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端材

 後工程のために、鋼管部材を切断する作業がある。この作業の班長さんが、端材が出ない様に加工する方法はないかと尋ねて来た。

例えば、1mの鋼管を切断加工して、20cm、30cmの部材を各4本造るとする。
この場合、20cmの部材を4本加工するために1本の鋼管を使い20cmの端材がでる。30cmの部材を4本作るためには、2本の鋼管を使い10cmの端材と70cmの端材がでる。

この端材がもったいないというのだ。
もったいないので、次に加工する時のために端材を保管しておく。しかし次の加工で端材が使われる事はなく、どんどん端材がたまって来るという訳だ。

賢明な読者様ならば、20cmと30cmの部材を一度に加工すれば、1mの鋼管は2本だけとなり、10cm、20cm、70cmの端材は発生しない、とお気づきだろう。

当然質問して来た班長さんも、それは分かっている。
先ず50cmの部材を4本作り、それを20cmに切れば残りは30cmになる。しかし正確にいえば、刃の厚み分だけ30cmの部材は短くなっている。20cm、30cmと交互に切断すれば良いが、そのためには加工位置決めの当て板治具を毎回あわせ直す必要がある。

従ってこの班長さんが解決したい課題は、加工位置決め治具を素早くセットする方法、もしくは複数の位置決めが出来る治具を考える事だ。

課題をこのように整理すると、方法はいくつも考えつく。
課題を整理し単純にする事が改善の第一歩だ。


このコラムは、2016年9月19日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第494号に掲載した記事に加筆修正しました。

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常識の壁を越える

 工程を改善するためには,「ダラリ」をなくせば良い.
「ダラリ」というの「ムダ・ムラ・ムリ」のことだ.「ダラリ」をなくせば,生産性だけではなく,品質も良くなるはずだ.

最近訪問した工場で,現場リーダが熱融着剥れ不具合の撲滅に手を焼いている工程を見せていただいた.

1本の材料を冶具にセットし,その端面を熱融着し輪にすると言う工程だ.

冶具は上開きになっており,1本の材料の両端をセット,端面を突き合わせて過熱する構造になっている.
驚いたことに,作業者は冶具の上蓋を開かずに横のスリットから差し込んでセットしている.上蓋は正しくセットされているか確認するために開かれるだけだ.

どう考えてもこの作業にはムリがある.
材料の断面と同じ形をした冶具のスリットから材料を差し込むという作業は簡単には行かず,時間がかかっている.また上蓋を開けて確認しても材料の両端面が正しく突き当たっていないので,何度もやり直しが発生する.
端面が正しく突き当たっていない状態で熱融着作業をすれば,融着部が容易に剥れてしまうだろう.

冶具の上蓋を開けて材料をセットすれば,簡単なはずだ.ナゼ,冶具の上蓋を開けてセットしないのか?と聞いても合理的な回答はない.とにかくだめと言われている様だ.

たぶん元々上蓋を開き材料をセットする手順だったのだが,何らかの不良対策か何かで,横から差し込んだら偶然改善された.その手順の効果を検証しないまま,対策として採用されてしまったのだろう.

論理的な整合性がない「常識」が存在すると,とにかくだめ,としかならない.これが不具合発生の主要因であったりすると,改善は不可能となる.原理に合わない「常識」は疑ってかかるべきだ.
自分たちで造ってしまった「常識」を超えることは,実は意外に難しい.

我々のような外部の人間から見ると,ナゼそんな「非常識」なことをしているのだろうかと思うことでも,気が付かなくなってしまう.

この「常識」を超えるコツは,現象とメカニズムを切り口に不具合の原因を分析する.その分析過程が原理に照らして正しいかどうかを,ステップごとに検証しながら進めることだ.

このような方法で,大元の物理法則(原理)に照らし合わせて考えるようにすれば,馴染みのない技術分野であっても,的を射た分析が出来るものである.

まずはだめな理由をはっきりさせ,その理由を取り除いてゆくことが改善だ.


このコラムは、2010年8月30日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第168号に掲載した記事に加筆したものです。

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