C管理図


 C管理図は欠点数の工程管理に使用する。
布地の織り傷の数、液晶画面の欠点数などは、その発生確率はポアソン分布になる。例えば、交通事故の数、切符販売窓口に並んでいる人の数もポアソン分布だ。欠点は不良とは少し異なる。不良率は、その分母の数が分かっている。しかし欠点は分母が無限に大きくなる、もしくは良く分からない。

例えば交通事故の件数を率で表そうとした時に、分母はどう考えれば良いか?
車全部の数とすると、ちょっと変だ。1台の車が2度事故を起こすことだってありうる。
クリーンルーム内の1立方ft当りのダスト数の分母は何になる?1立方ftに入るダストの数なんて無限大だ。
こういう数はポアソン分布に従うと考えれば良い。

では、C管理図は何を管理しているのか?
当然ダストの数も、交通事故の件数もバラツキが有り、測定するたびに違う値となる。このバラツキは0から無限大まであり得る。しかし平均値から離れるに従って、その発生確率はどんどん小さくなる。

例えば、ある都市の平均年間交通事故件数が3,650件であり余り変動していないとすれば、1日に10件交通事故が発生する確率となる。しかし毎日10件発生する訳ではない、0件の日も有れば20件の日も有る。100件発生することもありうる。しかし1日に100件も交通事故が発生することは稀(発生確率が低い)になるはずだ。

C管理図は、偶然のバラツキなのか、何か原因が有ってバラついているのかを識別するために使う。
発生確率が0.3~99.7%の場合は、偶然のばらつき。
0.3%以下の場合は何か異変が有る。と判断する。

クリーンルームのダスト管理では、
実力範囲(確率0.3%以上で発生するダスト数の範囲)内のバラツキなのか、異常(確率0.3%以下で発生するダスト数の範囲)なのかを上下限の管理線の内側に有るか、外側に有るかで判断する。
下限管理線よりダストが少なければ良いではないか、と考えてはいけない。偶然ではない何かが起きている、例えばダストカウントの測定を間違えた、測定器が壊れたなどの異変が起きていると考えるべきだ。
これがC管理図の「理屈」だ。

全ての数字にはバラツキが有る。
このバラツキが「偶然によるバラツキ」なのか「何か原因があるバラツキ」なのかを区別することが、統計的品質管理の「理屈」だ。

理屈さえ覚えておけば、統計的品質管理は難しいことではない。


このコラムは、2015年7月13日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第432号に掲載した記事に追記しました。

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