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失敗学

 今週の《ニュースから》「大阪市の電車型おもちゃに不具合 電池が60度まで過熱」では他社の失敗事例を自社の失敗未然防止に役立てようという趣旨で書いた。

たまたま先週は「失敗の予防学」という本を読んでいた。
著者の中尾政之氏は元々エンジニアだった人で、今は東大工学部の教授である。

失敗から予防保全につなげないと、毎回同じような失敗ばかりしていることになる。良く失敗は授業料だと思えば良いというが、授業料だけ払っていてはいけない。今回のように他人が支払った授業料で予防保全ができれば大変お得である。

同じ現象を見てもそこから改善のヒントや、そこにある失敗のリスクを見分ける事が出来る人と、できない人がある。この能力は天性の能力ではなく、訓練で身につく能力だと思っている。
書物からも勉強できるがこの手の能力は実践訓練が一番身につきやすい。


このコラムは、2008年8月25日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第48号に掲載した記事です。

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バッテリー積み忘れ

救急車にバッテリー積み忘れ電気ショックできず

 東京消防庁は1日、救急車に載せた除細動器のバッテリーが取り付けられていなかったため、心肺停止状態に陥った男性に電気ショックを施せなかったと発表した。

 男性はその後、搬送先の病院で死亡が確認されたという。同庁は「病院の医師は除細動器を使えたとしても効果が期待できなかったと説明した」としている。

 コロナ禍で救急出動の要請が増えており、同庁によると、男性が搬送された1月31日は管内の救急隊の98%が出動していた。このため、救急隊の経験者らによる非常用の救急隊を編成しており、今回の隊もその一つだったという。

 この隊は31日午前10時35分ごろに通報を受け、丸の内消防署から出動。東京都新宿区の70代男性宅に到着した時には、呼吸と脈があったという。

 搬送中に男性が心肺停止状態に陥ったが、バッテリーが装着されていなかったため、除細動器が使えなかった。搬送先の病院の医師に引き継ぐまでの約12分間、心臓マッサージや人工呼吸などの蘇生措置を施したが、電気ショックはできなかったという。男性はこの日、死亡が確認された。同庁は「事前点検が不十分だった」としている。

 丸の内消防署の斉藤悦弘署長は「二度とこのような事案を発生させないよう、再発防止対策を講じるとともに信頼回復に努めてまいります」とのコメントを出した。

朝日新聞(2月1日朝刊)より

 AED(除細動器)が使えてもこの男性が助かったかどうかはわからない。
しかし遺族としては残念な思いを持っただろう。当然再発防止を行い、全国の消防署に徹底してほしいモノだ。

私たちの仕事で同様なリスクは無いかも知れないが、○○がなくてラインが止まった、とか不良が発生した、というトラブルは発生する。

AEDの写真を見ると本体の内部に電池が入っている様に見える。
記事の「バッテリーが装着されていなかった」というのは実際に電池が入っていなかったのだろう。さらに電池が入っていても、電気の残量が足りていないという場合も想定しなければならないだろう。

生産現場でも同様なことは発生する。
組み付ける部品が足りなくなりラインが止まる。部品が間違っている。などを想定すればよかろう。

製造現場ではミズスマシなり班長工程を巡回して確認・補給している。

消防署も同様に、予備のバッテリーを携行する。始業時の点検でバッテリー残量を確認する。という手順を追加すればよさそうだ。予備のバッテリーを違う機種のものを携行しない様に、予備バッテリー専用の袋を用意し写真でも貼り付けておけば万全だろう。


このコラムは、2022年2月16日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1255号に掲載した記事です。

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マツダ アクセラ 7万4000台をリコール

 マツダは1日、エアバッグ作動時にけがをする恐れがあるとして、普通乗用車「アクセラ」7万4231台(2003年5月~06年9月製造)のリコール(回収・無償修理)を国土交通省に届け出た。事故やけが人は報告されていない。

 国交省によると、運転席エアバッグのカバーに付いているロゴマークが劣化し、エアバッグ作動時に飛散する可能性がある。

(JIJI.COMより)

 ロゴマークが劣化してエアバック動作時に飛散するということは、ロゴの材料(おそらくプラスチック)が環境ストレスにより劣化したのだろう。ロゴマークの材質が何かはわからないが、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネートは高温・高湿環境で加水分解による劣化が発生する。

エンブレム部品が車両メーカの支給品なのか、エアバックメーカ生産なのかはわからないが、エンブレムを単なる装飾部品とする油断があったのだろう。

装飾部品はデザイナーの不可触領域と考えてしまうと設計者が口を出しにくくなる。形状はデザイナーの領分であっても、安全に関わる材質は設計者の責任範囲だ。

加水分解以外にも紫外線で劣化する場合もありうるだろう。油脂劣化もある。
構造部品だけではなく装飾部品も劣化耐性を考慮すべきだろう。
本件は構造部品でなくとも安全に影響を与えうるという示唆と捉えたい。ハンドル中央にあるロゴマークも単なる装飾部品ではなくエアバックの噴出口と捉えれば、安全に関わる機能部品となるはずだ。

安全に関わりがなくとも、ロゴマークのように製品の顔と言える部分が劣化してはブランドイメージが下がる。


このコラムは、2021年7月7日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1159号に掲載した記事です。

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副操縦士「皆が私の名を記憶することになる」 独機墜落

 フランス南東部での旅客機墜落で、独紙ビルトは28日、意図的に墜落させたとみられる副操縦士と以前交際していた女性のインタビューを報じた。それによると、アンドレアス・ルビッツ副操縦士(27)は「自分はいつかシステムを大きく変え、皆が私の名を記憶することになるだろう」と述べていた。仕事の待遇への不満や将来への不安ももらしていたという。

 副操縦士のかかりつけの医師が精神疾患で長期の治療を勧めていたとの報道もある。独検察当局は家宅捜索で診断書を押収しているが、病名は明らかにしていない。

全文はこちら

(日本経済新聞電子版より)

 山腹に向って一直線で降下して行った異常な飛行に多くの疑問を持った。副操縦士が故意に墜落させたのではないかとの疑念が高まっている。報道により徐々に事故の概要が見えて来た段階で、1982年に発生した「羽田空港逆噴射事故」を、多くの方が想起されただろう。機長が着陸時に逆噴射により、羽田沖に機体を墜落させた事故だ。

旅客機事故を詳しくウォッチしている訳ではないが、「逆噴射事故」以来乗務員の精神状態異常による事故は、今回が初めてではないだろうか?
旅客機事故による影響は、自動車事故の100倍以上となる。従って航空会社は他社の事故であっても、再発防止に真剣に取り組んでいるはずだ。別の記事によると、JALもANAも定期健康診断で乗務員のメンタル面を把握しているそうだ。

ボイスレコーダーの記録によれば、コックピットから閉め出された機長が扉を蹴破ろうとしている。当然前列に着席している乗客にはこの光景が目に入っていたはずだ。想像を絶する恐怖の中で、機体は山腹に激突したのだろう。

度重なるハイジャックにより、コックピットの扉は外からは開かなくしている。今回はこれが裏目に出た。しかも新しい機材は、航空機関士の乗務が不要だ。コックピットは機長と副操縦士の二名のみになる。どちらかに異常が発生した時に、一人で対処しなければならない。異常行動を制圧し、危険回避をする事になる。

この事故の後、航空会社各社は新たな再発防止をすることになるだろう。

工場の経営も同様に、他社の事例から学び事前に再発防止を実施しておかねばならない。業種、業界を越えて学ぶ事はあるはずだ。例えば、他社で発生した労働争議の原因を知れば、予防対策が出来るはずだ。


このコラムは、2015年3月30日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第417号に掲載した記事です。

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失敗学

 今週の「ニュースから」では他社の失敗事例を自社の失敗未然防止に役立てようという趣旨で書いた。

たまたま先週は「失敗の予防学」という本を読んでいた。

著者の中尾政之氏は元々エンジニアだった人で、今は東大工学部の教授である。

失敗から予防保全につなげないと、毎回同じような失敗ばかりしていることになる。良く失敗は授業料だと思えば良いというが、授業料だけ払っていてはいけない。今回のように他人が支払った授業料で予防保全ができれば大変お得である。

同じ現象を見てもそこから改善のヒントや、そこにある失敗のリスクを見分ける事が出来る人と、できない人がある。この能力は天性の能力ではなく、訓練で身につく能力だと思っている。

書物からも勉強できるがこの手の能力は実践訓練が一番身につきやすい。


このコラムは、2008年8月25日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第48号に掲載した記事です。

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中国南方航空機が滑走路誤進入 中部国際空港

 11日午後1時ごろ、中部国際空港で、瀋陽行きの中国南方航空698便(エアバスA319型機、乗客乗員42人)が管制官の指示に反して滑走路に進入し、この滑走路に着陸を予定していた全日空機が着陸をやり直すトラブルがあった。国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は事故につながりかねない
「重大インシデント」と位置づけ、12日に調査官3人を派遣する。

 交信記録などによると、中部国際空港の管制官は午後1時4分、中国機側の求めに応じて滑走路途中からの離陸を許可。その上で、滑走路の手前で待機するよう指示した。中国機は「待機する」と復唱したが、停止線で止まらずに滑走路に進入。管制官は危険を避けるため、8キロ手前まで迫っていた全日空220便(エアバスA320型機、乗客乗員59人)に着陸をいったんやめるよう指示した。

(asahi.comより)

頭が痛い不適合である。

11月5日にご紹介した、
「スカイマーク機、着陸時にカートが動いて客が足を骨折」と同様に、「ついうっかり」事故は再発防止がなかなか難しい。

先回の記事ご紹介したように「ダブルチェック」と「ポカよけ」を仕込んでおく必要がある。

今回の場合「待機する」という復唱がダブルチェック対策として既に組み込まれている。それでもうまく行かなかった。多分復唱そのものが「習慣化」してしまっており、機能していなかったのではなかろうか?

プリント基板アッセイの組み立てでも、電気検査できない部品の極性を目視検査する場合がある。この場合検査漏れを防ぐために、検査済みの部品にマーキングをしたりする。これが一種のダブルチェックの役割を果たすが、マーキングそのものが習慣化してしまい極性が逆の部品にもしっかりマーキングしてある事がある。

今回の事故も「待機する」と復唱しながら滑走路に進入してしまったわけである。復唱そのものが条件反射的に行われ、頭の中は別のことを考えていたのであろう。

この復唱は自分自身によるダブルチェックである。当然自分自身によるダブルチェックよりは、他人によるダブルチェックのほうが効果が高い。

機長以外にも副操縦士がいるわけだから、管制塔の指示に対する復唱は機長、副操縦士の二名で行うようにする。と改善すれば、若干は改善できよう。

しかしこれだけでは不十分だ。
この手の不適合によって人命にかかわる事故が発生する可能性があるわけであるから、発生確率を減らすだけでは不十分である。ゼロディフェクトでなければならない。

「ダブルチェック」以外にきちんと「ポカよけ」を仕込んでおく必要がある。

いずれにせよ、機長が機長としての機能を果たせる健康状態、精神状態である事が前提である。一昔前になるが、日航羽田沖墜落事故の「逆噴射」のように故意に操作されてはどんな対策を仕込んでおいても効果は期待できない。

作業員、職員の健康状態、精神状態が品質に重大な影響を与えるにもかかわらず、意外とお座成りにされていないだろうか。

皆さんの組織では職員の健康状態、精神状態をどのように管理しておられるでしょうか?


このコラムは、2007年11月19日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第8号に掲載した記事です。

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スカイマーク機、着陸時にカートが動いて客が足を骨折

 3日午後7時15分ごろ、スカイマークの神戸発羽田行きボーイング767―300型機が着陸時、飲み物用のカートが動いて乗客2人にぶつかった。

 調べでは、客室最後部にあった重さ44、5キロのカートが着陸時の衝撃で動き出し、約13メートル走行した。カートは、車輪のストッパーのほか、本体を機体につなぐ留め金もある構造という。

(asahi.comより抜粋)

 怪我人の内の一人は足を骨折しており、かなり重傷である、この記事だけでは何が原因か不明なので今回の事故に関しては言及しないことにする。

飛行機に乗ると、乗客の搭乗完了時搭乗口を閉める時に「乗務員はオートモードに切り替えた後相互に確認を行ってください」という機内放送を聴くはずである。この後クルーが扉の操作を行った後お互いに親指を立てあっているのをご覧になった事があると思う。

旅客機は乗降口を開けると自動的に非常脱出用の滑り台が出て来る様になっている。しかし空港で乗客が乗り降りする時にも滑り台が出てきてしまっては不都合なので、マニュアルモードにして扉だけ開けるわけである。

このマニュアル・オートモードの切り替えを万が一忘れてしまうと大変なことになる。そのため「ポカよけ」と「ダブルチェック」を操作に仕込んである。

ポカよけと言うのは、モード切替の操作が完了しないと扉開閉のハンドルが操作できないようにしてある仕掛けのことである、扉が開いている時にマジックテープのたすきがかかっているのをご覧になった事があるであろう。

飲食物用カートの固定がどのような「ポカよけ」「ダブルチェック」の仕掛けをしてあるのかは良く知らないが、乗降口のモード切替のように厳重ではなさそうである。

製造現場でも同様に「ポカよけ」「ダブルチェック」を組み込まないといけない工程がある。

自己確認も「指差し確認」「声だし確認」など古くから工夫されている、皆さんの工場ではどんな工夫をされているだろうか?


このコラムは、2007年11月5日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第6号に掲載した記事です。

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検査不正、データ改ざん

 自動車部品大手の曙ブレーキ工業は16日、自動車メーカーに提出する製品の検査報告で、データを改ざんしたり、未実施の検査データを記載したりするなどの不正があったと発表した。少なくとも2001年から行われていた不正は約11万件にのぼる。ただ安全性は確保されているとしており、自動車大手による大規模なリコール(回収・無償修理)には発展しない見込みだ。
 検査不正があったのは、主力製品のディスクブレーキやブレーキパッドなど4製品。国内の6工場中、4工場で不正が見つかった。01年1月から20年5月まで自動車メーカーに提出した検査報告19万2213件を再調査したところ、約6割に当たる11万4271件で不正があった。うち4931件はメーカーが求める誤差を超えていたが、国の保安基準に定められた性能は確保されており、いずれも安全性に問題はないという。
 宮地康弘社長は16日のオンライン会見で「安全に大きくかかわる製造業であってはならないこと。全力で信頼回復をはかる」と陳謝。自動車メーカーによる「リコールにはならないと聞いている」と話した。

(朝日新聞より)

 2月17日付のニュースだ。
以前完成車メーカのブレーキ検査不正についてメルマガに書いた。
「検査不正・罰則強化へ」

罰則規定がなければ、決められた事を決められた通りにできないのかと、日本の完成車メーカの品質管理について苦言を呈した。

大元のブレーキメーカでは、完成車メーカの不正検査が報道され、罰則強化により再発防止がされたのを知りつつ、自社では検査データの改竄、検査データの捏造などがまかり通っていた。

「他山の石」どころではない、同じ業界、顧客の不正に対してなんら顧みる事事なく自ら不正を継続していたわけだ。現場で行われていた不正に、部門長も経営陣も気付いていなかったのだろうか?
少なくとも完成車メーカのブレーキ検査不正が明らかになった時点で、自社内の再点検があってしかるべきだと思う。

他人の失敗から学べば、自ら傷を負うことはない。
自分が傷つかなければ学べないようでは、命がいくつあっても足りないだろう。

「日本の品質」を誇りにすることはもうできないのかも知れない。
残念なことだ。


このコラムは、2021年3月3日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1105号に掲載した記事です。

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旅客機滑走路逸脱事故

 4月23日に山形空港で名古屋行きフジドリームエアラインズ(FDA)386便が離陸時に滑走路を逸脱した事故があった。
運輸安全委員会の調査結果が報道されている。

「滑走路逸脱のFDA機、車輪操作装置に不具合 山形空港」

 山形空港で4月、フジドリームエアラインズ(FDA)の旅客機が離陸走行中に滑走路を逸脱した重大インシデントで、国の運輸安全委員会は28日、旅客機の車輪を操作するステアリング装置の一部に不具合が見つかったと明らかにした。

 FDAの聞き取りでも、機長は「機体が左にそれたので戻そうとしたが、(車輪を操作する)フットペダルを踏んでも戻らなかった」などと話していた。原因を特定するため、運輸安全委は飛行データや機体を詳細に調べるという。

 インシデントがあったのは4月23日夕。名古屋行きのエンブラエル175型機(乗客・乗員計64人)が離陸走行中、全長2千メートルの滑走路の途中で左にそれて草地で止まった。けが人はいなかった。運輸安全委によると、直後の初期調査でステアリングの不具合が見つかったという。

朝日新聞 DIGITALより

事故機はエンブラエル社製ERJ175。エンブラエル社(ブラジル)はあまり耳にしないが、エアバス、ボーイングに次ぐ世界第3位の航空機メーカだ。カナダのボンバルディアより売り上げ規模が大きいらしい。

実はERJ175より一回り小さいERJ145を、広西省出張時にしばしば利用した。
左1列、右2列という変則的な座席レイアウト。搭乗ドアがタラップになっており、ボーディングブリッジには接続できず沖スポからの搭乗。ひょいと離陸する軽やかさなど印象のある機体だった。

事故機は2016年6月製造、2019年1月に「重整備」が行われている。おそらく何も問題はなかったのだろう。

記事にある「旅客機の車輪を操作するステアリング装置」とは航行中方向舵を操作するフットペダルだ。地上でタキシングする際には前輪の向きを変える役割を持つ。

ここまでの情報で大胆にも「素人考え」で事故原因を推測してみた(笑)

事故機は駐機位置から誘導をを通って滑走路までタクシング出来た。従って離陸開始までは前輪操舵機能には問題がなかったはずだ。
離陸後はフットペダルは方向舵の制御に使う。離陸後のタイミングで、手動または自動で前輪/方向舵の制御が切り替わるはずだ。

離陸開始後から離陸前にこの切り替わりが発生すれば、前輪の方向を制御しようとフットペダルを操作しても、虚しく方向舵の角度が変化するだけとなる。

従って今回の事故は、前輪/方向舵の切り替えに何らかの人為ミスまたは故障があったと推定する。

多分新聞記事になった時点(5月28日)で、事故調査官はすでに答えを知っているだろう。本当の事故原因はわからないし、今後公表されないかも知れない。それでも、原因を考えてみるのは「頭の体操」だけではない。

今回の事例では「モード切り替え」「タイミング」がキーワードとなる。

  • モード切り替えができない。
  • 予期せぬタイミングでモード切り替えが発生する。

という潜在要因の引き出しが増えるはずだ。
これは自社の製品設計、工程設計の時の潜在不具合要因となる。
同様に問題原因解析時に挙げることができる問題要因が豊富になる。


このコラムは、2019年6月5日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第832号に掲載した記事です。

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初代iPodナノ、過熱のけが4人に なおリコールせず

 米アップル製の携帯デジタルプレーヤー「iPodナノ」の初代モデルが充電中に過熱・焼損する問題で、消費者庁は27日、新たな事故が起きてユーザー1人がやけどをしたと発表した。これで事故は27件目、負傷者は計4人になった。経済産業省はリコール(回収・無償修理)するよう再三求めているが、同社は応じていない。

 問題のモデルは「MA004J/A」「MA005J/A」「MA099J/A」「MA107J/A」の4機種で、2006年9月までの1年間に計181万2千台が販売された。これらの一部のバッテリーは製造不良があり、充電中に最高約200度まで過熱する恐れがある。

 消費者庁によると、新たな事故は今月13日、東京都で起きた。充電中に製品から火花が出て破裂音がし、ユーザーが製品に触れた際に指先にやけどを負ったという。

 事故は07年11月から起きており、うち6件は消防機関から火災と認定されている。しかし、同社はリコールという自主的な対応はとらず、実際に過熱などが起きて顧客窓口(0120・27753・5)に連絡してきた人に限り、バッテリー交換に応じている。同社広報部はその理由について、これまでの取材に対しては「重大な人的被害や物的損害は報告されていない」と説明してきた。この日は「対応できる者がいない」としてコメントしなかった。

 経産省製品安全課は「アップル社の対応は十分でないと考えており、注意喚起のやり方も含めて積極的な対応を促していく」と話している。

(asahi.comより)

 アップル社の対応が理解できない。
火傷、火災の危険性があれば、社告、回収修理をするのが常識だ。

アップルのホームページには以下の告知がされている。

弊社は、ごくまれなケースとして2005年9月から2006年12月に販売された第1世代 iPod nanoのバッテリーが過熱を起こし、使用ができなくなったり、変形していることを確認しました。弊社はこのような事故の報告を何件か受けており(すべて第1世代iPod nanoであり、0.001パーセント未満です)、これらは一つのバッテリー・サプライヤーからの供給であることを特定しています。これまで、重大な人的被害や物的損害は報告されておらず、また他のiPod nanoのモデルについてはこうした報告はまったく受けていません。

第1世代のiPod nanoをお使いでバッテリー過熱を感じられたお客さまは、AppleCare(顧客窓口)にて交換いたしますので、ご連絡をお願いいたします。
 また、他の第1世代iPod nanoをお使いのお客さまで少しでもご不安を感じられた方も、AppleCareにご連絡ください。

回収はしないが、交換修理をする。というスタンスだ。

事故発生率が0.001%(10ppm)未満であると言っているが、安全事故の場合は事故発生率はゼロでなければならない。

また事故が製品出荷開始後2年目から始まっている。
事故が「寿命故障モード」で発生している可能性がある。この場合現在の事故発生率は余り重要な意味を持たない。事故発生率は徐々に高くなるはずだ。

iPodの様なコンシューマ製品は、2、3年で使わなくなる。
私は未だに第二世代のiPodを使っているが、そのような消費者は少数派だろう。5年前の製品の回収を告知しても、ほとんど戻って来ないのが実情だろう。

大事になる前に、回収告知をしてしまった方が、良い結果につながるはずだ。

iPodは、簡単には電池を交換できない構造となっている。
新しいiPhoneは内部電池が接着剤で固定されていると、聞いている。同様に初代iPod nanoの電池が交換不可能な実装形態だとすると、本体ごと新品交換をしているはずだ。この場合、既に初代iPod nanoの生産は終了しているので、完成品在庫の数だけしか対応が出来ない。これがアップル社が自主回収を拒んでいる真の原因なのではないだろうか。

過去の製品でも、月産100台でも、生産可能ならば、アップルのピンチを救い、自らの成長のチャンスとすることが出来る。大量にモノを作るだけではなく、この様なモノ造りが出来る企業に、今後成長のチャンスがあると考えているが、いかがだろうか。


このコラムは、2010年8月2日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第164号に掲載した記事です。

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