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ヒューマンフレンドリィ

 デジタルデバイドという言葉が流行り始めている。最近情報の閲覧や入力がスマホなどのデジタル機器に対応する様になり便利になっている。その利便性の恩恵に預かるのは、生まれた時からデジタル機器が身の回りにある年代に限られるのではなかろうか?最初に手に入れたコンピュータはAppleIIという8bitCPU6502搭載のマシンだった私は、必ずしもデジタル弱者とは言えないと思っている。しかし最近、誤操作をしてしまうことが増えた。加齢のためではない、と断言したい。例えばメッセージに返事を入力している時に、やり直しをしようとして「取り消し」のボタンを押すと、返信ではなく受信メッセージが消えてしまった。返信作業中の取り消しは返信の取り消しと考えた。私にはこれが普通に思える。

デジタルデバイドというのは必ずしも、利用者側の問題ではない。
製品・システムの提供者側が「マシンフレンドリィ」に偏っている様に思う。「ヒューマンフレンドリィ」という言葉がしばしば使われ、種々工夫して来た。しかし最近は「マシンレンドリィ」に逆戻りしている様な気がする。

当然、現在製品やインターフェイスを設計するエンジニアは、生まれた時からデジタルデバイスに囲まれたデジタルネイティブだろう。彼らにとってマシンフレンドリィとヒューマンフレンドリィの境界が、我々世代と違うのかも知れない。

製品の検証チームに高齢者を参加させるべきと考えるが如何だろう?


このコラムは、2022年4月22日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1283号に掲載した記事です。

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問題と答え

 「勝者はいつも答えを出そうとする。敗者はいつも問題点しか出さない」友人が紹介してくれた言葉だ。

文句ばかり言って行動を起こさない人は「敗者」と呼ばれてもやむを得ない。
問題に対して答え(解決方法)を見つけようとする人は「勝者」に一歩近づく。その上で解決行動を取らねば「勝者」にはなれない。

しかし問題点を出す人が必ずしも敗者とは言えないだろう。
問題点に気が付かない人は、解決行動には至らない。問題点を言って終わりにしたとき「敗者」が決定する。

したがって「問題点を出す」と「答えを出そうとする」は勝者の一連の行動と考えた方が良さそうだ。真の勝者は問題点を見つけ、その解決方法を考え、解決する、と言う一連の行動を取れる人と考えた方が良かろう。

もちろん人には得手・不得手がある。問題点しか出さない人も、解決方法を考える人、解決行動を起こす人とチームになれば「勝者」になることができる。
組織の中で敗者と勝者の色分けをするより、それぞれの力を発揮する「場」を作ることを考えた方が組織が活性化するはずだ。


このコラムは、2022年4月29日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1286号に掲載した記事です。

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流出防止と再発防止

 顧客に不良品が流出した場合、当然改善対策を要求される。
この時注意しなければならないのは、流出対策と再発対策の違いだ。流出対策とは不良品が顧客(次工程)に流出しない様にする対策だ。一方再発対策は不良が再発しない様にする対策となる。

検査工程で不良を検出できないのであれば検査方法を変更するなり改善が必要となる。しかし「ダブルチェック」「検査員の再指導」などの対策は、あまり効果を期待できないだろう。

流出防止より再発防止の方が効果は高いはずだ。検査ではなく作業そのものを改善、もしくは設計を変更し不良が発生しない様にする。

検査で不良を除去するという考え方は、検査を完璧にするという課題を解決しなければならない。しかし不良を作らない(作業方法または設計を改善)様にすれば、流出防止は不要となるはずだ。


このコラムは、2022年3月23日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1270号に掲載した記事です。

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ロシアとウクライナ

 タイトルから珍しく政治的な話かと期待(?)された方も有るかも知れない。
しかしヒトラー下のドイツとロシアの独ソ戦争を、女性狙撃兵たちの体験から語る小説「同志少女よ、敵を撃て」の中にある一節をご紹介したい。

「ナチスドイツはウクライナを奴隷化するために戦った。ソ連は目的のためにウクライナを奴隷化した」

小説中でウクライナ出身の少女狙撃兵が語った言葉だ。

著者の逢坂冬馬氏は本作「同志少女よ、敵を撃て」でアガサ・クリスティー賞大賞を受賞し作家デビューしている。本作は2021年11月の出版なので、現在報道されているロシアのウクライナ侵攻とは無関係だろう。

しかし本作でウクライナ出身の少女に語らせた「ナチスドイツはウクライナを奴隷化するために戦った。ソ連は目的のためにウクライナを奴隷化した」という一節は今のウクライナの状況を言い当てているのではなかろうか?


このコラムは、2022年5月2日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1287号に掲載した記事です。

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猫の言語能力

 猫は自分の名前を認識しているか?そんな疑問を研究し、発表した研究者がある。上智大学の心理学者・齋藤慈子准教授だ。

ナショナルジオグラフィックの記事:
「ネコは自分の名前を聞き分ける、上智大ほか研究」

斎藤准教授によると
ネコには

  • 人のジェスチャーを理解する。
  • 隠してある食べ物を見つける。
  • 飼い主の声を聞き分ける。
  • 自分を見て名前を呼ぶ人に食べ物をねだったりする。

などの能力があるそうだ。こういう事実を実験で確かめている。

これらの研究成果は猫を飼っている人にとっては既知の事実だろう。
しかし米オークランド大学の認知心理学者ジェニファー・フォンク氏は「本当に素晴らしい研究です」と称賛しているそうだ。

この研究は人類に貢献しているのだろうか?そんな批判的な声もあるだろう。しかし、愛猫家の趣味の様に見える研究成果にも意味はあると思う。

「猫が自分の名前を理解している」という結果だけを見れば、あまり意味はない。愛猫家にとっては既成事実だ。しかしそれを学術的な実験によって確かめたことに意味があるのだと思う。

何らかの障害で言葉を失った人とのコミュニケーションや、言語を持たぬ動物・植物から様々な経験や知識を引き出すことに応用できるかもしれない。

千年杉から昔話を聞く。考えただけでワクワクする。


このコラムは、2022年5月6日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1289号に掲載した記事です。

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リードタイムの短縮

 先週の「ニュースから」にご感想をいただいた。

☆gok45様
 現状が、とても分かりやすい内容です。

記事の最後に書いたリードタイムに関してもう少し説明を加えたいと思う。

リードタイムというのは、受注してから納入するまでの時間のことを言うが、今日は材料を投入してから出荷までの「製造リードタイム」について考える。実際の作業にかかる時間を「手番(テバン)」という。正味の作業時間の事だ。

リードタイムが手番の10倍近くになってしまっている工場が、意外に多い。
これは中間に手待ちや停滞がそこいらじゅうに入るから正味作業時間の何倍も時間がかかって製品が完成するわけだ。

規格製品を大量に作っている場合は、このリードタイムはあまり気にならなかった。つまり毎日どんどん作って出荷してゆけば、リードタイムが長いのは最初の出荷のときにしか気にならない。(経営的には部品調達から売上回収までの時間がかかるので資金繰り的には不利になる)

しかし規格製品がどんどん売れるという前提がなければ、同じ物を毎日作ることなどできない。今はまさに同一規格製品が売れない時代である。

日々変化する消費者の要求に合わせてモノ造りをする場合は、リードタイムの長さは致命傷だ。お客様が今日欲しい物を今日作る。これが究極の姿だ。
先週の例では、リードタイムを極限まで短縮すれば、吊るしのスーツではなくイージーオーダーのスーツを受注できる。当然吊るしのスーツよりはイージーオーダーのスーツの方が高く売れる。
ビジネススタイルまで変えられる。

ではどうすれば、リードタイムが短くできるのか。
リードタイムが短くできない工場は、どこで時間がかかっているのか見えていない事が多い。まずは工程の流れを看える化する。
看える化ができれば、どこを改善すれば良いか分かる。リードタイムの短縮はできたも同じだ。

今までお手伝いして来た工場でも、

  • リードタイム24時間かかっていたのが4時間になった。
  • リードタイム10日かかっていたのが1日になった。

という事例もある。


このコラムは、2009年4月27日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第95号に掲載した記事です。

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やる気を出せ

 部下がぼんやりしていてやる気が感じられない。自分自身もやる気が出ない時がある。そもそも「やる気とは何か」という問いに明確に答えられない。そんなモヤモヤした状態で考えてみた。

脳科学者の池谷裕二氏はこう言っている。「やり始めないと、やる気は出ない。脳の側座核が活動するとやる気が出るが、側座核は何かをやり始めないと活動しない」つまり「やる気を出そう」と念じてもやる気は出ない。まず始めることでやる気が出る、ということのようだ。

例えばジムに行こうと思っても、なかなか準備ができない。グズグズしている内に時間が経ち「今日は休みにしよう」となる。私の場合は、帰宅して部屋の扉を閉めると、運動着と靴が入っているスポーツバックが目に入る。給水器の横にあるボトルを手に取り水を入れる。ここまでの動作ができればそのままバックと水筒を手にジムに行くことができる。当然ジムに着けば着替えて運動することになる。

つまり池谷氏の言う「やり始めないとやる気は出ない」を準備済みのバックを見ることでトリガが働き、水筒を準備しジムに行くと言う行動が側坐核を刺激する、と言うメカニズムのようだ。

読みたい本を目に入るところに置いておく。こんな簡単なことで読書量が増えたりするようだ。少なくとも本屋にゆけば本が買いたくなる。買えば読みたくなる。行動のトリガで読書習慣が身につく。

つまりやる気を出そうと努力するより、一歩前に出る行動がやる気を出す秘訣と言うことのようだ。


このコラムは、2022年10月24日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1359号に掲載した記事です。

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生徒の母印取り「遅刻しません」誓約書 福岡の中学校長

 福岡県うきは市の市立中学校長(57)が08年の2学期、指導に従わなかった生徒数人に、「遅刻はしません」などと記した誓約書に署名させたうえに、母印も押させていたことが28日分かった。これを知った教員からは「威圧的な行為で驚いた。生徒指導の範囲を越えている」という声が出ている。

 同市教育委員会は08年11月、市民からの訴えを受けてこの校長から事情を聴き、事実関係を確認した。しかし、「行き過ぎた行為だったが、熱心さのあまりやってしまったこと」として懲戒処分などはしなかったという。

 一方、県教委も今年3月末、保護者らから「母印を押させるのは問題だ」との訴えを受けたという。義務教育課は「通常考えられない指導であり、事実関係を調査している」と話している。

 校長によると、母印を押させたのは今春卒業した当時の3年生と、当時2年だった現3年生の合わせて7、8人。日ごろ、問題行動が目につくことから校長室に呼び出し、「遅刻はしません」「ノーヘル(ヘルメットなしの自転車乗車)はしません」「服装をきちんとします」「授業をまじめに受けます」などと記した誓約書を渡し、署名、押印させた。誓約書は校長が自ら作成したという。

(asahi.netより)

 この校長先生は私と同年代だが、この記事には大変違和感を持った。問題視する教育委員会や父兄の方に問題があるとしか思えない。
問題を起こしてしまった時に「始末書」を書いて捺印するのは大人の社会では当たり前のことだ。捺印の代わりに母音を押すのは犯罪者だけではない。生徒が約束を守れなかったときに「始末書」を書かせただけだ。

約束を守れない生徒達をこのように甘やかして社会に送り出すことのほうが大問題だ。しかも担任の先生ではなく校長先生がしている。本来現場の指導責任を持っている担任の先生は何をしたのだろうか?

PTAからのクレームを恐れ何もしなかったのではなかろうか?
保身しか頭にない人間に教育者になる資格はない。

もちろんこの校長先生の指導方法が優れているとは思っていない。

以前指導していた中国工場で、掲示板に「不良を作りません」とA4の紙に何度も何度も書いたものが作業員の署名入りで貼り出されていた事がある。多分注意しても不良が減らない作業者の指導に困った班長が、昔学校で先生に課せられた「罰」を思い出してやらせたのであろう。
無理もない昨日まで作業員だった出稼ぎの少女が何も教育を受けずに班長に昇格しただけなのだ。

しかし経験の長い校長先生がこの班長と同じレベルの指導しかできないのでは困る。
生徒が約束を守れない理由をしっかり理解してやり、一緒に約束を守る方法を考える。「うっかり約束を守れない」人には「しっかりルールで約束を守る」方法を指導しなければならない。

中学生の指導も工場作業者の指導も同じだと思う。


このコラムは、2009年5月4日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第96号に掲載した記事です。

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ゼロエミッション工場

 友人が広東省の田舎の方に新しい工業団地を造るつもりだと聞かされていた。
その後忙しさにかまけてご無沙汰を決め込んでいたが、「華南マンスリー」という月刊雑誌に彼の工業団地の記事が出ていた。

工場内の空き地を利用して農業をやっているそうだ。
従業員食堂の残飯を堆肥にして野菜を栽培する。その野菜は従業員食堂の食材になる。これぞ究極のゼロエミッション工場だ。

製造4.5課というのが農業担当の部署だそうだ。彼らの努力が実り従業員食堂だけではなく市場にも緑色食材を供給する事が出来れば、製造4.5課は製造5課に格上げされる。

中国では農産物の量、質(安全)ともに不安がある。
農業がこれからの有力ビジネスになるに違いない。日本にも大学生が就職希望に来る農場があると聞いている。

彼の工場では不況で生産量が落ちても、従業員を解雇しない。空いた時間で人材が活性化する活動を行っている。
まさにピンチをチャンスに変える発想だ。
これも人材のゼロエミッションと考えても良いだろう。


このコラムは、2009年4月6日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第92号に掲載した記事です。

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社内公募制度

 原田師が経営していたSOLID社は、作業員から文員(オフィスワーカ・間接職員)に登用する制度がある。間接職員約400人の内85%は元作業員出身である。文員になるためには、筆記試験に合格し、面接試験(人民裁判:各部門の部長が陪審員として参加する)に合格しなければならない。試験問題は、社内にあるマニュアルからランダムに問題が出題される。

従って、文員になりたい者は必死で勉強することになる。
外部から間接職員を招聘する場合、仕事の経験を条件とするだろうが、それは他社での経験であり、入社してすぐに力を発揮するとは限らない。入社しても、会社の文化が合わずにすぐに退社する者もあるだろう。
もっとも頭が痛いのは、中途で採用した者の給与が、従来からいる職員の給与体系に合わず、歪が生じてしまうことではないだろうか。

その点、内部登用による文員への昇格ならば、すでに会社の文化を理解し、社内マニュアルを必死で勉強した者が職位に付くので、そのような心配は必要なくなる。
採用にかかるコストも必要ない。

また新しいポジションができると、社内公募がかかる。
工場の中にある売店の職員も、社内から公募された従業員である。工場内の売店といえ、馬鹿にしてはいけない。近隣のどこより安い価格で販売しながら、月平均で15万元の売り上げがある。過去最高の売り上げは一ヶ月70万元だったという。店頭在庫は5万元程であり、市中のコンビニと比較すると信じられない棚卸し回転率だ。

この場合公募試験に出題される試験問題は、該当職場の業務マニュアルから出題される。従って公募で合格した者は、その職位に着任前に、業務マニュアルの内容を熟知していることになる。


このコラムは、2010年2月8日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第138号に掲載した記事です。

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