工程内の検査では不良が見つからず,市場で使用中に不良が発生するものを信頼性不良と呼んでいる.
寿命モードの不良,例えば
金属疲労,プラスチックの油脂クレージング割れ,金属のマイグレーション,半田クリープなどさまざまな信頼性不良がある。
本サイトのコラムで「信頼性不良」の事例を紹介している。
工程内検査では不良が見つからず.エンドユーザが使用中に1,2年経って不良が発生する.厄介な不良モードである.
信頼性不良が発生した場合原因の解析・対策をするのは当然だが,更に厄介なのはすでに市場に出荷してしまったものに対してどのような処置をするかということだ.
処置の仕方によっては,莫大な損失金額が発生する.
当然事業として生産活動をしているので,損失金額を最小限にするよう検討することは必要だ.しかし基本はエンドユーザを第一に考えることである.
直接顧客がセットメーカであっても,エンドユーザの立場で検討しなければならない.製品を供給した顧客は,エンドユーザに対して品質責任を持っているので,エンドユーザの立場に立っていない処置は受け入れてもらえない.
例えば銀行ATMのトランザクリョンを処理するノンストップコンピュータで信頼性不良が発生すると,エンドユーザである銀行に迷惑をかける.場合によっては新聞沙汰になり銀行の信頼が低下する.
しかしこのような製品の場合,一般的には保守体制が確立されており予防保全で不良が発生する前に部品を順次交換してしまうことができる.
本当に厄介なのは,民生品である.
例えば,一昔前はTVに使っている高圧トランス(フライバックトランス)の焼損事故がしばしば発生した.当事使用していたフライバックトランスは赤燐系の難燃材料を使用しており,赤燐が信頼性不良の原因となることがままあった.
民生品なのでエンドユーザでの使用環境は千差万別だ.前出のコンピュータの場合は空調の効いた電算室に設置される.したがって使用環境が一定しており,不良が発生する期間も読みやすい.
TVなどはラーメン屋の麺をゆでる釜の上に設置されている場合もあり,電気製品にとっては湿度・温度ともに劣悪な環境となる.
しかし民生品だからといって,許されない故障モードはある.
ただ画像が出なくなるだけならば大きなクレームにならない可能性が高いが,発煙事故となると話は違う.この場合は事故が1件2件発生しただけで,新聞告知で回収するなど莫大な費用がかかる.
他社の事例,異業種の事例などから自社製品への影響を読み取り事前に対策をしておくことが必要だ.このメールマガジンでもしばしば品質問題を取り上げているが,自社製品に当てはめて読んでいただきたいと考えている.
このコラムは、2009年10月5日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第119号に掲載した記事に加筆しました。
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