プラスチックの残留応力がある部分に油脂や溶剤が付くと徐々に亀裂が深くなってゆき割れてしまうことがあります。この不良現象をクレージング割れと言ったりします。徐々にクレージングが成長してゆく様子が貝殻模様のようになって見えます。
最初にこの不具合を体験したのは、金属シャフトに挿入されたプラスチックノブです。プリンタのプラテンノブが稼働中にポロリと落ちてしまいました。シャフトに付いたグリースがノブにも付いてしまい、ノブの成型時に応力のあった場所、またはシャフトにはめ込んだ状態で発生する応力のある場所から徐々にクレージングして最終的にはポロリとシャフトから抜け落ちてしまいました。
この場合はシャフトにはグリースは不可欠なので、グリースの塗布を注意させたところで完全な対策にはなりません。ノブの材料を油脂クレージングに強いものに変更しました。
別の例では、プラスチックケース成型用の金型に塗布した防錆剤の洗浄が不十分なまま生産を開始した為に、防錆剤が製品に付いてしまいました。この状態で使っていると、ケースの成型時の残留応力が大きな部分が割れてきます。
防錆剤、潤滑剤など、工場のそこいらにあるスプレーをケースに振りかけて、ヒートサイクルテストをして見せてやりました。数サイクルやっただけで、ことごとく割れてきます。この実験を工場のメンバーに見せて身をもって理解してもらいました。
いくらマニュアルに書いておいても、意味をきちんと理解してもらわないと、この程度きれいにしておけばよいと言う判断になってしまいます。リーダ、作業者みんなになぜ防錆剤をきれいに洗い流さないといけないのか、きれいに洗い流さないとどうなってしまうのか、きちんと理解させておかないと「未然防止対策」にはなりません。
始めまして。クレージングに対して検索していたら
このサイトにたどりつきました。興味深く読まして頂きました。
私の方でもクレージンテストをやりたいと思っているのですが、ヒートサイクルテストは何度×何時間くらいで行なわれました?参考程度に教えて頂けませんでしょうか。
よろしくお願い致します。
樹脂材料開発者様
コメントありがとうございます.
コメントのRSSが取り込めてなくて適時の回答ができず申し訳ありません.
専門家からのコメントで緊張していますが(笑)
私のような品質屋は専門技術がわからなくてもまずやってみることを信条にしています(笑)
当時再現実験をしたのは,技術的探求よりは工場のメンバーにクレージングの恐ろしさを知ってもらうためにやりました.したがって技術的根拠はありません.
そういうわけなので評価条件の記憶はありません.
当時工場で使えた環境評価設備を思い起こすと,多分0-60度(各1時間)程度の温度サイクルしかできなかったと思います.温度差よりも温度勾配の方が効くだろうという判断(素人判断です)でマイナス側はあまり下げなかったと記憶しています.評価に使える設備は普通の恒温槽しかありませんでした.
これで数サイクルでクレージングが発生したと記憶しています.自分でもこんなに簡単にクレージングするとは思っていなかったのでびっくりした記憶があります.
コメントありがとうございます。
また、こちらこそ返事が遅れてしまってすいません。
情報ありがとうございます。
確かに、やってみる!という事は大事ですよね。
考えてた結果と全く違ったとかありますし。。。
条件、ありがとうございます。
参考にさせて頂き、TRYしてみようと思います。
ありがとうございました。
コメントありがとうございます.
専門家に参考になったといっていただけると大変光栄です.