月別アーカイブ: 2005年1月

水素脆性破壊

ねじに、めっきなどの処理により水素が残留している状態で残留応力がかかっていると脆化してポロリと破断してしまう不良現象があります。
北欧のある周辺装置メーカから、最近出荷した製品ロットのねじに「水素脆性破壊」不良が混じっている可能性があるので、回収させてほしいと言う連絡を受けたことがあります。このメーカが使っているねじメーカが、めっき処理後のアニール工程を飛ばしてしまったため、完成在庫品でねじの頭がポロリと取れてしまうものが見つかり連絡をしてきたのでした。
めっきをする過程で酸洗い工程などで金属中に水素原子が捕捉されます。通常はアニール工程でこの水素原子をたたき出してしまうので問題はありません。このアニール工程を飛ばしてしまうと、残留応力が残っている部分が脆性破壊してしまいます。ねじを作った時点や、ねじを締め付けた時点では見つからず、製品に組み込んだ後にしばらくしてポロリとねじの頭が取れてしまいます。
 
この周辺装置メーカは、完成在庫の中から不良を見つけた時点で速やかに連絡をしてくれたおかげで、エンドユーザに出荷する前に被害を食い止めることができました。しかしこのメーカ、連絡をくれた直後から夏休みに入り、なんと1ヶ月休みだそうです。そのおかげでお客様には、納品をしばらく待っていただかざるを得ませんでした。1ヶ月も夏休みがあるなんて、さすが北欧のメーカだと感心するやら恨めしいやら、複雑な心境でした。
実は私はこの不良現象をこのとき初めて知ったのですが、この現象は教科書にも載っているような有名な不良現象でした。当時の機械系エンジニアの先輩から、それはこの本に出ているよと教えてもらったものです。
当然ねじのメーカでも常識として知られていた内容です。それでも不良が発生してしまう。QC工程図にもきちんとアニール工程は入っています。
各工程が連続していて、一つ一つの工程が終わらないと次の工程に行かないような連続工程になっていれば、「工程飛ばし」は発生しにくくなります。しかしねじなどのような部品の生産は、往々にしてバッチ生産となり、各工程で処理待ちのバッチができたりします。このときに中間完成品の状態をきちんと表示をしておかないと、「工程飛ばし」の原因になります。特にアニール処理などのように処理前と処理後の見分けが付かないものは識別表示が重要です。
部品ベンダーの採用監査などでは、工程内の識別表示がよくできているか重点的に見る必要があります。
ねじのような共通部品は、きちんとロット管理をするのが結構難しいものです。きちんと先入れ先出しができていても、問題のあるロットの絞り込み対象範囲が拡大してしまったりします。このためにためにも品質のきちんとしたメーカを選定しておくことが最重要です。

プラスチックの油脂クレージング割れ

プラスチックの残留応力がある部分に油脂や溶剤が付くと徐々に亀裂が深くなってゆき割れてしまうことがあります。この不良現象をクレージング割れと言ったりします。徐々にクレージングが成長してゆく様子が貝殻模様のようになって見えます。
最初にこの不具合を体験したのは、金属シャフトに挿入されたプラスチックノブです。プリンタのプラテンノブが稼働中にポロリと落ちてしまいました。シャフトに付いたグリースがノブにも付いてしまい、ノブの成型時に応力のあった場所、またはシャフトにはめ込んだ状態で発生する応力のある場所から徐々にクレージングして最終的にはポロリとシャフトから抜け落ちてしまいました。
この場合はシャフトにはグリースは不可欠なので、グリースの塗布を注意させたところで完全な対策にはなりません。ノブの材料を油脂クレージングに強いものに変更しました。
別の例では、プラスチックケース成型用の金型に塗布した防錆剤の洗浄が不十分なまま生産を開始した為に、防錆剤が製品に付いてしまいました。この状態で使っていると、ケースの成型時の残留応力が大きな部分が割れてきます。
防錆剤、潤滑剤など、工場のそこいらにあるスプレーをケースに振りかけて、ヒートサイクルテストをして見せてやりました。数サイクルやっただけで、ことごとく割れてきます。この実験を工場のメンバーに見せて身をもって理解してもらいました。
いくらマニュアルに書いておいても、意味をきちんと理解してもらわないと、この程度きれいにしておけばよいと言う判断になってしまいます。リーダ、作業者みんなになぜ防錆剤をきれいに洗い流さないといけないのか、きれいに洗い流さないとどうなってしまうのか、きちんと理解させておかないと「未然防止対策」にはなりません。

薫蒸処理によるAlコンデンサの容量抜け

薫蒸処理に使われる臭化メチルによってAl電解コンデンサが腐蝕し容量が抜けてしまうと言う不良が発生したことがあります。
1999末に中国に輸入する貨物の木製パレットは薫蒸処理をすることが義務付けられました。当然木製パレットだけ薫蒸処理をすればよいので、パレットに乗っている貨物が薫蒸の影響を受けることはないはずです。通関の際に書類の不備か何かでパレットが薫蒸してないと判断され、貨物の上からジャブジャブと臭化メチルをかけられてしまったのだと思います。
普通こんなことが発生するとは想像もつきませんが、こういうことがあるのが中国なんです。
被害にあったAlコンデンサのメーカは、コンデンサの封止ゴムに含まれる臭素の濃度を外側と内側で比較し、臭素が外から来たことを証明しました。当然臭素で汚染されてしまうと、腐蝕・容量抜けが発生します。これは昔半田フラックスの洗浄剤に含まれる塩素で腐蝕・容量抜けしたのと同じ不良メカニズムです。
この不良は腐蝕が徐々に進行する為、工程内では発見できずお客様に製品が渡った後に不良が発生しています。
この不良は事前に防げなかったのでしょうか?
貨物を受け入れたときに梱包材料が湿っているなどの何らかの兆候があったはずです。受け入れ検査は部品の検査だけではなく、梱包状態も厳重に検査すべきです。梱包材料が湿っているなどの兆候が見られれば、まさか殺虫剤をジャブジャブかけられたとは想像できなくても、潮をかぶった可能性があることくらいは想像できるはずです。この場合、いくつかサンプルを抜き取り105℃96時間くらいの加速試験で問題を検出できたはずです。
また中国でSARSが流行したとき、工場の中に消毒剤をジャブジャブと散布していました。消毒剤にも塩素が含まれるので、部品の保管方法や消毒剤の散布方法を厳重に注意させました。
このような活動により不具合を未然に防ぐことができるのです。

プラスチック材料の難燃剤

すでに旧聞に属するかもしれませんが、LSIパッケージに添加した難燃剤の赤燐が原因でLSI内部でAgのマイグレーションが発生すると言う不良が世界中で大きな問題となりました。
実は1980年代、私がまだシステム製品の周辺装置のエンジニアだったころ同様な不良を経験しました。CRTディスプレイのフライバックトランス(FBT)でも同じようにエポキシの難燃剤として添加された赤燐が原因でレアショートが発生したことがあります。
お客様にシステムを納入してから1年とか2年でCRTディスプレイから煙が出ると言う不具合がぽつぽつ発生しだしました。ディスプレイの中の高圧を発生するFBTがレアショートして煙が出ると言う不良でした。不良として返却されてきたディスプレイからFBTを取り出しレアショートしている部分が見えるようにカットし、原因を探りました。XMAなどを使ってレアショートするようなものが混ざっていたのではないかとかいろいろな角度で調査しましたが、なかなか答えが見つかりませんでした。
結局、FBTの内部に絶縁の為に充填されているエポキシ樹脂に添加されている赤燐がFBT2次巻き線のウレタンを腐蝕させレアショートを発生させていたのでした。当時TVメーカはこの現象を知っており民生用のFBTでは、すでに難燃剤を赤燐から臭素に切り替え済みでした。民生市場のほうが量がたくさん出るので、不具合現象を先に体験することが結構あります。
LSIパッケージの場合は赤燐の存在によりAgマイグレーションを加速し不良に言った至ったわけで、不良のメカニズムが違うのですが、このニュースを聞いて若い頃の経験がよみがえりました。
多分臭素が最近の環境問題で使用できなくなり、赤燐をそのまま使ったのでは危ないので何らかの処理をした上で使おうとしたのだろうと想像しています。最近のFBTの絶縁材料の難燃剤は何を使っているのかちょっと心配なところです。

忘年会

日本ではもう年が明けてしまっていますが、中国では農暦が基準なので春節までは年末です。このところいろんな業者さんから忘年会のご招待を受けています。
こちらでは忘年会のことを「尾牙会」と言うようです。私の中国語の辞書にはこの単語は出てきません。多分台湾でこういうのだと思います。
「除夕」(大晦日のこと)前15日を「尾牙」と言います。「牙」と言うのは歳の意味を代表しているのだそうです。歳の終わりだから「尾牙」と言うわけです。子供は歳を重ねるごとに歯(中国語では「牙」です)が増えてゆくだろう?と説明してくれました。なるほど最後は歳をとるたびに1本ずつなくなってゆくわけね。
こちらの忘年会は生半可な気持ちで参加すると大変な目にあいます。「白酒」(日本のシロザケではありません)の乾杯攻撃が待っています。最初のオードブルの皿が揃うのも待てずに乾杯が始まり、最後のご飯ものとか饅頭が出てくるころには完全に潰れてしまっています。先日は風邪気味なのに断りきれなくて「尾牙会」に参加してえらい目にあいました。
中国ビジネス成功の秘訣は、日ごろの体調管理です(笑)

半田クリープ

プリント基板に挿入された部品リードの半田付け部分が、きれいに割れてしまう不良現象があります。これは工程内では発見できず、市場に出て時間がたってから発生する厄介な不良モードです。半田結合点に残留応力があると長い時間をかけて半田がクリープして割れてしまう現象です。温度で加速されます。
半田結合点が徐々に割れて行き最終的にはオープンになってしまいます。オープンになるだけなので通常は機能不全となるだけですが、深刻な不良モードになることがありえます。例えばACインレットのリード半田結合点が割れると、AC100Vとか200Vの電圧が切断されたり接続されたりするので、ぱちぱちと火花が出ることになり、徐々にプリント基板を焦がして最終的には発火の危険性もあります。
はじめてこの不良モードを経験したのは、プリンタの制御回路に使われているHICのリード半田付け部分でした。このHICは制御回路のプリント基板に半田付けされた上、HICの放熱の為にプリント基板とHICをプリンタ筐体に共締めする構造になっていました。従って半田付け時にHICが少し浮き上がったりすると、共締めする際にちゃんとプリント基板になじみますがリードの半田結合点に応力がかかったままとなります。この状態でお客様に出荷して1年位すると不良が発生しました。予防保全のためにプリンタを回収してHICを筐体に取り付けた状態で再半田付けし応力を逃がして対策としました。
これは作業方法上で半田結合点に残留応力が残ってしまった例です。最終製品だけを見てここに残留応力が残っているのを見抜くのは生易しいことではありません。しかしこの製品を作っているところをじっくり見ていれば、ここが危ないと容易に分かったはずです。
また重量部品を逆さ吊りにプリント基板に実装する、継続的に力がかかっている部分を半田だけで結合する、などなど設計的な要因もありえます。これはじっくり製品や部品を見れば簡単に見抜けるでしょう。
特に上記で述べたACインレットは不良モードが深刻になるので要注意です。ACケーブルの抜き差しによる力がダイレクトに半田結合点に伝わる構造になっていると、クリープだけではなく疲労破壊も心配しないといけません。じっくりと部品の構造を確かめなければなりません。
このように購入する部品や製品の構造をじっくり見る、OEM工場の工程をじっくり見る。自分たちで設計製造する部分も同じ手順でじっくり見る。ということが不具合を未然に防ぐ「予防保全活動」になると思います。
サンプリングで長期間の連続試験をしてみても、労多くしてこの手の不良モードを発見できないことが結構あります。

品質改善と生産計画

日本ではJIT(ジャストインタイム)生産が当たり前になっています。JITのメリットは材料・中間完成品の在庫を徹底的に減らし、経営効率を上げることかと思います。それだけではありません、JITによって品質改善も可能です。
一般的な電子応用製品の生産工程は、部材準備、前加工、組み立て、検査、包装というように工程が区分されています。組立工程は機械実装、手実装と細分化できます。
品質保証の大原則では、各工程が品質を保証して、次工程に渡すことになります。各最小単位の工程で品質を確認し、問題があればすぐ対策・改善する。この様に改善のフィードバックループを小さくすればするほど、対策・改善のスピードは上がります。
例えば、加工方法や部品に問題があって不良が発生すれば、不良を作り続けるリスクを持って生産していることになります。従ってすばやい問題発見と解決が必要になります。
また小さなループで改善をまわすことにより、改善方法と効果の関係を早くつかめ、すばやく最適の改善策を見出すことができます。
しかし各工程の品質を保証するためにそれぞれの工程で100%検査して次工程に渡すことは、原理的に不可能であったり、経済的に不可能であったりします。次工程の検査や最終工程での検査でしか見つけられない不良もありえます。
例えば前加工で作られたサブアッセンブリィが中間在庫としてたくさんあった場合、次工程で不良を見つけてしまうと、不良の原因によっては中間在庫全てに不良が含まれている可能性があり、選別や再加工をしなければならなくなります。
これはコストの無駄遣いだけではなく、品質にも影響があると考えなければなりません。いつもと違う異常作業(選別や再加工)をしなければならない。作業のばらつきが品質のばらつきになるので、作業をすればするほど品質リスクは増えます。
従って生産計画をきちんと立て、部材投入から製品完成まで最短でアウトプットできるようにしなければなりません。
また生産をしていると現場では、いろいろな理由で生産が中断することがあります。例えば部品が足りなくなってロットの何台かを完成できない、工程中でラインアウトした製品が遅れてラインに復帰する、などの問題が発生します。こういう状況が発生しないような準備が必要です。発生してしまった場合、中間在庫の識別表示などの管理は当然ですが、こういう問題を皆で共有し改善の意識を持たなければなりません。
よい工場を見ると、このような中間在庫はわざと目立つところにおいてあったりします。

ISO9001の認証

何のためにISO9001の認証を取得するのでしょうか?
これがきちんと解っていない企業が結構たくさんあると思います。ISO9001を導入すると、規定文書や 記録が増えてコストが上がる、改善に役立っていない、内部監査・サーベイランスで大変、等などいろ いろな声が聞こえています。
ISO9001は事業をするためのライセンスなのでしょうか?ISO9001の認証を取得することにより、事業経営が有利になるでしょうか?
答えはNOです。
「あしたの発想学-いかにして痛くない注射針はできたのか」の著者・岡野雅行さんはISO9001は導入しないといっておられます。しかし岡野さんの会社は中小企業ながら、大企業が行列を作って発注したがる超優良企業です。
ISO9001は会社の方針・目標を達成するための方針・目標管理ツールとして活用することができます。 きちんと活用することにより、会社の経営改善・利益改善に貢献することができます。一方認証を取得・維持するためには、審査機関に支払うコストが発生します。これを上回る利益を上げなければ、投資効果はありません。また認証を取得しなくても、規格が要求する意味を正しく導入することにより同様な効果が上がるはずです。
ここをきちんと理解しておかないと、管理の為の管理、ISOの為のISOになってしまいます。経営者から現場までこの意義を正しく理解して運用しなければ、認証取得はできても維持をしてゆく段階で、無用の長物になったり弊害さえ発生します。
中国の部品ベンダーに採用監査に行って驚いたことがあります。この会社はISO9001の認証を取得しているのですが、ISO9001のマニュアルが応接室に飾ってありました。
コンサルタント会社に高いお金を払ってマニュアル一式を導入したようです。しかしマニュアルは新品のままで、誰も読んだことがないようです。事実現場を見ても、品質マネジメントシステムが運用されているとはいいがたい状況でした。
別の生産委託先は、文書・記録がイントラネット上できちんと管理されており、非常によく見えました。作業員の教育履歴、能力、資格なども従業員番号を入れればさっと出てきます。
しかしここも現場を 見ると、品質マネジメントシステムがきちんと回っていない。内情をよく見ると、現場の組長さん・班長さんたちには1台ずつコンピュータが行き渡っていないので、規定文書をしょっちゅう参照できない。また作業者の能力・資格は人事部の職員しかアクセスできないので、現場の組長さん・班長さんには参照できません。
IT化の流れからは逆行してしまうかもしれませんが、ここでは文書・規定類をプリントアウトして現場に備え付けるところから始めました。実はこれも管理職者から反対され、説得しなければなりませんでした。曰く規定類を現場においておくと、これをもって退職してしまう従業員がいるというのです。

有害物質管理

最近環境保護のためRoHS指令などにより有害物質が製品に含まれていないことを保証しなければならなくなっています。この方面では日本の中でトップランナー的な役割を担っておられるS社さんの「グリーンパートナー認定」を生産委託工場2社(台湾企業の中国工場)で同時期に指導したことがあります。
このころまだ台湾企業は環境問題にあまり関心がなく、ISO14000を取得している会社はまれでした。
そんな中で環境保護の話から説明し、何とかグリーンパートナーの認証が得られるように指導をしました。
さすがS社さんのネームバリューで、グリーンパートナーの認証を取得すること自体は2社とも大いに乗り気で、専属のプロジェクトチームを起こしてくれました。
まず環境管理システムを構築するために、1日指導をして方向付けを行い、1週間後に成果を確認する、という方法で準備を開始しました。同時進行で2社に交互に出向き指導をしました。最終的には2社とも無事グリーンパートナーの認証が得られましたが、それぞれの対応がまるっきり違っており非常に興味深いものがありました。
A社:
専属プロジェクトのリーダに品証部の経理がつきました。この人の人脈ですでにグリーンパートナーの認証を受けている会社があり、そこからいろいろ情報を入手したようです。よその会社でうまくいっていても、会社ごとの事情が違っているので、システムをそのまま持ち込んでもうまくは行きません。
準備の間中、彼は終始どうしたらS社さんの認証が得られるかということのみにフォーカスしていました。何度も環境管理の意義を説明して、原点に戻らせる必要がありました。ここをきちんと指導をしておかないと、認証合格しても現場がそれを維持することができません。意義をきちんと理解してもらうということが重要です。
B社:
こちらの会社は専属プロジェクトのリーダに管理部の経理がつきました。彼はユーモアのセンスがあって、メンバーを盛り立てるのが得意な男です。しかし環境管理に関する人脈はないようで、よその会社から環境管理システムを貰ってこようなどということはしませんでした。その代わり、会社の前の道路掃除からはじめました。従業員全員の意識は当然こちらの会社のほうが高くなります。
こちらの会社では有害物質の分析のためにICP発光分光分析装置という高価な装置を買ってしまいました。社長はこの装置が認証合格の決め手になったと思っているようですが、私から見るとプロジェクトのリーダのリーダシップによるところが大きいと思っています。
両社ともいろいろな手順を作りましたが、笑うに笑えないエピソードをひとつ。
まだ全ての部材が環境対応にはなっていないので、環境対応部品の識別のためのシールを作りました。これを業者さんが納入する梱包箱に貼ってもらおうと言う訳です。そうすれば受け入れ検査の検査員が一目で識別できます。
ある日受け入れ検査部の経理が困った顔で私に相談に来ました。日本の部品業者さんが、識別シールを貼らずに納入してきたので、これから受け入れ不合格として日本に部品を全部返却するというのです。私はそれを聞いて、一瞬めまいがしました。そんなことをしたら部品が欠品して生産ができません。
自分たちが作ったルールがちゃんと機能するかどうかも検証しないで、そのルールにがんじがらめに縛られてしまっています。