月別アーカイブ: 2022年2月

悪い情報

 悪い情報は良い情報より伝わりやすい。
「□□不良が発生した」という情報は「□□不良の対策を実施した」という情報より伝わりやすい。

恣意的に悪い情報を隠蔽しても漏れ伝わる。
同じ職場、同じチーム内ならば良い情報は盛り上がり、共有されやすい。しかし他所の情報は良い情報より悪い情報の方が伝わりやすい。

重要なのは「伝わりやすい」ということより「共有されやすい」ということだ。不都合な情報が共有できれば、その対策を多くの視点で考えることができる。

そしてゆっくりした変化より、早い変化の方が伝わりやすい。

例えば「毎日1%ずつ悪化している」という情報より「70日で2倍に悪化した」という情報の方が伝わりやすい。どちらも毎日1%の悪化は同じだが、70日で2倍に悪化の方が急激な変化に見える。

急激に悪い変化が発生しているという情報を共有できれば、問題意識も高まるだろう。


このコラムは、2022年2月21日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1257号に掲載した記事です。

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北辰の如く

yuē:“wéizhèngběichén(1)suǒérzhòngxīng(2)gǒngzhī。”

《论语》为政第二-1

(1)北辰:北極星
(2)众星:多くの星々

素読文:

いわく:“まつりごとすにとくもってするは、たとえば北辰ほくしんところて、しゅうせいこれむかうがごとし。”

解釈:

孔子曰く:“政治は徳をもって行うべきだ。そうすれば北極星を中心に星々が回る様に、民は従う。”

ノートPCバッテリーパックリコール

 エプソンダイレクト株式会社が2008年10月から2010年7月まで販売したノートパソコン「Endeavor NJ3100」に搭載したバッテリーパックの一部製造ロットにおいて、製造上の不具合があり、発火に至る可能性があることが判明いたしました。
 このため、弊社は、当該特定ロットのバッテリーパックの無償交換(リコール)を実施いたします。 交換対象のバッテリーパックが搭載されたノートパソコンをお使いのお客様は、交換が完了するまでの間、バッテリーパックをはずし、ACアダプターを接続した状態でご使用いただきますようお願いいたします。

 ご愛用の皆様には、大変なご迷惑をおかけいたしますことを謹んでお詫び申し上げます。 今後、品質向上・管理に一層努力を重ねてまいりますので、何卒ご理解・ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

(エプソンダイレクトホームページより)

 このリコールの説明は非常に明確だ。
エプソン製品登録ユーザへのメールによると、

  • 原因および想定される事故内容
    2008年11月から2009年1月に製造されたバッテリーパックの一部において、
    バッテリーパック内部の制御基板製造時に部品実装の誤りがありました。
    このため、制御基板において異常状態を検出した際に保護機能が正常に機能
    せず、制御基板が発火し、火災に至ります。
  • 対象バッテリーパック
    エプソンダイレクト製ノートパソコンEndeavor NJ3100に搭載された特定
    ロットのバッテリーパックが該当します。
  • 【機種名】
    ノートパソコン Endeavor NJ3100
  • 【交換対象となるバッテリーパックの製造ロット番号】
    847 / 851 / 902 / 903 (対象数 2,009個)

となっている。

ここから推定すると、バッテリー内部に入っている回路(たぶん保護回路)に使用している部品が間違っていた。そしてその対象が2009個となっているので、間違った部品はSMT部品であり、生産中にマウンターマシンに補充したSMT部品1リール分が間違っていたのであろう。

2009個とは半端ではないかと、思われる読者様もあるだろう。
通常1リールに2000個の部品が入っていることになっているが、実際には少しおまけしてあるものだ。そしてこのおまけの数量は、必ずしも同じではない。

以前ツェナーダイオードの誤納入があった。箱の中に間違ったツェナー電圧の部品が入って納入されたのだ。この時は、箱の中に入ったおまけの部品が何個あったかを特定するのに、四苦八苦した。

部品の生産投入は先入れ先出しをしている。マウンターに部品を補充するたびに部品のロットナンバーを生産記録として控えてある。頭で考えるとピタッと不良対象台数を割り出せると思うであろう。しかし現実はそうは甘くない(笑)

使用した部品の外箱に書いてあるデートコードは、何箱も同じ日の生産になっている。仕様書に2000個入りと書いてあっても、おまけが入っていることがある。

往々にして現場は、理屈どおりでは割り切れずに、泥臭いことをしなければならないものだ。今回のリーコールの記事に対象が2009台と書いてあるのを見て、現場の品証エンジニアの泥臭い奮闘を見る思いがした。


このコラムは、2010年10月18日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第175号に掲載した記事です。

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初代iPodナノ、過熱のけが4人に なおリコールせず

 米アップル製の携帯デジタルプレーヤー「iPodナノ」の初代モデルが充電中に過熱・焼損する問題で、消費者庁は27日、新たな事故が起きてユーザー1人がやけどをしたと発表した。これで事故は27件目、負傷者は計4人になった。経済産業省はリコール(回収・無償修理)するよう再三求めているが、同社は応じていない。

 問題のモデルは「MA004J/A」「MA005J/A」「MA099J/A」「MA107J/A」の4機種で、2006年9月までの1年間に計181万2千台が販売された。これらの一部のバッテリーは製造不良があり、充電中に最高約200度まで過熱する恐れがある。

 消費者庁によると、新たな事故は今月13日、東京都で起きた。充電中に製品から火花が出て破裂音がし、ユーザーが製品に触れた際に指先にやけどを負ったという。

 事故は07年11月から起きており、うち6件は消防機関から火災と認定されている。しかし、同社はリコールという自主的な対応はとらず、実際に過熱などが起きて顧客窓口(0120・27753・5)に連絡してきた人に限り、バッテリー交換に応じている。同社広報部はその理由について、これまでの取材に対しては「重大な人的被害や物的損害は報告されていない」と説明してきた。この日は「対応できる者がいない」としてコメントしなかった。

 経産省製品安全課は「アップル社の対応は十分でないと考えており、注意喚起のやり方も含めて積極的な対応を促していく」と話している。

(asahi.comより)

 アップル社の対応が理解できない。
火傷、火災の危険性があれば、社告、回収修理をするのが常識だ。

アップルのホームページには以下の告知がされている。

弊社は、ごくまれなケースとして2005年9月から2006年12月に販売された第1世代 iPod nanoのバッテリーが過熱を起こし、使用ができなくなったり、変形していることを確認しました。弊社はこのような事故の報告を何件か受けており(すべて第1世代iPod nanoであり、0.001パーセント未満です)、これらは一つのバッテリー・サプライヤーからの供給であることを特定しています。これまで、重大な人的被害や物的損害は報告されておらず、また他のiPod nanoのモデルについてはこうした報告はまったく受けていません。

第1世代のiPod nanoをお使いでバッテリー過熱を感じられたお客さまは、AppleCare(顧客窓口)にて交換いたしますので、ご連絡をお願いいたします。
 また、他の第1世代iPod nanoをお使いのお客さまで少しでもご不安を感じられた方も、AppleCareにご連絡ください。

回収はしないが、交換修理をする。というスタンスだ。

事故発生率が0.001%(10ppm)未満であると言っているが、安全事故の場合は事故発生率はゼロでなければならない。

また事故が製品出荷開始後2年目から始まっている。
事故が「寿命故障モード」で発生している可能性がある。この場合現在の事故発生率は余り重要な意味を持たない。事故発生率は徐々に高くなるはずだ。

iPodの様なコンシューマ製品は、2、3年で使わなくなる。
私は未だに第二世代のiPodを使っているが、そのような消費者は少数派だろう。5年前の製品の回収を告知しても、ほとんど戻って来ないのが実情だろう。

大事になる前に、回収告知をしてしまった方が、良い結果につながるはずだ。

iPodは、簡単には電池を交換できない構造となっている。
新しいiPhoneは内部電池が接着剤で固定されていると、聞いている。同様に初代iPod nanoの電池が交換不可能な実装形態だとすると、本体ごと新品交換をしているはずだ。この場合、既に初代iPod nanoの生産は終了しているので、完成品在庫の数だけしか対応が出来ない。これがアップル社が自主回収を拒んでいる真の原因なのではないだろうか。

過去の製品でも、月産100台でも、生産可能ならば、アップルのピンチを救い、自らの成長のチャンスとすることが出来る。大量にモノを作るだけではなく、この様なモノ造りが出来る企業に、今後成長のチャンスがあると考えているが、いかがだろうか。


このコラムは、2010年8月2日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第164号に掲載した記事です。

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部品からの異音

 先週の「信頼性不良問題」の記事に関して読者様からメールをいただいた。

<T様のメッセージ>
以前テレビの修理をしていたころは、フライバックトランスから高圧が漏れていて、お客さんら変な音がするという指摘が、あり、良くフライバック交換をしていました。

T様、メッセージありがとうございます。

フライバックトランス高圧部と外部の筐体間で強い電界ができている。
何らかの理由でフライバックトランスの絶縁が低下していると、ジリジリという小さな放電音が聞こえてしまうことがある。

TV受像機の場合は音声も出ているので気がつかないこともある。しかしモニターやPCのディスプレイに使うと静かな環境では聞こえてしまう。

こういうのは大クレームにはならないかもしれないが、一度耳につくと気になってしまう。

以前液晶TVのアダプター電源内部のセラミックコンデンサから異音が発生した事がある。部品のロットばらつきなのか、量産後しばらくして突然異音が発生する物が出てきた。

通常は気にならないレベルの音で、工場の検査時には全く気がつかなかった。

クレームのあったエンドユーザは寝室で液晶TVを使用しており、TVを消して就寝しようとするとこの音が聞こえてしまう。TVを消してもアダプター電源は動作したままなので異音は発生したままだ。

セラミックコンデンサの両端にかかった交流電圧による圧電効果でセラミックディスクが振動して異音が発生するようだ。

異音のメカニズムは推定できたが対策には苦労した。
部品を違うメーカの物に変えると音は出なくなる。しかしこれではまたいつか異音が発生する可能性がある。

最終的には部品に細工をして共振しないようにした。


このコラムは、2009年10月12日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第120号に掲載した記事です。

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パナソニックのレンジ、発煙・発火事故

 経済産業省は20日、松下電器産業(現パナソニック)製の電子レンジ(NE―AT80)から煙が出る事故が7日に宮城県で起きたと発表した。
事故の恐れがあるとして同社が07年5月からリコール(部品交換など)しているレンジ12機種のうちの一つ。一連の発煙・発火事故は18件目で、いまだに169万台が部品交換していない。

 7日の事故は、レンジ裏側の吸気口にほこりが詰まったまま使い続けたため、内部のはんだ付け部にひびが入って火花が飛び、周りの樹脂に火がついたとみられる。一連の事故でけが人は出ていないが、リコールの実施率は昨年末時点で12%にとどまり、リコール後も今回を含めて8件の事故が起きている。同社は昨年11月から折り込みチラシを全国で4500万部配って注意を促している。

(asahi.comより)

 エンドユーザでの使用環境はメーカ設計エンジニアの想定を越えてしまう事がままある。
電子レンジでは、シャンプーした猫を乾かそうとして電子レンジに入れて事故が発生した話が有名だ。電子レンジの加熱原理を理解しているメーカ側は、猫を電子レンジに入れるという「動物虐待」までは想定していない。

しかし今回の事故は「冷却システムが初期の能力を発揮しなくなった場合」に対する想定が不足していたように思う。
記事だけでは判断できないが、半田付けポイントに応力がかかったまま内部温度上昇により、半田クリープの発生が加速したと推定している。
半田接合点にかかる応力と温度に関する設計基準を見逃してしまったか、製造時に応力が発生することを見逃してしまったのだろう。

設計審査、試作サンプル、初回量産品の評価でこのような不良を事前に洗い出す力が、メーカの「品質力」だと思う。


このコラムは、2009年3月23日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第90号に掲載した記事です。

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米国でのPhilipsの人工呼吸器リコール

米国でのPhilipsの人工呼吸器リコール、周知も修理キット提供も進まず

Philips は 6 月に同社製 CPAP 装置・ASV 装置・人工呼吸器 20 機種以上のリコールを米国で発表しているが、周知も修理キット提供もなかなか進まない状況のようだ 。

(The Verge の記事)

リコールの原因となった問題は防音用部品のポリエステル系ポリウレタンフォーム素材が劣化して発生する細かい粒子や化学物質を患者が吸い込んでしまう可能性があるというもの。Philipsでは睡眠時無呼吸症候群治療用の CPAP / ASV 装置については即時利用を中止するよう求めている。しかし、このような装置は代替品が用意できなければ使用をやめることはできない。COVID-19 パンデミックで米食品医薬品局 (FDA) が緊急使用許可 (EUA) を出した E30 も即時利用中止の対象となっている。

財経新聞より

 タイミングの悪いリコールだ。コロナパンデミックで人工呼吸器が必要な患者が多くいる。そんな状況でのフィリップスの人工呼吸器使用禁止令は医療従事者にとって最悪の事態だろう。もちろん患者にとっては生き死にの問題だ。

この人工呼吸器がどのような構造になっているのかわからないが、私には設計不良のように思える。呼吸用の空気は病床に設置された専用の空気供給口から取られる。防音装置と、患者が吸入する空気は完全に分離できるはずだ。

人工呼吸器を必要とする患者が多くいる中で人工呼吸器の使用を差し止める指令を出すというのも理解できない。いっそ防音機能を停止してでも使用を継続する方法を模索すべきではないか?音がうるさいくらいで人は死なないだろう。

日本フィリップスは、医療機関に公表した文書で以下のように述べている。
「お使いの機器を使用して治療を継続することのメリットが本書に記載するリスクを上回るかどうか、ご判断ください。」
我々はリスクをちゃんと開示した、決断は医師の責任だ、と突き放しているようにしか見えない。


■■ 編集後記

最後まで読んでいただきありがとうございます。

本日ご紹介した事例を「設計不良」と断じましたが、私は患者の呼吸に必要な空気系統に、消音用ポリエステル系ポリウレタンフォームの微細粉末が混入する理由がわかりません。患者ではなく、医療従事者が吸い込む可能性がある、と言うなら、対応策がありそうです。


このコラムは、2021年8月18日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1177号に掲載した記事です。

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サマースカート販売目標、9倍増を計画 ユニクロ

 ユニクロは18日、発売中の女性用「サマースカート」の販売目標を、昨年の9倍に増やす計画を打ち出した。女性向けの衣料販売を強化する取り組みの一環という。

 すそが波打つ形の「フレア」や段重ねの「ティアード」、ワンピースとしても着られる「2WAY」などデザインは昨年の倍の6種類。レーヨンや綿など柔らかい素材を使って、肌触りの良さにも配慮した。

(asahi.comより)

 不況と言われる中でもユニクロは元気が良い。
このご時勢に9倍の売り上げ計画を立てられる経営者はいるだろうか?

業績不振を「世界不況」「消費者の購買行動」「不景気」に原因を求めても解決することはできない。一社の経営努力で世界経済を動かすことは不可能だ。自分達が制御不可能なところに原因を持ってきても改善することはできない。それはたんなる言い訳になるだけだ。

自分達が制御可能な領域で改善するしか方法はない。

ユニクロと言うと「フリース素材」「カラフルな色ぞろえ」で消費者の心をつかんだという印象を持っている。
今までユニクロのボトムと言えばパンツが定番だった。そこへスカートと言うユニクロにとって新しいサブマーケットに出るから9倍増の売り上げ計画を立てられるのではないだろうか。

では商品開発やマーケティング機能を持たない工場はこのような計画を立てられないのだろうか?

儲かる工場になるためには、生産工場も独自の開発・マーケティングをすべきだと考えている。市場動向をしっかり読み研究開発をすべきだ。

研究開発といっても商品開発だけではない。工場には工場の研究開発がある。
新しい加工技術の検討。既存の加工技術のパフォーマンス(生産性、加工精度)を一桁上げる。顧客の使い方を研究し、顧客満足が得られる納入方法を検討する。

これらを総称して製造工場の研究開発といっても良いだろう。

顧客から貰った仕様でモノ造りをするだけではなく、こちらから仕様が提案できれば顧客との関係は主従関係からパートナーになりうる。


このコラムは、2009年5月25日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第99号に掲載した記事です。

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高コンテキストと低コンテキスト

 私は「深セン和僑会」という勉強会にほぼ毎月参加している。
3月はJ&G HRアドバイザリー社長の篠崎正芳氏から『グローバル人材は、「違い」を「覚える」のではなく「違い」に「ピン!」と来て行動する!』というテーマで講演をいただいた。

その中で高コンテキストと低コンテキストという話をいただいた。コンテキストというのは「文脈」と訳される事があるが、「共通認識」という意味で捉えて良いだろう。

日本の常識は、高コンテキスト社会に支えられた常識であり、世界の非常識だ。
日本は単一民族の国家であり(正確に言えば、アイヌ民族や沖縄民族を数えるべきかもしれないが)「均一」な社会だ。そのため「阿吽の呼吸」が通じ、多くを語らないのが美徳とされてきた。

一方世界の他の国家は「多様性」に基づいた社会でありコミュニケーションがうまく行われないことを前提としている。そのため低コンテキストな社会になっている。

例えば中国の工場でローカルリーダに指導をすると、必ず言われたことを反復してくる。

まだ中国語が良く分からなかったころは、教えたことに色々いちゃもんをつけているのだと感じていた。何故教えたことを素直に受け入れないのか不思議だった。良く聞いてみるとただこちらの言っていることを反復していただけなのだ。

実はこれは外国人対中国人のコミュニケーションだけではない。
中国人同士の会話に聞き耳を立てていても、同じように相手の言っていることをお互いに確認しあいながら会話が進んでいる。

例えば、日本人同士なら食後「アレ取って」「ハイ」と爪楊枝が出てくる。
中国人同士なら「アレ取って」「アレって爪楊枝のことね。ハイ」となる。

これは中国語という言語がそうできているわけではなく、多様性社会の中に生きている人たちが必然的に身につけなければいけない処世術なのだろう。

世界の主流は「多様性」である。我々日本人がちょっと気を利かせるべきなのだと思う。今時日本国内でも若い人を「宇宙人」と呼んだりして、何を考えているのか分からないと嘆いているので尚更だ。

しかしこの低コンテキスト性は、考えようによっては非常に便利だ。
きちんと時間をかけて意思疎通を図る。中国人たちは元々それができている。我々日本人が、変わらなければいけない。

今日から「○○君。アレどうなっている?」というのは禁句にしよう。


このコラムは、2009年3月16日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第89号に掲載した記事です。

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女子と小人は扱い難い

yuē:“wéixiǎorénwéinányǎngjìnzhīxùnyuǎnzhīyuàn。”

《论语》阳货第十七-25

素読文:
いわく:“ただじょしょうじんとは、やしながたしとす。これちかづくればすなわふ孫そんなり。これとおざくればすなわうらむ。”

解釈:
子曰く:“女子と小人は扱いにくい。近づけると付け上がるし、遠ざけると恨む”

女子も小人扱いです。孔子には女性の弟子はいなかった様です。