カテゴリー別アーカイブ: 品質保証

グッド・イナフ

 グッド・イナフとは“Good enough”のことだ。英和辞書で直訳すれば“十分良い”となるが、“まぁまぁ良いか”“こんなもんか”と言うニュアンスが有る。つまり改善した方が良いが、まぁまぁ許容できるレベル、と言う訳だ。

工場や会社の中に、グッド・イナフがいくつかあるのではないだろうか?
電子部品業界では、出荷不良が20ppm未満ならばグッド・イナフと評価してもらえる。しかしグッド・イナフだからそのまま放置をしておけば、出荷不良ゼロが常識の自動車業界には参入できない。

工程内で発生する偶発的不良をグッド・イナフと考えて放置すれば、いつまでたってもモグラ叩きの様に類似不良が顔を出すことになる。

顧客アンケート結果がグッド・イナフであっても、それを放置しておけば、顧客要求レベルが上がっていることに気がつかず、同業者に顧客を奪われる事になる。

このようなグッド・イナフ問題が蔓延するのは、OR理論の間違った適用が原因だと考えている。
たとえば、検査コストをたくさんかければ、出荷不良は少なくなる。コストと不良の関係をグラフに描き、二つの曲線が交差する点(サドル点)がベストなとなる。こういう理論がグッド・イナフ問題を解決できない原因だと思う。

検査以外にも不良を減らすことは出来る。
自分勝手に限界を作ることが、グッド・イナフ問題を根絶できない原因だろう。


このコラムは、2016年2月22日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第464号に掲載した記事に加筆したものです。

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不良原因分析

 顧客クレームや工程内不良に対する原因分析、再発防止対策検討は日常的に行われていると思う。顧客クレームは無い方が良いが、工程内不良が無いと改善のチャンスが無くなる。工程内不良の処置(修復、やり直し、在庫の全数再検査)に追いまくられ、改善のチャンスを逃してしまってはもったいない。
本当の原因を特定する事により、有効な再発防止が可能になる。原因分析で手を抜くと、有効な再発防止が出来ずに「慢性不具合」となる。

原因分析のコツについて書いてみたい。

我々の様な凡人が天才と同水準の仕事をするためには、一人ではなく複数で智慧を出し合う。そのための手法がQC手法に代表される管理技術だ。
魚骨図が原因分析手法としてよく活用される。
しかし魚骨図は、原因分析手法というより原因となりうる要因を沢山列挙する手法と言った方が良い。何も無い所から要因を列挙するより、中骨として、例えば人、物、設備、方法の4Mで分類すると、要因を発想しやすくなる。
他人の発想を図にまとめて可視化する事により、更に新しい発想が出る。
このようにして列挙した要因が、真の原因かどうか検証する。それが原因分析のプロセスだ。

問題の要因を発生原因と流出原因に分けて、再発防止対策を考えるとよい。
発生原因が根本的な原因であり、流出原因は根本問題を見逃してしまう原因だ。

例えば、製品内に金属異物があり絶縁不良発生、という問題を考えてみよう。
金属異物が発生する、というのが根本問題だ。絶縁検査で不良を発見しているので流出問題は無い、と考えてはいけない。
発生した金属異物を自工程で発見出来ない、除去出来ない、というのが流出だ。

根本原因、流出原因に対してそれぞれ再発防止対策を考える。
この時に重要な事は、根本原因を根絶させる事が出来れば、流出対策は不要だという事だ。流出対策に重きを置いている再発防止対策をしばしば見かける。

流出防止対策は製品に付加価値を与えない。前出の例で言えば、加工時に発生した金属異物を除去するという作業や、耐圧検査は付加価値を生んでいない。品質を保証するための付帯作業だ。可能であれば削除、出来る限り短縮したい作業だ。しかし全数検査を2度やる等という対策をしばしば見る。
根本原因対策に重きを置けば、従来行っていた付加価値を生まない検査作業を削減出来る事すらある。


このコラムは、2016年12月19日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第507号に掲載した記事に加筆したものです。

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問題解決の第一歩

 問題解決の手法は沢山ある。
問題解決の一番重要なステップは、まず始めに課題を正しく定義する事だ。

例えば、
「受注が多くて出荷が間に合わない」というのは課題ではなく、現象だ。
正しい課題は「生産能力がなりない」ということだ。

同様な例を挙げると、
「製品倉庫が狭い」というのは課題ではなく「出荷より沢山生産してしまう」
ことが課題だ。

出荷不良を「検査をしているのに不良が顧客に流出する」と課題定義してしまうと「検査を強化する」という不毛な解決案が出て来る。
正しい課題は「工程内で不良が発生する」という事であり、これに対策をすれば「工程内不良をなくす」という本質解決を目指すことになる。
もちろん一足飛びに、工程内不良をなくす事はなかなか難しい。暫定的に検査強化をする事もあるだろう。しかしあくまでも「暫定対策」であることを明確にしておかなければならない。

問題の表層を見入るのではなく、本質を見て課題を定義しなければならない。

もう一つ重要なのは、課題を「自責」で定義する事だ。

上述の「出荷が間に合わない」を、顧客の注文が多い(他責)とすれば自分たちでは解決が出来ない。生産能力不足(自責)と課題を定義するから改善が出来る。

極端な例を挙げたが、意外とこの落とし穴にはまっている例を良く見る。

従業員の能力が足りないから、単純作業だけさせる。というのは、課題を従業員の問題(他責)として定義しているから、効果的な問題解決が出来ない。
従業員の育成が不足している(自責)と課題を定義すれば、いくつも解決案が出て来るはずだ。

「他責」は愚痴やあきらめしか生まない。
「自責」が工夫と改善を生む。


このコラムは、2012年8月6日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第269号に掲載した記事に加筆したものです。

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ミスをなくす作業方法

 人為ミスが発生すると、ミスの原因を十分に調べないで「作業者に再教育」「作業者に注意するよう指導」などという再発防止対策を、報告書に書いていないだろうか?
もちろん教育・訓練や指導は重要であるが、これでは効果を期待できない。

人為ミスが発生した原因を、行動まで分解して、どこに問題が有るのか突き止めれば、有効な再発防止をすることができるはずだ。

日本にはすばらしい工場がある。「日本で一番大切にしたい会社」で紹介されている日本理化学工業だ。

この工場は、知的障害者を積極的に雇用している。全従業員の70%は知的障害者だ。

知的障害を持った作業員たちが、工場で製品を作っているのだ。
当然ミスは頻発する。それをミスが起きないようにどんどん作業方法を改善してきたのだ。

例えば原材料の投入は、正確に材料配分を計量しなければならない。
量り間違えれば、全部不良だ。こういう工程も、障害者が担当している。

材料ごとに、材料の棚、コンテナ、投入用のバケツが同じ色にしてある。
そして計量用の分銅も同じ色だ。
このような作業方法の工夫によって、ミスが起きないようにしている。

こういうのがホンキの再発防止対策だ。
人為ミスが発生したときに、安易に「作業員の再教育」と言ってしまうのが、恥ずかしくさえ思える。

続・百聞は一見に如かず

 先週のコラムで、他社の現場を見る事ことにより、5S活動のモチベーションが上がった事例をご紹介した。
今週は別の企業の事例をご紹介したい。

5S交流会で中国人幹部に火がつき、自主的に5S活動を始めた日系刺繍工場だ。
日本本社社長が、出張で来るたびに現場がキレイになっているとおっしゃっている。

5Sがうまくいっている企業とそうでもない企業の違いを考えてみた。
5Sがうまくいっている企業は、以下の3点に特徴が有りそうだ。
・トップが率先して取り組んでいる。
・全従業員が参加している。
・楽しくやっている。

上述の刺繍工場では、日本人総経理が率先して5Sに取り組んだ訳ではない。
日本人総経理は「みんなに任せてあります」とおっしゃっている。
今までの経験では、こういう工場は5Sは盛り上がらない。
しかし経営者の指示ではなく、自主的に活動を始めて既に3ヶ月。大変興味が有り、先日工場を訪問して来た。経営者や幹部の話を聞いて理由が分かった。
中国人副総経理が本気で取り組んでいる。彼曰く「5Sが上手く行かなかったら、責任を取って会社を辞める覚悟です」。日本人総経理も日本本社社長も彼を全面的に支援している。

5Sが上手く行く理由「トップが率先して取り組んでいる。」は「経営幹部が率先して取り組んでおり、トップが全面的に支援している。」に変更する必要があるかもしれない(笑)

もう一つ5Sが上手く行く理由を挙げるとすると、活動の中心となるメンバーが、5Sがうまくいっている状態をイメージ出来ている、を追加すべきだろう。
他社との交流会により、5Sが素晴らしい職場を具体的にイメージ出来る事が大きいと考えている。


このコラムは、2015年8月17日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第437号に掲載した記事に加筆したものです。

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続・内部監査

 先週のメールマガジンで、ISO9001の認証維持のために内部監査を「お義理」でやらずに、有効利用してはどうかと提案した。
その方法の一つとして部門間で相互監査をすると、部門間でベンチマーキング・ベストプラクティスを促進する事が出来ると書いた。

このコラムに対して、読者様からベンチマーキング・ベストプラクティスの例を教えて欲しいと言う要望をいただいたので、先週の続編としてお答えしたい。

相互監査をしたら良いと思い付いたのは、品証部門長として各部門の内部監査を実施していた時だ。

営業部門の内部監査を実施した時に、年度品質目標の説明を受けた。
その営業部門は、売り上げ目標などの業務目標も品質目標の中に入れていた。品質目標の中に売り上げ目標が入っているのに違和感を感じ、営業部長になぜ売り上げ目標を品質目標の中に入れたのか尋ねた。
彼の答えは、
「部内の月例会議で業務目標の管理をしている。品質目標の中に売り上げ目標や利益目標を入れておけば、その他の品質目標も自動的に月例会議で進捗を管理出来る」
と言う事だった。

つまり、品質目標の管理がお座なりになりがちなので、自部門の業務目標も品質目標の中に入れてしまった訳だ。
このアイディアにいたく感銘し(笑)他の営業部門にも、○○部長は業務目標をISOの品質目標に入れている、と教えこのやり方を推奨した。
その発展で、相互に監査し合えば、もっと気付きがあるだろうと考えて、部門間の相互内部監査をする様になった。

各部の部門長が内部監査員の資格を持っていれば良いが、そうでない場合は、有資格者が監査員となり、部門長はオブザーバとして参加していただく方式で運用した。


このコラムは、2014年3月3日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第351号に掲載した記事に加筆修正したものです。

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続・顧客工場監査

 先週のコラムで顧客工場監査について書いたら、読者様からメッセージをいただいた。

※F様のメッセージ

いつも有意義な情報をありがとうございます。毎週愉しみにしております。
今回の工場監査の件は目からうろこでした。確かに毎回小職がてきぱき回答していて成功したと思っておりましたが、監査する側の心理を考えておりませんでした。今後は現場リーダの教育機会の側面もあるとの観点から対応します。筆者の方の体験の豊富さがにじみ出ている良い建議でした。重ねてお礼申し上げます。

過分なご評価をいただき、恐縮しております。
私の場合は、顧客監査を受けるだけではなく、仕入先の監査・指導もしていたので、両方の心理が分かっているだけだと思う。

経営者や品証幹部が全て答えるのではなく、現場の作業者が正しく答えることができれば、ちゃんと教育が行き届いていると安心出来る。そしてそれが、たまたま答えられたのではなく、仕組み化してあるのが分かれば、もっと安心していただける。

例えば、倉庫の保管期限を質問された時に、その場にいた作業員がすらすらと答えたら相当安心していただける。そして、新人でもちゃんと答えられるね、と理解してもらえたらもっと安心していただける。この「なるほど」と思っていただくのがコツだ。

倉庫の事例では、倉庫の目立つ場所に保管期限の規定を貼り出しておく。○○類:6ヶ月、△△類:1年、□□類:2年などと倉庫保管期限を貼り出す。別途有効期限がある材料は、直接袋や瓶に書いておく。そして、マニュアルの文書番号も小さく書いておく。有効期限が切れた時の手順を聞かれたらば、この文書番号を頼りに、マニュアルを持って来て説明すれば良い。

マニュアルの内容が覚えられずに、適当に答えてボロを出すのが最悪。
マニュアルに書いてあります、と答えてマニュアルを見せることができれば、合格だが、ここでモタモタする様だと「大丈夫か?」と疑惑が湧く。

マニュアルに書いてあります、と答えるだけではまだ駄目だ。顧客監査官が一目見てどのように管理しているのか分かる様に「見える化」しておく。こうしておけば、現場の作業員がたとえ新人でも、正しく判断出来る。このレベルになれば、日々のオペレーションが安心出来る様になる。これが、監査を通してレベルアップすると言う事だ。

当然作業者は、日本語は理解出来ない。通訳を通して答えさせる訳だが、そこまでやる価値がある。

昔指導していた生産委託先で、顧客監査を受けた際に材料倉庫の管理についてお叱りを受けた。部品が入っている段ボール箱の蓋が、開封したまま開いていたのだ。倉庫担当の課長に対策を検討させたら、毎日班長が自主巡視をして改善する、そして週末は毎日の自主巡視報告書の内容を確認する為に自分で巡視する。と言う改善案を出して来た。
実はこの課長は、どちらかと言うと人の面倒見は良いが、管理が上手く出来るタイプではなかった。その彼が自分で改善案を考えて来た。黙ってやらせてみたが、何週間経っても蓋が開いた段ボール箱がゼロにならない。

毎日の自主巡視報告書には、蓋が開いている段ボールを見つけるたびに、封をしましたと書いてある(笑)これでは改善ではなく処置をしただけだ。蓋の封が出来ない理由を考えて対策をしてごらんと教えたら、キッティング台車にガムテープを乗せる場所を作った。

この改善を生産委託先の工場長にも知らせ、倉庫の課長は成長し始めたから良く見てやってくれとお願いしておいた。その後彼は、隠れていた能力をどんどん開花して行った。今は自分で工場を経営している。

これも監査をきっかけにして、人が成長した事例だ。


このコラムは、2014年8月4日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第373号に掲載した記事に加筆したものです。

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作業員の離職率

 毎年日本の明治大学で、経営学部の学生さんに講義をしている。
毎週日替わりで現役の著名経営者が講義をする。私から見ると、大変羨ましい授業だ。その特別講義のトップバッターとして登壇させていただいた。

その講義の後に、中国人留学生からご相談を受けた。
彼女のお父様は、中国で300人規模の工場を経営されているが、従業員の離職率が高くて困っている。どうすれば作業員を定着させることができるか、と言うのがご相談の趣旨だ。

非常に問題意識の高い現実的なご質問だと感心した。
自分が20代の頃は、経営的な問題意識は微塵もなかったが、まだ20代前半の彼女は、経営者としての問題意識をしっかり持っている様に思えた。

「離職率が高い」と言う現象に対して、解決課題をどう定義するかを、まず考える。

「離職率を下げる」と言うのも解決課題になるが、他にも解決課題は設定可能だ。つまり離職率が高くて問題になるのは、作業員の熟練度が不足する、人員の確保が難しい、などの原因により、生産性、品質、納期などを、望む範囲にコントロール出来ない事だ。

従って「離職率を下げる」以外にも、「少人数で生産出来る様にする」という解決課題も出て来るはずだ。
又は「作業員の教育・訓練の質と効率を上げる」という解決課題とする事も出来る。
この解決課題に関しては、こちらの記事をご参照いただきたい。

「班長の仕事」

今回はとりあえず、「離職率を下げる」と言う解決課題に関して、根源的なアドバイスをさし上げた。

まず従業員が辞める理由を理解しなければ、離職率を下げる事は出来ない。
ここで多くの経営者や経営幹部が犯す間違いは、最近の若者は理解出来ない、と考える所に有る。

「違い」に着目すれば、当然理解出来ない。
たとえ「違い」を見つけることができたとしても、それがどうマネジメントの役に立つのか考えてみると良い。
今の若者は、上からの指示に従うことに慣れていない。では指示をせずに仕事をしてもらうことができるだろうか?
多くの一人っ子は、両親祖父母に大事に育てられたから、叱るとすねる。では全く叱らずに仕事を教えることができるだろうか?

「違い」を理解してもマネジメントの役には立たない。
「違い」に着目すれば、このように矛盾する事ばかり列挙することになる。

「違い」ではなく「共通点」に着目すべきだ。
70后、80后、90后どの世代にも、経営者でも作業者でも、人間としての共通点があるはずだ。その共通点に着目すれば、年代の差、職位の差は無くなる。
その共通点は、幸せになる事だ。幸せになる事は、人として共通の人生の目的と言って良いだろう。

仕事を通して成長することにより、幸せになる。これが実感出来れば、人は簡単には離職しなくなる。なぜなら、仕事と人生の目的が一致するからだ。
逆に言えば「仕事を通して成長することにより、幸せになる」と言う理念に納得出来ない人は、辞めてもらった方が企業にとって好結果となるはずだ。


このコラムは、2014年10月6日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第382号に掲載した記事です。

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内部監査

 ISO9001は内部監査の実施を要求している。
あなたの工場でも、内部監査を年に1回は実施しているだろう。ISOのためにやる内部監査ならば、1回で良いかも知れない。しかしこれを1回しかやらないのは勿体ない(笑)

私は前職時代に、臨時内部監査と称して定期内部監査以外にも、しばしば実施していた。不適合が発生した時に対象職場を臨時監査をする。不適合の原因を追求して行くと、原因の更に奥にその問題を誘発させた遠因が見つかることがある。多くの場合その遠因は、マネジメントの問題である。
そんな理由で、事前通知も何もなく突然レフリーがイエローカードを出す様に臨時監査を始める事があった。

通常内部監査をするのは、品証部門の内部監査官だが、部門ごとに内部監査を相互にし合う。これにより、部門間でベンチマーキング・ベストプラクティスを促進する。
ISO9001は内部監査官に資格を与えなければならないことになっている。
従って、正式な内部監査と言う訳には行かないだろうが、こういう活動をすることにより、5Sなど社内活動の部門間温度差を減らすことができるだろう。

あなたの工場でも、何かテーマを決めて相互内部監査をやってみてはいかがだろうか。


このコラムは、2014年2月24日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第350号に掲載した記事に加筆修正したものです。

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なぜなぜ5回

 定期開催している品質道場では、「顧客クレームの対応」をテーマとする回がある。

毎期同じテーマで開催している。昨年開催時に、参加者から困っている慢性不具合を聞いてみた。
色々な不具合があったが、要約してしまうと、人為ミスによる不具合が慢性化し易い様だ。もしくは人為ミスに対する再発防止対策をどうしたら良いか?と言う点に困っているケースが多かった。

参加者皆で例題として取り組んだ人為ミスは、出荷梱包に乾燥剤の入れ忘れがあり、顧客からクレームをいただいた、と言う不具合だ。
製品をトレーに入れて、2トレーごとにビニール袋で簡易真空パックする。
顧客要求でビニール袋に一個ずつ乾燥剤を入れることになっている。

これをなぜなぜ5回の演習として皆で演習した。
「なぜなぜ5回」と言う名前から、本当に効果的な分析が出来るのか?と思う方もあるかもしれない。しかし適切になぜなぜ5回が出来る人がやれば効果がある。まずは最初の問題の定義の仕方が重要だ。

この不具合を「乾燥剤を入れ忘れた」と定義しては駄目だ。
「乾燥剤が入っていない製品が、客先で見つかった」と定義する。

「乾燥剤を入れ忘れた」としてしまうと、入れ忘れ以外の原因に気が付かなくなる。「乾燥剤が入っていなかった」と定義すれば、入れたがその後に落ちてしまったと言う可能性も気が付く。

今回の不具合の原因が脱落でなくても、ビニル袋に乾燥剤を入れた後、真空パックするまでの間に乾燥剤が脱落する、取り出すなどの可能性があれば、そこに事前に対策を打っておくことができる。

「客先で見つかった」と定義することにより、乾燥剤が入っていない物を流出させた事が明確になる。これにより、なぜなぜ5回は最初の質問で二つに分岐して、発生原因と流出原因を分析することになる。
つまり
「なぜ乾燥剤が入っていなかったか?」
「なぜ乾燥剤が入っていない物を出荷したか?」
と言う二つのなぜに分岐することになる。

これで発生原因対策と、流出原因対策の両方を検討出来る。

参加者でやったなぜなぜ5回により、
(1)作業方法の改訂
  ・乾燥剤を入れる位置をビニールパックの外から見える位置に規定
  ・乾燥剤を入れる作業に十点法を採用
(2)作業指導書の改訂
(3)梱包作業者による確認(流出防止対策)
以上三つの対策が出来た。

作業者への注意喚起、再指導と言う再発防止対策よりは、ずっと効果がありそうだ。
この様な即興のなぜなぜ分析を私が全てやった訳ではない。
参加者した中国人幹部が分析をした。
適切な指導さえすれば、現場リーダでも出来る様になる。


このコラムは、2013年12月23日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第341号に掲載した記事に加筆修正したものです。

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