月別アーカイブ: 2018年9月

ボランティアのモチベーション

 先週のメールマガジンに引き続き動機付け(モチベーション)の話だ。
先週土曜日に東莞泗安村に有るハンセン氏病患者快復村を訪問して来た。ハンセン氏病が不治の伝染病と信じられていた頃、世界各国で隔離政策が執られた。中国でも同様に、ハンセン氏病患者は強制的に家族から引き離され、辺鄙な場所に隔離された。家族からも見放され、後遺症により手足を失う失明するなど、隔離された人々の絶望を想像すると胸が痛む。

泗安村は東莞の西端、河の中の中州に有る。今でこそ橋が架かり、往来が可能になったが、外界から隔離された場所にあった。

元患者達を支援するボランティア団体『家(JIA)』を運営しているのが、原田燎太郎さんだ。原田燎太郎さんの活動は以前のメルマガでもご紹介した。

「世界を変える」

中国人ボランティアの活動源泉となるモチベーションはどこから来るのか、それを現場で実際に確認したくて、「家」の1日スタディツアーに参加した。

案内してくれた若者は、二人とも大学生の時に「家」の活動に参加している。卒業後、公益団体の様な所に就職し、泗安の快復村に住み込んで働いている。大学を卒業すれば、もっと華やかな職場で、もっと給料の良い仕事に就けたと思えるが、彼らはこの仕事が使命だと思っているのだろう。とても輝いて見えた。

男性の方は、流暢な日本語を話す。名古屋から来るボランティアの中に美人の女子大生がいるから一生懸命日本語を勉強したのだと、原田さんが耳打ちしてくれた(笑)
もう一人は、終始笑顔の女性だ。私も広東語を勉強しようと思った(笑)
彼女は、元患者の生活を記録する為に、聞き取り調査をしたり、全国の快復村を訪問する調査もしている様だ。

更に2人、海南島でボランティア活動をしている女子大生2人が影の様に我々の体験ツアーをサポートしてくれた。

学生ボランティアが、「家」のワークキャンプに参加してどうに変わるのか、その原動力な何かを知りたくて参加した。しかし私の心をとらえたのは、89歳の黄少寛ばあちゃんだ。黄ばあちゃんは子供の頃日本人に親を殺されたという。その後極貧の中でハンセン氏病を発症し、隔離村に連れて来られた。両足は義足で車椅子で生活をしている。両手には指がない。そんな過酷な人生を送って来たのに、見知らぬ日本人の訪問者に笑顔で話をしてくれた。

そんな彼女の話を、写真と文章で綴った『美女婆婆在泗安』と言う書籍が出版されている。書籍の売り上げは、他の隔離村の元患者に洗濯機などを贈るために使うと言う。壁には、洗濯機を筆頭に10個の目標を書いた紙が貼ってあった。決して裕福とは言えない生活をしているのに、他の元患者を支援する。

ボランティアの若者だけではなく、支援を受けている元患者もボランティア精神を発揮し始める。

私が、四川大地震の時に気が付いた「人は同じ目的・目標に共感した時に高い貢献意欲を発揮する」と言う仮説の証左がまた一つ得られた。これは支援する側だけではなく、支援されている人にもモチベーションを与えるようだ。

企業経営者にとって大きなヒントだと思う。


このコラムは、2015年8月3日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第435号に掲載した記事に加筆しました。

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モチベーションの源泉

 最近「嫌われる勇気」と言う本を読んだ。ベストセラーだから読んだ訳ではないが、人のモチベーションに関係ありそうな本だったので読んでみた。
哲学者と悩める若者の対話、と言う物語形式で「アドラー心理学」の入門書となっている。馴染みのあるフロイト流の心理学とは、違う視点で人のココロに付いて書いた本だ。

今までアドラー心理学を知らなかった事を悔いた(笑)

「人は感謝された時に、他者に貢献出来たと感じる。そして自分が価値ある存在だと思えた時にだけ勇気を持てる。」
と言う文章を読んで、勇気を持てる状態と言うのが、モチベーションが高い状態だと理解した。だから部下のモチベーションを上げたければ、褒めるより感謝する方が効果が高いはずだ。

以前メルマガで紹介した、障がい者雇用で有名な日本理化学工業のエピソードを思い出した。

日本理化学工業に勤務する知的障がい者のA君は、しばしば無断欠勤をする。
彼はチョークの生産ラインの最後で、ベルトコンベアーに乗って運ばれて来るチョークを梱包する係だ。A君が休むと、監督職がピンチヒッターとして、ラインに入る。そして監督職としての仕事ができなくなる。
困った監督職者は、A君をラインの外に連れ出して、自分がいないラインを見せた。ベルトコンベアーに乗ったチョークは、次々と床の上に落ちてしまう。
A君は、自分が休むと皆に迷惑がかかる事、普段自分が人の役に立っている事を理解出来た。その結果A君は、熱があっても出社してしまう様になる。

健常者も知的障がい者も、モチベーションのあり方は同じだろう。
人から頼りにされている、役に立っていると、実感出来た時にモチベーションは上がる。だから「褒める」より「感謝する」方が効果が高いのだ。

友人の若手経営者は、しょっちゅう従業員に「ありがとう」と言っている。きっと彼も、感謝の力を知っているのだろう。私も小林正観先生の教えに従い「ありがとう」と言っている。相手がいない場合は独り言で「ありがとう」と言っている(笑)

アマゾンの読者書評が、アドラー心理学を上手くまとめていた。以下に紹介しておこう。

「私は、過去にまったくの畑違いの職場に異動となり、これまで築いたキャリアもご破産、周囲の目も厳しく、応援も得られず孤立したので、やがて心身ともに悲鳴を上げ、2回の休職を繰り返してしまいました。それは辛い日々でした。」

そんな私に、これは衝撃の一冊となりました。
さっきの「 」の文章は、本書を読めば、このように書き直さなくてはなりません。

「私は、新しい職場で『役立たず』と人から評価され傷つくことを過度に恐れ、それを回避するため休みました。心身ともに悲鳴を上げたのは、それにより休むことができるからです。辛いですが、休めば傷つかなくて済みます。そして、休むという目的のため、『畑違いの職場への異動』『キャリアがご破産』『周囲の目が厳しい』『応援も得られず孤立』という一連の理由を、後から後から探しました。」

これは衝撃ですよ。衝撃と言わずして何という。(以下略)


このコラムは、2015年2月16日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第411号に掲載した記事に加筆しました。

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中国人のモチベーション

 読者様からこんなご意見をいただいた.

最近は中国の若者(30代前半から下)と話す機会はありますが、逆に日本の若者と話す機会が少ないです。

中国のホワイトカラーの若者は、収入と同様に自分のスキルアップを考えている人が大半かと思います。会社は給料得る場と同時にスキルを身に付ける場と考えています。
ですから新しい仕事にも貪欲なほど真剣に取り組んでくれますね。
むしろ日本の若者の方が、目先の給与や仕事のラクさで、仕事を選り好みしているように感じます。

私が今駐在している会社の中国人若者には、
「この会社にいる日本人(私以外に3人いるが、その方は皆団塊の世代の方)は、みんな日本の製造業が安かろう悪かろうを売り物にした時代が終焉を迎え、人件費上昇や幾多の不況を技術革新で乗り越え時代を引っ張った人たちです。
その方たちから直接指導を受けられることを幸運だと思って欲しい。
あと10年もしたらこんな機会はカネをだしてもない。もちろん私も幸運に思って指導を受けている。」
と話しています。

私もまったく同感だ.
この読者様が中国人リーダたちにすばらしい指導をされているのが良く分かる.

中国で工場を経営されている方の中には,
「中国人に教育をしてもすぐに辞めてゆく.教育にかける時間もコストももったいない」
「中国人にノウハウを教えてしまうと,自分たちの競争優位点が失われる」
とお考えの方がまだまだいらっしゃる.

しかし逆に中国人幹部の教育に熱心に取り組んでおられる会社ほど幹部の離職率が低い.
中には二番手三番手のリーダに成長の機会を与えるために,ナンバーワン幹部が辞めてゆく仕組みを真剣に考えておられる方もある.

また教えてしまって簡単に真似の出来るノウハウはノウハウとは呼ばない.日本のモノ造りの本当の強みは,毎日改善を続ける「改善体質」にあると考えている.これは簡単には真似が出来ない.

中国人リーダ達の「成長意欲」をモチベーションの源泉とし,成長のための「場」と「機会」を与え続けるのが,経営者や経営幹部の仕事だと思っている.


このコラムは、2008年7月28日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第44号に掲載した記事に加筆しました。

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QCC活動の指導

 前職時代にQCC活動に初めて触れてから既に37年になる。
独立後QCC活動を指導するようになって、バネのメーカからバスのメーカまで、大小いろいろな企業にQCC活動で生産改善や品質改善を指導して来た。

基本的にQCC活動の指導に必要なのは「管理技術」だ。
新旧QC七つ道具などに代表されるQC手法や、問題発見、課題設定、原因分析、対策検討……というQCストーリィ(活動の進め方)は管理技術に分類される。

しかしこれだけでは、各サークルが抱える問題を解決することはできない。
固有技術が必要となる。つまりQCC活動で成果が出るように指導するためには、管理技術+固有技術が必要となる。

私のような凡人でも、色々な業種でQCC活動の指導で成果を出すことが出来る。実はちょっとしたコツがある(笑)

管理技術については、基本的な使い方ばかりではなく応用に関しても実践的に身についていなければならない。しかし固有技術については、広く浅い知識と特定の分野に絞った狭くて深い知識があれば、なんとかなる。

何故ならば、指導している相手は解決課題の分野においては専門家だ。彼らの経験や知識を引き出すように、思考の道筋を立てて「ヒント」を与えれば良いだけだ。

例えば、光学部品メーカでレンズの『牛頓不良』の改善に取り組んでいる。
まず『牛頓不良』でたじろぐが(笑)『牛頓』がニュートンの当て字である事に気がつけば、『牛頓本数大』はニュートンリングが多い。すなわちレンズの削り過ぎだとわかる。

不良現象(ニュートンリングが規定より多い)が発生する原理(削りすぎ)を説明し、
それがどうして発生するのか?
どの工程で発生するのか?
と疑問を出す。指導している相手は専門家だ。次々と削りすぎが発生する要因を列挙することができる。その要因を一つ一つ検証して、真の原因を見つけるように指導すれば良いわけだ。

別の例では、DLCコーティングの工場から参加したQCサークルが、設備故障による損失を削減する活動に取り組んだ。
生産中に設備が故障すると、そのロットは全部一度塗膜を化学的に剥がして、再度塗膜を蒸着することになる。従って損失金額は通常の生産コスト以上だ。

私にはDLCコーティングに関する固有技術はない。サークルメンバーも蒸着設備に関しては、素人だ。この故障設備の現物確認により電源内にあるアルミ電解コンデンサの寿命故障と判明した。このサークルに指導したのは「アレニウスの法則」だけだ(笑)

設備を冷却することにより、設備故障は激減した。
十数台ある設備を合わせると、年間効果金額は350万元ほどになった。

問題や現象を物理的法則に従って定義する。問題が発生する条件(要因)を上げる。要因が真の原因かどうか検証する。こう言う手順を踏めば、業界・業種に固有な技術も、共通の物理法則や化学法則で考える事ができる様になる。


このコラムは、2018年8月20日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第708号に掲載した記事に加筆しました。

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表現力

 独立して13年余り、多種多様な生産現場で改善のお手伝いをして来た。前職勤務時に生産委託先の指導をして来た期間を入れると20年余りになる。

生産委託先の品質・生産性改善指導をしていた時は、自分の中でこのくらいは改善できるだろうと目算し取り組んでいた。リーダシップを発揮し、指導先のリーダを巻き込んで改善する方式だった。

独立してこれでは効率が悪いことに気がついた。目標を提示し、改善方法を教え改善リーダを育成する。その結果業績に貢献し、改善リーダの能力も向上する。しかしそれは「与えられた経験」だ。自ら勝ち取った経験ではない。
そんなことを考える様になった。

問題発見能力・解決能力を高め、継続的に改善活動を進める意欲を高める。
これを効率よくやるためには、自分で問題を発見し解決する。そして達成感を感じることが必要だと考えている。

そんなわけでQCCストーリィを意識した指導をして来た。
改善活動のテーマ・目標も指導先のリーダたちが話し合って決める。もちろん自由気ままに活動してもらうわけではない。業績に直結するテーマを選ぶ様に、成果が出る様に導く。成果が達成感となり、継続の意欲が高まるからだ。

例えば、直行率が80%の工程の改善をする。目標は18%改善、直行率98%にする。こういう目標をメンバーが決めると、指導をするわけだ。

同じ活動テーマでも、言い方を変えれば「20%の不良を1/10に減らす」となる。同じことだが18%改善という目標より、不良を1/10に減少の方がより高い目標の様に感じる。成果も同様だ。達成感が違う。達成感が自信につながる。さらに改善効果を金額換算する。より実感が湧くだろう。

活動の内容も成果も同じだが、表現を変えるだけでメンバーの達成感が上がり、さらに改善を続けようという意欲が湧く。


このコラムは、2018年8月6日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第702号に掲載した記事に加筆しました。

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続・樊遅仁を問う

 先週は樊遅が孔子に「仁」とは何かと尋ねたのをご紹介しました。
「樊遅仁を問う」
実は樊遅は別の機会にも、孔子に「仁」とは何かと訪ねています。

fánchíwènrényuē:“chǔgōngzhíshìjìngrénzhōngsuīzhī。”

《论语 子路篇第十三−19》

(注)夷狄:古代中国で、東方の未開国を夷、北方のそれを狄といったところから、未開の民や外国人。野蛮な民族という意味。
『之』:『到』の意味。

素読文:
樊遅はんち仁を問う。子曰わく、居処きょしょするにうやうやしく、事をるにつつしみ、人にまじわりてちゅうならば、夷狄いてきくといえども、つべからざるなり。

解釈:
樊遅が「仁」とは何かと問うた。孔子曰く:いかなる処でも恭しく、いかなる事にも慎みしみ深く、人との交わりには忠義を尽くす。たとえ未開の国に行っても忘れてはいけない。

以前孔子は樊遅に「仁者はかたきを先さきにしてるを後にす」と言っています。同じ人に、違うことを言っている。その時々に相手に必要なことを教えていたのでしょう。

『仁』に関する以前のエントリー

言に訥、行に敏

巧言令色仁鮮なし

樊遅仁を問う

四次元ポケット

 土曜日の昼下がりYoutubeでBGMを聞きながら仕事をしていたら、スポットCMで「四次元ポケット」というプロジェクトを知った。

日本の中堅・中小企業の力を組み合わせ、世の中をあっと言わせる物を開発しようと言うコンセプトだ。富士ゼロックスがサポートしている。
富士ゼロックスのホームページから引用すると、

「四次元ポケットPROJECT」コンセプト
これからの日本を支える大きな原動力。それが中堅・中小企業のチカラです。
いま、その得意分野を組み合わせることができれば、世の中があっと驚くようなモノをどんどん実現していくことでしょう。
わたしたち富士ゼロックスは、ITソリューションによるさまざまな支援を通して、中堅・中小企業のビジネスを加速させていきます。

「四次元ポケットPROJECT」概要
国民的人気を誇るまんが「ドラえもん」。
22世紀からきたドラえもんは、四次元ポケットから次々に「ひみつ道具」をとり出し、のび太くんのピンチを助け、夢を叶えてくれます。
こんな「ひみつ道具」がいま実在したとしたら、どんなに楽しいのだろうかと私たちは考えました。そして、複数の企業の技術を駆使して実際に「ひみつ道具」作りに挑戦するという夢のプロジェクトを立ち上げました。
それが「四次元ポケットPROJECT」。
実在する企業の技術やノウハウをそれぞれ連携することで、1社では不可能だった新たな価値を生み出すことができる。
富士ゼロックスはこのプロジェクトに参加する企業の連携をITソリューションで支援します。第二弾は「望遠メガフォン」。

望遠メガフォンとは、ドラえもんのポケットから出て来る秘密の道具で、遠方にいる人にピンポイントで音声を届ける拡声機だ。
望遠メガフォンを造ったプロジェクトメンバーは、ユカイ工学、GOCCO、クロスエフェクト、スイッチサイエンス、海内工業、三和メッキ工業の精鋭達だ。

設計の中心となったユカイ工学は、ロボットベンチャーだ。ロボットと言っても彼らの造るロボットは、産業用のロボットではない。脳波を検出し、感情の変化を耳の動きで表現する「ネコ耳」など、今何の役に立つのか良く分からないが(笑)将来とんでもないアプリケーションに化けそうなモノを造っている。

それを筐体設計、回路基板、板金、メッキの技術を持つ会社が一緒になって、望遠メガフォンのプロジェクトに取り組んだ。ドラえもんの玩具と笑ってはいけない。

超高指向性のスピーカ、肉厚さが違う支柱をプレス技術で造る、距離測定用のレーザ測長機、紙製プリント基板、3Dプリンターを駆使した筐体作成、など各社の技術を持ち寄って完成させた。

それぞれは小さな会社でも、それぞれの技術を持ち寄れば、面白い物が造れる。
それを広告宣伝の形で、大企業がスポンサーする。
こういう動きがもっと盛んになれば、新しい産業が出来るだろう。

先週のコラムにも書いたが、19世紀の産業革命以来、20世紀の軍需産業、21世紀のロボット産業と進化して来た産業に、「おもしろい」を核としたネットワーク型の全く新しい産業が生まれる予感がする。

中小企業連合が活躍した、まいど一号(宇宙衛星)、江戸っ子一号(深海探査機)は、中小企業でも高度な製品を開発製造する事を証明した。
四次元ポケットプロジェクトは、実用よりは将来の夢を造るプロジェクトといっても良かろう。

我々も中国モノ造り企業の力を集め「ニイハオ一号」プロジェクトをやってみたいモノだ。何を造れば良いかはまだ分からないが、残りの人生をかけて見たいと思っている。


このコラムは、2014年9月1日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第377号に掲載した記事に加筆しました。

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もう一つのブラジルW杯 ロボカップ、日本勢の優勝も

 サッカーの聖地ブラジルで7月下旬、もうひとつのW杯が開かれた。東部の町ジョアン・ペソアで開催された「ロボカップ」はロボットのサッカー世界大会だ。目標は「2050年、人間の世界王者に勝つ」こと。欧米のほか日本や中国など世界約40カ国・地域の研究機関が技術を競った。玩具の域を大きく逸脱したロボの一挙手一投足に企業も熱い視線を注ぐ。

全文

(日本経済新聞電子版より)

 個人的な希望では、この様な大会は日本勢が優勝を総なめにする位の勢いを持ちたい。

20世紀の産業発展は、軍需によるモノが大きかったと思う。第二次世界大戦後の冷戦時代はミサイルの開発競争が、宇宙航空産業を育てた。敗戦国の日本は、戦闘機零戦を造る力を解体され、宇宙航空産業の下請け企業の地位に甘んじて来た。

21世紀はこの記事に有る様な「平和な競争」が産業を牽引する時代であって欲しいと願っている。

私が注目している産業分野は、航空産業とロボット産業だ。
航空産業は、自動車産業以上に沢山の協力企業を必要とする。つまり航空産業1社で多くの雇用を生む訳だ。

ロボット産業は、日本の労働人口減少に唯一の光明を与えてくれていると思う。
政府が考えている様な、外国人の移民では、日本と言う国のアイデンティティが失われてしまうのではないかと危惧している。

工場の中には、人に混じって色々な形態のロボットが働いている。
街の牛丼屋に行けば、とびきり美人のヒューマノイドが、ユーモアたっぷりに接客している。そんなヒュ-マノイドに恋をしてしまう宅男まで現れる。
そして人間は、より付加価値の高い仕事だけをする。

こうなれば日本人の労働生産性は、飛躍的に上がる。

そしてロボットの量産能力を持つと言う事が意味する所は大きい。
ロボットを兵士とすれば、倒れても倒れても、後から後から兵が現れることになる。これは日本侵略を企てる外国に対して抑止力になるだろう。鉄の意志を持った忠実な兵士が、日産10,000台生産可能、となれば誰も日本と戦争したいとは思わなくなるだろう。


このコラムは、2014年8月25日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第376号に掲載した記事に加筆しました。

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部下の基準を上げる

 読者様からメールをしばしばいただいており、メルマガでもご紹介している。
今回は、特に印象深いメールをいただいた。大学4年生の方からのメールだ。多分このメールマガジンの読者様の中で、最年少の方ではなかろうか。

※W様のメッセージ
すぐれた技術や能力を持っていてもそれを必要とするニーズや上手く売り出すマーケティング力がないといけない、というのは就活にも通ずるものがあるのかもしれません。
どんなに頭が良くても、それを面接の時に上手くアピールしなければいけないし、いくらすごい技術や特技を持っていてもそれがその会社にとって必要なものでなければ雇っては貰えません。さほど成績が良いわけではないのに内定をいっぱい貰うような人は自分を売り出すプレゼン力や企業のニーズを見分ける力があるのかもしれません。
自分もそのような力を身に付けられるよう、意識しながら頑張りたいと思います。

非常に志の高い若者だと関心した。
感想を下さったコラムは、ローソンのPB商品開発の新聞記事に対するモノだ。全く違う分野の話題を、自分の事として引き寄せて理解する能力がある。

実はこの方には、「就職」という所にゴールを置くから、企業のニーズにしか気が向かない。就職の更に先にある「人生の目的」にゴールを置けば、社会のニーズに応えると言う視点が持て、更に大きな使命に気がつくはずだ。と言う趣旨の返事を書いた。

普通の学生さんならば、良い気付きですね。頑張ってください。と言う趣旨の返事を送ったと思う。しかしこの方にそんな返事を書いては失礼だと言う思いがわき、書き直した。

この様なやり取りは、キャッチボールを同じだと思っている。
息子が小さかった時には、捕り易い様に下手投げで投げてやったモノだ。
私が小学生の頃、一度だけ父親とキャッチボールをしたことがある。父親はしゅるしゅると回転のうなりを上げるボールを投げ込んできた。私は捕球するのが精一杯だった。10球も受けないうちに私の左手はグローブの中で真っ赤になっていた。内気な少年だった私が、野球をやる様になったのが、父親には嬉しかったのだろうと思っている。そして小学生だった自分も、父親に対等に扱って貰えたと感じたモノだ。

野球のノックが上手いコーチは、後一歩で届かない所に打ち込むと言う。つまり全く捕球出来ない所に飛んできたボールは、選手のモチベーションを上げない。あと少しで捕れる打球を追い続けているうちに、自分の守備範囲が広がる。こういう訓練が選手の「基準」を引き上げることになる。

あなたはご自分の部下の良いコーチになっていますか?
褒める事も大事だけれど、相手の基準を上げる様なノックを打ち込む事も重要だ。


このコラムは、2014年4月14日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第357号に掲載した記事に加筆しました。

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ローソン、隠れた技術発掘 食品70社から情報

 ローソンは食品メーカーが活用し切れていない技術を生かして独自商品を開発する。製法や素材など約70社から聞き取った情報を蓄積。自社がもつ売れ筋データと照らし合わせて、複数のメーカーの技術も組み合わせながら2014年度に独自商品を最大100品を発売する。製造過程から深く関与するSPA(製造小売り)を目指す戦略の一環で、消費者にとって選択肢は広がりそうだ。

記事全文

(日経新聞電子版より)

 マーケットを知っている人が、技術を持っている人達を結びつけて、商品を開発しようと言う考え方だ。固有技術があっても商品が開発出来る訳ではない。試作品は作れたとしても、売れなければ商品とは言えまい。

発明王・エジソンの最大の発明は、発明のプラットフォームだそうだ。
高い技術力と豊かな発想があっても、一人では偉大な発明は出来ない。技術が分かる人とマーケットが分かる人、そしてプロデュースする人が、発明には必要だそうだ。この3者のコラボレーションを発明のプラットホームにしたのがエジソンだそうだ。

エジソンが電球を発明した頃は、こういう考えは必要なかったかも知れない。「明かり」に対する市場の要求は明確であり、実現しさえすれば売れる事は確実だ。技術者とマーケッターの調整をするプロデューサーも必要ではないだろう。技術者が諦めなければ、それで十分だ。

しかし、世の中に便利な物が溢れている時代には、「商品を実現する技術」より「商品の市場ニーズ」の方が重要だったりする。

ローソンの取り組みは、市場ニーズを持っている自分たちが、プロデューサーとなり、技術を持った複数の仕入先を組み合わせて、新商品を開発するという考え方だ。

小売り流通業の仕事は、あるモノを仕入れ消費者に届ける、という所から出発している。近年はプライベートブランド商品の様に、独自企画商品をメーカにOEM生産させて販売する、と言う新しい方向性が出て来た。更に複数メーカの得意技術を組み合わせることにより、独自性を高める動きになっていると考えたら良かろう。

大手の製造業で言えば、昔は製造部門が力を持っていたのが、技術部門に移り、最近ではマーケット部門が社内でのプレゼンスが高くなって来ている。産業全体で見ても、ローソンばかりでなく、小売り流通業主動で商品開発が行われる事例が増えている様に思う。

ユニクロが実現した製造小売りの構図が、食品、日用品にも拡大している。
製造小売りと言っても、小売業が製造部門を持つ訳ではなく、垂直分業の形だ。つまり三角形の頂点に小売り流通業が居て、底辺に製造業がぶら下がっている形となっている。

このスタイルでは、中堅・中小の製造業にとっては、依然として下請け仕事の域を脱出することができない。
勿論、他社が真似出来ない突き抜けた技術を持っていれば、下請け仕事と言え、お客様が頭を下げて仕事を持って来てくれる。従って独自技術を磨き続ける事は重要だ。

設計・サービスの付加価値が高く、モノ造りの付加価値が低いとするスマイルカーブ理論が言う様に、設計・サービス機能を持たない製造業は常に下請け仕事に甘んじていなければならないのか?
このメルマガで何度かお伝えして来たが、私はそんな事はないと考えている。

中堅・中小の製造業には設計・マーケティング機能はないかも知れない。しかしそれらのリソースを持っている人達と協業する事は可能だ。それらをまとめるプロデューサー機能が有れば出来るはずだ。
そういう考えで立ち上げたのが、「ソーシャルモノ造り」だ。

色々な技術を持っているメーカが集まって、自分たちの独自ブランドの商品を開発する。足りないリソースは互いに持ち寄る。製造小売業態が三角形の垂直分業ならば、こちらは横並びの水平分業だ。

各メーカは、自分たちの技術を持ち寄りる。「商品データベース」ではなく「テクノ・データベース」だ。
例えば、中島製作所の商品は船舶のプロペラだ。商品だけを考えると、船舶業界しか考えられない。プロペラと言う切り口で考えれば、航空機や扇風機も考えつくだろう。しかし人工関節を思いつきナカジマメディカルと言う新会社設立には至らないだろう。
新会社設立に至った発想は、商品ではなく加工技術に着目したからだ。
プロペラ生産に必要な鏡面研磨技術があったから、人工関節と言うオリジナルブランド商品を持つことができた。

こういう発想を持つことにより、下請けから脱出しオリジナル商品を持つ会社にする事が出来るはずだ。
ぜひあなた会社の独自技術を棚卸ししてみていただきたい。


このコラムは、2014年3月31日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第355号に掲載した記事に加筆しました。

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