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5S理想工場

 5S理想工場計画をこのメルマガに書いたら,予想外の波及効果が生まれ始めている.大変有り難いことだ.

ウチの工場をちょっと見てくれ.取引先の工場を何軒か一緒に回ってほしい.
5Sに関する特集記事を作りたい.
などなどいろいろなお問い合わせやオファーをいただいている.

先週は,5S理想工場プロジェクトを応援しています,という読者様から枚岡合金工具株式会社の情報をご提供をいただいた.

枚岡合金工具株式会社

清掃,整理,整頓の3Sに取り組み,経営危機に直面していた中小企業が飛躍的に業績を伸ばした,という実例が紹介されていた.ホームページには工場やオフィスの写真が紹介されているが,5Sの教科書に取り上げたくなるような写真がいくつもある.また経営者・古芝保治社長の5Sに取り組む姿勢がすばらしい.

まさに私がやりたいことを実現されている.
枚岡合金工具は工場見学を月に2回受け入れておられる.日本全国のみならず,海外からも工場見学者が訪れるそうだ.

枚岡合金工具のホームページを見て,古芝社長とは面識は無いが,著書を読んだことを思い出した.
ご一読をお勧めする.
「儲けとツキを呼ぶ『ゴミゼロ化』工場の秘密」

海を渡る「半沢直樹」 復権かけアジアで戦うTBS

 今年のテレビドラマで最高の視聴率をたたき出した「半沢直樹」。TBSテレビ系で放送され日本一有名な銀行マンとなった主人公の半沢直樹が、ついに海を渡る。10月中旬から台湾を皮切りに、アジアの他の国や地域でも放送される見通しだ。TBSテレビは視聴率の低迷にもがいてきた。ただ再び人気ドラマを量産できる体制が整ったことで、今こそアジアに攻め込む好機とみる。CMスポンサーとなる日本企業とタッグを組み、広告とセットでコンテンツを現地に売り込む斬新な手法にも挑む。アジアを舞台に、「ドラマのTBS」と呼ばれた名門の復権をかけた同社の戦いが始まった。

(日経新聞電子版より)

 「半沢直樹」最終回は、リアルタイムで視聴出来た。合法なのか違法なのか分からないが、INTERNETの恩恵だ。
会社員を辞めてもう9年近くになる。それでも、このドラマを見ると会社員時代の心が興奮して眠れなくなる。「空飛ぶタイヤ」「下町ロケット」に引き続き、池井戸潤がますます好きになって来た。

最終回の終わり方を見ると、続編がドラマ化されだろう。
半沢直樹の続編「ロスジェネの逆襲」は既に出版されている。原作を今読むべきかどうか迷う所だ(笑)

ところで日本のTVコンテンツの海外戦略は何ともお寒いものがある。

昔、木村拓哉の「ロングバケーション」を中国中央電視台で放送していた。
中国でも日本のドラマが受け入れられているようで、嬉しかった。しかしその後、日本ドラマの位置は完全に韓国ドラマに奪われている。

以前中国で放送されていた『大長今』(邦題:宮廷女官チャングムの誓い)は全76話ある。
日本のドラマのほとんどが、四半期で完結なので、全10話程度しかない。

視聴率至上主義の現場では、リスク管理のために短く完結させるのだろう。視聴者の方も、娯楽の多様化などで飽きっぽくなっている。そんな事情が有り、日本ドラマそのものがどんどん小粒になっている様な気がする。

TBSの新しい海外戦略は、ドラマコンテンツだけでなくCMスポンサーもセットで提供すると言う。提供するCMスポンサーは日本企業なので、スポンサー側の広告予算を海外に流出することになる。国内売り上げは減っても、将来プラスになると言う戦略なのだろう。

将来を見据えた戦略ならば、アニメも有力なコンテンツになるだろう。
何せ未来そのものである子供が見る。日本アニメファンの子供が大人になった時、きっと日本に有利な市場が出来るだろう。
中国でも「ワンピース」「クレヨンしんちゃん」など子供向きのアニメ番組は相当人気があるようだ。アニメ番組の良い所は、キャラクターグッズ市場と連動させ易い所だろう。(中国では、きちんと版権が回収出来るかどうか、分からないが・苦笑)

日本の製造業(物造り)が空洞化してしまった今、物ばかりではなくサービス等にも焦点を当てたモノ造り産業に転換して行かなければなるまい。例えば、観光業などの産業で海外から顧客を呼ぶ。日本には、四季と言う自然資源、もてなしのココロと言う人的資源がある。
更に、創造性により価値を高める「モノ創り」に力を入れてゆかねばならないだろう。アニメ、ドラマ等のコンテンツもこの範疇だ。

物造り、モノ造り、モノ創りともに人が基本だ。特にモノ創りには者造りが重要となる。


このコラムは、2013年9月30日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第329号に掲載した記事に加筆しました。

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データは現場・現物で見る

 不良の低減とか生産性の改善をする場合,データは重要な鍵になる.しかしデータから見えてくることだけでは改善はできない.

例えば工程間の作業バランスを改善するために,各工程の作業時間を測定し机上で検討してもあまり良いアイディアは出ない.
つまり計測した作業時間データは,今の作業方法によるデータでありそれをいくらひねっていても大きな改善にはならない.

作業時間と仕上がり数量から平均作業時間を求めても何も分からない.このデータからは,作業者ごとの作業時間のばらつき,作業者間の作業時間のばらつきは見えてこない.

作業現場を良く観察することにより改善するポイントが分かる.着眼点はばらつきだ

理論的な作業時間分析どおりに作業ができていることはあまり無い.作業時間のばらつきから無駄な動作が見えてくる.作業者間のばらつきから,習熟度に依存してしまう作業や,細かな作業方法の違いによる効率の差が見えてくる.
これらは現場でしか分からない改善ポイントだ.

不良統計データも現場・現物で見直す.同じ不良現象の中に,別の原因が含まれている事がある.
例えば異物や傷による外観不良は統計データだけでは,改善ポイントは見えない.現場・現物を見ることにより初めてどこで,どうして異物や傷が発生しているかがわかる.

データを取る事が無駄というわけでは無い.悪さ加減を知る,改善効果を測定するためにもデータは必要だ.改善に役に立たないデータの収集や加工はやめる.その時間があれば現場に出かけるほうが効果が高い.


このコラムは、2009年7月20日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第107号に掲載した記事です。

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中国華南地区の景気

 今日家賃の集金に来た大家さんが部屋に入ってきて開口一番「景気が悪い」彼は海運業の会社に勤めており,華南地区の製造業が軒並み景気が悪く,彼の会社にも影響が出ているとのことだ.

最近このあたりで工場の倒産,台湾,韓国系工場の夜逃げの話を良く耳にする.

しかし一方で注文が増えている工場もある.競争相手がつぶれてしまい仕事が回ってくるというのである.

こういう時期にしっかり力を蓄えておけば,景気が回復した時に一気に波に乗る事が出来るはずである.ピンチをチャンスに変える.今のうちに贅肉のない筋肉質の体に鍛え上げておきたい.

ところで以前指導していた会社にいた中国人の若者は,独立してネジの工場を経営している.4年近く前に電話で独立した事を知らせてくれた.
一度工場を見に行ってやると言ってあったのだが,彼は遠慮してなかなか迎えには来なかった.ところが最近良く電話をしてくるようになった.

彼も電話のたびに景気が悪い,どこかネジを必要としている会社を紹介してくれというのだ.
しかし工場も見ていないのにうかつには紹介できない.たかがネジとは言え品質問題が出れば厄介なことになる.

随分昔になるが,北欧のメーカから周辺装置を購入していた事がある.
特に品質問題もなく安心していた.北欧のメーカにしばしば品質問題を出されてはたまったものではない.そのたびに工場に出かけて原因や対策の確認をするのでは,少ない出張予算があっという間になくなってしまう.

ところが突然メーカの品証から,今回納入したロットは使わないで返却してくれという連絡が入った.
報告によると製品に使用したネジの製造工程に問題があり,暫くするとネジの頭がポロリと取れてしまう事があるというのだ.

ネジを作った後にメッキをするが,メッキ後のアニール(熱処理)工程を飛ばしてしまったというのだ.
メッキ処理中に発生した水素原子が鉄ネジの中に入り込む.通常はアニール工程でこの水素をたたき出してしまうので問題がないが,水素が残留していると「水素脆性破壊」が発生する.応力がかかっている部分
が脆化してポロリと破断してしまうのだ.

メッキ工程は,水洗処理,薬剤による前処理・後処理,メッキ処理など幾つもの工程をバッチごとに持ちまわって処理をしている場合が多い.一種類のメッキ処理だけをやっていれば,工程順に処理槽を並べれば
間違いなく工程を進める事が出来る.何種類も同時生産をしていると,この製品にはこの処理は必要ないが
別の製品にはこの処理が必要という事が出てきてしまう.

メッキだけではなくこのような工程になっている製品はあるだろう.特に設備で加工する場合,バッチで設備間を持ちまわって生産するような製品は「工程飛ばし」「工程間違い」に対する予防策をとっておかないと必ずミスが発生する.

例えばある製品はA工程→B工程→C工程の順に生産するが,別の製品はA工程→D工程→C工程の順に生産する.

このような場合にどうすれば間違いなく工程順が守られ,工程を飛ばすことなく生産できるだろうか?
皆さんはどんな工夫があるだろうか?
またご一緒に検討してみたい.

今回の制約は,
・工場の中は機械化が進んでおらずバッチ単位で人間が持ち回り生産する.
・設備は簡単には移動できない.
という条件にしよう.

(次号に続く)


このコラムは、2008年11月10日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第61号に掲載した記事に加筆修正しました。

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部下の基準を上げる

 読者様からメールをしばしばいただいており、メルマガでもご紹介している。
今回は、特に印象深いメールをいただいた。大学4年生の方からのメールだ。多分このメールマガジンの読者様の中で、最年少の方ではなかろうか。

※W様のメッセージ
すぐれた技術や能力を持っていてもそれを必要とするニーズや上手く売り出すマーケティング力がないといけない、というのは就活にも通ずるものがあるのかもしれません。
どんなに頭が良くても、それを面接の時に上手くアピールしなければいけないし、いくらすごい技術や特技を持っていてもそれがその会社にとって必要なものでなければ雇っては貰えません。さほど成績が良いわけではないのに内定をいっぱい貰うような人は自分を売り出すプレゼン力や企業のニーズを見分ける力があるのかもしれません。
自分もそのような力を身に付けられるよう、意識しながら頑張りたいと思います。

非常に志の高い若者だと関心した。
感想を下さったコラムは、ローソンのPB商品開発の新聞記事に対するモノだ。全く違う分野の話題を、自分の事として引き寄せて理解する能力がある。

実はこの方には、「就職」という所にゴールを置くから、企業のニーズにしか気が向かない。就職の更に先にある「人生の目的」にゴールを置けば、社会のニーズに応えると言う視点が持て、更に大きな使命に気がつくはずだ。と言う趣旨の返事を書いた。

普通の学生さんならば、良い気付きですね。頑張ってください。と言う趣旨の返事を送ったと思う。しかしこの方にそんな返事を書いては失礼だと言う思いがわき、書き直した。

この様なやり取りは、キャッチボールを同じだと思っている。
息子が小さかった時には、捕り易い様に下手投げで投げてやったモノだ。
私が小学生の頃、一度だけ父親とキャッチボールをしたことがある。父親はしゅるしゅると回転のうなりを上げるボールを投げ込んできた。私は捕球するのが精一杯だった。10球も受けないうちに私の左手はグローブの中で真っ赤になっていた。内気な少年だった私が、野球をやる様になったのが、父親には嬉しかったのだろうと思っている。そして小学生だった自分も、父親に対等に扱って貰えたと感じたモノだ。

野球のノックが上手いコーチは、後一歩で届かない所に打ち込むと言う。つまり全く捕球出来ない所に飛んできたボールは、選手のモチベーションを上げない。あと少しで捕れる打球を追い続けているうちに、自分の守備範囲が広がる。こういう訓練が選手の「基準」を引き上げることになる。

あなたはご自分の部下の良いコーチになっていますか?
褒める事も大事だけれど、相手の基準を上げる様なノックを打ち込む事も重要だ。


このコラムは、2014年4月14日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第357号に掲載した記事に加筆しました。

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即戦力なんて存在しない

 「即戦力なんて存在しない。だから育てるんだ」スティーブ・ジョブズの言葉だ。

スティーブが創業したピクサーは、ハリウッドでは特異な存在だった様だ。

普通のハリウッド企業は、脚本などのアイディアはお金を出して買う。
必要な人材は、フリーランスで雇用する。
人材は必要な時に、即戦力を買って来ると言う訳だ。
仕事がある時だけに、人材を調達すれば、経営は楽になる。

しかしピクサーは持ち込みのアイディアは使わない。人材は社員として雇用する。
つまり、外のアイディアには金を払わない。その代わり、人財を育てるのに金を使い、内部からアイディアが生まれる様にする。

こういう考え方は、昔の日本企業が持っていた考え方だ。
「家族主義」「人は育てて使う」こういう考え方が、効率優先の短期業績主義経営によって忘れられている。

短期業績主義以外に、従業員の流動性も、中国に於いて日本的経営を難しくする要因となるだろう。折角育てても、すぐに辞めてしまうのでムダだ。人材育成は諦めた、と言う日本人経営者に会った事もある。

しかし、使い捨ての企業に労働者が魅力を感じる事はない。本当の所は、人財育成をしないから人は辞めて行く。即戦力だと思って金で買って来た人材は、すぐに金でよそに買われて行く。

従業員を「人材」(ヒューマンリソース)と考えれば、必要なリソースを金を使って準備をすれば良いと言う考えになるだろう。
しかし本当に使える「人財」はヒューマンキャピタルだ。
人を財産に変えるには、自分たちで磨き上げるしかない。


このコラムは、2013年3月18日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第301号に掲載した記事を加筆修正したものです。

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時間軸

 時間軸について考えてみたい。
あなたの頭の中にある時間軸の目盛りの単位は何だろう?
年?月?週?時間?分?秒?

当然考えている事柄によって時間軸目盛りの単位は変わるはずだ。
部下の育成は年単位かもしれない。
中長期経営計画ならば月単位。
年度計画は月単位もしくは週単位。
今月の予定は日単位、時間単位。忙しい人なら分単位となる。

つまり時間軸の目盛りは、事柄ごとに変えねばならない。
新素材の研究開発ならば時間軸の単位は月、年だろう。
新製品の開発設計の時間軸が年、月では遅かろう。

そして長期の時間軸はより短期の時間軸にブレークダウンする。
短期時間軸で補正をかけながら、長期時間軸を制御するイメージだ。

もう一つ時間軸の「方向」についても考えたい。
通常の時間軸は過去→現在→未来の方向になっている。
過去の失敗や成功体験から未来を予測して現在の行動を決める。多くの場合このような行動や決断をしていると思う。

これを逆にしてみるとどうなるだろう?
未来から現在を考える。未来とは「あるべき姿」と考えれば分かりやすい。
あるべき姿と過去から継続している現在の姿のギャップが解決課題となる。

例えば、売り上げ規模1億円の企業が、「3年後に売り上げを100億にする
にはどうしたらよいか?」という正方向時間軸の課題を考えたとする。
多分最初から無理だと考えるだろう。

逆方向の時間軸で考えると「3年後に売り上げが100億になった。何をしたのだろうか?」と言う課題になる。

課題の要求する答は同じかもしれないが、後者の場合3年後には売り上げが100億になっていることが前提となっている。つまり、その気になって逆算で考える、と言う思考法だ。

そんな単純なことでうまく行くはずはない。多分そうお考えだろう。
しかし人間の脳は、結構単純に出来ていて、簡単に騙されその気になる。
騙されたと思って試してみてはいかがだろうか(笑)


このコラムは、2016年2月1日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第461号に掲載した記事に加筆修正したものです。

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問題解決の第一歩

 問題解決の手法は沢山ある。
問題解決の一番重要なステップは、まず始めに課題を正しく定義する事だ。

例えば、
「受注が多くて出荷が間に合わない」というのは課題ではなく、現象だ。
正しい課題は「生産能力がなりない」ということだ。

同様な例を挙げると、
「製品倉庫が狭い」というのは課題ではなく「出荷より沢山生産してしまう」
ことが課題だ。

出荷不良を「検査をしているのに不良が顧客に流出する」と課題定義してしまうと「検査を強化する」という不毛な解決案が出て来る。
正しい課題は「工程内で不良が発生する」という事であり、これに対策をすれば「工程内不良をなくす」という本質解決を目指すことになる。
もちろん一足飛びに、工程内不良をなくす事はなかなか難しい。暫定的に検査強化をする事もあるだろう。しかしあくまでも「暫定対策」であることを明確にしておかなければならない。

問題の表層を見入るのではなく、本質を見て課題を定義しなければならない。

もう一つ重要なのは、課題を「自責」で定義する事だ。

上述の「出荷が間に合わない」を、顧客の注文が多い(他責)とすれば自分たちでは解決が出来ない。生産能力不足(自責)と課題を定義するから改善が出来る。

極端な例を挙げたが、意外とこの落とし穴にはまっている例を良く見る。

従業員の能力が足りないから、単純作業だけさせる。というのは、課題を従業員の問題(他責)として定義しているから、効果的な問題解決が出来ない。
従業員の育成が不足している(自責)と課題を定義すれば、いくつも解決案が出て来るはずだ。

「他責」は愚痴やあきらめしか生まない。
「自責」が工夫と改善を生む。


このコラムは、2012年8月6日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第269号に掲載した記事に加筆したものです。

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究極の教え方

 先週土曜日に第一期TWI導入サポート企業様のキックオフミーティングを開催した。何度でも再現できる教え方を習得し、教え方を標準化することにより、指導者が変わっても、作業員が変わっても、作業がバラつかない様にする。これがTWI-JIの目指すところだ。「科学的職業訓練」と言う名前を付けてみた。
これと対極の位置に有るのが「伝統的職業訓練」だと考えている。伝統的職業訓練とは「徒弟制度」の事だ。

TWIの導入を推薦している私は、徒弟制度を否定しているかと言うと、実は逆で徒弟制度は究極の職業訓練だと考えている。師匠の元に住み込み、弟子として、便所掃除からお茶汲みまで仕事と関係のない事から叩き込まれる。効率は非常に悪い。しかし徒弟制度で受継がれるのは、仕事の技術ではなく「魂」なのだ。師匠の命は限りが有る。いつかは亡くなる。しかし師匠の魂は弟子達によって次の世代へと受継がれる。そしてそのまた次世代の弟子へと受継がれて行く。

徒弟制度は、師匠の「業」をその魂と一緒に、大河の如く未来に受継いで行くためのシステムなのだ。

しかし我々の様に、工場でのモノ造りに関わっている者にとっては、徒弟制度は効率が悪すぎる。ほとんどの従業員が出稼ぎであり、3年で全員入れ替わる様な職場で「匠の業」を人生をかけて受継いで行く訳にはいかない。科学的職業訓練に頼ることになる。

私には、中国人の弟子がある。さすがに寝起きまで共にする訳には行かないが、そういう人達には、自分の全てを伝えたいと考えている。そうすれば、私が死んだ後も、私が先輩から受継いだ経験や考え方が人々の役に立つはずだ。

こちらの本は、家具職人の秋山利輝氏の弟子の育て方が書いてある。
「一流を育てる 秋山木工の職人心得」秋山利輝著

書籍中にある秋山氏の言葉を以下に紹介する。
「技術がいくら一流でも、技術だけではすぐ追いつかれてしまいます。でも 心はすぐには真似できません。……
 感動してもらうモノ造りは、心が一流でないと出来ないのです。……
 「できる職人」ではなく、一流の心と技術を持った「できた職人」を育てたいのです。」


このコラムは、2015年3月9日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第414号に掲載した記事です。

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目標と目的

 東莞で工場を経営している友人とゆっくり話をした。私と一対一ではなく、彼が若い経営者に経験を語っているのを横から聞かせて貰って居た。彼は定年を過ぎ、今年新任の総経理が着任し、日本に帰任することになった。彼が中国に赴任してから10年間で、当初7社しかなかった顧客が330社にまで拡大した。売り上げは直近4年間で2.5倍にしている。彼の10年間の工場経営の経験を話してくれた。

会社を立ち上げてすぐの頃は、目標を達成する事を一生懸命やって来た。
毎年年度目標を達成し、工場は順調に業績を上げていた。しかし5年目位に、スランプがやって来た。目標は達成しているのに、心が空しいのだと言う。
その時彼が気がついたのは、目標ばかり追いかけているから空しくなる。会社を経営する目的が必要だと考えたそうだ。以来彼は自分の工場を学校、自分自身は校長と考えている。

彼が考えた目的は、経営を通して人を育てる事だ。
出稼ぎの作業員の多くは3年で辞めて行く。それでもかまわない、彼らは義務教育を終えて「卒業」して行く。高校、大学と進学するために別の会社に行くもよし、故郷に帰るもよしと言う訳だ。勿論更に学ぶために自社に残るもよしだ。

経営の神様・松下幸之助は、創業間もない頃、従業員に「松下電器は何を作っているか」と聞かれたら、こう答える様に教えていた。

「松下電器は人を作っています。あわせて電器製品も作っています」
「心に響く名経営者の言葉」より

毎年の売り上げ、利益は目標。人を育てると言う事が、目的だ。目的を持つ事で、ぶれない経営が出来る。数字だけ追いかけると迷いが出る。

このところ企業の不祥事が良くニュースになる。企業の軸となる目的、経営理念がぶれてしまうから利益を追求し、期限切れの食材を使ったり、食材を偽ったりすることになる。自らの経営目的に誇りを持ち、従業員と共有していれば、そのような不祥事は発生しないはずだ。


このコラムは、2014年3月10日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第352号に掲載した記事に加筆したものです。

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