月別アーカイブ: 2015年8月

内発的動機付け

 動機付けとは、行動を起こさせ、目標に向って行動を維持・調整する城能だ。
動機付けが上手く行けば、人は行動を起こし、目標を達成する為に努力を継続することになる。経営者にとって従業員の動機付けにより行動意欲を高めることは、業種業界を問わず共通の課題だ。

動機付けには、外発的動機付けと内発的動機付けがある。
外発的動機付けは、義務、賞罰、強制などの外部から与えられる動機付け。
内発的動機付けは、好奇心、関心など自己内部から発生する動機付けだ。

例えば読書と言う行動を考えてみよう。夏休みの課題で本を読むのは、外発的動機付け。知的好奇心を満足させる又は小説が面白くて本を読むのは、内発的動機付けと言える。

外発的動機付けだけで、読書と言う習慣を付けることは難しい。初めは外発的動機付けであっても、読書の楽しさを知れば、読書習慣は身に付く。

例えば、卵に外部から力を与え殻を破れば、それは死を意味する。
しかし、卵の内部から力をかけて殻を破れば、誕生だ。

命令、依頼、相談、暗示、招集の順に外発的動機付けが強い、逆に命令→招集に行く程内発的動機付けが強まる。報酬も外発的動機付けだ。
命令は服従を要求する。依頼、相談は説得により納得を得る方法だ。
では、暗示、招集はどう考えたら良いか?つまり自分自身で内発的動機付けを起こさせる方法はあるのか?

「5Sをやれ!」とハッパをかけるのは命令型外発的動機付け。
「5Sをやって欲しい」「5Sをやろうと思うけど協力してくれるか?」と依頼、相談するのは説得・納得型外発的動機付け。
「職場の環境を良くするには5Sと言う方法が良いらしい」と言う暗示、「職場環境を良くするアイディアを出してくれ」と言う招集が、内発的動機付けを起こす。

この内発的動機付けを発生させるにはどうしたら良いか?
子供が図鑑を夢中になってみる。TVゲームを夢中になってやる。
これらは知的好奇心を満足させたい。ゲームに設定された課題をクリアしたい、と言う内発的動機付けが機能している。

同じことを5Sでもやれば良いのだ。
ゲームと5Sでは、子供と大人、遊びと仕事と状況が違っている。しかし共通項を探せば上手く行くはずだ。

私の仮説は「ストーリィ」だ。

子供は図鑑でトリケラトプスの絵を見て夢中になるのは、原始時代ストーリィを疑似体験しているからだ。ゲームも困難を乗り越えると言うストーリィが設定されている。

同様に5Sがきちんと出来ると、自分たちの職場環境はどうなるのか?自分はどのように成長するのか?こういうストーリィが明確になっていれば、理想状態を疑似体験することができる。

これを「物語型内発的動機付け」と名付けてみた。

5S理想状態を実現している工場を見学することは、映画を見る様に「物語型内発動機付け」を刺激することになる。
先週土曜日は、工場見学・交流会を開催した。参加された経営者、経営幹部の方々の物語型内発的動機付けを高めることが出来たと思っている。


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正帰還

 私は若い頃電子工学を勉強した。電子回路の授業で「負帰還」「正帰還」と言う概念を習った。
負帰還(ネガティブ・フィードバック)により出力をコントロールする。
帰還回路の中で位相遷移が有ると正帰還(ポジティブ・フィードバック)となり発振する。と習った。電子回路実習の実験などはオペ・アンプが発振すると期待する結果が得られない。発振を停めるためフェライトビーズをフィードバックループの中に入れて、位相調整をしたものだ。
「発振」は実験を阻害する物であり、正帰還がかからない様にする事が重要だった。

以前のコラムでご紹介したジートライでは、積極的に正帰還を取り入れている。
通常紀律の効いた組織を運営するのに、負帰還が多用される。
つまり好ましくない行動や事象を組織にフィードバックすることにより、組織の紀律を保つ、と言うのが負帰還だ。
一方、ジートライで行われている、顧客の良い反応を組織に伝えるのは正帰還となる。組織は発振する。つまり好ましい行動や事象を組織にフィードバックすることにより、組織が自らその行動や事象を強化しようとする状態が「発振」している状態だ。この様な状態を「ノリの良い組織」という。

例えばディズニーランドでは、朝礼で顧客から寄せられた感動・感謝の手紙が共有される。アルバイト職員の感動事例が共有される様になっている。
朝礼に参加している者は、「よし。自分も!」となる訳だ。
これが発振している状態だ。そして組織を発振させる仕組みが正帰還だ。

正帰還により「ノリの良い組織」となる。ノリが良いと言うのは、テンションが高い状態だ。この状態でしっかりと目的・目標が組織内で共有出来ていれば、テンションは目的・目的達成のモチベーションとなる。

あなたの会社には、組織を発振させる仕組みが有りますか?

こちらの書籍もご参考にされていただきたい。
「伸び続ける会社の『ノリ』の法則」遠藤功著

本書のキャッチコピー

「職場のみんなのやる気に火をつけ、盛り上がり、稼ぎまくる会社に生まれ変わるためには、「ノリづくり」が大切です。本書では、そんなノリを高めるための具体的な方法をお伝えします。」

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