アメとムチ


 このメルマガで、何度か「アメとムチ」の指導では成果は限定的だと申し上げてきた。

「PK」

先週末に届いたメールマガジンでも同じ様な指摘をしていた。
人の心に灯をともす【アメとアメなし】

このメールマガジンに米大学バスケットボール界の名将・ション・ウッデン氏が紹介されていた。彼の指導法は「アメとアメなし」指導だと解説している。

通常のアメとムチの指導では、
好ましい行動をとった場合は、アメを与え好ましい行動が増える様誘導する。
好ましくない行動をとった場合は、ムチで叩き好ましくない行動をとらない様指導する。
と言うことになる。

バスケットボールで言えば「アメとムチ」指導は、
良いプレイをした選手には、賞讃と言うアメを与える。
ミスをした選手には、罰としてコート10周うさぎ跳びと言うムチを与える。

これに対しウッデンの「アメとアメなし」指導は、
良いプレイをした選手は褒める(アメを与える)。
ミスをした選手は褒めない(アメを与えない)。

ミスをした選手には、次にミスをしない方法を考えさせる、と言う指導をしている。パスミスをした選手にうさぎ跳びをさせた所でパスミスが無くなるはずはない。パスミスをした原因を考えさせる。パスミスが、運動能力が低いため発生したのだとすれば、運動能力を鍛える事でパスミスが減る可能性が有る。
しかし状況判断のミスでパスが通らなかったのであれば、何度うさぎ跳びをしても改善することは無い。

冷静に考えれば「アメとムチ」の指導では部下の育成は出来ない。

ウッデンが監督として優れているのは、選手に対して的確な「指示と支援」が出来るからだ。(私はバスケットボールに関しては全くの素人だ。これを教えてくれたのは、「禅脳思考」の辻秀一先生だ)

「禅脳思考」辻秀一著

「アメとアメなし」指導だけではない、選手が自分自身のパフォーマンスを高い状態にキープ出来るように支援することがウッデンの指導のキーポイントなのだ。

ウッデンは成功をこう定義している。
「成功とは、お金や実績などではない。自分のベストを尽くしたときに感じられる満足感のことだ」
成功とは、全米大学リーグで優勝することではなく、NBLチームと契約し高額の契約金を得ることでもない。試合に出ることが無い控えの選手であっても、練習でベストを尽くし満足感を感じることができれば、それが成功だと言っている。

あなたの会社でも同じことが起きてはいないだろうか?
仕事の目標を達成したら、ボーナスと言うアメを与える。
仕事の成果を達成しなかったら、罰金と言うムチを与える。
もしくは、ボーナスと言うアメを与えない。

本当にボーナスが、ココロから手に入れたい成功の要因なのだろうか。
既に人々の欲求は次のステップに成長しているのではないだろうか。


このコラムは、2015年4月6日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第418号に掲載した記事に加筆修正したものです。

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