月別アーカイブ: 2011年6月

未然防止

失敗学
書籍名:失敗の予防学―人は、なぜ“同じ間違い”を繰り返すのか
著者:中尾 政之
出版社: 三笠書房



著者の中尾政之氏は元々エンジニアだった人で,今は東大工学部の教授である.
「失敗学」で有名.多くの著書を執筆されている.

失敗から予防保全につなげないと,毎回同じような失敗ばかりしていることになる.良く失敗は授業料だと思えば良いというが,授業料だけ払っていてはいけない.
他人が支払った授業料で予防保全ができれば大変お得である.

これを未然防止と言っている.つまり他所の失敗事例に基づいて予防保全をすれば,自分たちにとっては未だ経験したことがない失敗を,未然に防止できるからだ.

同じ現象を見てもそこから改善のヒントや,そこにある失敗のリスクを見分ける事が出来る人と,できない人がある.
この能力は天性の能力ではなく,訓練で身につく能力だと思っている.

書物からも勉強できるがこの手の能力は実践訓練が一番身につきやすい.
そんな訳で,私はメールマガジンに毎回新聞報道から失敗事例と,失敗の未然防止について書き続けている.一種のケーススタディだ.

そのメールマガジンは,毎週月曜日朝に配信している.「中国生産現場から品質改善・経営革新」という.ご興味がある方は是非配信を受け取っていただきたい.

失敗の予防学―人は、なぜ“同じ間違い”を繰り返すのか

究極のモノづくり

モノ造りの時代
書籍名:ものづくりの時代―町工場の挑戦
著者:小関 智弘
出版社:日本放送出版協会


伊勢神宮の建て替えに使われた和釘は,木材の中に節があってもそれをよけて中に進むそうである.その秘訣は,のの字型をした釘の頭,鉄の鍛え方にある.
こういう和釘が1300年も前から使われている.

こういう和釘は「究極のモノ」と言っても差し支えはないだろう.

私の考えている「究極のモノ造り」は,こういう技術を代々1300年も伝えるということだ.

実はこの和釘を作ってきた伊勢の船大工は,伊勢湾での漁業の衰退と共に,途絶えてしまっている.
現代にこの和釘を蘇らせたのは,新潟・三条の鍛冶屋さんだ.
彼らは「三条鍛冶道場」を作ってこのモノ造りの技術を次の1000年後に伝えようとしている.

この和釘のように古い日本のモノ造りの技術を代々伝えて行くのも「究極のモノ造り」と言えるだろう.
伊勢神宮は20年に一度遷宮により建て替えられている.
世界の遺跡が,建物そのモノを残しているのに対し,日本の遺跡はその建造物のココロや技術を継承しているといえるだろう.

たかが釘,設計技術的にはローテクかもしれないが,モノ造り技術的にはハイテクだ.
こういう技術こそ,日本国内で守ってゆかなければならない技術だと思う.

ものづくりの時代 町工場の挑戦

アマゾンで見ると,この本は既に絶版になっているようです.
このような素晴らしい本がすぐに絶版になってしまうのは大変悲しいものです.

しかし古本が1円から出品されているので,まだ救いはありますね.

町工場・スーパーなものづくり

同じ著者・小関氏による,中小企業モノ造りの書籍

鉄、千年のいのち 

著者の白鷹氏は法隆寺の建て直しの時に和釘を造られました.

説得力

ほめ方のルール
書籍名:あたりまえだけどなかなかできない ほめ方のルール
著者:谷口 祥子
出版社:明日香出版社



部下に仕事をしてもらう時に仕事の指示を与えなくてはならない.
指示に従って部下に仕事をさせるためには,指導者・リーダの説得力が必要だ.
命令を与え,それに従わなければ罰則を与える.いわゆる「命令・服従型」の組織を作り上げれば,説得力は特に必要ではないかも知れない.

しかしこの様な「命令・服従型」の組織では,個人がやる気を出して働く,働く喜びを知る,ということは難しいだろう.

個人がやる気を出す,働く喜びを知るためには「説得・納得型」の組織でなくてはならない.そのためには指導者・リーダが説得力を持ち,部下を納得させる力を持っている必要がある.

もちろん時には「命令・服従型」を使わなければならない局面もある.
例えば火災が発生している現場で,消火活動の意義を納得させたり,人命や財産の尊さを説いていたのでは間に合わない.「火を消せ!」と命令し従ってもらわなければならない.

しかしここで賢明な読者はすでにお気づきと思うが,火災という非常事態で危険に直面しながら,「火を消せ!」という命令に従うことが出来るのは,普段から説得と納得が出来ているからだろう.

ではどのようにして説得力を磨くか?
まずはコミュニケーションを通して信頼関係を築き上げる.
そのために普段から「褒める」「叱る」をきちっとしておく必要がある.
「褒める」「叱る」というのは「怒る」のとはまったく違う.「怒り」は合意されない期待から発生する不満の感情発露である.

部下が,こちらが期待する仕事の質に応えられない時に,不満が怒りとして発露する.この感情を部下にぶつけてみても,部下からは反発若しくは萎縮の反応しか帰ってこない.これでは反省・成長に結びつかない.

それに対して「褒める」「叱る」は相手の成長を願ってやることである.
「褒める」「叱る」はルールがあり,コツがある.
手元にある谷口祥子氏の「ほめ方のルール」という本から紹介してみよう.

  • 「叱る」と「怒る」の違いを知ろう
    谷口さんは昔和菓子店でアルバイトをしていたことがある.このとき包装が 上手に出来ず,お客さんから「ごめんね.これは大切な人に贈る物だから, もう一度包み直してくれる?」といわれたそうだ.
    この様に叱られたのならば,アルバイト店員の心にストンと落ちる.
    これが「包みかただへただ!」と怒られたらば,反発心が発生するだけで,反省心は発生しない.
  • 「Iメッセージ」で叱ろう
    「Iメッセージ」というのは自分の感想,思いを伝えるということだ.一方「Youメッセージ」はお前は××だ,と決め付けること.
    叱る時は「お前の態度はなっていない」と言うのではなく「私はお前の態度を不愉快に感じた」と叱ろう,と言うルールだ.

「褒める」「叱る」を通して部下との信頼関係を築く.
そうすれば説得力も上がるはずだ.

あたりまえだけどなかなかできない ほめ方のルール

「コト」造りによる組織活性化

コト造りの力

書籍名:コトづくりのちから
著者:常盤 文克
出版社: 日経BP社



2009年にホンダはF1から撤退した.F1で培った車体設計や駆動制御などの技術を中・大型クラスのハイブリッド車や1000ccクラスの小型ガソリン車、小型ディーゼルエンジンなどの開発に生かすのが目的という.
ホンダファンとしては少し残念な決定だが,これでまた何かやってくれそうな予感がしている.
ホンダは68年にF1を「休戦」,経営リソースをマスキー法対応に絞り込んだ.
その結果米国のビッグ3に先駆けて低公害エンジンCVCCを開発した.

経営リソースを次世代環境対応車に集中することにより,今回もまた新しい地平を切り開いてくれることになるだろう.

「経営戦略とは捨てることである」とドラッガーは言った.
今要らないモノは捨てて明日のために経営リソースを集中する.
5Sの整理の考えかただ.

更にホンダは「祭」によりメンバーのモチベーションアップをするという組織文化がある.
つまり日々の業務「日常」の中に「祭」を持ち込むことによりメンバーの結束力ややる気を高める.
このような企業文化がホンダの中には「楽しい事をやろう」という合言葉で組織に浸透している.

ホンダに勤めている私の後輩は以前ソーラーカー開発プロジェクトに参加し,オーストラリアのレースにも参戦してきた.このようなプロジェクトが起きると,俺もやりたいと手を上げ職場を離れてプロジェクトに参加できる.

このプロジェクトで得られた技術も次世代環境対応車に活かされるのではないだろうか.
基礎研究を「コツコツ」やるのではなく,「祭」に仕立て上げて楽しくやる. 
技術の蓄積だけではなく,こういう企業文化の側面からの効果も大きい.

元花王会長の常盤文克氏は「コトづくりのちから」という著作の中で,「祭」を「コトづくり」と定義している.コトづくりによるモノ造り経営を説いておられる.

  • 刃先の幅が0.005mmで,溝入れが0.03mm間隔で可能という世界一幅の細い超精密切削工具(アライドマテリアル)
  • 一辺が0.3mmの世界最小の真鍮製サイコロ(入曽精密)
  • 厚さ0.05mmのアルミ板に,直径0.008mmの穴を連続45箇所開ける技術(田中製作所)
  • 電子回路を金型とインクジェットシステムで作る技術(クラスターテクノロジー)

これらの会社に共通しているのは,精密加工の切削成型,研磨,溶接などそれぞれの分野で世界一小さい,軽い,細い,薄い,……に挑戦する“コト”をモノ造りの中心におき,職人や技術者を勇気付け,鼓舞していることである

常盤氏の三部作は,経営者,経営幹部必読書だ.

「モノづくりのこころ」

「ヒトづくりのおもみ」

「コトづくりのちから」

ユーザ・エクスペリエンス

おもてなしの経営学

書籍名:おもてなしの経営学 アップルがソニーを超えた理由 (アスキー新書)
著者:中島 聡 (著)
出版社: アスキー

著者の中島聡氏は,初期の月間アスキーに高校生アルバイトとしてプログラムを書いたりしていた伝説の人である.またマイクロソフトでウインドウズのユーザインタフェイスを設計した人としても有名だ.

「ユーザ・エクスペリエンス」という言葉はソフトウェア・ユーザビリティを越えた「使いごごち」のような概念の言葉である.
中島氏はこの言葉に「おもてなし」という日本語を当てている.

ギーク(エンジニア)オタクっぽい本であるが,製品やサービスをどう設計しなければならないか,という観点で読むとモノ造りへのこだわりが見えてくる.

造る側(サービスを提供する側)のこだわりは「床屋の美学」(自己満足の美学)である.ユーザのためのこだわりを持たなければならない.

ビルゲイツのこだわりは市場を取ること,相手に勝つこと.
一方アップルのスティーブジョブスのこだわりはユーザに感動を与えること.
このこだわりがあるからアップルはコンピュータメーカから脱皮できた.

これが「おもてなしの経営学」である.

「おもてなしの経営学 アップルがソニーを越えた理由」

国際競争力の再生

国際競争力の再生
書籍名:国際競争力の再生―Joy of Workから始まるTQMのすすめ
著者名:吉田耕作
出版社名:日科技連出版社



デミング博士の名前は,品質関係の仕事に従事する日本人で知らないものはいないであろう.
デミング博士は,戦後日本の製造業に統計的品質管理を教え,日本のモノ造りの基礎を築いた恩人である.彼の名前を冠したデミング賞は,TQM(トータルクオリティマネジメント)の進歩に功績のあった民間の団体および個人に授与される,日本最高峰の栄誉である.

日本人にとっては恩人とも言える,そのデミング博士は,本国のアメリカでは無名の統計数学を教える大学教授であった.

しかし,1980年にNBCが「If Japan can… Why can’t we?」というドキュメンタリー番組を放送し,モノ造りの日本を育てたのがデミング博士であることに光が当てられた.
その後フォードでの指導を始めとし,1993年に亡くなる直前までの10年余りを全米で講演・指導をして回った.

このコラムでご紹介する「国際競争力の再生」の著者吉田耕作教授は,そのデミング博士と一緒に全米を講演して回っていた方だ.
吉田教授は,日本に帰国後「西東京ラウンドテーブル」というTQMの指導をしておられた.ラウンドテーブルでは,いろいろな企業から参加したQCサークルの活動を指導する.私も自部署のサークルを派遣していたので,PTAとして何度か参加した.

参加しているサークルは製造業ばかりではなく,花屋さんなどもあり,相互に大いに刺激しあう活動であった.

「国際競争力の再生」には吉田教授が,米国におられた頃の指導事例も載っている.日本でのQCC活動は,製造業が中心というイメージが強い.それがTQC(トータルクオリティコントロール)になって製造業の間接部門の活動に広がり,TQMとなり製造業ばかりではなく,サービス業にも広がりを見せた.
しかし本書に出ている米国での活動事例は,政府機関の事例だ.
ヒスパニックの移民の犯罪率の高さに手を焼いた政府が取り組んだ活動である.
日本でもそうした事例はあるが,非常に少数派だろう.

高度成長の元となったデミング博士が日本に根付かせたQCC活動を,あらゆる組織に展開した米国は,あっという間に復活し,日本はその後のバブル崩壊から失われた20年の時代へと向かう.

非常に皮肉な話であるが,私にはQualityを「品質」と訳した時から,定められた運命のように思える.

つまりモノの質という連想をさせる「品質」という言葉により,クオリティマネジメントは製造業の仕事と勘違いしたのが間違いの元だった.

一方Qualityという言葉に「モノ」という概念は含まれておらず,米国では製造業ばかりではなく,行政,金融までもがクオリティマネジメントに取り組み,再び強いアメリカを実現させたのだ.

国際競争力の再生―Joy of Workから始まるTQMのすすめ
 

吉田教授が提唱するJoy of Workが,日本の未来の鍵ではないかと考えている.
仕事を楽しめない大人たちの姿を見て育った子供たちが,サラリーマンにはなりたくないと考える.その結果日本には,フリーターやパラサイトと呼ばれる若者があふれている.
彼らに仕事に対する夢や希望がなければ,日本の未来もない.
若者や子供たちの夢や希望が,未来そのものだ.

従業員が苦役として仕事をさせられるのではなく,仕事を工夫し効率を上げ楽に仕事をする.そして仕事を通じて達成感を味わう.そうした従業員の人間性を尊重した活動がTQMである.
Joy of Workを合言葉に,イキイキと会社に出かける大人であることが,子供たちに夢と希望を持たせることになるはずである.

ISO規格

ISO

  • ISO9001 品質マネジメントの国際規格
  • ISO9004(JIS Q 9004)品質マネジメントシステム解説と活用ガイド
  • ISO19011 品質及び/または環境マネジメントシステム監査のための指針
  • ISO/TS16949品質マネジメントシステム

ISO9001などの規格文書を原文(英語)と和訳を見開きに載せています.
以前の勤務先では,英語圏のお客様が多かったので,お客様監査の対応時にこういう書籍が重宝しました.しかも新書版なので,携帯にも便利です.海外の生産委託先に出かけるときは,必ず鞄に入れていました.

ISO9001 品質マネジメントの国際規格
ISO9001:2008の原文と和訳が出ています.巻末のISO9000「品質マネジメントシステム-基本及び用語(抜粋)」も非常に役立ちます.

ISO9004:2009(JIS Q 9004:2010)解説と活用ガイド―持続的成功のための品質アプローチ
なかなかISO9001の効果があがらない,物足りない…自社のQMS(品質マネジメントシステム)の強化を図りたい…いかなる状況下においても持続的成功を実現したい…ISO9004はそれらをかなえる一策.ISO9004の大幅改正で何がどう変わったのか?どのように活用すればよいのか?規格開発に参画した専門家が徹底解説.

私が持っているのは,2004年版です.ISO9004は日本の委員の貢献が多いと聞いています.ISO9001の運用をどうすべきか,参考になるはずです.

対訳ISO19011 品質及び/または環境マネジメントシステム監査のための指針
内部監査や仕入先の監査を実施する時に参考になります.私はが英語圏のお客様が多かったので,監査を受ける際もよく参照していました.

対訳ISO/TS16949〈2009〉品質マネジメントシステム―自動車生産及び関連サービス部品組織のISO9001:2008適用に関する固有要求事項 ポケット版
自動車産業及び関連サービス部品生産のための固有要求事項です.原文(英語)と対訳になっているので,和訳で意味不明なところは原文で確認ができます.私が持っているのは2002年版です.ISO9001が2008年に改訂になっているのにあわせ,TS16949も改訂になっています.

統計的品質管理

統計
本日は,統計的品質管理,SPC,統計的工程管理といわれる方法の教科書をご紹介します.

ある台湾資本の中国工場では,私がお手伝いを始めた時には統計的品質管理を有効に活用していませんでした.
ISOやお客様の工場監査で「統計的手法」を聞かれるものだから苦し紛れに取り繕っているだけ.

その工場では半田槽の温度管理に「エックスバー・アール管理図」を使っていました.
しかし管理図が現場に掲示してあるだけで,有効な活用はされていませんでした.
大体半田槽の温度は自動制御により0.1℃以下の精度でコントロールされています.しかしその温度を計測しているディジタル温度計は0.1℃の桁までしか表示がありません.
たんに「監査対応」だったわけです.

しかし本来統計的品質管理,統計的工程管理は,我々の大きなよりどころになります.

品質保証,品質管理,生産改善に携わる全ての人は統計数学の基礎をバックグラウンドに持つ必要があるとさえ考えています.

 工程管理図,工程能力指数ばかりではなく,統計的な検定・推定,分散分析による有意性の確認など,広く応用できます.

中国語の良い教科書をまだ見つけられませんが,日本語の本はいくつか推薦できる本があります.

私はこの本をずっと愛用しています.
「技術者のための統計的品質管理入門」(共立出版)

1981年2月10日初版1刷発行.えらく古い本ですが,まだ使えます(笑)

会社の先輩からは日科技連の本を推薦されました.
既に絶版になっているようです.私が持っているのは,1989年4月10日初版第25刷発行です.1977年8月25日に初版第1刷発行なので,12年で25刷されたベストセラーというわけです.たぶんどこかの理工系大学で教科書として使われていたのでしょう.

 同じ著者の本が新版で出ていたので,多分同じ内容だと思います.

「新版 品質管理のための統計的方法入門」(日科技連出版社)

2冊ともタイトルに入門とありますが,本当の入門者にはちょっと骨が折れます.

なぜ「そうじ」をすると人生が変わるのか?


掃除をするとなぜ人生が変わるのか?

書籍名:なぜ「そうじ」をすると人生が変わるのか?
著者:志賀内 泰弘
出版社:ダイヤモンド社



この本,書評を見て是非読みたいと思っていました.日本に帰国した折に大きな書店を何軒か探しましたが,なかなか見つかりません.掃除で人生が変わる
中国に戻る前日,ようやく見つけました.
なんと実用書に分類されていました.隣には「エコで豊かになるヒント」「ひとり暮らしはじめました」と言う生活実用書が並んでいました(笑)
「使い古しのストッキングで蛇口がピカピカ」みたいな,ノウハウ本だと思われたのでしょう.

しかしこの本には,掃除のノウハウではなく,掃除をすることの理念が書いてあります.実用書ではなく,ビジネス書です.
5Sの清掃指導をどうすればよいか分からない方(明日お客様が来るから掃除をしておけ,と言っている方)にお勧めです.
書店でお求めの際は,店員さんにどの棚にあるか聞いた方が良さそうです(笑)

 なぜ「そうじ」をすると人生が変わるのか?

人生がときめく方付けの魔法

かたづけの魔法
書籍名:人生がときめく片づけの魔法
著者:近藤 麻理恵
出版社:サンマーク出版

写真上段の中央当たりでにっこりしているのが,著者の近藤麻理恵さんだ.


整理・整頓のことを「2S」ということが良くある.
普通に言えば「片付け」だ.

最近「人生がときめく方付けの魔法」という本を読んだ.

腰帯でにっこり笑っている著者の近藤真理恵さんは,子供の頃から,主婦向け雑誌の「片付け特集」が大好きだったそうだ.今は「片付けコンサル」というちょっと変わった肩書きで仕事をされている.

主婦向けの雑誌と言えど馬鹿には出来ない.5Sを指導する者にとって,参考になることもある.そんな訳でこの本を手にとって見たが,普通の片付け本とは一線を画す内容となっている.

「大切なのは過去の思い出ではありません.その過去の経験を経て存在している今の私たち自身が一番大切だということを,ひとつの物と向き合うことを通じて,片付けは私たちに教えてくれます」

「空間は過去の自分ではなく,未来の自分のために使うべきだと,私は信じています」

という哲学的考察の上で,整理の意義をといています.

また整頓の方法論も,以下のように示唆します.

「散らかるのは「元に戻せない」から.使う時の手間よりしまう時の手間を省くことを考える」

「散らかった状態が,人の心を蝕む理由は,あるのかないのか分からないのに探さなくてはならず,しかも探しても探しても出てこないことにあるのです」

ただ片付けの方法論を語るのではなく,哲学的な考察を持って片付けの真髄に迫っている.

5S実践のバイブルと言ってしまうとちょっと大げさだが,整理・整頓の意義を見失っている人に5S指導をする際に参考になる内容だ.

無論個人生活の片付けに関しては,間違いなくバイブルと言って良い内容だ.
著者が提唱するのは,片付けの結果得られる「好きなものだけに囲まれて生活する幸せ」だ.

この幸せな状態とは,工場やオフィスではどう言う状態なのか,その答えを見つけるのが今の私の課題だ.

人生がときめく方付けの魔法

書店で探す時は,生活実用書に分類されているので,いつもと違う書棚を探していただきたい(笑)