最近、現場リーダクラスの従業員(中国人)に「ホウレンソウ」を教えて欲しいというご要求が多くて、悩んでいる。なぜなら「ホウレンソウ」を教えなければならないのは部下ではなく、教えて欲しいと言っている上司の方だからだ。
以前、このメルマガで「ホウレンソウ」について書かせていただいた。
ホウレンソウ
続・ホウレンソウ
いささか古い本だが、「ホウレンソウ」の創始者といわれる山崎富治氏の「ほうれんそうが会社を強くする」という本を読んでみた。
既に絶版となっている様だが、アマゾンでは古本が買える。
「ほうれんそうが会社を強くする」
山崎氏は駄洒落が好きと見えて、大変面白い比喩がたくさん出てくる。
読後も私の考えかたは、以前と変わっていない。
部下がホウレンソウ出来ないのは上司の責任である。ホウレンソウは部下がするものではなく、上司がするものである。という考えかただ。
もちろん、報告したり、連絡したり、相談するのは部下だろう。しかし、報告、連絡、相談が行われるようにするのは、上司の仕事だ。「ウチの部下はホウレンソウが出来なくて」と嘆く上司は「自分の指導が足りません」と公言しているのと同じだ。
仕事の指示をして、どのタイミングで報告をしなければならないかきちんとスケジュールに入れておく。どのような状況になったら、連絡や相談をしなければならないか決めておく。
これだけするだけでも、格段に「ホウレンソウ」は良くなるはずだ。
つまり「ホウレンソウ」は上司がするという言い方より、「ホウレンソウ」は上司が仕掛ける、という言い方のほうが分かりやすいかもしれない。
一見手間がかかるように見えるが、仕事を任せる時は、先に手間隙をかけておく方が結果的に楽になる。
また毎回こういう仕事の仕方をしていれば、部下の方から報告のタイミングと、連絡・相談が必要な状況を判断できるようになる。
もう一つ重要なことは、挨拶だ。
挨拶もしない人に相談をするなどありえないと思うが、いかがだろうか。部下があなたに挨拶をしないと嘆いてはいけない。あなたがまず笑顔で挨拶をすればよいのだ。
更にもう一つ。「ホウレンソウ」をしない場合の罰則規定を作る、という意見もあり驚いた。就業規定にこのような条文を入れるべきだという。
日本人的な感覚では、ここまで就業規定に書かなくとも、と考えてしまう。しかし決まりを全て明文化しておく方が、中国人には分かりやすくて良いのかもしれない。
このコラムは、2010年10月18日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第175号に掲載した記事を加筆修正したものです。
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