月別アーカイブ: 2022年4月

今年の新語

『大賞に“ぴえん” 日本「今年の新語」 「密」や「リモート」も』

今年よく見聞きした言葉から、辞書を編集する専門家らが選んだ「今年の新語」のベスト10が11月30日、都内で発表された。大賞には「ぴえん」が選ばれた。
 「ぴえん」の語釈として「小声で泣きまねをするときの言葉」「困ったり、思い通りにならなかったりして、ちょっと悲しい気分であることをあらわす言葉」などと説明。例文として「電車に間に合わない、ぴえん」と紹介した。

(朝日新聞より)

 12月1日付朝日新聞の記事だ。
今年の新語は三省堂が主催して選んでいるそうだ。

「びえん」という言葉は初めて聞いた。コロナ禍で引きこもり生活のためか?
そのような言葉を使う人々とは疎遠だからなのか?
しかしなんとも情けない。剛毅木訥でありたいと願う私には無縁の言葉だ。もちろん大の大人が使う言葉ではなかろうが、若者の「少女化」が進んでいる様に思える。

その他に選ばれた新語は以下の通り。

  • ○○警察(特定のことを細かく点検して、何かというと批判する人)
  • リモート
  • マンスプレイニング(男性が女性や年少者に対し、見下した態度で説明すること)
  • 優勝(大満足すること)
  • ごりごり(考え方などがあることだけにこりかたまっている様子)
  • まである(自分の基準からみて予想以上のものが存在する)
  • グランピング(大きなテントなど、高級感のある施設で過ごす、ぜいたくなキャンプ)
  • チバニアン(千葉県市原市の地層を根拠にした地質年代)

「○○警察」「密」「リモート」はコロナ禍由来の言葉のようだ。
「グランピング」もコロナ禍に関連する言葉なのかもしれない。


このコラムは、2020年12月14日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1071号号に掲載した記事です。

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うまくゆくアイディア

  以前配信したメルマガ「上海万博」でアインシュタインの言葉「結果と言うものにたどり着けるのは、偏執狂だけである」をご紹介したことがある。

本日ご紹介するアインシュタインの言葉は
「成功する可能性を秘めたアイディアとは、一見して突拍子もなく誰かに言うのもバカバカしいと感じるような大胆なものである」
本当にうまくゆくと思えるアイディアはすでに誰かが思いついている。
皆がバカバカしいと思うアイディアこそブルーオーシャンを拓くアイディアだ。

使い捨て傘を再利用してバックを作っている企業を最近知った。

プラスティシティ「エコバック」

統計データによると、傘の消費量は年間で約1億3000万本その内ビニール傘は8000万本。ビニール傘の大部分は使い捨て傘だろう。焼却すればダイオキシンが発生する。(最近はダイオキシンが発生するPVCは使われなくなってきた、ダイオキシンが発生しない高温焼却炉も増えているそうだ)廃棄された使い捨て傘は海洋汚染の原因になる。プラスティシティの取り組みはSDGsが社会的な課題になっている現在、意義のある活動に思える。

しかしアインシュタインの説を信じると、この取り組みはバカバカしいところが微塵もない。真面目すぎて(笑)うまくいかないような気がする。

特に文房具のようにコモディティ化が激しい業界では、普通にやっていては生き残れないだろう。年々バカバカしさが増しているように思える。

【2020年Bun2大賞】ベスト文具30発表!

上記の「上海万博」でご紹介したご家族は、毎日「花博覧会」を参観。その後上海万博に毎日参観するため、職を辞して家族で移住した。このような偏執狂ともいえるバカバカしさが、経営にも必要なのかもしれない。


このコラムは、2020年12月21日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1074号に掲載した記事です。

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心を鍛える

 
『ラグビー日本を変えた「心の鍛え方」荒木香織著

友人(著者の同級生)の紹介でこの本を読んだ。

運動選手のメンタルを鍛える仕事をしておられる。ラグビーの五郎丸選手がゴールキックをする前に必ずするポーズを五郎丸選手と一緒に作り上げた人だ。あの祈りにも似たポーズを「プレ・パフォーマンス・ルーティン(PPF)」という。

五郎丸選手のポーズから、失敗しないように神様に祈っているように見える。
しかしあれは「祈り」ではなく、ゴールキックを成功させるための意識の集中・動作のシミュレーションだそうだ。

同様にイチロー選手も、バッターボックスで行うルーティンがある。同じ効果を狙ったものだと思うがイチロー選手の場合、朝起きた時からPPFが始まる。食事、トレーニングのやり方など生活全てがPPF化されている。

体と精神はつながっており、精神を安定させることにより体のパフォーマンスがあがるのだろう。

私はスポーツ選手ではないが職業人としてパフォーマンスを発揮できる状態をキープしなければならない。最低限、健康状態を保っていなければならない。その上で高いモチベーションをキープしなければならない。

ではどうすればモチベーションを上げられるか?
人は、自分でコントロールできることが多いほどモチベーションは高まる。
誰かに言われてやるのではなく、主体性を持って取り組む方が成果が出る。
受け身から脱出することでマインドセットが変わる。

自分自身だけではなく、部下も同様にマインドセットを変えたい。
主体性を持たせるためには、作業を任せるのではなく、仕事を任せることだと思う。


このコラムは、2020年12月18日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1073号に掲載した記事です。

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小林製薬:その後

 ジェネリック薬製薬・小林化工が、水虫薬生産時に睡眠導入剤を使用した事件が昨年発生した。
この事故に関して考えたことを、以前メルマガに書いた。
水虫薬に睡眠剤誤混入

サワイグループホールディングスが小林化工の工場、従業員を買収するというニュースが出ていた。

「睡眠剤混入の小林化工、サワイに後発薬全工場を譲渡」

 サワイグループホールディングス(GHD)は3日、品質不正問題が発覚した小林化工(福井県あわら市)から後発薬の全工場と関連する部門の人員を譲り受けると発表した。物流や研究開発の拠点も譲り受ける。

以下略

全文

この様な人為ミスを防ぐにはどの様なアプローチを取ったら良いか、という観点で対策を考えてみた。

しかし対策を実施するよりも、企業の存続が危うくなってしまった様だ。
万全の対策を実施しても、経営が成り立たなかったら意味がない。

製薬作業を間違えてしまった従業員はどうされたのだろう?
会社には居づらくなってしまっただろう。
経営者は身売りをして仕事を失ってしまっただろう(企業の売却により金銭を得たかもしれないが、薬害を受けた方や亡くなってしまった方への賠償が有るのではなかろうが?)

法令に従わない作業をした(作業指示した)責任は当然重い。

わたしたち過去の事件から「法令遵守」とお題目を唱えるだけでは足りない。
職場環境、作業方法を整備し、作業そのものが法令違反が起き得ないようにしなければならない。


このコラムは、2021年12月8日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1225号に掲載した記事です。

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指差喚呼

 「指差喚呼」とは鉄道の運転手がやっている指差し点呼確認動作のことだ。
例えば列車運転手は出発前に前方にある信号機を指差し「出発進行」と発声する。これは出発(信号)進行(緑)という意味の出発時の指差喚呼だ。出発信号等が赤色点灯ならば「出発停止」と点呼し発車しない。

運転手、車掌、駅職員皆がこの指差喚呼を行なっている。万が一事故があれば何百人、何千人の命が危うくなる。従って危険なところだけで指差喚呼をするのかというと、そうではない。習慣とするためにあらゆる動作で指差喚呼をしていると思う。

工場でも指差喚呼を取り入れると良い。
プリント基板に部品を挿入する作業員が、一斉に指差喚呼をしていては騒々しくていけない(笑)しかし自分が挿入した部品は指差し心の中で数を数える。

部品の出庫・準備、設備の準備・設定など生産に重大な影響を与える作業は型通りに指差喚呼をした方が良いだろう。

ヒューマンエラーに対して作業者に対し「再指導・注意」などという対策より「指差喚呼」導入のほうが効果がありそうだ。


このコラムは、2022年2月25日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1259号に掲載した記事です。

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温・良・恭・倹・譲

qín(1)wèngòngyuē:“zhìshìbāng(2)wénzhèngqiúzhī(3)zhī(4)?”
gòngyuē:“wēnliánggōngjiǎnràngzhīzhīqiúzhīzhūrénzhīqiúzhī。”

《论语》学而第一-10

(1)子禽:姓は陳、名はこう。子禽はあざな。子貢の弟子
(2)是邦:どの国でも
(3)求之與:孔子の方から求めたのか
(4)抑與之與:それとも君主たちから持ちかけられたのか

素読文:
きんこういていわく、“ふうくにいたるや、かならまつりごとく。これもとめたるか、抑々そもそもこれあたえたるか。”
こういわく、“ふうおんりょうきょうけんじょうもっこれたり。ふうこれもとむるや、ひとこれもとむるにことなるか。”

解釈:
子禽は子貢に尋ねた“孔子先生はどこの国に行かれても、必ずその国のまつりごとについて尋ねられますが、それは先方から問われるのでしょうか?それとも孔子先生から話されるのでしょうか?”
子貢はこう答えた。先生は温・良・恭・倹・譲の徳を備えられているので自然にそう言う質問を受けるのだと思う。
先生は政に関わることを望んでおられるが、他の人とは違って権力や官位を得ることに興味を持っておられるのではない。

役職や地位にこだわれば、正しい政はできないと孔子は考えていたのでしょう。

抵抗勢力

 何か新しいことをしようとすると、必ずと言っていいほど「抵抗勢力」が発生する。サンドビック株式会社の藤井裕幸氏は著書「究める力」でこんな抵抗が発生すると書いておられる。

  1. 今まで問題はない。なぜ変えるのか?
  2. そんな提案はダメだ!以前にもやってうまくいかなかった。
  3. そのことについては我われがいちばんよく知っている。
  4. 今忙しくて、そんなことをやる余裕はない!
  5. そんなものは我われの会社には向いていない!
  6. 確かにそうだが、我われの会社は違う!
  7. 案としては立派だが実行は不可能だ。
  8. これ以上、コストなんて下げられない!
  9. 我われだって。それはやっている。
  10. うちの部門が悪いのは、あの部門のせいだ。

古参の幹部が藤井副社長にこう言ったのだろう。さすがに一般従業員の発言でないだろう。逆に言えば改革の中心として動いてもらいたい幹部がこのような考えでは、うまくいくはずはない。

まずは幹部をこちらサイドに引き込まなければ、うまくいかない。
うまくいく事例を作る。成功体験が抵抗勢力を弱める。推進派が多数勢力となれば改革は加速する。


このコラムは、2021年7月2日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1157号に掲載した記事です。

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ベルトコンベア信仰

 生産現場の改善で「ベルトコンベアを使う」という方法を考える人が多いと感じる。一方でチェーンソーを持ち込んで顧客生産現場のベルトコンベアを切り刻む、というパーフォーマンスをされるカリスマコンサルタントの話を聞いたこともある(笑)

私はそんな過激なことはしないが、ベルトコンベアの効果はあまり感じない。

昔(20世紀末)に指導していた台湾資本の生産委託先は、全てベルトコンベア式の生産だった。大勢の女工さんがベルトコンベアの前に座り、コンベア上に流れてくるプリント基板に電子部品を何点か挿入する、というスタイルだ。この方式が有効になるのは、コンベアからワークを下ろさずにコンベア上で部品挿入ができる場合だ。この方式の特徴は一人当たりの挿入部品点数は少数となり、作業員は大勢となる。

例えば昔のデスクトップPC用の電源ユニットのように、多くの出力ケーブルを挿入する工程がしばしばボトルネックとなり、多くの問題を引き起こす。

ベルトコンベアの利点は,ワークの取置きが不要となること、タクトタイムが守られることくらいしかない。従ってコンベア上で作業できない場合、タクトタイムをうまく設計できない場合などはベルトコンベア生産は不利となる。

例えば複数の検査員で検査する作業のように,ワークを手に取って裏表を見る作業はコンベア方式は向かないだろう。
その他にもコンベア方式は、
検査済み・未完の識別をする必要がある。
不良発見の例外処理が発生すると未検査ワークがどんどん流れてしまう。
コンベアからの取置きの無駄。
などの問題が発生する。


このコラムは、2021年7月5日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1158号に掲載した記事です。

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マツダ アクセラ 7万4000台をリコール

 マツダは1日、エアバッグ作動時にけがをする恐れがあるとして、普通乗用車「アクセラ」7万4231台(2003年5月~06年9月製造)のリコール(回収・無償修理)を国土交通省に届け出た。事故やけが人は報告されていない。

 国交省によると、運転席エアバッグのカバーに付いているロゴマークが劣化し、エアバッグ作動時に飛散する可能性がある。

(JIJI.COMより)

 ロゴマークが劣化してエアバック動作時に飛散するということは、ロゴの材料(おそらくプラスチック)が環境ストレスにより劣化したのだろう。ロゴマークの材質が何かはわからないが、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネートは高温・高湿環境で加水分解による劣化が発生する。

エンブレム部品が車両メーカの支給品なのか、エアバックメーカ生産なのかはわからないが、エンブレムを単なる装飾部品とする油断があったのだろう。

装飾部品はデザイナーの不可触領域と考えてしまうと設計者が口を出しにくくなる。形状はデザイナーの領分であっても、安全に関わる材質は設計者の責任範囲だ。

加水分解以外にも紫外線で劣化する場合もありうるだろう。油脂劣化もある。
構造部品だけではなく装飾部品も劣化耐性を考慮すべきだろう。
本件は構造部品でなくとも安全に影響を与えうるという示唆と捉えたい。ハンドル中央にあるロゴマークも単なる装飾部品ではなくエアバックの噴出口と捉えれば、安全に関わる機能部品となるはずだ。

安全に関わりがなくとも、ロゴマークのように製品の顔と言える部分が劣化してはブランドイメージが下がる。


このコラムは、2021年7月7日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1159号に掲載した記事です。

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改善活動

 現在5社5チームのQCサークルの改善活動を同時にしている。
次週には発表会を行う予定だ。しかし1チームだけ周回遅れのチーム(香港人経営者の中国企業)がある。工程内不良削減の活動に取り組んでいるが、効果がなかなか見えてこない。

いっそ現場指導に行ってテコ入れをしたいが、コロナ禍の影響で工場訪問が思うようにできない。合同の指導も会議室に集まってできず、ZOOMによるオンライン指導である。

彼らの改善案「検査指示書の改善」「検査員の指導」など流出対策だけでは不良は減らない。
完全に検査ができても「不良を出荷しない」レベルに到達するだけだ。不良発生工程の改善をしなければならない。彼らにはここが足りていない。

現場に行かなくてもQC工程図などで説明を受ければ理解できるはずだが、彼らはQC工程図を作ったことがないことが判明した(苦笑)もっと早く気がつけばよかったと悔やんでも仕方がない。

他の4チームはそれぞれ目標を達成している。
1チームだけ残念な思いをさせたくはない。これはすごいチャレンジだと自分を鼓舞している。


このコラムは、2021年7月12日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第1161号に掲載した記事です。

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