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コミットメント

 「コミットメント」と言う言葉を国語辞典で調べてみると、

責任を持って関与する事、責任を持って関与すると言う約束

(新明解)

かかわり合い、肩入れ。委託、委任。公約、責任

(スーパー大辞林)

とある。「コミットメント」は、日本語にぴったりとした言葉が無い様だ。
ISO9001の「経営者のコミットメント」と言う章も、「Commitment」をそのままカタカナ表記している。

ISO9001
5.1 経営者のコミットメント

トップマネジメントは、品質マネジメントシステムの構築および実施、並びにその有効性を継続的に改善することに対するコミットメントの証拠を、次の事項によって示す。

  • 法令・規制要求事項を満たすことは当然のこととして、顧客要求事項を満たすことの重要性を、組織内に周知する。
  • 品質方針を設定する。
  • 品質目標が設定されることを確実にする。
  • マネジメントレビューを実施する。
  • 資源が使用できることを確実にする。

新明解の“責任を持って関与する事、責任を持って関与すると言う約束”と言う解釈が一番近い様に思うが、今イチピンと来ない。

以前、大橋禅太郎さんはコミットメントを「シャツ一枚の覚悟」と説明してくれた。

「すごい会議」大橋禅太郎著

好きな彼女に告白する時に、銀座の歩行者天国でシャツ一枚になって、大声で「好きだー!」と叫ぶ事がコミットメントだとおっしゃった。
分けの分からない定義だが、当時私の心に響いた。コミットメントは「シャツ一枚の覚悟」と説明していた時期がある。

この説明ではなかなか伝わり難いので、最近は「命をかけて成し遂げる約束」又は「命をかけて約束を成し遂げる覚悟」と言っている。

ただの「約束」とは重みが違う。「方向」も違っている様に思う。

例えば「ノルマ」は、必ず達成すると言う「約束」と考えてもよかろう。
ノルマが達成出来なければ、何らかの罰が与えられることになる。この罰が命に関わる事もあり得るだろう。その場合はノルマは「命がかかった約束」となる。しかし「コミットメント」とは言えない。「方向」が違っている。

ノルマは達成しなければならない「義務」である。
一方コミットメントは「覚悟」だ。つまり「あり方」とか「立場」を表明する宣言だ。

ノルマが未達の場合は「罰」が与えられる。
コミットメント未達の場合は「気付き」とか「成長」が得られる。

ノルマで業績を管理する。人不在のマネジメントだ。
コミットメントで成長をマネジメントし、その結果業績が管理状態となる。
どちらのマネジメントスタイルが優れているか、議論する必要もないだろう。


このコラムは、2014年6月9日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第365号に掲載した記事に加筆修正しました。

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