先週は樊遅が孔子に「仁」とは何かと尋ねたのをご紹介しました。
「樊遅仁を問う」
実は樊遅は別の機会にも、孔子に「仁」とは何かと訪ねています。
樊迟问仁。子曰:“居处恭,执事敬,与人忠;虽之夷狄,不可弃也。”
《论语》子路篇第十三−19
(注)夷狄:古代中国で、東方の未開国を夷、北方のそれを狄といったところから、未開の民や外国人。野蛮な民族という意味。
『之』:『到』の意味。
素読文:
樊遅仁を問う。子曰わく、居処するに恭しく、事を執るに敬しみ、人に与わりて忠ならば、夷狄に之くと雖も、棄つべからざるなり。
解釈:
樊遅が「仁」とは何かと問うた。孔子曰く:いかなる処でも恭しく、いかなる事にも慎みしみ深く、人との交わりには忠義を尽くす。たとえ未開の国に行っても忘れてはいけない。
以前孔子は樊遅に「仁者は難きを先さきにして獲るを後にす」と言っています。同じ人に、違うことを言っている。その時々に相手に必要なことを教えていたのでしょう。
『仁』に関する以前のエントリー