長時間労働による健康被害や過労死が深刻化する一方、「名ばかり管理職」への批判を受け、日本マクドナルドが直営店の店長に対する残業代の支払いを決めたばかり。
サービス残業と指摘されたカイゼン活動を残業と認めるトヨタの方針転換で、製造業でも「働き方」と「報い方」のバランスを見直す動きが広がりそうだ。

 カイゼン活動は業務であるからその報酬が支払われるのは当然だ。
しかしトヨタの中で、何かが変わり始めているのを感じる。

従業員が自らの成長のために「業務以外の仕事」を会社に残ってやる。
それが会社にとって生産性のカイゼン活動になっている。
という黄金の労使関係がトヨタには存在していたのではないだろうか?
もちろん部外者の私には知る由もないのだが、私にはそのように見えていた。

従業員が、自らの成長のために喜んで仕事をする。
仕事を通して成長する、その成長によって豊かな暮らしを実現する、という単純な図式は、豊かになってしまった日本ではもう通用しないのかもしれない。

仕事以外に自己実現、自己表現の手段がいくらでもある日本の環境では、若者のワークスタイルも変わってしまったのだろう。

しかし中国の若者には「自己成長」「豊かさの実現」に対する強い渇望がまだある。これらを求心力として会社経営をすれば、成長し続ける組織を作る事が出来ると考えている。

私がお手伝いしている工場では、カイゼン活動に参加した「選ばれたメンバー」には活動期間僅かな奨励金が出ている。しかしそれ以上にカイゼン活動に参加すること自体が、自己成長に大きく寄与し、「プライスレスの価値」がある事を理解してもらいようにしている。
これがカイゼン活動に対するモチベーションを上げ、その後の彼らの仕事への意欲にも影響を与えていると考えている。


このコラムは、2008年6月23日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第39号に掲載した記事です。

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改善の火を灯す

 独立して間もない頃、金属表面処理のメーカから声をかけていただいたことがある。工場を訪問し経営者から話を聞くが、どんな改善活動をしたいという具体的なご希望はなかった。この工場は顧客から預かった製品に金属表面処理を施す仕事をしている。真空蒸着釜の稼働効率を上げれば、生産量が上がり、コストも下がるはずだ。しかし設備の段取り替えに緊張感がなくのんびり作業をしている印象を受けた。

経営者に段取り替えにどのくらい時間がかかっているか聞いてみた。毎回違うが平均すれば1時間半ほどかかっているという。「段取り替え時間を30分に短縮できたらどうでしょうか?」と質問すると、いきなり経営者は身を乗り出した。
すんなり仕事の契約をいただいたが、実は改善には時間がかかった。

現場の幹部や作業員が、何をしたらいいのか腑に落ちていないようだった。
やり方を教えてもダメだと気がつき、なぜ段取り替え時間を短縮するのか説明する。それでも彼らの心には火がつかなかった。
段取り替えを短縮すする意義(形式知)は理解できているが、まだ暗黙知に落ちていない。そこで段取り替え短縮のアナロジーとしてF1のピットイン作業の話をした。
これで彼らの心に火がついたようだ。翌週に訪問した時には目標の30分を達成していた。


このコラムは、2020年8月26日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1024号に掲載したコラムです。

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直接労務費

 トヨタ出身の方と話をしていて、腑に落ちないことがあった。その方は直接労務費は固定経費に分類されると言われた。

固定費は製造原価の中で、生産量によって変動しない部分の経費をいう。
例えば工場の家賃、設備の減価償却費などは固定経費に分類される。直接工の労務費は生産量によって変動するので変動経費と考えるのが一般的だと思っていた。

直接労務費を固定経費に分類する理由を尋ねると、車の塗料も固定経費であると言われる。塗料は生産台数によって変動する。当然変動経費だと思っていた。ますます意味がわからなくなる。

重ねて質問すると、以下の答えが返ってきた。
車の塗料は一台分の量が必要であり、改善によって減らすことはできない。直接工のアワーレートも固定であり改善はできない。だから固定経費である、という理屈だ。

アワーレートは経費ではない。労務費=アワーレート×作業時間が経費であり、改善により作業時間は短縮できるはずだ。納得がゆかず考え込んだ。

トヨタの考え方は、改善できる経費は変動費、改善できない経費は固定費と分類している。それは現場の人間にも改善対象がわかるようにするためではなかろうかと思い至った。
確かにその方が作った原価費目のリストには、直接労務費は固定経費分類されており、労務費ではなくアワーレートが書いてある。

直接工のアワーレートは改善対象ではないが、作業時間は改善対象である、という考え方なのだろう。

トヨタ流というとJIT、カンバンなどが注目されるが、こういう地味な所にもこだわりがあるのかもしれない。


このコラムは、2019年4月29日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第816号に掲載したコラムです。

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