月別アーカイブ: 2017年4月

品質意識

 昔台湾人経営者から、ISO9001を取得したいので指導して欲しい、と依頼を受けたことがある。ISO9001を取得するだけならば、指導をパッケージ化して低価格で取得サポートしてくれるコンサル企業が有るから、そういう会社を探しなさいとアドバイスした。しかし彼は、ウチが必要なのは「ペーパーISOではありません」とおっしゃった。つまり認証が欲しいだけではなく、ISOを組織運営の基礎にしたいと考えておられた。大変意識の高い方だと感心し、工場を訪問した。経営者より先に、会議室に集まっていた品質部門の幹部と雑談していると、幹部からは「ウチの経営幹部は品質意識が低い」と愚痴を聞かされた。残念ながらこの会社の品質部門の幹部には、組織の品質意識を高めるのは自分の仕事である、と言う意識が低い様だ。

ここで「意識の高い経営者」「品質意識が低い経営幹部」と言う時の「意識」とは一体何を指すのだろうか、考えてみたい。

意識とは「起きている状態にあること」または「自分がおかれている状況を認識出来る状態にある事」と言う定義が有る。つまり覚醒している状態を意識がある、と表現する。昏睡状態に陥っている時は「意識が無い」外界の状況を認識出来る状態を「意識が有る」と言う定義だ。
この定義では「意識が有る・無い」を表すことができるが、冒頭の事例の様に「意識が高い・低い」を表現しようとすると違和感が有る。

あなたはどのように定義されるだろうか?
続きを読む前に、少し考えてみていただきたい。

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常識?非常識?

 先週は、電子製品の組み立て工場を「無料工場診断」で訪問した。
この工場は、ベルトコンベアに作業員が並んで作業をする従来型の生産方式だ。

組み立てラインで全数検査した製品を、全数出荷検査をしておられた。工程内検査と同じ検査をする検査専用ラインに完成品を再投入し、コンベアに着席した検査員が再検査をする。

私は以前、お客様から「抜き取り出荷検査」を要求され断った事がある。
その時の私の常識は、工程内で100%検査している製品をAQLで抜き取り再検査しても無意味と考えていた。しかしお客様の常識は、AQL抜き取りで出荷検査をする、だった。
例えば、生産ラインの検査プログラムが間違っていたり、検査装置が故障しているなどの問題があれば、抜き取り検査で発見出来る。しかし我々の工程は、そのような潜在問題は考慮済みであり、生産開始時と生産終了時に検査設備の始業点検・終業点検をすることにより、問題回避を計っている。
最終的には「目視検査」を別の検査員が別の場所で実施する事の意義を問われ、その代替を説明出来なかったので、抜き取り出荷検査を引き受けた。実は官能検査の確からしさを追求されると答えに窮するので、議論を終わりにした(笑)

ある通信機器メーカは、全数24時間のエージングテストを要求して来た。
電子回路製品で、まともな部品を使っていればエージングでスクリーニング出来る故障モードはほとんどない。エージングによるスクリーニングが有効なのは「電解コンデンサの極性違い」不良だけだ。1時間以内で発見可能なので、24時間のエージングは無意味だ、と説明した。
しかし24時間稼働の彼らの製品の信頼性を保証する一手段として、24時間のエージングは彼らの常識だった。
この時は、エージングで一定ユニットアワーを無不良でクリアしたら、段階的にエージング時間を削減する、と言うプログラムを提案し、最終的には2時間のエージングで了承いただいた。
ちなみにこの製品は、製産開始後エージング中の不良は1件もないばかりか、顧客工程内不良、市場不良も1件も発生せず、我々の工場は伝説の工場になった(笑)

お客様の常識は自分たちの常識と異なっているのが、当たり前だと考えた方が良い。
しかしお客様の常識に合わせる必要はない。
自分たちが生産している製品に関しては、お客様より知識も経験も深いはずだ。
重要な事は、お客様要求の背後にある真の要求を理解する事だ。

前述の100%出荷検査を要求しているお客様も同じだ。

アパレルなどの業界では、検品会社による100%再検査が常識となっている。しかし本来お客様の要求は100%再検査ではないはずだ。真の要求は100%良品納入だ。
要求の背景には、国内での受け入れ検査コストを押さえたい、受け入れロットアウトによる販売機会ロスのリスクをなくしたい、などがあるだろう。
これらの真の要求を満たすことができれば、100%再検査がマストではない。

工場としては100%良品出荷を保証出来ないのであれば、100%再検査もやむを得ない。しかし唯々諾々と100%再検査を続けるのではなく、100%再検査をしなくてよくなる様に努力するのが本来の姿だろう。


このコラムは、2014年5月19日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第362号に掲載した記事を加筆修正したものです。

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ホウレンソウ

 最近、現場リーダクラスの従業員(中国人)に「ホウレンソウ」を教えて欲しいというご要求が多くて、悩んでいる。なぜなら「ホウレンソウ」を教えなければならないのは部下ではなく、教えて欲しいと言っている上司の方だからだ。

以前、このメルマガで「ホウレンソウ」について書かせていただいた。
ホウレンソウ
続・ホウレンソウ

いささか古い本だが、「ホウレンソウ」の創始者といわれる山崎富治氏の「ほうれんそうが会社を強くする」という本を読んでみた。

 既に絶版となっている様だが、アマゾンでは古本が買える。
「ほうれんそうが会社を強くする」

山崎氏は駄洒落が好きと見えて、大変面白い比喩がたくさん出てくる。

読後も私の考えかたは、以前と変わっていない。
部下がホウレンソウ出来ないのは上司の責任である。ホウレンソウは部下がするものではなく、上司がするものである。という考えかただ。

もちろん、報告したり、連絡したり、相談するのは部下だろう。しかし、報告、連絡、相談が行われるようにするのは、上司の仕事だ。「ウチの部下はホウレンソウが出来なくて」と嘆く上司は「自分の指導が足りません」と公言しているのと同じだ。

仕事の指示をして、どのタイミングで報告をしなければならないかきちんとスケジュールに入れておく。どのような状況になったら、連絡や相談をしなければならないか決めておく。
これだけするだけでも、格段に「ホウレンソウ」は良くなるはずだ。

つまり「ホウレンソウ」は上司がするという言い方より、「ホウレンソウ」は上司が仕掛ける、という言い方のほうが分かりやすいかもしれない。

一見手間がかかるように見えるが、仕事を任せる時は、先に手間隙をかけておく方が結果的に楽になる。
また毎回こういう仕事の仕方をしていれば、部下の方から報告のタイミングと、連絡・相談が必要な状況を判断できるようになる。

もう一つ重要なことは、挨拶だ。
挨拶もしない人に相談をするなどありえないと思うが、いかがだろうか。部下があなたに挨拶をしないと嘆いてはいけない。あなたがまず笑顔で挨拶をすればよいのだ。

更にもう一つ。「ホウレンソウ」をしない場合の罰則規定を作る、という意見もあり驚いた。就業規定にこのような条文を入れるべきだという。

欠勤、遅刻、早退及び休暇の連絡等の届出事項、並びにその他職務に関連するすべての事項について、従業員は、ほうれんそう(日常的に行うべき報告、連絡、相談並びにあいさつ、合図等をいう。)を徹底しなければならない。これに違反した場合は、懲戒処分を行うことがある。

日本人的な感覚では、ここまで就業規定に書かなくとも、と考えてしまう。しかし決まりを全て明文化しておく方が、中国人には分かりやすくて良いのかもしれない。


このコラムは、2010年10月18日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第175号に掲載した記事を加筆修正したものです。

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市場を理解する

 友人の紹介で、日本から出張で来られた工具メーカの方のご相談を受けた。
「中国の生の声を聞きたい」と言う曖昧なご要求での面談だった。

この会社は、工場で使用する工具の専業メーカであり、それなりのシェアを持っている。海外販売は、全て商社を経由したチャネル販売だ。中国向けの受注が3月から急増しており、中国で代理販売をしている会社から呼ばれて、展示会に参加する事になった。

社内には、中国市場への展開に反対する幹部も有り、市場実態調査のため出張に来られた。現地代理販売会社からの情報で、シェアトップ企業が中国撤退を決め顧客に撤退を内示をしたため、受注が急増している事が判明した。

中国からアセアン地区への日系企業転出など色々質問を受けた。私にはそんな事は重要ではないと思えた。

彼らには、二つのアドバイスをさし上げた。

一つ目は、エンドユーザの工場に行くこと。
商社に任せきりで、顧客接点を持たないと、顧客情報、市場情報が分からなくなる。

「私の話など聞いている場合ではない。あなた達の知りたい事は全てお客様が知っている」と檄を飛ばした(笑)

二つ目は、修理センターを現地に作る。
修理センターが近くに有れば、顧客は安心して製品を使ってくれる。しかし修理センターを立ち上げる目的はそれだけではない。
どのような不良が返って来るのかを知れば、顧客がどのように使っているのか分かる。修理センターに集まる修理品の声に耳を澄ませる。それが新製品開発や現行品改良のアイディアにつながるはずだ。

商社や代理店にマージンを支払って販売をしてもらっている。余分な販売経費をかけたくない、と言うのは理解出来る。しかし市場や顧客から遠ざかっては、チャンスは見えなくなる。
例えば3月から受注が急増していると言うのは、ビッグチャンスだ。もし現地の情報を事前に知っていれば、増産体制は既に完成しており、業績に結びついているはずだ。
チャンスを業績に変えるためには準備が必要となる。そのためには顧客・市場を知らなくては行けない。

経営・営業も「現場主義」が重要だ。会議室で商社や代理店の注文台数を検討するよりも、顧客の所に話を聞きに行く。
研究開発も同様だ。頭の中であれこれ新商品を考えるよりは、顧客工場や修理センターに行く。
そこには新製品のアイディアが多くあるはずだ。

投資が不可能ならば、方法を考えれば良い。
お客様の所に行くのが目的ではない。お客様の情報が集まれば良い。
修理センターを作るのが目的ではない。現地修理でお客様に喜ばれ、故障情報が集まれば良い。
本来の目的を達成するためにどうすれば良いか考える。


このコラムは、2014年6月23日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第367号に掲載した記事を加筆修正したものです。

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【中国生産現場から品質改善・経営革新】

雇用の未来

 『電脳化』によって今後20年で74%の仕事は自動化される、という衝撃的な研究結果があるそうだ。

工場労働者の大部分の仕事は、既にロボットによって代替え可能だ。

自動運転技術の完成度は相当高いレベルになっていると言う。高速道路を先行車に追従するくらいならば既に自動運転が実用可能のレベルらしい。この様な技術により、運転手という職業は無くなる。

既にアマゾンが実証試験をしているドローンによる宅配が一般化すれば宅配業という仕事に関与する人の大半は職を失う。

この様な「ガテン系」の職種ばかりではない。
AI(人工智能)技術の進歩により、株式・為替取引,投資・融資等の金融業界の職業もなくなる。

人との関わりが大きな比重を占めるサービス業も、同様な方法で計算機化が可能だ。ビッグデータから得た会話データを顧客に投げ、表情を分析する。表情分析で得られた情報、相手の応答をフィードバックして次の会話を選択すれば、KYな(雰囲気を読めない)人間よりよほどスムーズな会話をする事が出来るだろう。
バーテンダーの仕事が計算機化される確率は77%だそうだ。

ではコンピュータにそのようなアルゴリズムをプログラミングする職業は残るか?しかしコンピュータエンジニアも楽観は出来ない。
AI技術の一つのキモが、ディープラーニングだ。膨大なデータから自動学習し、得たい結果と原因の相関を一瞬に計算し、望ましい答えを出す。
従ってアルゴリズムを見つけ出すのも計算機化されてしまう。

私の様なコンサルタントの仕事もなくなるだろう。
では人は何をして暮らして行けばいいのだろう。する事が無くなれば、多分人類は退化し滅びるだろう。そしてコンピュータだけが残り,既に滅んだ人類にサービスする目的で世界を制御し続ける。

まるでSFの世界だ。
60年後の私は、コンピュータ支配と戦う革命戦士か、コンピュータにサービスを提供する服務員だろう(笑)


このコラムは、2016年12月5日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第505号に掲載した記事を加筆修正したものです。

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仕事の教え方

 指導先の工場は生産量が倍増し、作業員を大量に増員している。その結果、作業効率が大幅に低下する。工程内不良が激増する。という結果を招いている。製造担当の副総経理は、安定するまでに2週間はかかる、と諦め顔だ。

人がばらつけば、効率も品質もばらつく。作業手順を標準化しても、作業指導の手順を標準化してなければ、上記の様な結果となる。作業指導手順を標準化し、誰が指導しても、誰に指導しても、いつ教えても、同じ指導効果が得られる様にする。これがTWI-JI(企業内訓練・作業の教え方)の考え方だ。

通常作業指導法の研修には10時間かけている。指導人数も8人を超えない様にして、研修の効果を保証する様にしている。今回は顧客副総経理の希望により、2時間で50名弱の職場管理職、監督職に導入研修をした。初めてやる作業を、『教三連四』(三回教え、四回練習させる)を実演してみせた。仕上がりだけ見ても、どのような作業をすれば良いのか分からない。しかし『教三連四』の結果正確に、かつ同じ効率で作業出来る様になった。

本格的に導入するためには、更に多くの課題を実習し実践練習する必要があるが、作業員を直接指導している現場の監督者達、その上の管理職に学習意欲を持ってもらう事が出来た。

当初中途半端な指導をしても効果はないだろうと懐疑的であったが、対象者の学習意欲を高めると言う点で成果があったと考えている。
無理難題を克服し、成果を上げた助手を褒めてやりたい。


このコラムは、2016年10月31日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第500号に掲載した記事を加筆修正したものです。

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Z理論

 ダグラス・マクレガーの「X理論、Y理論」は、このメルマガ読者様ならご存知だろう。
大雑把に言うと、
人は本来怠け者であり、厳格に管理をしなければ働かないというのがX理論。
人は本来勤勉であり、自発的に創造性を発揮して働くというのがY理論だ。
マクレガーのX理論、Y理論を改めて調べていたら、Z理論と言うのも有るそうだ。恥ずかしながら知らなかった(苦笑)

マクレガーはY型理論に従って数々の実験をし成果を出している。
有名なのは、P&Gのジョージア工場での実験だ。少人数のチームに裁量を与え、自由に仕事をさせてみたら、他の工場の1.3倍のパフォーマンスを発揮した。P&Gではこの実験で得られた知見を、ノウハウとして社内で秘匿し続けていたそうだ。

同様な事例は日本にもある。お茶漬けノリで有名な永谷園では「ぶらぶら社員」と言う制度が有るそうだ。ヒット商品「マーボ春雨」を開発した社員は、社長から2年間「ぶらぶら社員」に指名されたそうだ。2年間出社の必要はなく、必要な経費は使い放題。報告も不要だそうだ。2年間世界をグルメ放浪した後、「マーボ春雨」の着想を得て、開発をした。

しかしY理論が通用しない事例もいくつかある。
そこでマクレガーはZ理論を考え始めた。残念ながらマクレガーはZ理論の完成を待たずに亡くなってしまっが、後進によりZ理論は完成している。

Z理論とは、
個性よりは集団主義を求める。
急激な変革よりは安定を求める。
終身雇用。
従業員への職場内外での配慮。
コンセンサスによる決定。
品質第一を重んじる。
と言う特徴が有るそうだ。

この特徴をじっと考えてみて気がついた。これは日本に昔から有った「日本的経営」そのものだ。

バブル崩壊以降、日本の経営者は自信をなくし米国の成果第一主義の経営に飛びついた。その結果は「失われた20年」と呼ばれている。
私たちは自信を持って「日本的経営」を進めて行けば良いのだと考えている。


このコラムは、2016年3月14日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第467号に掲載した記事です。

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目標と目的

 東莞で工場を経営している友人とゆっくり話をした。私と一対一ではなく、彼が若い経営者に経験を語っているのを横から聞かせて貰って居た。彼は定年を過ぎ、今年新任の総経理が着任し、日本に帰任することになった。彼が中国に赴任してから10年間で、当初7社しかなかった顧客が330社にまで拡大した。売り上げは直近4年間で2.5倍にしている。彼の10年間の工場経営の経験を話してくれた。

会社を立ち上げてすぐの頃は、目標を達成する事を一生懸命やって来た。
毎年年度目標を達成し、工場は順調に業績を上げていた。しかし5年目位に、スランプがやって来た。目標は達成しているのに、心が空しいのだと言う。
その時彼が気がついたのは、目標ばかり追いかけているから空しくなる。会社を経営する目的が必要だと考えたそうだ。以来彼は自分の工場を学校、自分自身は校長と考えている。

彼が考えた目的は、経営を通して人を育てる事だ。
出稼ぎの作業員の多くは3年で辞めて行く。それでもかまわない、彼らは義務教育を終えて「卒業」して行く。高校、大学と進学するために別の会社に行くもよし、故郷に帰るもよしと言う訳だ。勿論更に学ぶために自社に残るもよしだ。

経営の神様・松下幸之助は、創業間もない頃、従業員に「松下電器は何を作っているか」と聞かれたら、こう答える様に教えていた。

「松下電器は人を作っています。あわせて電器製品も作っています」
「心に響く名経営者の言葉」より

毎年の売り上げ、利益は目標。人を育てると言う事が、目的だ。目的を持つ事で、ぶれない経営が出来る。数字だけ追いかけると迷いが出る。

このところ企業の不祥事が良くニュースになる。企業の軸となる目的、経営理念がぶれてしまうから利益を追求し、期限切れの食材を使ったり、食材を偽ったりすることになる。自らの経営目的に誇りを持ち、従業員と共有していれば、そのような不祥事は発生しないはずだ。


このコラムは、2014年3月10日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第352号に掲載した記事に加筆したものです。

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モグラ叩き問題

 モグラ叩き問題と言うのは、ゲームセンターにあるモグラ叩きゲームを思い起こしていただきたい。穴から顔を出すモグラを叩くゲームだ。穴から顔を出すモグラと同様に、同類の問題がしばしば発生し、その都度に問題解決をしなければならない問題のことを言う。

本日はなぜモグラ叩き問題が解決できないのかを考えてみたい。

当然モグラ叩き問題が発生している現場ごとに、事情は違うだろう。しかしいささか乱暴だが一言で言ってしまえば「現象として現れる問題にとらわれ、その原因にアプローチしていないから、問題は手を替え品を替えて現れる」と言うことだ。

「人為ミス」による問題に関してしばしばこのメルマガで取り上げている。
人為ミスは「現象として現れる問題」であり「原因」ではない。「人為ミス」と言う言葉を使って再発防止対策を検討している限り、モグラ叩きは続く。

例えば電子部品を搭載したプリント基板を筐体にねじ止めする場合を考えてみよう。プリント基板に実装されたトランジスタなどの発熱部品を放熱のため筐体に密着される様にねじ止め固定する。
このような構造の電子製品は、市場に出てから一定比率で故障が発生する。
プリント基板、筐体のねじ位置の誤差、プリント基板に実装した部品の位置誤差により、発熱部品のリード半田付け点に応力がかかり続けることになる。時間とともに半田フィレットに亀裂が入り、最終的には非導通となり故障する。リード部分に高電圧がかかっていると、亀裂の隙間で放電し発煙出火の危険すらある。

このような故障は、ハンダ割れが発生→半田フィレットに応力がかかっていた→筐体への固定により応力がかかる。と言う具合に問題から原因にフォーカスし対策を検討する。対策としては取り付け方法の設計変更が有効だ。既出荷品や対策完了前の生産には、プリント基板固定後再半田をし、半田フィレットの応力を解放すると言う対策を考えることが出来る。

このように原因にアプローチすれば、問題根絶の対策を考えることが出来る。
しかし問題の原因解析を人為ミスで終わりにしてしまえば、作業員の再教育、作業員の固定、などと言う対策しか出て来ず、人が替わればまた問題が発生する。
人為ミスと言う「現象」にとらわれている限り「原因」にアプローチ出来ない。


このコラムは、2016年2月29日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第465号に掲載した記事に加筆したものです。

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TWI導入サポート

標準作業要領は決まっているが、標準作業指導法は決まっていない。
設備には取扱説明書があるが、個々の作業者には取扱説明書はない。
そのような現場で、監督職は毎日生産目標、品質目標を達成するよう仕事をしています。

ロボットや設備は、同じ操作をすれば同じ結果が返ってきます。
しかし人間には複雑な感情があるがゆえに、同じやり方で同じ結果は得られるとは限りません。

工程を細分化し、単純作業を人海戦術で行うモノ造りをしていた頃と比較すると、現場監督職に要求される能力は格段にレベルアップしています。

日本では、終戦後米国から導入されたTWI(企業内訓練)により、製造現場の監督職のレベルアップを図ってきました。それが戦後の焼け野原から、「モノ造りニッポン」と呼ばれるまでに成長する原動力だったと言ってよいでしょう。

TWI-JI(仕事の教え方)を導入することにより、作業者への指導方法が標準化し、誰が教えても、誰に教えても、いつ教えても同じ結果が得られるようになります。その結果作業のバラツキを抑え、品質、生産性のばらつきを抑えることができます。

TWI-JR(人の扱い方)を導入することにより、職場の人間関係が改善し、コミュニケーションが活発となり、職場環境が改善され、従業員のモチベーションが上がります。

弊社では、2015年よりTWI導入支援のサービスをご提供しています。
日本産業訓練協会の公認トレーナー(中国人)が、直接御社の中国人監督職にTWIの訓練をします。また中国の生産現場指導歴20年の現場改善コンサル(日本人)も生産現場でアドバイスを差し上げます。

  • TWI導入キックオフ
  • TWI-JI/TWI-JR10時間研修:2日間に分けて実施
  • TWI-JI現場指導:1日
  • フォロー:オンラインサポート(半年)

各社のTWI導入の成果発表会を開催します。
他社との交流で、推進メンバーのモチベーションアップを目的にしています。

第一期、第二期のTWI導入サポート企業様の成果発表会
第一回TWI成果発表交流会
第二回TWI成果発表交流会
成果発表交流会では、既にTWIを導入し成果を上げている先輩企業様、同時期にTWIを導入した仲間の企業様との交流で、TWI推進者のモチベーションが大いに盛り上がりました。
弊社のTWIサポート企業様は、交流会メンバーとして今後開催するTWI成果発表交流会にもご参加いただいています。

TWI導入サポートは、TWI-JI(仕事の教え方)コースとTWI-JR(人の扱い方)コースの2プログラムが有ります。

indexTWI導入サポート TWI-JIコース

  • 新人の作業ミスによる不良問題がしばしば発生する。
  • 新人をラインに投入すると、生産量が下がってしまう
  • 作業員の流動性が高く、新人の教育訓練の効率を上げたい。
  • 多能工育成が課題になっている。
  • 優秀な現場ライン長が離職すると生産が混乱してしまう。

このような問題や課題をお持ちの企業様に、TWI-JIの導入を提案いたします。
TWIとは(Training Within Industry)の略で、現場リーダの作業指導能力を高めるためのシステム的なアプローチの事を指します。
日本では戦後間もなく導入され、日本産業訓練協会が中心となり日本全国で指導をしています。弊社の日本産業訓練協会認定トレーナーが御社のTWI導入のお手伝いをさせていただきます。

TWI-JIについてはこちらもご参考にしてください。
「TWI-JI」仕事の教え方

詳細の日程は以下の通りです。

  • 1日目(半日):弊社会議室(東莞市莞城区)
     TWIの歴史
     TWI導入の意義
     TWI導入の目的
     TWI導入成功のために考えるべき事
     TWI-JI/TWI-JRの具体的内容
     導入先行企業の事例

    対象:経営者様
  • 2日目(全日):お客様工場
     TWIの沿革と紹介
     監督者の意味と必要な五つ条件
     不完全と正確の指導方法
     四段階法
      受講者実例の演習
     作業分解の学習
      受講者実例の演習
     一日のまとめ

    対象:作業員を直接指導する現場監督者
  • 3日目(全日):お客様工場
     2日目内容の復習
     訓練予定表の学習
      受講者実例の演習
     受講者実例の演習
      受講者指導方法の演習
     特殊な指導方法
     摘要と結論、受講者の感想

    対象:作業員を直接指導する現場監督者
  • 4日目(全日):お客様工場
     監督者研修のフォロー
     現場指導(課題の抽出)

    対象:現場監督者
       管理職、経営者様のご参観を推奨
  • フォロー:オンラインサポート(半年)
  • 2018年12月(予定):TWI成果発表交流会
    (東莞にて開催します)

お問い合わせ、お申し込みは下のフォームからお願いいたします。
[contact-form-7 id=”1599″ title=”TWI導入サポート企業募集”]

送信後に「TWI導入サポート」と言う件名のメールが自動送信されます。万が一届かない場合は、迷惑メールフォルダーに入っていないか、登録したメールアドレスが正しいかご確認をお願いいたします。

indexTWI導入サポート JRコース

現場では日々以下の様な問題が発生しています。

  • 現場の作業員が、連絡せずに突然休んでしまう。
  • 危険作業を注意しても、改めない。
  • 気持ちにムラがあり、作業効率が安定しない。
  • 上司や会社に対して反抗的な言動をとる。

経営者・経営幹部であるあなたが、直接作業者に指導する訳には行きません。
この様な現場の問題を解決しなければならないのは、現場の監督職です。
しかしこれらの問題は、一番管理が難しいと言われる、人を扱う問題です。
人は一人ひとり違っています。画一的な対応では解決出来ません。
しかもそれを現場の監督職が対応しなければならないのです。

対応を間違えば、作業員は辞めてしまう。最悪の場合ストライキに発展する事もありえるでしょう。

では現場の監督職の皆さんに、十分な教育が出来ているでしょうか?
「人の扱い方」をどう教育したら良いか?
相当ハードルが高い課題ではないでしょうか?

この様な課題はTWI-JR(人の扱い方)で解決することができます。
TWI-JRは人の扱い方を、四段階のステップに分解して教える手法です。

現場で発生する人に関わる問題を解決する。人との関係を良くするための基本心得を身につけ、問題の発生を未然に防ぐ。
現場の監督職の皆さんにこの様な能力を身につけていただくのがTWI-JRです。

日本産業訓練協会の公認トレーナ(中国人)が、2日間で御社の監督者にTWI-JR「人の扱い方」の技能を伝授します。

キックオフ後、サポート企業様個別にTWI-JR導入支援、監督者に対する研修を実施します。

各企業様での約半年の導入成果を発表する交流会を来年1月に開催いたします。

詳細の日程は以下の通りです。

  • 1日目キックオフ(半日):弊社会議室(東莞市莞城区)
     TWIの歴史
     TWI導入の意義
     TWI導入の目的
     TWI導入成功のために考えるべき事
     TWI-JI/TWI-JRの具体的内容
     導入先行企業の事例

    対象:経営者様
  • 2日目(全日):お客様工場
     TWIの沿革及びニーズの紹介
     監督者の意味
     監督者に必要な五つの条件
     人の扱い方に関する監督者の問題
     監督者の責任図
     人との関係をよくするための基本心得
     個人図
     例、李明の問題、四段階法の紹介
     問題の定義、発生の形態
     カードの配布及び説明
     四段階法及び四つの基本心得
     事実をつかむ事例(第一段階):張強の問題
     言い分や気持ちのつかみ方法
     受講者の問題演習の要求及び説明
     四段階法の復習、医者が患者を診断する場合
     よく考えて決める事例(第二段階):古参者の問題
     よく考えないの結果
     受講者の演習1
     2日目の纏め
  • 3日目(全日):お客様工場
     2日目の復習
     第3,4段階の事例:女子監督者の問題
     変更の影響
     受講者の演習1
     受講者の演習2
     受講者の演習3
     受講者の演習4
     受講者演習のまとめ
     受講者の感想
     監督者と部下以外の人との関係
     全体の纏め
  • フォロー:オンラインサポート(半年)
  • 2018年12月(予定):TWI成果発表交流会
    (東莞にて開催します)

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