月別アーカイブ: 2017年8月

信じる力

 私は心配症だ。
品質保証の仕事をしていると、心配し続けることになる。一種の職業病だろう。

例えば、
作業台の上で不良品が製品に混じったらどうしよう。
倉庫の中で、違う部品が混じったらどうしよう。
運搬中に製品が荷崩れしたらどうしよう。
こんなことをいつも心配しているから、不具合を未然に防げるのだと思う。

自分自身の事はあまり心配していない。きっとうまく行くといつも考えているからだ(笑)
今月の売り上げが少ないと心配することはあるが、たいてい次の日には忘れている。独立してここまでやって来れたのは、自分の事を心配しないからだろう。

部下も同様だ。
部下を信じていれば、きっと出来る。
信じる力が足りないと、仕事を任せることが出来ない。仕事を任せなければ部下の成長はない。部下のことを心配していると、うまく行かない。

部下は信じて用いる。心配しないで部下に仕事を任せる。
信じてもらえれば、それに応えようとする。その結果成長する。

部下を信用すれば、部下は信頼と感謝を返してくれる。
信用とは、信じて任せるが、責任は自分で取ると覚悟を決めること。
部下を信じるということは、自分自身を信じることだ。


このコラムは、2012年6月11日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第261号に掲載した記事に加筆修正したものです。

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【中国生産現場から品質改善・経営革新】

人手不足で品質低下?

 日本経済新聞の電子版に「反日だけでない中国リスク 人手不足で品質低下が顕著」と言う解説記事がでていた。
有料会員限定の記事だが、登録をすると無料で読める(一ヶ月20本まで)。
電子製品の組み立てをしておられる方には、この記事が参考になると思う。

記事の解説を要約すると、
「反日」という政治リスクによる、日本製品の買い控えが日本メーカに脅威をもたらしているが、もう一方で、生産委託先の中国工場の品質低下が深刻な影響を与えている。その主要因は、人手不足による熟練工の不足だ。

確かに、機械加工など技能工による作業が中心の生産は、作業員の熟練度が、直接製品品質を左右することがある。

しかし記事の事例として上がっていた電子製品の組み立ては、比較的単純作業が多く、かつ製品検査を機械化出来る割合が多いので、それほど作業員の熟練で出荷品質が左右されることはない。

  • 半田手直し作業による、回路ショート・オープン、疑似半田、半田ボール。
  • 半田手直し作業による、プリント基板の破損。
  • プリント基板割り代の取り忘れ。
  • 組み立て干渉による筐体の嵌合不良。
  • プラスチック成型部品の成型不良。
  • 解説記事には、上記の事例が紹介されていた。はっきり言えば、熟練以前の問題だ。

確かに、電子製品の高機能・小型化に伴い、プリント基板の実装密度向上、微細化が半田付け作業を難しくしている。しかし半田付け作業は、正しい方法で訓練すれば、2、3日で作業が出来る様になる。

更に、工程内不良が後工程に流出してしまうのも問題だ。
例えば、半田手直し作業が完了した製品を、工程の何処に復帰させるか、をきちっと検討するだけで、流出が防げる。
プリント基板の割り代取り忘れなどは、簡単な治具を用意するだけで、次工程流出を防止出来る。

通常は、プリント基板アッセイ単体状態でICT(インサーキットテスタ)検査を実施する。上記の半田付け手直し作業による不良のほとんどは、ICTで見つかるはずだ。ICTで検出不可能な不良モードを見つけたら、検査方法を改善する。
ICTの変更では検出不可能と分かれば、代替え検査を検討する。この様な努力を継続しなくてはならない。(本来こういう作業は、量産開始前にFMEAを実施し、先に潜在する問題をつぶしておく)

2000年当初、中国の生産委託先工場(台湾系企業)に生産委託をした電源製品(部品点数200点弱の小型アダプター電源)は、生産開始翌月から工程内不良が100ppmを切った。検査がうまく出来ていなくて工程内不良率が低かった訳ではない。この製品は顧客、市場からの不良返却は数ppmだった。

この製品は自社工場で先に生産を立ち上げており、3ヶ月の初期流動期間に発生した工程内不良を、即フィードバックし設計変更、工程変更を繰り返した。その結果、生産委託先に移管した当月から工程内不良率が100ppm台、翌月から100ppm未満となった。

若年労働者の製造業離れ、仕事に対する忍耐力不足などにより、作業員が定着しないことが主要原因の様に捉えられているが、本当にそうだろうか?

2000年前後にも、作業員の流動性は高かった。
確かに当時の作業員の「忍耐力」は抜群に高かった。それは彼女たちに「家族の生活を支える」という大きな使命を持っていたからだろう。当時は工場経営者は特に彼女たちの労働意欲を高める努力をしなくても、労働者が自ら労働意欲を高めた。その結果、少しでも賃金の良い工場にすぐに転職して行った。しかし募集をすれば、すぐに出稼ぎ労働者を集めることができた。

非常に楽に労務管理が出来た訳だが、これが続くはずはない。
努力すべきことは努力する。工夫すべきことは工夫する。
これが本来の経営だろう。


このコラムは、2012年12月17日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】288号に掲載した記事に加筆修正したものです。

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組織の成長

 今週のコラムでは、人のモチベーション向上メカニズムについて考えた。
今週のコラム:「ダニエル・ピンク」

独立して以来、人のモチベーションを向上させるにはどうすべきか考えている。
我が師・原田則夫に「君は人事に興味があるか?」と問われたのがきっかけだ。
私は、元設計の品質屋だ。人事には全く興味がなかった。
しかし原田師の「全ては人の心から始まる」という教えに触れて、生産性も品質も人の心が決めていると気がついた。

以来、エルトン・メイヨー、フレデリック・ハーズバーグ、ダニエル・ピンク、チクセント・ミハイ等モチベーションの仕組みに関する研究成果を読んだり、中国に赴任している工場経営者と勉強会をしたりして来た。

人のモチベーションが成果を決める。
人のモチベーションを高めるのは本人の努力ではなく、「環境」である。
環境とは組織文化と言い換える事が出来る。

人のモチベーションを上げれば、人は成長する。
人が成長する組織文化を持てば、組織は成長する。
というのが現時点での私の答えだ。

そんな方程式に載せるために、5S活動やQCC活動を顧客の現場改善に応用している。5SにしてもQCCにしても、コンサルの努力で成果を出したのでは意味がない。従業員、リーダが成果を出す事、成果を出し続ける組織文化を定着させる事が仕事となる。
5S活動やQCC活動が組織文化を育てるのに適していると考えている。

こちらもご参考に。
「QCC道場」


このコラムは、2017年4月10日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第523号に掲載した記事に加筆修正したものです。

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ダニエル・ピンク

 このメルマガで何度かご紹介しているダニエル・ピンクの講演動画をYoutubeで見つけた。

ダニエル・ピンク「やる気に関する驚きの科学」

近年の社会学者の研究成果は、以下の事実を示している。
従来の「飴と鞭」型のモチベーション(成果を出せば報酬を与え、成果が出せなければ罰を与えるという動機付け。外的動機付け)が上手く行くのは、単純作業の場合だけである。
少しでも頭を使う仕事になると、報酬はパフォーマンスにネガティブな影響を与える。

モチベーションを上げるのは内的動機付けであり、次の3つの要素だ。

  • Autonomy(自主性):自分の人生は自分で決めたいという欲求。
  • Mastery(成長):自分自身の成熟を目指す自己成長意欲。
  • Purpouse(目的):自分より大きな何かのために貢献したいという意欲。

自主性に関して例を挙げるならば、

  • Atlassian(オーストラリアのソフト会社)
     年に数回24時間好きな事をやってよい日がある。24時間後に自分の成果を社内に発表する。このイベントで従業員のモチベーションが上がっている。
  • グーグル
     仕事時間の20%は自分の好きな仕事ができる。グーグルのサービスの半分はこの20%の時間から生まれている。
  • 百科事典の編纂
     マイクロソフトは、人材と資金を投入してオンライン百科事典を作る計画を立てた。しかし、後からスタートしたボランティアのプロジェクト(ウィキペディア)の方が成功しているのは誰の目にも確かだ。

ダニエル・ピンクの主張を要約すると

  1. 20世紀的な報酬による動機付けは機能はするが,有効な範囲はきわめて狭い。
  2. If then方式(もし○○したら、□□する。)の報酬はクリエイティブを損なう場合がある。
  3. 高いパフォーマンスを発揮する秘訣は内的動機付け。

同一規格の製品を大量に生産すれば儲かった20世紀型製造業では、自ら考える従業員は必要なかった。彼らのモチベーションは報酬で簡単に上がった。
しかし21世紀型製造業では、ただ指示に従う従業員では戦えなくなった。より高度、より創造的従業員のモチベーションは報酬などの外的動機付けでは上がらない。

ハーズバーグの衛生理論は、20世紀には既に外的動機付けではモチベーションは上げられないと言って来た。ダニエル・ピンクの主張は、21世紀になっても未だに、社会科学者の見識を経営者が応用していない、ということだ。


このコラムは、2017年4月10日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第523号に掲載した記事に加筆修正したものです。

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技術改善

 中国の生産現場で改善の指導をしていると、設計を少し変更すれば簡単に改善出来る事例がいくらもでもある。製造は設計図面の通りに加工するのが使命と考えているのか、困難な作業もそのまま受け入れている例を良く見る。
今指導をしている中国民営企業でもそのような事例があり、設計変更により1時間近くかかっている作業を10分程度に改善してみせた。同様に製造で困っている作業を設計部門で改善する様指導した。

設計部門は全部で12項目の改善項目を挙げ、自主活動をしている。今回は4項目の改善が完了したというので、設計者達から報告をしてもらった。

その内の一つの事例を紹介しよう。
総組み立てで部品を組み付ける際に、固定用の穴を支柱に空けボルトナットで固定している。これを事前にボルトを溶接で固定しておく事により、穴あけ作業をなくした、という設計改善の報告があった。

確かに総組み立て工程で、狭い場所にドリルで穴を空けるという無理な作業が無くなり、改善出来た。しかし部品本体と固定用のボルトの間隔が狭く、電動工具が使えない。
変更前も同様に電動工具が使えないので、スパナでボルトを締めていた。
彼らは、穴あけ作業が簡単になれば改善だと考えた様だ。

更に改善するために電動工具を使える様にするためにはどうしたら良いか、と課題を与えてみた。固定用の金具を長くする。などのアイディアが出て来る。最終的には、固定用の金具をL字型に曲げ、上からナットを締めれば本体と干渉する事なく簡単に電動工具で作業出来ると気がつく。

この検討を3人の設計者にやってもらった。私は何もヒントを与えていない。
3人で検討する事により、アイディアが広がり、最終改善案となった。
この体験で、中堅の設計者達は得るモノがあっただろう。

多くの指導先での改善活動は、改善項目ごとに担当者を決めスケジュールを設定する。これが「管理」だと考えている様だ。「責任」を追及出来る様にする事が管理ではない。より良いアイディアがどうすれば出るかを考えるのが、設計における「管理」だろう。
こういう場面でQCC的アプローチが大いに力を発揮する。

こちらもご参考に。「QCC道場」


このコラムは、2016年10月31日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第500号に掲載した記事に加筆修正したものです。

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現場・現物で確認する

 今年は大きなプロジェクトが入っており、6人のコンサルタントがチームを作りお客様の工場を指導している。私は現場改善を担当し、中国人コンサルが2名が下についている。彼らには工場に張り付き、私の指導を推進してもらっている。
二人とも、立派な経歴を持っている。日本人の様に一社で勤め上げると言う習慣がないので、すごい企業を渡り歩いて来た様に見える(笑)

しかし残念ながら、そのうち一人は早々に降りてもらうことになった。
理論はしっかりしているし、現場の指導も問題ない。しかし重大な欠点が有った。

お客様の幹部から,塗装工程がボトルネックになっている、と聞きそれを鵜呑みにしてしまう。お客様幹部は、理論的作業人工からボトルネックは塗装だと言っている。しかし現実は,種々の原因(主に大量の中間在庫)により、塗装工程がボトルネックではなく、その後の組み立て工程がボトルネックとなっている。

それを指摘しても、なお塗装工程の改善をしたがる。現場を見れば塗装完了品が中間在庫としてたまっているのが一目瞭然だ。下手に塗装工程の生産性改善をしてしまうと、ますます中間在庫が増え逆効果となる。

トヨタには『「者」に聞くな。「物」に聞け』という格言が有るそうだ。
たとえお客様の幹部であっても、言っていることの前提が違っていたり、内部にいるため正しく課題をとらえていないことはしばしば有る。
お客様幹部と同じ目線でモノを見ていれば、コンサルの価値はない。


このコラムは、2016年4月11日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第471号に掲載した記事に加筆修正したものです。

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時間軸

 時間軸について考えてみたい。
あなたの頭の中にある時間軸の目盛りの単位は何だろう?
年?月?週?時間?分?秒?

当然考えている事柄によって時間軸目盛りの単位は変わるはずだ。
部下の育成は年単位かもしれない。
中長期経営計画ならば月単位。
年度計画は月単位もしくは週単位。
今月の予定は日単位、時間単位。忙しい人なら分単位となる。

つまり時間軸の目盛りは、事柄ごとに変えねばならない。
新素材の研究開発ならば時間軸の単位は月、年だろう。
新製品の開発設計の時間軸が年、月では遅かろう。

そして長期の時間軸はより短期の時間軸にブレークダウンする。
短期時間軸で補正をかけながら、長期時間軸を制御するイメージだ。

もう一つ時間軸の「方向」についても考えたい。
通常の時間軸は過去→現在→未来の方向になっている。
過去の失敗や成功体験から未来を予測して現在の行動を決める。多くの場合このような行動や決断をしていると思う。

これを逆にしてみるとどうなるだろう?
未来から現在を考える。未来とは「あるべき姿」と考えれば分かりやすい。
あるべき姿と過去から継続している現在の姿のギャップが解決課題となる。

例えば、売り上げ規模1億円の企業が、「3年後に売り上げを100億にする
にはどうしたらよいか?」という正方向時間軸の課題を考えたとする。
多分最初から無理だと考えるだろう。

逆方向の時間軸で考えると「3年後に売り上げが100億になった。何をしたのだろうか?」と言う課題になる。

課題の要求する答は同じかもしれないが、後者の場合3年後には売り上げが100億になっていることが前提となっている。つまり、その気になって逆算で考える、と言う思考法だ。

そんな単純なことでうまく行くはずはない。多分そうお考えだろう。
しかし人間の脳は、結構単純に出来ていて、簡単に騙されその気になる。
騙されたと思って試してみてはいかがだろうか(笑)


このコラムは、2016年2月1日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第461号に掲載した記事に加筆修正したものです。

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リンク

第一期QCC道場成果発表会を開催しました。
QCC道場に参加された4社の経営者・経営幹部の皆さん、成果発表会に参加された異業種の幹部の皆さんの参加で、4サークルの成果発表を聞きました。

「QCC道場」とは

発表内容

  • 「SL8中-R傷不良削減」鴻達錩小組
  • 「新空室整炉IP不良低減」源謚小組
  • 「傷不良半減」宏展小組
  • 「研磨工程直行率15%アップ」奇の隊

第一期QCC道場成果発表会

第一期QCC道場に参加されたメンバーは今回初めてQCC活動に取り組みました。
初めての活動ながら、4サークル合計で五百数十万元の年間効果金額を達成されました。
ご参加いただいた企業の経営者様は「メンバーに改善活動の楽しさを肌で感じて欲しいと考えた」と参加動機を語っていただきました。参加したメンバーは、QCC活動の実践を通して大きな成果と自信を得たと思います。

今後は参加したメンバー一人一人がリーダとなり、改善活動を継続してくれるでしょう。

改善提案

私の友人富田氏は、東莞に工場を立ち上げ10年間で顧客数を50倍近くにし、武漢にも分工場を作った素晴らしい経営者だ。

5Sや生産現場の改善ばかりではなく、中国人幹部が経営に参画し経営計画を作れるように従業員の育成に力を入れておられた。

彼の工場では改善提案制度は3年やってやめたそうだ。
改善提案制度を継続しても、なかなか提案内容のレベルが上がらない。提案件数にノルマをかけたりするとゴミの様な提案ばかりが出てくる。そんな悩みを持っている方も多いと思う。

富田氏は改善提案制度をすっぱりやめ、小集団改善活動に切り替えた。

一つは上司から課題を与えられ、即改善に取り組む活動。もう一つはQCC活動。
改善提案制度は、自主的に考え提案することに慣れていない従業員が多い時には有効だ。しかし従業員の実力が上がってくるとマンネリ化してしまう。そう言う時期にチーム改善活動を導入し、従業員の更なるレベルアップを計るとよいだろう。

私はチーム改善活動をする際に以下の様な手順を踏んでいる。

まず上司を入れて職場の問題や課題を挙げてもらう。初めてこういう活動をする中国企業では、メンバーが大興奮して、後から後から問題点、課題が出てくる(笑)ある中国企業製造部の各職場で、自部門が考える問題点、課題、他部門から見た問題点、課題を各職場ごとに話し合ったら、1時間足らずで47個の課題が出た。47個の課題を改善すれば、とてつもない効果を得ることができる。

これらの問題点、課題を一つずつ検討して以下の3つに分ける。
(1)即改善する。
(2)QCCとして活動する。
(3)何もしない。

この3つに入らないテーマは、もう少し現状を調査することになる。
(1)に分類されたテーマは、担当チームを作り改善活動をする。QCC手法に乗っ取り活動することは要求しない。週次もしくは月次の部門報告会で活動の進捗、成果を確認し必要があれば指導する。

(2)はどう改善したら良いか検討が必要なテーマであり、QCC手法で活動する。これはQCC活動支援の月次会議で活動の進捗確認、支援アドバイスをする。

このような活動とすることにより、直接業績に貢献できる課題に取り組む事ができる。この際気をつけたいのは、どちらのチーム改善活動も、テーマが上司から与えられたモノではなく、自主的に選んだモノであるとチームのメンバーが認識する様にすることだ。上司から無理矢理やらされていると感じれば、メンバーの自主性や成長実感が損なわれる。勘違いでも良い(笑)自主的に活動していると実感できれば、積極的に活動に取り組み、成果、成長実感も高くなる。ここは上司のリーダシップが問われる所だ。

こちらもご参考に「QCC道場」


このコラムは、2016年2月1日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第461号に掲載した記事に加筆修正したものです。

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アメとムチ

 このメルマガで、何度か「アメとムチ」の指導では成果は限定的だと申し上げてきた。

「PK」

先週末に届いたメールマガジンでも同じ様な指摘をしていた。
人の心に灯をともす【アメとアメなし】

このメールマガジンに米大学バスケットボール界の名将・ション・ウッデン氏が紹介されていた。彼の指導法は「アメとアメなし」指導だと解説している。

通常のアメとムチの指導では、
好ましい行動をとった場合は、アメを与え好ましい行動が増える様誘導する。
好ましくない行動をとった場合は、ムチで叩き好ましくない行動をとらない様指導する。
と言うことになる。

バスケットボールで言えば「アメとムチ」指導は、
良いプレイをした選手には、賞讃と言うアメを与える。
ミスをした選手には、罰としてコート10周うさぎ跳びと言うムチを与える。

これに対しウッデンの「アメとアメなし」指導は、
良いプレイをした選手は褒める(アメを与える)。
ミスをした選手は褒めない(アメを与えない)。

ミスをした選手には、次にミスをしない方法を考えさせる、と言う指導をしている。パスミスをした選手にうさぎ跳びをさせた所でパスミスが無くなるはずはない。パスミスをした原因を考えさせる。パスミスが、運動能力が低いため発生したのだとすれば、運動能力を鍛える事でパスミスが減る可能性が有る。
しかし状況判断のミスでパスが通らなかったのであれば、何度うさぎ跳びをしても改善することは無い。

冷静に考えれば「アメとムチ」の指導では部下の育成は出来ない。

ウッデンが監督として優れているのは、選手に対して的確な「指示と支援」が出来るからだ。(私はバスケットボールに関しては全くの素人だ。これを教えてくれたのは、「禅脳思考」の辻秀一先生だ)

「禅脳思考」辻秀一著

「アメとアメなし」指導だけではない、選手が自分自身のパフォーマンスを高い状態にキープ出来るように支援することがウッデンの指導のキーポイントなのだ。

ウッデンは成功をこう定義している。
「成功とは、お金や実績などではない。自分のベストを尽くしたときに感じられる満足感のことだ」
成功とは、全米大学リーグで優勝することではなく、NBLチームと契約し高額の契約金を得ることでもない。試合に出ることが無い控えの選手であっても、練習でベストを尽くし満足感を感じることができれば、それが成功だと言っている。

あなたの会社でも同じことが起きてはいないだろうか?
仕事の目標を達成したら、ボーナスと言うアメを与える。
仕事の成果を達成しなかったら、罰金と言うムチを与える。
もしくは、ボーナスと言うアメを与えない。

本当にボーナスが、ココロから手に入れたい成功の要因なのだろうか。
既に人々の欲求は次のステップに成長しているのではないだろうか。


このコラムは、2015年4月6日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第418号に掲載した記事に加筆修正したものです。

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