月別アーカイブ: 2018年3月

中国人とQCC活動

 今年最後の仕事は,お客様の工場に泊まり込んで,QCC活動の指導だ.
初めてQCCをやる人たちなので,QCストーリィを1ステップずつ教え,実際の現場での問題を課題にして活動を進めている.

製造部門から各職場のリーダ,設計部門のリーダ,品証部のリーダを選抜し,製造担当の副総経理も交えてやっている.
サークルの名前を決める所はすんなり決まった.
テーマ選定からケンケンガクガクの盛り上がりとなった.職場の問題を列挙する所から白熱し,37個の問題が出て来た.当分活動テーマには困らないだろう(笑)

その中からテーマとして一つ選ぶ際に,マトリックス図法を使って,重要度,緊急度,効果などに評点を入れてもらったが,全部◎か,QCCで取り上げずに普段の活動で解決する,の二通りとなってしまった(笑)

これじゃ駄目だとコメントしても,全然話を聞いていない(笑)
皆自分の主張をそれぞれに言い合って,収拾がつかなくなる.先が思いやられたが,意外にもすんなり全員一致でテーマが決まる.どうも,普段の苦労や不満が爆発して,白熱した様だ.

テーマはなんと「龍頭換面」となった(笑)
これでは何の事か分からないので,サブテーマを付けてもらうことにした.

現状把握をして,活動の目標を決定しようとしたが,不良のデータがない.不良率を聞いても,全数問題があると言う.
現場を見を見たら一目瞭然だった.私にいわせれば,全部設計問題だ.それを製造部が,何とか苦労して製品に作り上げている,という状況の様だ.更に,モノ造りの精度がきちんと出ていないので,全部現物合わせで生産している,というのが実情だ.
中国企業を相手にしていると,このくらいの事では驚かなくなる(笑)

これでは現状把握が出来ないので,ブレーンストーミングで問題を掘り下げ,KJ法でまとめる作戦を取った.
まずブレーンストーミングが分からない.一人ずつ紙に書いて,それを「投票」し一番多い問題点から着手しようとする(苦笑)彼らはチームで考えるのが苦手の様だ.
何とか誘導し,一番問題のある部位に着目する事した.取り上げた問題は,設計,製造,仕入れ先の問題が絡み合っており,改善の難易度が相当高そうだ.

初めての活動で,こんなに難易度を上げても良いか迷ったが,メンバーが異常に盛り上がっており,これで行くことにした.原因分析と対策の検討に,少し関与しヒントを出すことになるだろう.

目標は,現状3人・8時間の作業を2人・4時間に改善,となった十分挑戦的目標だ.当初彼らが設定したのは,2人・1時間.さすがにこの改善目標は思いとどまってもらった(笑)
久々に面白いコンサル仕事になりそうだ(笑)


このコラムは、2012年12月31日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第290号に掲載した記事に加筆修正したものです。

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中国的QCサークル事情

 最近中国でQCサークル活動を指導している中国人と知り合った.中国の経営者は,日本的モノ造りの優位性を信じており,QCサークル活動に対しても少なからぬ期待を持っているようだ.

中国では,既に製造業以外でもQCサークル活動が行われている.
上述の中国人QCサークル指導者は中国の通信系会社(携帯電話キャリア)でもQCサークル活動の指導をしている.

ところで,本家であるはずの日系中国工場のQCサークル活動状況は,あまりぱっとしない.大手企業はQCサークル活動を導入しており,グループ会社間で交流会を開催しているところもある.
しかし中堅・中小の工場ではQCサークル活動を導入しているところは多くはない.

QCサークル活動は,活動そのものによる改善効果だけではなく,チームワーク,仕事を通した求心力の醸成,問題解決能力,プレゼンテーション能力などの開発が期待できる.

中堅・中小企業の場合,適切な指導者が社内にいないなどの理由があり,QCサークル活動の挿入に踏み切れない.また外部から指導者を招聘すれば,費用の負担が大きくなる.などの理由により,なかなかQCサークル活動が活性化しないようだ.

また日本でQCサークル活動が停滞しているのも一つの要因だろう.
しかし中国では,リーダクラス育成のためのOJT効果を期待してQCサークル活動を再生できると考えている.

異業種交流の形をとって,QCサークル活動を導入するなどの方法を考えれば,中堅・中小企業にも比較的容易に導入可能だと思う.

日本で生まれ,日本の経済発展に貢献したQCサークル活動が,中国企業だけで活性化しているのを見るのは大変残念だ.


このコラムは、2010年10月24日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第154号に掲載した記事に加筆修正したものです。

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QCサークル活動

 日本でQCサークル活動をしておられた方に,QCサークル活動にネガティブな印象を持たれている方が多い様な気がする.投入した工数に対して成果が少ないと感じるのであろう.「バブル崩壊」前後にQCサークル活動が停滞し始めたという印象を持っている.活動が停滞し,活動件数がノルマとなると,成果の出る活動が少なくなる.そしてさらに活動が停滞する.一種の悪循環だ.
しかし日本のモノ造りが力を付けたのは,QCサークル活動に代表される現場の創意工夫があったからだ.

私は前職時代,開発設計部,品質保証部で仕事をして来た.全社にQC活動推進組織があるが,各事業部の品質保証部の責任者は,QC推進組織にも名前が入っているので,当然ネガティブな感覚など持ってはいられない(笑)
設計部門と営業部門が主体のファブレス事業部内で,いかにしてQCサークル活動を活性化するか考える側だった.

推進側に回って,いかにして技術者のやる気を上げるかに苦心した.
その時に感じたのは,「草の根活動」なんだから,サークルの自主性に任せるという考え方の上司の元で活動しているサークルの活性度が低かった.自主性に任せるとは聞こえが良いが,放置状態だ.活動件数がノルマ化しては活発な活動は期待出来ない.

中国でもQCサークル活動に取り組んでいる企業は多くある.
中国企業で,QCサークル活動を指導したこともある.最後の成果発表には,経営者も参加して,大いに盛り上がった.
日系企業のお客様は,日本本社の発表会に代表を送り込み,金賞を取って来た.更に顧客企業が開催する,ベンダーを含めた発表会でも第二位を獲得した.

QCサークルという名前を使っていなくても,プロジェクト活動などの名前で同様な活動をして成果を出している企業も多い.
QCサークル活動が停滞している企業との違いは,テーマ選定や目標設定に上司が積極的に関わっているところだろう.

活動による成果,メンバーの成長,ノウハウの横展開・蓄積の効果があり,一石三鳥だ.
こういう状態になればQCサークル活動に対する経営者の意欲も高まるはずだ.

中国・華南では広東省質量協会,広東省科学諮詢服務中心主催のQCサークル活動成果発表会が毎年開催されている.残念ながら,私が考えている様な発表会・交流会にはなっていない.60余りのサークルが,2日間ぶっ通しで発表を行う.質疑応答や講評も無しだ.

ならば自分でもっと意義のあるQCサークル成果発表会を開催しようと,野望(笑)を持っている.

まずは,QCサークル活動の底上げをするために「改善道場」を始める事にした.6社前後からチームを派遣してもらい,合同で各1テーマ活動を完結してもらう.
異業種のサークルも一緒に活動するので,刺激になるはずだ.

その次のステップとして,QCサークル活動の成果を発表し合う交流会を開催したいと考えている.
この交流会で,異業種のQCサークルとの交流を通して,更に意欲を高める.
大手の企業は,日本本社のQC大会に優秀サークルを派遣する事ができるが,中堅,中小企業も同様な効果をもっと手軽に得られればと考えている.


このコラムは、2012年9月10日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第274号に掲載した記事に加筆修正したものです。

6年前の「QCC道場」の構想(当時は改善道場という名前で考えていた様です)が実現しています。

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QCC活動の分担

 QCCによる改善活動と,日常の改善活動には役割分担があってよいはずだ.大掛かりな改善や,複数の部門の協力がなければ達成できないような改善は複数部門合同のQCC活動に任せるのが良い.

指導先で「顧客提供サンプルの合格率アップ」という活動をしているサークルがあった.事務機器業界の顧客には,サンプル提出後一発合格しているのに,新規業界の顧客向けサンプルは,合格率が低いという.

この手の問題は,顧客の要求仕様を把握する営業,その要求仕様を図面に落とす設計,サンプルを製作する生産技・製造,品質を確認する品証の協力がなければならない.
したがって複数部門合同のQCC活動に適したテーマと考えていた.

しかし活動内容の発表を聞いて考え直した.
今まで不合格となった試作サンプルは3件しかないということだ.
ならば,QCC活動でまとめて対策を検討するまでもない.その都度不良の原因調査と再発防止対策を検討する方が効率が良い.それがきちんと回る仕組みを作ればよいのだ.

例えば,サンプルを出荷する前に,営業,設計,生産技,製造,品証で出荷判定会議をする.サンプルが不合格となったら,このメンバーで原因調査,再発防止をきちんと実施する.

QCC活動では「歯止め」を行う.不具合の再発防止,水平展開,未然防止などをさして「歯止め」といっている.

例えば仕様の確認不足でサンプル不合格となった場合,「仕様確認チェックシート」などを作り仕様確認作業を標準化することである.しかし一番大きな歯止めは,前述した出荷判定会議である.

サンプル不合格の原因は,仕様の未確認だけではない.
製造の問題,治具の問題,測定方法などいろいろな問題があるはずである.それらの問題が出てくるたびに,問題解決の行動を起こすのではない.問題が発生したら自動的にアクションがとられる仕組みを準備しておくのだ.

何をすれば良いかわかっている改善活動は、QCC活動ではなくすぐに改善すべきだ。


このコラムは、2011年6月20日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第210号に掲載した記事に加筆修正したものです。

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データの活用

 製造現場では日々の生産量、不良、故障など色々なデータを記録していると思う。
昨年指導した工場では、工程ごとの生産台数を記録していた。それに加えて投入人員も記録して貰った。これで生産性が分かる。日々の生産性をグラフにしてみると、有る日を境に生産性が飛躍的に向上しているのが分かる。その変節点は「整理・整頓」をした日だった。このグラフから「整理・整頓」により生産性が上がる事を実感出来た。

今年QCCを指導した工場では、設備の故障を記録していた。その記録から設備故障による損失金額を計算する事が出来た。改善活動により年間350万元ほどの損失を低減出来た。もし故障原因も記録していれば、より効果的な設備保全活動が出来ただろう。

工程内不良、客先不良は件数だけ記録していても、不良は減らない。不良発生ごとに、原因を記録しておけば新規製品の設計、工程設計を改善することが出来る。

データを記録する事は目的ではない。記録したデータを活用して改善する事が目的だ。従ってデータは数値データだけでは不十分だ。不良・故障の現象、原因などの言語データが必要だ。これらの言語データにより、潜在問題の予防保全が可能になる。

ルールだからデータを記録するのではない。データを記録する目的を明確にし、どのようなデータをどうやって取得し記録するのか、事前に設計しておく事によりデータは活用出来る様になる。


このコラムは、2017年11月13日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第588号に掲載した記事です。

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常識・非常識

 常識と非常識の境目について考えて見た。
1月21日付の朝日新聞の記事「知られざる可能性を追う 卵で世界を救いたい」にゆで卵の料理法が紹介してあった。
我々の常識では、ゆで卵は白身が外側、黄身が内側だ。しかし1785年刊行の料理本に紹介されている「黄身返し卵」は黄身が外側白身が内側になる。

黄身が外側にあるゆで卵は、我々にとって「非常識」だ。
黄身は卵黄膜に包まれており、その外側に卵白、卵殻があるという構造が常識だ。ゆで卵は黄身が内側にある、という常識は卵黄膜の存在に依存している。
卵黄膜を破る方法があれば、卵黄と卵白の比重差、固化温度差により、黄身が外側にあるゆで卵を作ることが可能になる。

したがって「非常識」を実現するためには「常識」を支えている要因に対するブレークスルーを見つければ良いことになる。

100均ショップは、なんでも百円という非常識を実現した。
100均ショップのパラダイムシフトは、売価はコストに利益を上乗せするいう常識を、売価を固定し利益は売値からコストを差し引いたモノという常識変更により実現している。現在はコストに利益を上乗せして売価を決める考え方の方が非常識といってもいいだろう。

つまり常識と非常識の境目は流動的だということだ。
時代と共に変わる。業界ごとにも違う。技術的ブレークスルーがあれば変わる。逆に考えれば、非常識を常識にした者が時代を作るということになる。

卵の例に戻ると、外から卵殻を破れば「死」、内から卵殻を破れば「誕生」となる。
外からの常識・非常識のパラダイムシフトは危機になるが、内からのパラダイムシフトは機会になる。
日々「非常識」にチャレンジしたい。


このコラムは、2018年1月26日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第620号に掲載したコラムです。

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米航空会社、乗客引きずり下ろす 映像拡散、批判集まる

 米国のシカゴ国際空港で9日、米ユナイテッド航空が自社の便に職員を乗せるため、すでに搭乗していた乗客を機内から引きずり下ろす映像が交流サイトで拡散し、同社への強い批判が起きている。ミュノス最高経営責任者は「全職員にとって心が乱れる出来事。何が起きたのか詳細に調査を行う」との声明を出した。

(以下略)

 ユナイテッド航空(以下UA)は自社の社員4名を乗せるため、既に搭乗している乗客から4名翌日の便に変更を依頼。誰も降機しないので、4名指名して降ろしたと言う。指名された4名は全てアジア系の乗客だったそうだ。内1名は翌日の予定があると言って拒否。警察官を動員し引き摺り下ろした。
私も動画映像を見たが、犯罪者を扱う様な態度だった。顧客に対する行動とは思えない。

この報道を見て思い出した事件がある。
カントリーソング歌手が、ギターを手荷物運搬職員の手扱いで壊された事件もUAだった。当時ギターの弁償を求めて9ヶ月もUAと交渉したがらちがあかず、被害者のデーブ・キャロル氏はその顛末を“United breaks guiter”という歌にしてYoutubeに上げた。その結果UAは自らの非を認め、賠償に応じた。

更に私の記憶によると、デーブ・キャロル氏の動画は、UA社内で社員研修用の資料として活用されていると聞いた。今回のニュースを見て私の記憶違いであった様だ。他の航空会社がUAの事例を社内研修に活かしているのだろう。

UAは自らの不適合事案から学ぶ事もなく、また同様な問題を引き起こしている。いくら経営者が反省していても、現場の職員が理解していなければ意味がない。現場で起きている事を、いちいち経営者や幹部が判断する事は不可能だ。現場にいる職員が判断せざるを得ない。

航空会社は、飛行機を飛ばす事が仕事ではない。顧客や荷物を安全快適に目的地に届ける事が仕事だ。そんな簡単な事がなぜ分からないのか。現場の職員達にとって、所属している組織に「安全感」を感じられないのだろう。「組織に対する安全感」とは仕事を執行していく上で、「権限を委譲され、守られている」と言う実感をのことだ。

同じく米国の空港で、後部座席からの搭乗案内に従わない乗客に対し、まるで犯罪者に対する様な扱いをした職員がいたそうだ。見かねて「なぜ人を家畜のように扱うんだい?もう少し人間らしく扱えないものかな?」と注意すると、職員は「でも規則通りにやらないと、問題になってこっちがクビになりかねません」と答えたそうだ。この職員は、組織から信頼されていないと感じており、自分も組織を信頼する事が出来ない状態になっている。

自分の仕事の目的を理解せず,「自社社員を乗せるために客を降ろせ」という上司の指示の方が優先順位が上がり、上司の指示に従わなければ、職を失う。この様な職場に「安全感」はない。その結果、現場職員は「恐怖」に支配され仕事をし、本来企業が目的とする仕事をする事が出来ない。そして顧客は離れて行く。

これらの航空会社の事例は、極端すぎるかも知れない。しかし自社の現場前線でこの様なほころびが発生していないか点検してみてはいかがだろうか。ほんの小さな齟齬が取り返しのつかない大問題になる事はままある。

私の個人的な感想であるが、UAという会社の組織は自由闊達からほど遠い所にある様だ。経営状態は分からないが、この会社に未来があるとは思えない。前職時代に、米国西海岸に出張する時にUAを使った事がある。客席乗務員が、全員中年の女性だった。中には老眼鏡を着用している女性もいた。帰国後航空会社に詳しい友人に聞いた所、UAは太平洋路線に乗務すると、乗務明けに必ず休暇を取る事になっている。太平洋路線は、先輩の客席乗務員によってシフトが埋まり、若い客席乗務員は大西洋路線のシフトが割り当てられるそうだ。
まるで体育会系運動部の様な組織だ。私の感想は20年程前のナイトフライト一回だけの経験に因るモノであり、未だにUAは営業を続けているので、私の見立ては間違っているのだろう(笑)


このコラムは、2017年4月17日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第524号に掲載した記事です。

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QCC道場

 私が初めてQCCと出会ったのは、地方都市の超零細企業から東京の一部上場企業に転職した時です。今から37年前です。超零細企業で、当月の給料を稼ぐ仕事をしていましたが、大企業は2年3年後の製品開発をやっている。その格差に愕然としました。今お金になるわけでもないQCC活動を仕事時間中にやっているのにも驚きました。

電子回路の公差設計に疑問を持っていた先輩が電子部品の公差ランクを下げても大丈夫であることを証明したい、という思いが私の初めてのQCC活動テーマになりました。
当時私は、8ビットのパソコンでプログラムを作りシミュレーション実験で証明するアプローチを取りました。統計数学を理解していれば一言で済む話です。今思い出すと赤面します(笑)我々のQCC活動の発表を聞いた大先輩が見かねて、私たちに統計理論の講義をしてくれました。

その後、設計から品質保証に異動となりQCC活動の推進・指導が任務となり、20年ほどQCC活動と関わり続けています。

2005年に独立して中国工場の現場で品質改善・生産性改善のお手伝いをしていますが、QCC手法を応用しています。問題を解決改善するだけではなく、現場リーダの問題発見能力、問題解決能力を高めておけば改善が継続するからです。

昨年(2017年)からQCC道場を始めました。異業種、異業界のサークルが集まり、一緒にQCC活動の方法を学びながら活動を実践する研修です。研修と言っても本物の課題に取り組むので現実の成果が出ます。第一期第二期を通して最高の年間効果金額は350万元を超えています。また一緒に参加しているサークルとの競争意識や、学び教え合う環境は、サークルメンバーの学習効果を上げるための工夫です。

2018年4月12日から第三期QCC道場を開始します。
第三期QCC道場

安全教育

 どの企業も事故の未然防止の一環として安全教育を実施しておられるだろう。
例えば粉塵爆発。アルミニウムの粉塵や、小麦粉の粉塵は一定の条件がそろうと爆発する。当然そのような業界で仕事をしておられる方には、既知のことであり、対策をしっかりし、新人にも安全教育をしておられると思う。
しかしそのような事故は、門外漢には分からないことだ。事故は繰り返し発生している。

失敗学の大家、畑村教授も学部に進学してきた学生にご自身で安全教育をしておられる。学生にとって思わぬところに危険があることを知ることは重要だ。
しかし教える側にとっては、毎年同じことを話しておりマンネリ化してしまうと、畑村教授は自省しておられる。毎回同じことを話す繰り返し作業をする者の気持ちが、教育対象者に伝わってしまうものだ。

教師は毎年新しい学生に同じことを教え続けなければならない。10年間同じ講義ノートを使い続けるなどということもあるだろう。こういう教授の講義を受ける学生は退屈を感じる。(これは畑村教授のことではなく、私の体験であることをお断りしておく)

企業の安全教育も同様な事に陥る事があるはずだ。しかし安全事故は絶対に防止しなければならない。

私の工場経営の師匠である原田則夫師は、新入社員教育を入社2年目の社員にさせていた。新入社員は一つ上の先輩から教わる。下手をすると教育係が年下になることもありうる。しかし教育係を買って出た社員は、昨年学んだことを自分の目線で話をする。講義に先立ち昨年学んだことを再学習する効果もある。教わる側も、はるかに年長の部長さんから教わるより、同年輩の先輩から学ぶ方が、親近感を持てるだろう。

参考:原田則夫

教育係に丸投げしたのでは、効果は期待できない。
教育係をチームにし、教え方を研究させる。研修内容・効果を確認しフィードバックする。このようなやり方で研修効果を上げるだけではなく、意欲のある班長候補が育っていくはずだ。


このコラムは、2018年3月14日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第640号に掲載した記事です。

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第二期QCC道場終了

第二期QCC道場は、3月9日合同成果発表会で終了しました。

QCC道場に参加したメンバーに感想をいただいています。

  • 第1期に参加した後、参加メンバー一人一人がチームリーダとなりQCC活動を社内展開しました。社内の改善風土が高まっています。
  • 活動を通して有形無形の効果がありました。品質改善、生産性向上の金額に換算できる有形効果の他に、メンバーの品質意識、改善意欲が高まりました。
  • 第1期、第2期の活動を通して、QCC活動のレベルが上がり、品質、生産効率、納期の改善で会社に貢献できました。今後もQCC活動を継続します。
  • QCC活動で会社に大きな貢献ができました。全ての会社にも効果があると思います。

またメンバーを送り出した経営幹部の方からもコメントをいただきました。

  • メンバーに改善の楽しさを味わって欲しくQCC道場に参加させました。
  • データに基づき考える力、自分の活動をQCストーリィに沿って他人に伝える力を身につけてほしい。
  • 問題解決能力と、問題発見能力を身につけるいい機会だと思った。
  • QCC活動により、現場の品質意識、改善意識を高める事が出来ると思いました。
  • 現場の自主的な改善能力が不足しており、日本人赴任者が苦労している。今回の成果を見てタイや日本国内の工場にもQCC活動を広めたい。

こういうご感想をいただいて、私たち自身もモチベーションが上がっています。
今回の活動では、問題の要因に対して統計的手法を活用して原因の特定をしたサークルもあります。参加いただいたサークルの成長が、私たちの報酬です。

4月から第三期QCC道場を開始します。