月別アーカイブ: 2020年7月

那覇空港ヒヤリハット事故

 先週のニュースからで、自衛隊ヘリ、日本トランスオーシャン航空機、全日空機、のヒヤリハット事故を紹介した。
続報によると、
全日空機に対する管制官の「速やかに離陸せよ」と言う指示を、自衛隊副操縦士が自分への指示と勘違いした。
管制塔との通信の間に機長は、乗組員への指示や機内の点検にあたっていた。
そのため副操縦士の勘違いに、機長も気が付かなかった。
その結果離陸助走中の全日空機の前を横切ってしまった。
と言う顛末の様だ。

続報で新たに分かったのは、自衛隊のCH47ヘリは、操縦席から後方確認がしづらい構造になっていると言うことだ。

自衛隊那覇基地の幹部は、11日に記者会見で経緯を説明し再発防止対策を発表している。

各紙の報道によると、その再発防止対策は
朝日新聞

  • 乗組員への指示と管制のやりとりを同時に行わない
  • 離陸前に後方の安全を確認するために機首を向ける
  • 管制の指示の確実な聞き取り

日本経済新聞

  • パイロットが管制官の指示を確実に聞き取る
  • 離陸時には他機の状況を把握する

読売新聞

  • 重要な交信などを決して聞き逃すことがないよう運用を見直した

毎日新聞

  • 飛行量の多い那覇空港などについては、飛行前の点検などで機内のクルー間のやりとりが終了した後に、管制に離陸許可を得るよう運航手順を見直した

同じ記者会見からこうも幅のある記事が出て来るとは(苦笑)
取材記者の問題意識と理解度により同じ再発防止でも違う内容に理解される。

朝日新聞の「管制の指示の確実な聞き取り」日経新聞の「パイロットが管制官の指示を確実に聞き取る」これらは対策とは言わない。どうすれば「確実な聞き取り」となるのかもっと踏み込まねばならない。

読売新聞の記事では、運用をどう見直したか不明だ。毎日新聞の記事を読んで初めてどう運用を見直したかが判明した。

今回のヒヤリハットの原因は、

  1. 管制官の離陸許可を聞き間違えた。
  2. 離陸助走中のANA機を見落としていた。

の2点だと思う。これを更に真因まで原因分析を深める。

1.に関して、

出発前の準備完了後管制塔とのコミュニケーションをすると言う再発防止対策は、流出防止対策だ。
機長が出発前の確認、乗務員への指示に忙しく、ダブルチェック出来なかった、と言う「流出原因」の防止対策でしかない。
本来、なぜ他機に対する離陸許可を自機のモノと勘違いしたか?と言う原因を追求しなければならない。
記事には公開されていないが、管制官の指示「ANA○○便、速やかに離陸せよ」の前半がなければ、勘違いしてもムリはない。また管制官は、自衛隊機の復唱を聞いていないと言っているが、なぜ聞こえなかったのか?この原因を追及しなければ、形を変えて事故が発生する。
また「飛行量の多い那覇空港では」と再発防止対策に曖昧な制限を付けると、潜在要因に対する「未然防止対策」とはならない。

2.に関して、

自衛隊のヘリコプターは、昔の黒電話の受話器様な形をしており、操縦席から後方確認が出来ないのは、素人目にも理解出来る。そして災害救出の為に出動する自衛隊のヘリコプターは、管制設備が整った飛行場以外でも離着陸をしているはずだ。離陸時に一気に上昇しないで、ホバリングで前後左右を確認した後に上昇すると言うのは常識のはずだ。
何かまだ隠れている原因が有るはずだ。

大事故と言うのは、水面に浮かぶ氷山と同じだ。
大事故として見えているのは水面上の部分だけであり、水面下には大事故の何倍ものヒヤリハットが有る。
原因も水面下の氷と同じく、表面には見えていない。原因究明を表面的にやって、対策をしても水面上の氷は以前として存在し、また浮上して来る(事故は再発する)


このコラムは、2015年6月15日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第428号に掲載した記事に追記しました。

【中国生産現場から品質改善・経営革新】は毎週月・水・金曜日に配信している無料メールマガジンです。ご興味がおありの方はこちら↓から配信登録出来ます。
【中国生産現場から品質改善・経営革新】

C管理図

 C管理図は欠点数の工程管理に使用する。
布地の織り傷の数、液晶画面の欠点数などは、その発生確率はポアソン分布になる。例えば、交通事故の数、切符販売窓口に並んでいる人の数もポアソン分布だ。欠点は不良とは少し異なる。不良率は、その分母の数が分かっている。しかし欠点は分母が無限に大きくなる、もしくは良く分からない。

例えば交通事故の件数を率で表そうとした時に、分母はどう考えれば良いか?
車全部の数とすると、ちょっと変だ。1台の車が2度事故を起こすことだってありうる。
クリーンルーム内の1立方ft当りのダスト数の分母は何になる?1立方ftに入るダストの数なんて無限大だ。
こういう数はポアソン分布に従うと考えれば良い。

では、C管理図は何を管理しているのか?
当然ダストの数も、交通事故の件数もバラツキが有り、測定するたびに違う値となる。このバラツキは0から無限大まであり得る。しかし平均値から離れるに従って、その発生確率はどんどん小さくなる。

例えば、ある都市の平均年間交通事故件数が3,650件であり余り変動していないとすれば、1日に10件交通事故が発生する確率となる。しかし毎日10件発生する訳ではない、0件の日も有れば20件の日も有る。100件発生することもありうる。しかし1日に100件も交通事故が発生することは稀(発生確率が低い)になるはずだ。

C管理図は、偶然のバラツキなのか、何か原因が有ってバラついているのかを識別するために使う。
発生確率が0.3~99.7%の場合は、偶然のばらつき。
0.3%以下の場合は何か異変が有る。と判断する。

クリーンルームのダスト管理では、
実力範囲(確率0.3%以上で発生するダスト数の範囲)内のバラツキなのか、異常(確率0.3%以下で発生するダスト数の範囲)なのかを上下限の管理線の内側に有るか、外側に有るかで判断する。
下限管理線よりダストが少なければ良いではないか、と考えてはいけない。偶然ではない何かが起きている、例えばダストカウントの測定を間違えた、測定器が壊れたなどの異変が起きていると考えるべきだ。
これがC管理図の「理屈」だ。

全ての数字にはバラツキが有る。
このバラツキが「偶然によるバラツキ」なのか「何か原因があるバラツキ」なのかを区別することが、統計的品質管理の「理屈」だ。

理屈さえ覚えておけば、統計的品質管理は難しいことではない。


このコラムは、2015年7月13日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第432号に掲載した記事に追記しました。

【中国生産現場から品質改善・経営革新】は毎週月・水・金曜日に配信している無料メールマガジンです。ご興味がおありの方はこちら↓から配信登録出来ます。
【中国生産現場から品質改善・経営革新】

タカタ、納入価格の引き下げ見送り要請 車各社に

 エアバッグの品質問題を抱えるタカタが、製品納入先であるホンダ、トヨタ自動車などの完成車メーカーに価格引き下げを見送るよう要請したことが分かった。年間で100億円規模の収益改善効果を見込み、リコール(回収・無償
修理)拡大による損失を一部穴埋めできるとみている。各社が応じれば取引先による本格的なタカタ支援の第1弾となる。

全文はこちら

(日本経済新聞電子版より)

リコールの対象となっているタカタのエアバッグは、作動時に異常に強い爆発が起きることで内部の金属片が飛散。運転手らを死傷させる事故が発生した。

この問題が、ここまで長期化し、リコール対象が拡大している原因は、異常爆発が起きる原因を特定で来ていないからだ。

ガス発生剤の「硝酸アンモニウム」が湿気に弱いようだ、と言う曖昧な推測が提示されているだけで、真因が分かっていない。少なくとも公表されていない。

硝酸アンモニウム+湿気が原因と推定したのならば、それを確認する実証実験をすれば良いはずだ。既に実証実験が済んでおり、硝酸アンモニウムの吸湿が原因ではないと特定出来ているのであれば、実験結果とともに公表すべきだ。
それがないから、リコール交換品にまで不安が発生する。

原因究明に一生懸命頑張っておられるであろうタカタのエンジニアの方々には敬意を表したい。しかし失礼を承知で、あえてネガティブな想像を申し上げる。これはタカタを非難するのが目的ではなく、貴重な経験として共有したいと考えている。製造業に携わっている方々も同様なリスクを背負っているはずだ。

第一:真実を隠さないこと。

リコール問題が発生し、真実を隠し通せたことはない。異常爆発のメカニズムを判明したが、これを公表すると更に自社に取って不利益となる、などの理由で秘匿しても絶対にうまくいかない。一時的に隠せても、必ずその報いは来る。

第二:全社を挙げて自主的に関わること。

タカタは異業種からシートベルトで自動車部品業界に参入している。シートベルトは自社技術が応用出来る商品だ。しかしエアバックは、新規技術が必要となる。新聞記事によると、完成車メーカからの強い要請が有り、自動車部品業界に参入したそうだ。これをイクスキューズとしてはならない。商品化したからには、自社に責任がある。購入原材料に関しても同じだ。

第三:新規、珍奇は慎重に評価すること。

ガス発生剤に硝酸アンモニウムを使っている大手エアバッグメーカーはタカタだけという。他社が使っていない優れた物を採用すれば、それが優位性を確保する要因になる。しかし同時に技術的な問題、調達性の問題が発生するリスクが存在していることを認識しなければならない。


このコラムは、2015年7月13日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第432号に掲載した記事です。

【中国生産現場から品質改善・経営革新】は毎週月・水・金曜日に配信している無料メールマガジンです。ご興味がおありの方はこちら↓から配信登録出来ます。
【中国生産現場から品質改善・経営革新】

研究開発

 中国の現場で仕事をしていると,どうしても製造現場に偏りがちだ.今まで日系・台湾系のお客様が多かったため,研究開発は本社,生産は中国と住み分けが出来ているからだ.

元々開発設計上がりの品質証証マンなので,設計品質保証の仕事が少ないのを寂しく感じていた.

それでも応用設計は中国でやります.と言うお客様はあった.
応用設計の仕事は,ミスを減らしたり効率を上げるのは比較的易しい.

中国企業の場合は,開発設計の機能を持っているところが多い.
先週訪問した中国企業も,商品開発主導型の企業だ.
生産の方は,開発設計部隊の試作生産の延長と言う趣であり,多分あっという間に20%,30%は生産効率を上げられるだろう.

商品開発・製品開発の現場は,応用設計のように仕事がパターン化していないことが多く,効率を上げる努力をすると創造性を失ってしまうこともありうる.
大体設計者と言うのはルールに縛られるのを嫌がる(自分もそうだった・笑)

こういう仕事を無理やり「ISO9001だから」みたいな強制力で縛ろうとすると,うまくゆかないことがある.
例えば,設計審査などのレビューが形骸化しており,実際には設計を完了しているのに,初期設計審査の開催がまだ済んでいない.などと言うことが起こる.

もう仕事は終わっているのに,ISOのための「アリバイ作り」のために設計審査をするという形式主義に陥っている.このようなことはムダ以外の何物でもない.更に本来,設計審査で機能すべきチェックが働かなくなる.

私は前職の会社で,開発期間が3年もかかる製品の設計をしたことがある.
同時に顧客の受注から1ヶ月で最初の量産出荷をしたこともある.
もちろん異なる事業部での経験だが,会社の品質保証システムは一つである.システムと運用を工夫し,全くカテゴリィの違う製品も,同じ品質保証システムでマネジメントを出来るようにしていた.

こういう運用の工夫をすることで,研究開発エンジニアの創造性を失うことなく,新製品プロジェクトの目標管理,品質保証をしてゆくことが重要だ.


このコラムは、2012年3月5日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第247号に掲載した記事です。

【中国生産現場から品質改善・経営革新】は毎週月・水・金曜日に配信している無料メールマガジンです。ご興味がおありの方はこちら↓から配信登録出来ます。
【中国生産現場から品質改善・経営革新】

逆境をチャンスに

 景気の後退による売り上げの減少など,経営をしていれば必ず苦しいときはある.
照明の節電,残業規制など経費の節約も重要である.しかし苦しいときほどこのような守りの対策ではなく,攻めの経営でピンチをチャンスに換えたいものである.

  • 徹底教育による少数精鋭化
     経費節減時に真っ先に対象になるのが教育費ではないだろうか.しかし苦しいときに徹底的に教育をし従業員の能力を向上する事が重要である.経費がなければ自分たちで徹底的にOJT(現場研修)をすれば良い.
    前職勤務時代にインドネシアに自社工場を立ち上げた事がある.
    事業拡大を目指し,生産量を確保するためであった.しかし操業開始時がちょうど市況のどん底で,新工場に出せる生産が確保できなくなってしまった.
    このとき我々は徹底的に第一期生の作業員を鍛え上げた.
    市況が戻った時に生産が一気に拡大,大量の作業員を雇用しこの一期生たちがリーダとして生産現場を引っ張った.
    通常生産能力の急激な拡大は往々にして品質問題などを引き起こすものだが,この工場には無縁であった.
    その後もこのリーダたちが核となり,自慢できる工場になった.
  • 技術の蓄積
     不況時に固定経費を削減するために従業員の解雇は常套手段かと思う.
    生産工場の場合,すぐには利益につながらない開発設計などが整理の対象になりがちだ.
    しかし苦しいときにこそ次のメシのタネを仕込む必要がある.
    あたらな商品カテゴリィ,高生産効率,高付加価値,高フレキシビリティなど戦略を定め資源を投入する.この技術の蓄積が,未来のメシのタネを作り出す.
    FOXCONNというと今では巨大なEMSグループであるが,コネクタメーカとして操業した当時は何度も景気の上下に大きな影響を受けていた.
    不況時に余剰エンジニアを使って当時紙図面が主だった金型図面を,全てCAD化した.
    このときの財産が,金型設計製作のリードタイムを圧倒的に短くし競合他社との差別化に貢献した.
  • 工程改善
     生産量が減っているので,工程改善などを徹底的に実施する良いチャンスだ.徹底的にムダ取りをし,工程改善・少人化を図る.

経費がないという理由で守りに入ってはいけない.工夫次第で金をかけずに工程改善することはいくらでもできる.
苦しいときに前向きに改善を継続してゆく.このときに達成した体質改善が景気が戻った時に一気に大きな利益をもたらす.


このコラムは、2008年6月16日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第38号に掲載した記事です。

【中国生産現場から品質改善・経営革新】は毎週月・水・金曜日に配信している無料メールマガジンです。ご興味がおありの方はこちら↓から配信登録出来ます。
【中国生産現場から品質改善・経営革新】

篤論

yuē:“lùn(1)shìjūnzhězhuāng(2)zhě。”

《论语》先进第十一-21

(1)论笃:議論が丁寧で行き届いている。
(2)色庄:重々しく装う

素読文:
わく:“ろんあつきにこれくみせば、くんしゃか、色荘者しきそうしゃか。”

解釈:
孔子曰く「議論がしっかりしているだけでは、君子であるか、見かけだけかわからない。」

君子ならば論篤である必要がありますが、論篤だから君子であるとは限りません。ホラ吹き、ペテン師は皆君子になってしまいます。

京急脱線事故

 9月5日横浜市神奈川区の踏切内で京急電鉄の電車とトラックが衝突、死者1名、重軽傷30名の大事故が発生した。

本日は踏切事故の未然防止について考えてみたい。

事故を起こした13tトラックは道に迷っていたようで、狭い道から踏切に入るために3分以上も切り返しをし、踏切に入った途端に遮断機が降りてしまったようだ。

列車運転士は直前の赤信号を視認。ブレーキをかけたが間に合わなかった。

踏切事故を防ぐ最善の対策は、踏切をなくすことだ。しかしコストも時間も必要だ。日経新聞の記事には、踏切を立体交差にするには約9年、40億円かかるとあった。現場の航空写真を見ると、踏切をなくし列車を高架上を通すのは現実的ではなさそうだ。

踏切の非常ボタンを押せばATS(自動列車停止装置)が働き列車は非常停止するはずだ。しかし昼近くの住宅街だ。踏切の付近に人がいるとは限らない。

列車が自動で停止する仕組みを考えなければならない。

監視カメラで踏切内に障害物を検出したらATSが起動する仕組みであれば、ほとんどコストをかけずに対策できるのではなかろうか?
人の命は金には換えられない。しかし1箇所で40億ものコストをかけたのでは会社そのものが存続できないかもしれない。現実的な対策を考えなければ意味はない。


このコラムは、2019年9月11日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第874号に掲載した記事です。

【中国生産現場から品質改善・経営革新】は毎週月・水・金曜日に配信している無料メールマガジンです。ご興味がおありの方はこちら↓から配信登録出来ます。
【中国生産現場から品質改善・経営革新】

救命胴衣着てエア遊具、危険

東京都練馬区の遊園地「としまえん」のプールで昨年8月、ライフジャケットを着た8歳の女児が水面に浮かべた遊具の下で溺れて死亡した事故を受けて、ライフジャケット着用時の遊具のリスクを調べていた消費者庁の消費者安全調査委員会(消費者事故調)は19日、転落状況によっては体が真上に浮上せず、遊具の下に潜り込んで自力脱出できなくなる危険があるとする報告書をまとめた。

(全文)

(朝日新聞電子版)

昨年8月15日に発生した豊島園プールでの女児死亡事故の続報だ。

(注)エア遊具とはとは子供を対象とした、空気で膨らませた大型遊具の総称。本事例ではプールなどの水面に浮かべその上で遊ぶ大型遊具のこと。

この記事は消費者安全委員会が6月19日に発表したとしまえんプールで発生した8歳女児の溺死事故調査報告が元になっている。女児はライフジャケットを着用、プール水面に設置されたエア遊具から転落。エア遊具の下に潜り込んでしまい、ライフジャケットの浮力でエア遊具底面に押しけられ、脱出できず溺死している。

消費者安全調査委員会報告書

事故原因を特定し、再発防止を提案するための調査・再現実験を含む報告書だ。
事故発生から10ヶ月かかっている。公共性の高い報告書だ。何層もの上位者の査読・修正指示があったことは想像にかたくない。としまえんプールでの事故後、同業施設では自主的に再発防止が取られていたと思う。幸い事故後同類の事故はなかったようだが、もう少し早く報告書が公開されても良いのではないかと思う。

死亡事故といえば、我々製造業にとっては「重大不適合」である。再発防止対策を含む原因調査報告書は1週間以内に提出されねばならないだろう。少なくとも即日再検査などの暫定処置を取らねばならない。

ISO/IECガイド51「安全側面-規格への導入指針」では、リスクア セスメントによりリスクを明らかにし、以下の優先順位に基づきリスク低減を行うことを、リスク低減の 基本原則としている。

  1. 設計における本質的安全設計方策(危険源の除去等)
  2. 設計における安全防護及び付加保護方策(ガードの設置等)
  3. 設計における使用上の情報(警告の表示等)
  4. 使用における各種保護方策(監視、保護具の使用、訓練等)

この指針は製品安全の大元締めとなる規格だ。
製品ばかりではなく、オフィス・工場の安全に適用すれば以下のようになる。

  1. 作業方法・工程設計、製品設計時点で安全阻害要因を除去する。
  2. 作業方法・工程設計、製品設計時点で安全阻害要因を緩和する。
  3. 作業方法・工程設計、製品設計時点で安全阻害要因を可視化する。
  4. 作業従事者に注意喚起・教育訓練する。

より上位の対策が有効度は高くなる。


このコラムは、2020年6月24日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第997号に掲載した記事です。

【中国生産現場から品質改善・経営革新】は毎週月・水・金曜日に配信している無料メールマガジンです。ご興味がおありの方はこちら↓から配信登録出来ます。
【中国生産現場から品質改善・経営革新】

子供の遊具事故

 15日午後2時10分ごろ、東京都練馬区向山3丁目の遊園地「としまえん」にあるプールで、水面に浮かべられた遊具の下の水中に女児がいるのを監視員が見つけた。女児は病院に搬送されたが、午後4時ごろ死亡が確認された。
警視庁は女児がおぼれたとみて、詳しい経緯を調べている。

 全文

(朝日新聞ディジタルより)

 夏休みに家族でプールに来ていたのだろう。父親が娘がいないことに気づき監視員に通報している。その時には発見できず、1時間後の一斉点検時に心肺停止状態で発見されている。通報時に全員プールから上げて探していれば、と思ってしまう。幼い子供を亡くした家族のことを思うと心が痛む。

この様な事故を防ぐために、ライフジャケットなど安全用具はどうあるべきかなどの議論がされている。しかしプールに浮かべられた遊具の下に潜り込んでしまえばどんなライフジャケットを装着しても助からなかっただろう。

もっと根本から考えなければならない。

私が少年だった頃は、外遊びで怪我をした。しかし命に関わる様な危険な目にあったことはない。豊島園ではないが、都営プールで溺れかかったこともある。大人用の競泳プールだ。小学生だった私の身長より水深の方が深かった。足がつかなくてもがいている私を、隣にいた大人がひょいと持ち上げてくれた。

当時と比べれば今の方が確実に危険度が増している様に思う。
公園には鉄棒とブランコぐらいしかなかった。プールはただ「プール」だった。遊具はせいぜいが浮き輪だ。

当時の子供たちは、広場で夕日に向かってただ走るだけで楽しかった。ビー玉やメンコで駆け引きを学んだ(笑)当然子供の遊びは子供だけだ。親の監視など考えられなかった。

親や多くの大人の目があっても事故が起きてしまう。生活の水準は上がっても子供の安全は下がってしまったのではなかろうか?

一度あらゆる子供の遊具をリセットしてはどうだろう。過去に何度も子供の遊具事故が発生している。

「スピード出すぎる滑り台」
(こちらの遊具は大人が怪我をしている)

今の子供たちはゲームなどの仮想世界での刺激が強すぎて、メンコやビー玉で遊ぶ楽しさが理解できないのだろうか?そういう刺激を与え続けているのは大人自身だということを考えるべきだ。


このコラムは、2019年8月21日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第865号に掲載した記事です。

【中国生産現場から品質改善・経営革新】は毎週月・水・金曜日に配信している無料メールマガジンです。ご興味がおありの方はこちら↓から配信登録出来ます。
【中国生産現場から品質改善・経営革新】

ポカ避け

東北新幹線ドア、280キロ走行中開く ドアコック戻し忘れ

 21日午前10時17分ごろ、東北新幹線仙台発東京行き「はやぶさ46号」(10両編成)が仙台―白石蔵王駅間を時速約280キロで走行中、運転台に9号車のドアが開いたことを知らせる警告表示が出たため、緊急停止した。
車掌が確認したところ、ドアがほぼ全開となっていた。非常時に手動でドアを開けるための「ドアコック」のレバーが引いた状態になっていたという。けが人はいなかった。

 ドアコックはドアの上部に設置され、ふたを開いて内部のレバーを引くとドアを手動で開閉できる。非常時のほか、清掃の際にも利用されている。JR東日本がデッキにある防犯カメラの映像を確認したところ、仙台駅を出発する前の車内清掃で作業員がホームとは反対側のドアコックのレバーを引いたが、ドアを開けずにレバーも戻し忘れていた。出発前の最終チェックでも見落とされたという。

(朝日新聞ディジタルより)

 時速280キロで走行中の列車の扉が開けば相当の恐怖だろう。扉近辺に人が立っていれば、風圧で転落事故が発生したかもしれない。

清掃作業員がドアコックレバーを戻し忘れたという、典型的な人為ミスだ。

JRは「はやぶさ46号はE5系の10両編成。JR東の最新車両E7系はコックのふたが開けば通知するシステムがあるがE5系にはないことも、盲点になった。今後、改修する方針」と発表している。

しかしコックレバーのふたが開いているのが検知できていても、今回の事故が防げたのだろうか?「コックレバーを戻し忘れた」と記事にあるが、フタが開いていた、とは書いてない。

列車内のコックレバーふたにセンサーを付けて新たな配線工事をする。費用も時間もかかるだろう。もっと簡単に「ポカ避け」の方法を考えた方がよかろう。

コックレバーが引かれていてもフタが閉まっていれば、外から確認できない。コックレバーを改造してとフタと干渉するようにする。コックレバーが引かれている状態(手で扉が開けられる状態)の時はフタが閉まらないようにする。この改造により、コックレバーのふたが開いていれば一目でわかるはずだ。

清掃作業員は清掃終了後必ずコックレバーのふたを確認する、自分が作業した車両以外から下車する。こうすればコックレバー閉め忘れをダブルチェック出来るはずだ。

このようなポカ避けの仕組みは、コピー機に応用されている。紙詰まり修復作業後レバーをすべて元の位置に戻さないと扉が閉まらないようになっている。他社事例は改善案、再発防止案の宝庫だ。

■■ 編集後記 ■■

日本の新幹線の清掃作業員の質の高さ、礼儀正しさを中国の乗務員と比較して中国の列車に乗るたびにがっかりしています。
今回の事故は、短時間で完璧な清掃を目指している彼らだけの責任ではないと思っています。人の注意力や努力によらず、仕組みから変えるのが本当の改善です。


このコラムは、2019年8月28日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第868号に掲載した記事です。

【中国生産現場から品質改善・経営革新】は毎週月・水・金曜日に配信している無料メールマガジンです。ご興味がおありの方はこちら↓から配信登録出来ます。
【中国生産現場から品質改善・経営革新】