生産改善」カテゴリーアーカイブ

作業標準

特に中国の工場では作業員の流動性が高いので、作業標準をきちんと決めておく必要がある。
新人作業者がラインに入るたびに、品質不良が発生したり生産性が落ちたのではやっていられない。

品質が一定のばらつきにおさまるように、品質リスクを排除できる作業方法を検討しそれを作業標準とする。また生産性が一定のレベル以上になるように、モノの置き方、モノの取り扱い方などを含めて作業方法を検討しそれを作業標準とする。

したがって作業標準というのは最低限やらなければいけない作業、やってはいけない作業で構成される事になる。言ってみれば、品質も生産性も要求下限を下回らないようにするようにするのが作業標準である。また作業標準というのは制定した時の最良の方法であるから、その後も最良の方法であり続けるという保証はない。いってみれば「進歩」をある時点でいったん凍結することである。

作業標準を決めた瞬間から、作業を観察しムダ・ムラ・ムリはないか、更に良い方法はないか検討すべきである。

作業標準は通常文章の形で共有されている。
標準作業指導書、作業チェックシートなどのような形にして作業者が理解し共有できるようにする。分かりやすい事が重要である。文章でわかりにくければビデオを利用するなどの工夫が必要だ。

このようにして決めた作業標準はきちんと守られて初めて意義がある。


このコラムは、2008年9月29日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第53号に掲載した記事に一部加筆修正しました。

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三菱自、顧客に補償へ 対象車種の拡大焦点

 燃費データ不正問題で揺れる三菱自動車が顧客への補償の具体策を詰めている。問題の解明はまだだが、顧客つなぎとめには早期の対応が重要とみている。軽自動車4車種の改ざんだけでなく、現在販売中の他の車種について試験方法に不備があった可能性がある。影響がでる対象車種が広がるかも今後の大きな焦点だ。
 三菱自問題を受けて石井啓一国土交通相は22日、「極めて遺憾だ」と指摘、全容解明を求めた。

 顧客からの問い合わせが相次ぐなか、三菱自は実際の燃費が悪かったことで想定より余計にかかっていたガソリン代の提供などを軸に、補償額を調整している。

全文

(日本経済新聞より)

 「またか」と言うのが皆さんの感想だろう。リコール隠し、「空飛ぶタイヤ」事故を連発しふそうトラック・バスをダイムラーに奪われたのは記憶に新しい。エコ減税を期待して三菱の車を購入した顧客に対する重大な背任行為だ。

フォルクスワーゲンは、排ガス規制逃れの不正で2,000億円の赤字に転落している。不正がなければ増収増益だったはずだ。

どんなビジネスも顧客が有って成立する。顧客に対して不義を働けば必ずや因果は自らに返る。業績ばかりではなく、企業の存亡にすら影響を与える。

パジェロ、ランサーなどのコアなファンも多いはずだ。三菱自動車のエンジンは多くの自動車メーカにOEM供給されていると聞く。
「顧客第一」はただのお題目ではない。顧客の信頼を取り戻していただきたい。


このコラムは、2016年4月25日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第473号に掲載した記事です。

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自動化の意義

 どの工場も自動化をする時は、投資に対するリターンを試算して、自動化の可否を考えるだろう。中国の工場では、人件費が安いため、投資効率の試算で投資見送りとなることがままある。日本本社工場は高度に自動化されているが、中国では相変わらず手作業と言う工場も多い。

しかし投資効率ありきではない事例を見聞きすることが、最近増えてきた。

人件費が毎年上昇しているので、自動化案件が通りやすくなっていることもあるだろう。しかし最近は、自動化に対する動機そのものが変わって来ている様に感じている。

作業のバラツキによる不良を減らしたい。こういう自動化要求に対し、以前ならば検査の強化で対応していただろう。完全ではないにせよ、許される範囲に不良を抑えることはできる。

生産量を上げたいと言う自動化要求に対して、作業員をたくさん雇った方が手っ取り早く対応できる。

しかし最近は自動化要求の要因が変化している。作業員が集まらない、と言うのが自動化の主たる動機になってきているようだ。

検査を強化するために、検査作業者を追加投入しなければならない。
生産量を上げるために、もう1ライン分の作業者を採用しなければならない。
こんな製造部門の要求に簡単には応えられなくなってきているということだ。
作業が辛いと作業員が辞めてしまうから自動化したいという要求も聞く。

しかしただ闇雲に自動化すれば良いと言うことではない。まずは徹底的に作業改善をして、ムダ・ムリ・ムラをとる。その上で、フレキシブルな生産が出来るように自動化しなくてはならに。

生産量を追及する自動化は、同一規格大量生産で利益が出た時代には有効だ。
しかし市場の変化を考えれば、同一規格大量生産では利益が出にくい。製品と同時に貧乏も量産することになる。


このコラムは、2012年4月30日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第255号に掲載した記事です。

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歩留まり率と直行率

 歩留まり率と言うのは、投入した部材に対して良品がいくつ取れたかを示す。100個分の部材を投入して良品が99個取れれば歩留まりは99%だ。
一方直行率は作ったものが一発で良品になる率を示す。すなわち100個投入して99個が検査を一発で合格すれば直行率は99%だ。

歩留まり率と直行率のどこが違うかというと、100個作ったときに直行率が99%でも、検査で不合格になった1個を修理して良品になれば歩留まり率は100%となる。

すなわち歩留まり率というのは不良がいくらあろうが、修理して良品になればOKという発想である。言ってみれば出荷台数確保を優先する考えかただ。

一方直行率の方は、不良は不良としてカウントされる。したがって直行率を良くしようということは不良を作らない決意となる。

歩留まり率だけを見ていると、工程の品質改善はできない。直行率を指標として品質改善を図るべきだ。

ある経営者がこんな話をしてくれた。工程内検査で必ず見つかるはずの不良品が顧客より返却されてくる。修理品の検査が十分ではなく不良品が出荷されると推定し、修理を禁止にしたらぴたりと不良返却がなくなったというのだ。
つまり余分に投入した部材やその加工賃を犠牲にして、品質の確保を優先されたわけだ。

この工場では、不良品はラインアウトしておき出荷台数が足りなくなると班長さんが修理し自分で検査して出荷品に追加していた。

電気検査などの機能検査は問題ないが、通常ライン内で行われる目視検査などが一切行われないことになる。班長さんと言えども出荷のプレッシャーの中で、目視検査で不良としなければならないものを見逃してしまうのだろう。

これも出荷台数確保の歩留まり率的発想といって良いだろう。

不良品はその場で工程に戻し全ての工程を再度通過させる事が必要だ。これをやらなければ、不良を作りこんだ作業員は知らずに不良を作り続ける可能性もある。

直行率を指標とし、不良が出るたびに原因解析と対策をする。これにより直行率を向上させなければならない。歩留まり率だけを指標としていると、こういう発想にならない。


このコラムは、2009年2月23日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第85号に掲載した記事です。

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続・歩留まり率と直行率

85号のコラム「歩留まり率と直行率」について読者様からご投稿をいただいた。

=== Zhen様の投稿 ===
歩留まり率と直行率については、林様の考え方は、まさに正論です。そして「ものづくり」は正論を目指さなくてはなりません。(あたりまえのことを愚鈍なまでに実行する)しかし現実は必ずしも正論一筋では立ち行かないこともあると思います。

中国のサプライヤーの中には技術レベルが低く、はじめから直行率の向上を目標にすると頓挫してしまうところが多々あります。具体的には以前メルマガでも紹介いたしましたように、アナ(メス)は公差の下限(小さいほう)を狙い、オスは公差の上限を狙うと言う公差を外しても手直しの効く作り方です。

なぜこのような発想になるかと言うと、材料費に比較して人件費が安いと言うことが根本にあります。そのことは、歩留まり率が悪いと損益が悪化し、経営的にその仕事を請ける価値がなくなってしまうこと。また林様のメルマガに記述されていますように、納期に発注数量の出荷を確保させる必要性というものがあります。

このようなケースの場合は、第一段階では歩留まり率向上(直行率を下げても)を目標にしなくてはなりません。そしてあるレベルに達したら、目標を直行率向上に切替えなくてはなりません。しかし、この切替えのタイミングと経営層の意識の切り替えが難しいです。つまり経営的に一定の利益をあげてしまっていると、更に上への向上心が欠如してしまっているうえ、過渡期は一時的に歩留まり率の低下もあります。この辺で苦労されている技術者は、意外に多いのではないでしょうか。僕も苦労した経験があります。
===
Zhen様ありがとうございます。
Zhen様のメールマガジン

私は電子部品・製品生産の経験が多いので、Zhen様のように機械加工部品を主に取り扱っておられる方と単純には比較はできない。例えば再生不可能な原料を投入して製品を生産するような場合は、歩留まり率で管理しても直行率で管理しても殆ど同じ結果になるだろう。

私たちには最初から歩留まり率という発想はなかった。
修理・手直しをするのだが歩留まり率で管理していると、不良の発生は無視されてしまう。

各検査ステーションでの不良率を掛け合わせたモノを総合不良率として考えていた。各ステーションで不良と判定された製品はすぐに修理してラインに再投入されるので、この総合不良率を直行率に変換しても正しい直行率にはならない。これを補正するために不良率の分母・総検査台数は、前工程で不良になった台数を差し引いて計算していた。

確かに人件費が安いので、修理にかかる工数はたいしたことはない。しかしここ数年毎年最低賃金が十数%上がり続けている。例えば15%毎年上がったとしても3年で1.5倍、5年で2倍の給与となる。そろそろ人海戦術に頼った生産は限界だと考えている。


このコラムは、2009年3月2日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第86号に掲載した記事です。

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出来る出来ないではない

 久しぶりに「カンブリア宮殿」を見た。
TVを見ていると、本を読む時間や睡眠時間が短くなるので用心している。アマゾンプライム、アベマTVなど映画やTV番組を見だすとキリがなくなる。さらに、フジTV、TV東京のオンデマンドサービスも入れてしまった。今まで以上の自制心が必要な状況となった(笑)

伊賀焼きの土鍋を作っている窯元経営者永谷氏(77)の言葉が心に刺さった。
「出来るか出来ないかではない、やるかやらないかだ」

陶器の特性を活かし、新たな機能を持った土鍋を次々と商品化した。その結果倒産寸前だった下請け仕事を脱し、人気商品を持つメーカになった。

私自身も改善活動を指導している時によくこの言葉が口から出そうになる(笑)
このメルマガでも、同様な事を何度か書いた。

“出来ない”を叱らない

出来ない理由が解決課題

出来ない理由を言うのは簡単だ。
出来ない理由を言ってしまうと、出来る方法を考えようとしなくなる。そして行動しない。行動しなければ何も改善はない。

出来るか出来ないかわからないときは、まずやると決める。やると決めれば、方法を考えねばならなくなる。

改善活動を指導していて、こうすれば改善出来ると方法を教えることは簡単だ。
しかしより重要なことは、出来ないと考えずにやってみようと行動することだ。出来る方法を教えてしまえば、効果は一度きりだ。
ダメな理由を考える前に行動して見る習慣が身につけば、自分で改善方法を見つけることができるようになる。つまり効果が再生産される。

改善活動の目的は、目の前の問題を改善することではない。改善の実践を通し、改善リーダを育成することだ、と考えている。


このコラムは、2017年4月3日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第522号に掲載した記事です。

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続・現場改善

 先週のメルマガで「部品の組み付け作業が時間がかかる」という問題に対しQCサークル手法で改善に取り組み始めたと、コラムに書いた。

現場改善(先週のコラム)

作業は、パスの前後の車軸をフレームに組み込む作業だ。製造,設計、生産技術、品証のメンバーでチームを作り,現状把握をした。

現状把握結果
前部調整時間:68分
後部調整時間:62分
合計調整時間:130分

作業を観察した結果、調整後の前後左右のホイールアライメントの測定結果が基準ないに入らないと再調整が必要になる。現状把握時には6回再調整・測定を行った。従って調整を1回で済ませる事が出来れば、調整時間を減らす事が出来る。

改善目標を調整時間130分→55分とした。

彼らは現状把握に際し、エース級のベテラン工員を投入した。実は現状把握の130分は、過去の実績より半分近く短い時間だった。作業員の経験や能力に回数が決まるという事だ。改善方法は、人に依存しない方法としなければなない。

QCC活動指導者としては、従来の作業時間を基準に改善目標を設定したい所であった(笑)

時間がかかるという抽象的な問題を、調整を1回で済ませる、と言う課題に置き換えることにより、対策のアイディアが簡単に出る様になる。現状把握の翌日には即対策実施となった。

対策の効果確認結果:
前部調整時間:32分
後部調整時間:15分
合計調整時間:47分

目標超過達成、64%短縮。
一発調整は達成出来なかったが、調整時間は約1/3になった。
次の取り組みは、一発調整、更に無調整化が出来れば一段高いレベルとなる。

実はこの活動は、指導日程の都合で対策検討、対策実施はサークルメンバーだけで行った。自分たちだけでここまで出来たというのは、メンバーにとって大いに自信となっただろう。


このコラムは、2016年11月28日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第504号に掲載した記事に加筆修正したものです。

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統計的思考

 私の世代は、高校3年の時に数学で統計と確率を勉強した。全員ではなく、理系クラスだけだった。大学に進学して電子工学を勉強したが統計確立理論とその応用は、夏期集中講座があっただけだ。それらの教育を受けて、統計確率理論を応用する統計的思考が身に付いたとは言い難い。工学部にいた時でさえ、どのように応用出来るかよく理解できず、単位取得が最重要目的だった(笑)

就職して、回路設計エンジニアとして仕事を始めた。製品の精度を決める回路部品の精度を決定する際に、部品の最大値・最小値を使って計算していた。最大値・最小値で設計すると、必要以上に高精度の部品を使うことになっているのでは?と言う疑問があり、当時普及し始めたPCでプログラムを組み、シミュレーションで証明しようとしたことがある。

それを見た先輩が見かねて、「バラツキ」について教えてくれた。
今思い出せば「大数の法則」を分かり易く教えてもらった。これが私にとって最初の実践的統計思考との出会いだった。

その後、品質保証の仕事をすることになり、40代にして統計確率理論を再勉強した。この時に身につけた統計的思考が今でも役に立っている。

統計数字は、身近な所にもある。
例えばTV番組の視聴率。先週のニュース番組の視聴率は20.2%だった、と言う会話がよく出て来る。ほとんどの人は、自分がどの番組を見ていたかを報告した記憶は無いはずだ。放送局の方も、今何人の人が番組を見ているかを知る方法はない。視聴率は、無作為に選ばれた家庭をサンプルとして、全体(日本の視聴者)を統計的に計算し推定している。本来視聴率は幅を持っている。

こういう統計的思考法は、品質管理に大いに役に立つ。
例えば、工場で生産した製品は全て全く同じに出来ている訳ではない。バラツキがある。生産したモノを全て計測出来れば、そのバラツキの範囲を知ることができ、製品規格の範囲に入っているかどうか検証出来る。しかし、計測にコストがかかる。または計測をすると出荷出来なくなる場合もあり得る。製品強度とか、アンプルに入った薬液の量などは、計測が破壊試験となるため、全数検査は出来ない。サンプルの計測により、全体を推定する統計手法が必要になる。

製品のバラツキを減らす工程改善をした。改善の前後のデータから、改善の効果があるのかないのか、こういう判断をするのを「検定」と言っている。

実は統計的思考は、ギャンブルにも応用可能だ。
長・半ばくちをする場合、10回やれば5回は偶数が出る、こう考えるのは平均値だけを考えているのと同じだ。統計的思考を使えば、10回の内8回長の目が出るのは、偶然のバラツキなのか、イカサマなのか判断出来る。

外貨投資に出て来るボリンジャーバンドは、過去の値動きのバラツキを示している。例えば2σのボリンジャーバンドを越えるのは、過去のバラツキから判断すると、2.3%となる。

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竹槍の戦い


このコラムは、2012年12月10日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第287号に掲載した記事です。

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竹槍の戦い

 顧客企業の技術部門を指導している。技術的な解決課題を挙げてもらった。
10項目の課題が上がった。そのほとんどは彼らの固有技術で解決可能な課題だ。
それぞれの課題は製造部門の努力でなんとかしのいでいる状態であった。そのため生産効率が上がらないでいる。

一般的に言って、私自身がそうであった様に(笑)設計者という人種は新しいモノ好きで、過去に設計した製品のメンテナンス(設計改善)を嫌がる傾向がある。そこをなだめて、今製造が困っている課題を設計の力で解決するというテーマに取り組んで貰っている。(彼らを納得して動かすコツがある・笑)

ほとんどの課題は1ヶ月以内にほぼ解決しており、改善の効果確認待ち状態となった。これで製造部門は相当生産性が上がるはずだ。設計者が見積もった改善効果は、かなり過小評価してあった。意外にも、彼らは遠慮がちだ(笑)

しかし1点だけ、プレス部品の不良が解決の見込みが立っていない。
このプレス部品は、深絞り加工で加工時に亀裂が入ってしまう。不良が大量にあり溶接で亀裂をつなぎ研磨をしてなんとか形状を出している状態だ。強度が必要な部分ではない。外観意匠を保つために後の工程でも追加工が必要になっている。この加工は彼らにも技術はなく、ベンダーに加工してもらっている。しかもベンダーにも技術がなく、亀裂が入っており明らかに不良でも納入して来る。

そのような状態なので、ベンダーとともに改善をしようにも手探り状態だ。
手当り次第に良いと思われる方法を試して一喜一憂している。いきなり金型を修正してみて、不良が半分になってたと報告して来た。半分になったと言っても、サンプルが少ないので有意差は認められない。
まさに「竹槍の戦い」状態だ。

統計的に評価をするアプローチを教え、不良が発生する要因を全て挙げる様に宿題を出して今回の指導を終えた。プレス加工に関しては私も素人同然だ。しかし問題解決のための管理技術は分かる。次回は彼らの検討をどう確かめ、不良を減らすかというステップに入る。相当困難が予測される。万が一好ましい効果が上がらなくても、この経験はきっと彼らの成長につながるはずだ。竹槍だけではなく、管理技術という新しい武器を実装する事が出来る。

久しぶりに骨のある課題と取り組んでいる。


このコラムは、2016年9月12日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第493号に掲載した記事です。

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統計思考力

 以前「統計学が最強の学問である」という本を空港の書店で発見し、一気に読んだ。

「統計学が最強の学問である」西内 啓著

先週末は「統計思考力」という本をBOOK OFFで見つけ即買いした(笑)

不透明な時代を見抜く「統計思考力」神永 正博著

どちらも数式を使わずに、統計学の意味を伝えようという趣旨で書かれている。

私は製造現場で統計学を応用できる様に指導をしている。
統計学の意味を理解するだけではなく、実際に活用しなければならない。
しかし私も、極力数式を使わない様にしている。
数式はExcelが勝手に計算してくれるので、その意味を理解してもらう様にしている。数式で説明してしまった方が簡単だが、その数式を見て理解するにはある程度の素養が必要となる。

そんな訳で、この二人の著者の努力には大いに共感できる。

私の場合は現場で応用するという必然性がある人に教えているので、彼らより楽だろうと思う。統計理論や確立理論となじみのない人に対して、統計学に興味を持ってもらう様に書かねばならない。このつかみがなければ、本は手にとられない。

神永氏は「ゆとり世代は学力が低い」は本当か?という問いでつかみに成功している様に思う。少なくとも「統計力」などというマニアックな分野で出版し、文庫化を果たし
ている。多分多くの人がこの本を手にしたのだろう。

じっくりこの本を分析し、どうしたら数学に興味がない人をこちらの世界に引き込めるか研究したい(笑)


このコラムは、2015年10月12日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第445号に掲載した記事です。

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