月別アーカイブ: 2015年3月

認識レベルを上げる

 色々な企業の改善活動を指導していて、ほとんどの人が短期間で成長する。
しかしなかなか成長出来ない人が稀にある。その違いを考えると「認識レベル」の差だと思う。
なかなか成長出来ない人の特徴は、認識レベルを変えられない人だ。

こういう人は、改善の手法を学ぶよりは、まず認識レベルを上げる事が重要だ。

認識レベルを順に並べてみると、
レベル1:問題を認識出来ない。
レベル2:問題は認識出来るが、改善に取り組まない。
レベル3:問題を認識出来、改善が自分の課題と認識しているが改善出来ない。
レベル4:問題を認識出来、改善出来る。

レベル1は、単純に問題意識が低い場合と、問題意識はあるが視野が狭く問題を認識出来ない場合がある。このレベルは、実際に改善活動をしたり、他所の現場を見ることにより、比較的簡単に卒業出来るだろう。

レベル2は、自己認識が足りていない場合が多い。班長さんに「改善は君の仕事だよ」と言うと「え?」と聞き返すタイプだ(笑)
作業し辛い、不良が出易い、と認識はしているが、改善は自分の仕事だと考えていないので、「設計が悪い」「作業方法が悪い」と不満ばかり溜め込んで居る場合がある。ようは他人に依存しているから不満がたまるのだ。
長年他力本願で仕事をし続けていると、意識を切り替えるのが難しいが、依存から自立に変わると、自由が広がる事に気がつけば、自分から変わることができる。

実践でレベル1を卒業すると、レベル2を飛び越してレベル3に到達するのが普通だ。

レベル3とレベル4の差はさほど大きくはない。
経験の差だけだ。これは訓練でいくらでも差を埋められる。訓練で経験を積み、進んで改善をする様にモチベーションを上げてやれば良い。

稀に、レベル2のまま職位だけ上がってしまった人を見るが、こういう人を指導するのは骨が折れる。業務をこなす事が出来るだけの人を、昇格させるとこういう結果となる。上位職に昇格するための必須要件として「改善」を入れておかれるのが良いと考えている。

間接部門も同じだ。毎月の経理報告を翌月○○日までにまとめるのが仕事だと認識していると、毎週経理速報をまとめれば戦略的経営に役立つはずだ、と言う発想は生まれない。

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TWI-JI公開研修

TWI(企業内訓練)は1941年に米国で開発された、教育訓練手法です。
この手法により、1941年から1945年の間に、600社の米国企業で現場監督者の教育訓練がが行われました。

その結果600社の企業で以下の効果が確認されました。

  • 生産量の増加:516社で効果あり
  • 訓練時間の短縮:600社で効果あり
  • 工数削減:528社で効果あり
  • 不良廃棄削減:330社で効果あり
  • 従業員の不平・苦情削減:600社で効果あり

この手法が、1950年に日本に導入され日本の製造業の発展に大いに貢献しました。

トヨタでもTWIが導入されており、トヨタ生産システムを支える基本となっています。

品質や生産性のバラツキは、作業者のバラツキによります。
作業者のバラツキが、作業のバラツキを生むからです。
その作業のバラツキは、作業指導のバラつきにより発生します。
作業指導がバラつかない様に、教え方を標準化するのがTWI-JI(仕事の教え方)という手法です。
現場監督者が、TWI-JIをマスターすれば、作業員に対する作業訓練を標準化することが出来ます。

弊社は、定例で現場一線の監督者に対しTWI-JIの公開研修を実施しています。
日本産業訓練協会の公認トレーナが、2日間で御社の監督者にTWI-JI仕事の教え方の技能を伝授します。

■□ TWI-JI公開研修 □■

テーマ:監督者研修「TWI-JI 仕事の教え方」
対象:作業員に作業訓練・指導をする監督者
講師:TWI-JI公認トレーナ 向三元
日時:二日間 9:00〜16:00(開催日は下記参照)
場所:東莞市南城区莞太路南城段27号供销社商務大廈502室 弊社オフィス
募集人数:8人
料金:2,400元/人
  (研修費、テキスト代、昼食、発票が含まれます)

【2022年TWI-JI公開研修開催日程】

【2022年】
第二十七回:4月19、20日(終了)
第二十八回:調整中
第二十九回:調整中

お問い合わせ・お申し込み

教え方の教え方

 製造業に限らず、どのような業種であっても新人社員に仕事を教えなければならない。新人社員ばかりではない。社内異動をした従業員も同様だ。市場の変化を考えると、仕事を教える機会はますます増えて来るだろう。

第一線の監督職にとって仕事を教える能力は、非常に重要なスキルだ。
しかし、現場の班長・組長にその様な教育をしている企業は多くはない。
以前生産委託をしていた工場では、班長・組長への教育訓練を真っ先にした。研修後、彼らから貰ったアンケートの中に、今までこういう研修を受けた事が無かった、と言う感想がいくつも有った。
最近は、班長・組長への研修指導を依頼される事が増えて来ている。単発のご依頼では難しいが、長期でお手伝いしている工場では、班長・組長研修の講師を育成するところまでやっている。

この様な指導は、教える人の能力に依存してしまうと考えていた。
つまり「教える」と言う技能は、個人的なスキルに依存するアートだと感じていたのだ。しかし日本産業訓練協会のTWIーJIの内容を詳しく知り、相当なレベルまで、教える技能を教える事が出来ると確信している。

私たちが育成しなければならないのは、福島正伸の様なカリスマセミナー講師ではない。作業員に正確に作業方法を教えられる監督者だ。

例えば、公認トレーナー(監督職に教え方を教える人)は、この言葉を黒板に板書する、この文章は1字1句同じに言う、ここは現場に合わせてアレンジ、といった具合に指導方法まで、研修で叩き込まれる。

現場の監督者は、教え方の台本にそって教えれば良いのだ。
この様な教え方であれば、監督者のレベルのバラツキを気にする必要はない。

以前生産委託先工場で、掲示板に「私は注意して作業します」と何度も何度も書いたA4紙が貼り出されているのを見たことがある。聞けば、何度注意してもミスが減らない作業者が、班長に言われて書いた物だと言う。この班長はどう作業者を指導して良いか分からずに、子供の頃漢字を書き間違えると、教師に何度も同じ漢字を書かされた事を思い出して、作業員の指導をしたのだろう。
漢字ならば何度も書けば、次から間違わないだろう。しかし作業ミスに対し、「注意します」と何度書いても改善は期待出来ない。
この紙を見た時に、何も教えてもらっていない班長が不憫に思えた。

作業のバラツキが無くなれば、品質、生産、コストのバラツキは無くなる。
そのためには、教え方のバラツキをなくせば良いのだ。

TWI-JIについてはこちらもご参照ください。

禅脳思考

 タイトル「禅脳思考」は全脳思考(ホール・ブレイン)の誤変換ではない。心理学者チクセントミハイの「フロー理論」を辻秀一氏が発展させたのが禅脳思考だ。
人が熱中している状態を「フロー」と言い、最もパフォーマンスが高くなる。
これを応用して、スポーツ選手や企業人のパフォーマンスを上げる仕事をしておられるのが辻先生だ。

独立以来、どのようにしたら中国人従業員のモチベーションを上げられるかを考え続けて来た。2013年に広東省の人事関係のフォーラムに参加した。その時一人の講師がフロー理論の講演をした。中国でも人のパフォーマンスを上げるためにフロー理論を応用しようと考えている人が居るのを知り、椅子から転げ落ちる程驚いた。中国国内にもフロー理論に関する学会が有ると言う。
ネットで検索し、辻先生の「フロー・カンパニー」と言う書籍を知り、即注文した。

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書籍名:フロー・カンパニー
著者:辻秀一
出版社:ビジネス社

その辻先生が香港和僑会で講演されると聞き、香港まで出かけて来た。
講演のあとも、ずっと辻先生のお話を聞き、気が付いたら10時を回っていた。
多くの啓発を受けた。

人間の脳は、五感を通して得た情報を認知する機能が有る。これは人間が生存するために必須の機能だ。例えばライオンと出会ったら危険だと認知し逃げると言う行動を起こす。

認知脳はあらゆる事に意味付けをしようとする。
例えば、朝起きた時に雨が降っていると「雨かぁ。サイテー」と考える。本来雨そのものには、サイテーと言う意味はない。今までの経験から、認知脳がサイテーと判断する。出社途上の満員電車で、塗れた傘を押し付けられズボンが濡れる。ここでも認知脳は「サイテー」と認知する。会社に到着して苦手なボスと最初に遭ってしまった。自分のデスクについた頃はサイテーのどん底となる。この様な心理状態で最高の仕事ができるはずはない。

自分の心が外界の事象や人に支配されることにより、左右されてしまう。その結果、自分のパフォーマンスが落ちてしまう。自分の心を自分でコントロールすることが出来れば、より自由となりパフォーマンスを上げられる。

一般的には「ポジティブ・シンキング」と言う方法で解決しようとする。
「雨が降れば緑が奇麗になり気持ちがよい」「イヤな上司もいい所がある」と言い聞かせる訳だ。こういう考え方をしている人は多いだろう。しかし言ってみれば、自分の心を騙すことになる。これでは疲れてしまう。

自分の心が認知脳に捕われず、揺らがない状態にするために、ライフスキル脳を鍛えよう、と言うのが禅脳思考の考え方だ。

例えば、タイガー・ウッズは、マッチプレーで相手のパットが入れば負けると言う場面で、相手がパットを打つ時に「入れ!」と念じるそうだ。相手を応援する行為は、心をフローにする。念じたからと言って、相手のパットが入るはずはない。相手のパットが外れた時に、自分の心がフローになっていれば、必ず自分のパットが入り逆転出来ると知っているから、そう念じるのだそうだ。

普通のゴルファーは、前のホールで3パットしてしまった事に捕われ、次のホールでドライバーがスライスしOBとなる。これは心がフローになっていないからだ。禅脳思考体得者は、一瞬にして心をリセットし、今この瞬間に集中することができる。

認知脳が重要と判断しているにも関わらず、実行に移せない。上手くやろうと緊張するあまり、失敗してしまう。こういう状況は心がフローになっていないために発生する。心の状態をコントロールするライフスキル脳力と認知脳のバランスが取れている状態を作り出す事が重要だ。

中小企業が、技術や資本だけで競争優位に立つ事は難しい。あなたの会社をフロー・カンパニーとすれば、従業員のパフォーマンスを上げ、業績を上げる事が出来るはずだ。

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